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東京便り―中国図書情報 第28回 .

 中国人の読書調査でデジタル閲覧躍進、
 
『新華字典』がギネス認定―中国出版ニュース

   
   

■読書率:デジタルが紙を抜き去る――第13次全国国民閲読調査で

数字化閲読方式接触率中国人の読書傾向をうかがう恒例の「全国国民閲読調査」報告がこのほど発表され、18歳以上の成人の読書(閲覧)率で、電子メディアが紙メディアを抜き去って、大きな躍進を続けていることがわかった。

第13次となる今回、携帯電話やスマートフォンなどのモバイルを利用した「デジタル閲覧(読書)接触率」は成人で64.0%と、前年比5.9ポイント増。一方、紙メディアの読書率は58.4%で、同0.4ポイントの微増だった。

前回(第12次)の読書率は、紙メディアが58.0%であったのに対し、電子メディアが58.1%と、僅差ではあったものの同調査史上初めて電子が紙を上回った。今回はその差を5.6ポイントと、さらに引き離したことがわかる。

数字化閲読接触率近両年変化小欄でも以前、ご紹介したことがあるが、中国のネット利用者は昨年末時点で6億8800万人に達し、中国人の約半数がネットユーザーになったという(中国インターネット情報センター:CNNIC、2016年1月発表)。
そのうち携帯電話でネットを使っている人は9割の6億2000万人に上っている。

※ 参照: 「東京便り」第26回 「モバイル読書スタイルをリードする青少年層――中国の『2015年掌閲モバイル閲覧レポート』が公開」
 
現在、多くの中国人にとって、ネットは必要不可欠なツール。最新の読書調査では、中国人の日常における“デジタル化”が、その読書スタイルにもしだいに影響を及ぼしていることが示された形となった――(参考:新浪読書、捜狐読書ほか)。
 

   
 

読書時間:1日あたり図書20分、携帯62分と大差

「全国国民閲読調査」報告は、1999年にスタートして今年で13回目。
中国の活字メディアを専門とする国家級研究機関「中国新聞出版研究院」が実施しており、ユネスコの世界図書・著作権デー(世界読書デー:4月23日)に合わせて、毎年この時期に発表されているものだ。

2015年の第13次調査は、全国29の省・自治区・直轄市で行われ、有効回答数は4万5911件(うち成人3万4344件)。また都市部と農村部の比率はおよそ3対1だった。

ちなみに、ここでいう読書(閲覧)率とは「年に1冊(紙)以上、図書または新聞・雑誌を読む人の割合」で、「成人」は18歳以上の人が対象とされた。
主な調査結果は、以下の通り。

【2015年の成人読書】
綜合閲読率7年間変化◆読書する人の割合
 ○ 図書の読書率    58.4% (+0.4ポイント=前年比、以下同じ)
 ○ 新聞の閲覧率    45.7% (-9.4ポイント)
 ○ 雑誌の閲覧率    34.6% (-5.7ポイント)
 ○ デジタル化閲覧接触率    64.0% (+5.9ポイント)
      (年に1回以上、電子メディアで読書をする人の割合)

紙メディアによる読書率は、図書が微増だったものの、新聞・雑誌がのきなみ減少。
一方の電子メディア(パソコン、携帯電話、電子書籍リーダー、DVD、タブレット)による閲覧接触率は約6ポイント増と、デジタルメディアの躍進がより鮮明に現れた形となった。
また、上記の各メディア(紙とデジタル)を総合した成人の読書(閲覧)率は、2015年に79.6%で、前年比1ポイントの上昇だった。

成年人各類出版物閲読量◆どれだけ読むか
 ○ 図書の読書量    1人あたり年4.58冊 (+0.02冊)
 ○ 新聞の閲覧量    1人あたり年54.76部 (-10.27部)
 ○ 雑誌の閲覧量    1人あたり年4.91部 (-1.16部)
 ○ 電子書籍の閲覧量    1人あたり年3.26冊 (+0.04冊)

中国人の図書の読書量は近年、1人あたり年4冊台を推移。これは韓国(11冊)、フランス(8.4冊)、日本(8.4~8.5冊)、アメリカ(7冊)=『国際出版青書』=と比べて依然低い水準であることがわかる。
また、紙の書籍と電子書籍を足した読書(閲覧)量は、成人1人あたり年7.84冊で、前年比0.06冊の増加だったという。

各類媒介閲読時長対比◆読書時間の合計(1人あたり1日)
 ○ 図書の読書時間    19.69分 (+0.93分)
 ○ 新聞の閲覧時間    17.01分 (-1.79分)
 ○ 雑誌の閲覧時間     8.83分 (-4.59分)

 ○ ネットへの接触    54.84分(-0.03分) ※ ほぼ横ばい
 ○ 携帯・スマホ閲覧    62.21分(+28.39分)
 ○ 「微信」閲覧    22.63分(+8.52分)
 ○ タブレット接触     12.71分(+2.02分)
 ○ 電子書籍リーダー     6.82分(+3.03分)

成人が1日のうちに読書する時間の合計を見ると、紙メディアがそれぞれ微増か減少しているのに対し、電子メディアはそれぞれほぼ横ばいか増加。
とくに紙の書籍(図書)が約20分であるのに対し、携帯・スマホでの閲覧は約62分と、図書の3倍にも上っている。しかも携帯・スマホでの閲覧は、前年比約30分の増加。1人あたり1日30分も増えているのは、携帯・スマホの普及はもちろん、中国人のデジタル機器への依存度が高まっていることがうかがえる。

