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香港本屋めぐり 

 

第1回 香港の独立書店
     


艺鵠書店で開催された「閱讀×獨立書店」イベント。
夜の開催だったにもかかわらず、会場はほぼ満席だった。

 

●はじめに

「香港人は本を読まない」。よくこんな言葉を耳にする。しかし、香港の街を歩いていると、大小さまざまな書店があり、店内は意外とお客さんで賑わっているのだ。熱心に本を読みふけっている香港人の姿や盛況なトークイベントを見かけることもしばしば。香港に住み始めて約2年。書店を覗いたり著者によるトークイベントに参加したりするにつれ、現地には「本を読まない」人もいるが、「本が大好き」な人が多いこともわかってきた。そして、本好きな彼らが集う「独立書店」と呼ばれる個人経営の小規模書店が存在することも。そんな独立書店の本のラインナップは、オーナーの趣味を反映した文学、芸術、哲学、写真などが多く、良い意味での偏りが見られる。また旅先で購入してきた海外の本も並んでいることもあり、さながらオーナー個人の書斎のようで、本を眺めるだけでも楽しい空間である。

独立書店は、特にここ5年くらいの間にオープンしたところが多く、後半で改めて紹介するが、独立書店を取材した『書店現場――香港獨立書店訪談札記』(格子盒作室、2018年)では、12軒中8軒が2015年以降の開業である。そういった新しい独立書店のほとんどは、オーナーが30、40代と若く、以前は別の仕事をしていたが、その仕事を辞めて書店経営を始めたと言うのだ。しかも書店として儲けを目指したものではなく、本好きが高じた結果の転身と言う。

艺鵠書店(2008年開業)で昨年8月、「閱讀×獨立書店」イベントが開催されたので足を運んでみた。ゲストは見山書店オーナーのシャーロン・チャン氏(2018年開業)と清明堂オーナーのアルバート・ウォン氏(2017年開業)。チャン氏、ウォン氏ともに転身組であった。また、この日司会を担当した艺鵠書店スタッフのリン氏とロック氏も、本が好きで艺鵠書店に転職してきたそうだ。

とかく経済が重要視される香港で、若い世代が本に魅力を感じ自分の書店を開くと言う動きが出てきているのはとても面白く、香港にも独立書店の新しい波が起きているようにも感じる。

 

 

     
     
     


香港島・湾仔にある富徳楼ビル(中央の白っぽいビル)。
ここの14階に艺鵠書店が入る。

 

●香港の書店事情

世界42都市の文化特性を比較した「World Cities Culture Forum」(世界都市文化フォーラム)の統計によれば、香港(人口約740万)の書店数は1,312軒(2016年調べ)。ただし、この数には、新聞や雑誌などを販売している露店のニューススタンドや本を取り扱っている文房具店なども含まれるので、すべてが純粋な「書店」とは言い切れないが、それでも香港は、「本」に触れる機会が多い街ではないかと思う。ちなみに、香港の人口も面積も倍近くある東京(人口約1,351万)の書店数は1,646軒(2016年調べ)、書店ブームと言われる台北(人口約268万)では441軒(2017年調べ)となっている。

香港で最もよく見かける書店は、聯合出版グループ傘下の三大チェーン店「三聯書店」「中華書局」「商務印書館」である。同グループのサイトによれば、香港全土で計約50店舗があり、年間20万冊以上の書籍を売り上げている。同グループは、書店などの小売事業以外にも、出版・発行・印刷業務も行っており、所属する出版社と書店の営業額で、香港の書籍市場の8割を占めるそうだ。他には、台湾の「誠品書店」やシンガポールの「大衆書局」が、大型ショッピングモール内によく支店を出している。

一方、個人経営が多い独立書店は、地価の高い香港ならではの家賃問題があるため、1階路面店を出すことは珍しく、家賃が安く押さえられる雑居ビルの2階以上または地下に店を構えるケースが多い。独立書店の先駆けとも言われる艺鵠書店はビルの14階、昨年オープンしたばかりの20代オーナーの貳參書房は12階にある。2016年にオープンした画廊と音楽バー併設のMuse Art and Booksの店舗はホテルの地下だ。

独立書店は住所を知らないとたどり着けないような隠れ家的な店舗が多く、街歩きしながら偶然に見つけるのはなかなか難しい。路面店ではないため、看板等も目立つところに出せず、どうやって外に書店の存在をアピールするのか不思議に思っていたところ、昨夏、独立書店に関するトークイベントを聞きに行く機会があり、独立書店の宣伝方法が話題に上った。そのイベントでの話によれば、オーナーが若い世代だけにSNSを活用した情報発信と口コミがメインになっているそうだ。

     


九龍サイド・尖沙咀のビルの2階に入る智源書局。
主に日本の雑誌を取り扱っている。ビルの窓に看板が見える。

 
     


ビルの入り口に手作りの立て看板を出す森記書局。
書籍の販売以外にも、現在では珍しい貸本サービスも行っている。
香港島・湾仔にて。

 

●独立書店紹介本

最近、香港のウェブメディアやタウンガイドで、独立書店が取り上げられる機会が多くなってきた。その中でも、香港各地の独立書店を丁寧に取材しまとめた本が出ているので紹介したい。

『書店日常――香港獨立書店在地行旅』(格子盒作室、2016年)とその続編『書店現場――香港獨立書店訪談札記』(格子盒作室、2018年)で、著者は元小学校教師で現在は執筆活動をしている周家盈氏。2冊ともに香港出版雙年獎(ビエンナルアワード)を受賞しており、『書店日常』は刊行後、わずか3ヶ月後に重版がかかったとか。香港の出版市場規模を考えると、重版がかかるのはとても珍しいことだそうで、それだけこの本が注目されていることがわかる。

『書店日常』では、1978年開業で猫猫書店の名でも親しまれている「森記圖書公司」をはじめ、オーナーは1980年代生まれという「我的書房」、古本の英文書を専門に扱う「Books & CO.」「Flow Bookshop」など、香港各地の独立書店11軒を取り上げている。書店を始めたきっかけから経営理念まで丁寧に綴られた訪問記だ。

『書店日常』から2年後の2018年に刊行された『書店現場』では、さらに独立書店12軒を取り上げ、訪問記に加えてオーナーへのインタビューも掲載している。本書で特筆すべきは12軒中8軒が2015年以降の開業であることだろう。また、カフェや読書スペースを設け読書空間を大事にした書店、スローライフを体現したような半農半書店など、個性的な書店が増えている点も注目である。

連載1回目の今回は、香港における独立書店の概要説明となったが、2回目以降は、独立書店個々にスポットをあて、香港在住の翻訳家大久保健氏とともに現地リポートをお送りする。次回(3月)は、独立書店の先駆けとも言われる「艺鵠書店」を取り上げる。なお、「艺鵠」は簡体字+繁体字の組み合わせになっているが、これは現地の表記どおりで、オーナーはこの漢字の使い方にこだわりを持っているのだそうだ。

     
     
    今回のおすすめ本
     
    

書店日常 - 香港獨立書店在地行旅
〔412437〕
周家盈
格子盒作室
価格 3,780円+税

書店現場 - 香港個性書店訪談札記
〔448805〕
周家盈
格子盒作室
価格 4,480円+税

 

     
     
 

 

和泉日実子(いずみ・ひみこ)
1974年熊本生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修了。編集者兼ライター。東京、北京で出版社勤務後、2018年より香港在住。趣味の街歩きを通して、香港の独立書店探しやロケ地めぐりをしている。ブログ「香港書店めぐり。時々…」。

     

 

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