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2011年08月

 ネット流行語も収録、
 新版『新華字典』が登場!

   
   

7年ぶりに改訂された『新華字典』「晒工资」(給料をさらす)、「房奴」(住宅ローンに追われる人)などインターネットの流行語も収録――。
中国で最も権威のある小型中国語字典『新華字典』(商務印書館)の第11版がこのほど全世界で同時発売され、その7年ぶりの改訂版に注目が集まっている。

標準中国語を策定した国家語文規範と標準修訂にもとづいて、単字(親字となる漢字)1万3000字余りを収録(繁体字・異体字含む)。
第10版に比べて、人名・地名・科学用語などに使われる800字余りを追加したほか、専門家や広範な読者の意見を取り入れ、繁体字1500字余り、異体字500字余りを新たに加えた。
一方、現代ではほぼ使われなくなった旧時代の単語や用例などは削除され、より「規範性、科学性、時代性を表す字典になった」(中国メディア評)という。

1953年の初版以来、これまでに累計約4億5000冊が発行された、中国で最もポピュラーな小型字典。その特徴をチェックしてみると――。

   
 

■58年の歴史に4億5000冊を発行

書店に並んだ『新華字典』第11版『新華字典』第11版は、中国政府のシンクタンクの1つである「中国社会科学院語言研究所」と辞典出版大手の「商務印書館」が編纂し、同書館が出版した(初版2011年6月)。
ビニール製カバーで2色刷りの豪華な「双色本」と、紙製で1色のみの「単色本」、それに安価な「平装本」(再生紙本、双色本の半額)の3タイプが作られた。平装本は「貧困地域の子どもたちも使えるように……」との配慮からだという。

『新華字典』の歴史は古く、今から58年前の1953年10月に人民教育出版社が初版を刊行。
57年から現出版社の商務印書館が版元になり、社会科学院や北京大学など中国のトップレベルの研究成果を加えて、これまでに11回の改訂が行われてきた。98年には「国家図書賞特別賞」を受賞した、名実ともに権威ある字典である。

中国で普及している中国語辞典には他に『現代漢語詞典』(商務印書館)などがあるが、ことばを学ぶ「詞典」(辞典)とはことなり、漢字の意味を学ぶ「字典」として、また小中学生や農村に多い非識字者のための「普及型」学習ツールとして、これまでに累計約4億5000冊が発行された。
携帯しやすいコンパクトさと手ごろな値段が魅力で、中国でもっともポピュラーな字典として親しまれているのである。
 

■改訂の6つのポイント

第10版(初版2004年1月)から7年の歳月をへて編纂された新版だが、改訂は主に6つのポイントで行われたという(『新京報』7月6日付)。
それは、①発音の変更、②人名、地名の追加、③用語・用例の追加、④語彙の追加と削除、⑤語釈の追加と削除、⑥体裁(値段やカバー)の変更だ。

以下に、主な改訂ポイントと、一部の例をあげてみたい(『新京報』同、『法制晩報』7月5日付など参考)。

① 発音の変更(以下拙訳)
  : 第10版の「de、di2、di4」 の3つの発音に「di1」が追加された。
     【用例】「di1」は的士(タクシーの略称)で、打的(タクシーを呼ぶ、拾う)、的哥(男性タクシー運転手)など。

第11版の変更例(「拜」の第2声)  : 第10版の「bai4」に「bai2」が追加された。
     【用例】拜拜(外来語、バイバイ)。「拜」は転じて、ある関係を終わらせる意味にも。

  : 第10版の「shi2」に「she4」が追加された。
     【用例】拾级(階段を一段一段上がっていく)

② 人名、地名の追加
 (1)名: もともと異体字(正字と発音・意味が同じだが、字体が異なる字)と見なされていた字。よく使われる人名の場合は正字とする。例えば、、など