◆デジタル派? 紙派?
年代別デジタル読書(閲覧)の割合
 ○ 18~29歳    38.6%
 ○ 30~39歳    28.1%
 ○ 40~49歳    21.1%
 ○ 50~59歳      9.1%

閲読形式傾向読書(閲覧)方法の傾向
(何で読書する傾向にあるか)
 ○ 紙の書籍    57.5%
 ○ オンライン    10.2%
 ○ 携帯・スマホ    27.0%
 ○ 電子書籍リーダー      4.1%
 ○ ダウンロード+印刷     1.2%

中国のデジタル閲覧接触者のうち、およそ9割が49歳以下の青年・中年世代だった。
一方で、読書傾向を聞いたものでは、紙の書籍に親しむ人が57.5%と「6割弱に上る」という結果も出ており、紙書籍と電子書籍が競合している状況もうかがえる。

閲読数量自我評価また、同じ内容の紙版とデジタル版の図書であれば、デジタル派のうち37.2%の人が「電子版を購入する」傾向にあることも明らかになった。
いずれにしてもデジタルネイティブの増加が「紙も電子も」、または「紙から電子」へ、中国人の読書スタイルを変えつつあるのは間違いがなさそうだ。

◆自己評価:読書量は多い? 少ない?
 ○ 非常に多い    1.2%
 ○ わりと多い    8.0%
 ○ ふつう    37.4%
 ○ 少ない     44.9%
      ※「非常に少ない」「わりと少ない」の合計

個人閲読満意度評価◆自己評価:読書状況への満足度
 ○ 満足している    20.8% (前年比-5ポイント) ※「非常に満足」「わりと満足」の合計
 ○ 不満である    17.4% (同 +1.1ポイント) ※「非常に不満」「わりと不満」の合計
 ○ ふつう    48.5%

読書に対する自己評価では、成人の約45%が「読書量が少ない」と感じており、同7割近く(67.3%)の人が「関係当局は、『読書祭り』など読書を推進するための活動をすべきだ」と望んでいることがわかった。

次の第14回調査では、どのような結果となるか? 紙とデジタルの競合のゆくえは?
今どきの中国人の読書傾向を、今後も見守っていきたいところだ。

※ 参照
 ○ 「北京便り」2013年5月号 「中国人の読書率54.9%、読書量4.39冊と微増 全国調査で」

 ○ 「東京便り」第18回(2015年6月号) 「第12次全国国民閲読調査、電子メディアが勢力伸ばす」
 

■『新華字典』:「最も人気のあるベストセラー」でギネス認定

ギネス認定された『新華字典』中国で最もポピュラーな小型中国語字典『新華字典』(商務印書館)がこのほど、「最も人気のある辞書」「ベストセラー書籍」としてギネス世界記録に認定された。

中国メディアによると『新華字典』はこれまでに、全世界での発行部数が累計5億6700万部(2015年7月時点)。
中華人民共和国の建国(1949年)後、初めて制作された現代中国語字典で、国内でも「国家図書賞栄誉賞」「国家辞書賞特別賞」など多くの大賞を受賞。
「世界の中国語学習者の必携辞書」としての地位を揺るぎないものにしているのだ。

英国・ロンドンのギネスワールドレコーズリミテッド(本社)で4月12日に開かれたギネス認定式で、同社のマーク・フリガティ上級副社長は「販売部数が5億超を達成するとは、驚くべき業績だ。この字典が、中国語学習の普及に重要な役割を担っていることは、想像に難くない」と語った。

版元の商務印書館を傘下に抱える中国出版集団公司の譚躍総裁(社長)は、「わがグループの傘下には、歴史ある多くの有名な出版機関やブランドがある。商務印書館の『新華字典』はそのなかの代表的ブランドだ。今回の受賞は、それ自体が対外文化交流の1つの縮図で、中国語の不変の魅力を反映し、中国文化の不断の影響力を示すものだ」と明らかにしたという。

『新華字典』のギネス認定に対し、中国のネットユーザーからは――

 ○ 「『新華字典』は小学生が1人1冊、『現代漢語詞典』は高校生が1人1冊」
 ○ 「小学生のころ、使っていたのは第5版だった。時間の経つのは早い」
    (※ 最新版は、2011年7月の発行の第11版)

といった小学時代を懐かしむ声が多くあった一方で、“世界のベストセラー”に反応した鋭いコメントも……。

 ○ 「ベストセラーなのは、小さいころ先生に買わされたから。買わないといけなかった」
 ○ 「ようやく5億か。中国人なら1人1冊持っていると思っていた」
 ○ 「海賊版を加えてないだろ。海賊版の発行部数を加えたら、10億突破も確実だ」

中国で最もポピュラーな字典『新華字典』への思いは、幼いころの思い出と相まって、それぞれに特別なものがあるようだ。

ちなみに、中国で発行部数の多い書籍は『新華字典』『聖書』『毛主席語録』が長らく上位を占めている。
国内で『聖書』は年に350万部発行されており、中国は発行部数が世界トップクラスの国の1つ(2013年9月、新華網)。
また、ネット百科事典「ウィキペディア」(中国語版)によると、発行部数世界最多の出版物は『聖書』、次いで『毛主席語録』が名を連ねているという。

※ 参照
 ○ 「北京便り」2011年8月号 「 ネット流行語も収録、新版『新華字典』が登場!」
  

 
     

 

 

小林さゆり
東京在住のライター、翻訳者。北京に約13年間滞在し、2013年に帰国。
著書に『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)、
『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)などがある。

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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