 (2)姓: (si4)、(chen2、shen4)、(xiao1)、(zhai4)
 ※ 読者からの投稿などによる。

 (3)地名: (ya2)、山東省利津にある (wen4):汶川、四川省にある

用語・用例の追加
  : 计算机盲 (コンピューター音痴)
  : ある職業に従事する人、ある種の身分や特徴を持つ人:
      灾民(被災者)、侨民(外国に居留し自国の国籍をもつ人)、
      股民(投資家)、网民(ネットユーザー)
  : 农民工(農村からの出稼ぎ労働者)
  便: 便民(「方便民众」の意味で、民衆の便宜を図る)
  : 装了一台电脑(コンピューターを組み立てる、セットする)
  产业: 信息产业(情報産業)、文化产业(文化産業)、产业工人(産業労働者)
  持续: 持续发展(持続発展)
  炮制: 炮制假新闻(偽ニュースをでっち上げる)
  幌子: 打着募捐的幌子骗人(募金の表看板を掲げて人を騙す)
  咱们: 第10版の用例「咱们穷人都翻身了」(我々貧乏人は解放されて立ち上がった)→ 「咱们村全都富起来了」(我らの村はみな豊かになってきた)

④ 語彙の追加と削除
 ※ 追加された語彙は、国家経済と人々の生活に関するもの。
  : 多音節語「民生」、人民の生計 【用例】关注民生(民生に関心をはらう)
  : 多音節語「福祉」、幸福 【用例】为人民谋福祉(人民のために幸福をはかる)
  : 多音節語「和谐」、融和、友好 【用例】和谐社会(調和のとれた社会)
  : 多音節語「媒体」、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの情報伝達手段、メディア

 ※ 削除された語彙は、文語、古い言葉、検索頻度が低いもの、よく知られている言葉
  马达(モーター)、摩托(モーター、発動機、電動機)、马力(馬力)、合作社(協同組合)、煤油(石油)、芝麻(ゴマ)、漫画(マンガ)、秘书(秘書)、虾米(干しエビ)、密切(密接である)、国际主义(インターナショナリズム)、印象(印象)、相声(漫才)、问题(問題)、提倡(提唱する)、提醒(注意を与える、指摘する)、后勤(後方勤務)、手机(携帯電話)、飞机(飛行機)など

⑤-1 語釈の追加
  : (外来語、英語の「show、ショー」から)
    上演する、演技・演奏(デモンストレーション)する、展示する 
    【用例】作秀 (ショーをする)、服装秀 (ファッションショー)

  : 事件、多くは良からぬ事件のことを指す
    【用例】学历门(学歴事件)、考试门(試験事件)

  : (外来語、英語の「share、シェア」から来ているとされる)
    明らかに示す。多くはインターネット上で公開、晒すこと
    【用例】晒工资(給料を晒す)、晒隐私(プライバシーを晒す)

  : ローンの支払いなどのために必至で働かなければならない人のこと
    【用例】房奴(家の奴隷、金銭的奴隷のように住宅ローンに追われる人)、车奴(車の奴隷)

  : 裕福になったために有頂天になる
    【用例】有俩钱,看把他烧的(ちょっとばかり金がある彼の有頂天ぶりを見ろ)

⑤-2 語釈の削除
 ※ 環境保護、動物愛護の観点から、削除された語釈。
  : (レンギョ)肉は食べられる
  : (タヌキ、ヤマネコ)毛皮は衣服や身の回りのものを製造できる
  鹌鹑: (ウズラ)肉や卵は食べられる
  : (ハマグリ)肉は食べられる
  : (コイ)肉は食べられる
  : (ウシ)肉と乳は飲食可。角、皮、骨は器物、道具、調度品を製造できる
  : (マナガツオ)肉はやわらかく、おいしい
  : (ケツギョ、桂魚)肉の味がよい
  砗磲: (シャコガイ)装飾品を製造できる
  : (フネガイ、アカガイ)肉は美味である
  : (鱼翅、フカひれ)貴重な食品
  : (ボウズガレイ)肉は食用に供する
  : (刀鱼、タチウオ) 肉は食べられる
  : (加吉鱼、タイ)肉はおいしい
 

■新版の発行は改訂のスタート

以上はごく一部の例にすぎないが、ネット用語を加え、環境保護の内容を考慮するなど、時代の変化を反映していることがうかがえる。
例えば第10版に追加された「手机」(携帯電話)は、11版では削除された。
中国の携帯電話の加入総数は2011年6月時点で9億38万9000件となり、携帯電話は国内の3人に2人以上が持つまでに普及した。「手机」という言葉も広く知れ渡り、とりたてて説明する必要性がなくなった、ということだろう。

地名の追加では、発音(方言)1つを確認するために大量の古書にあたり、文字によっては専門家が現地まで足を運んで確かな根拠をつかんできた。
さらに、中国の書籍の多くが「三審三校」(3回の審査、3回の校閲)で世に出るところ、『新華字典』11版は「10審15校」と、精査に精査を重ねて出版された。まさに中国を代表する字典の存在価値を示すものだろう。
利用者の評判もよく、北京史家小学校の王歓則校長は、人名用字が多く収録されたことに感謝している。「現在の子どもの名前は複雑で、時には教師ですらどう読むのかわからないことがあるので……」(『新京報』同)という。

もっとも普及率の高い字典は、それだけ多くの読者の目に晒されていることにもなる。
以前、小欄でもご紹介したが、『新華字典』10版の内容に「4000カ所以上の誤りがある」として、上海に住む男性が販売先の書店を相手取り、訴訟を起こした事件があった(「北京便り」2006年3月号)。

版元の商務印書館を訴えたものではなかったが、同書館も当時、裁判のゆくえを見守りながら、「読者の意見や批判が妥当であれば、取り入れていきたい」と謙虚な態度を示していた。
11版にはこうした読者の意見も、審議の上で反映されているようだ。
改訂プロジェクトを指揮した元中国社会科学院副院長で、中国辞書学会会長の江藍生氏も控えめに語っている。
「新版『新華字典』の発行日は、つまり改訂をはじめる日である」(『新京報』同)

辞典は、時代を映す鏡――。
新版『新華字典』では、漢字の意味だけでなく、そこから現代中国の社会や今を知るのも意義深いだろう。

※ 関連レポート
・ “赤い”旋風をまきおこす『現代漢語詞典』第5版が登場 (「北京便り」05年8月号
・ 『新華字典』 4000カ所超の誤り? (「北京便り」06年3月号
   

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2011年7月8日~7月14日

     
第2位:『笑猫日記:小白的選択』

第3位:『走向輝煌(挿図本)』

第4位:『侯衛東官場筆記7』
                                         第5位:『我的愛如此麻辣』

第6位:『卑鄙的聖人:曹操』

第7位:『力量』

第8位:『人生不設限』

第9位:『懺悔無門(修訂版)』


            
 

1.『百年孤独』(百年の孤独)
G.ガルシア=マルケス著(コロンビア)、范曄・訳 南海出版公司 2011年6月初版


2.『笑猫日記:小白的選択』(笑う猫の日記:シャオバイの選択)
楊紅桜・著 明天出版社 2011年6月初版


中国の人気児童小説『淘気包馬小跳』(わんぱく少年・馬小跳)の作者が描く、7~10歳の子ども向け絵本シリーズ。本作品はシリーズ第14巻となる。
馬小跳のいとこ・杜真子が飼っているのは笑うことができる猫。その「笑猫」と仲間のネズミ「老老鼠」、ペキニーズの「地包天」、プードルの「小白」らが繰り広げる不思議で楽しい冒険物語だ。
都会の高級コテージで、素敵な飼い主を探し求めていた小白だが、毎晩夢の中に現れる不思議な美女は誰なのか? 小白が夢に見る、一蓮托生の飼い主は現れるのか? 


3.『走向輝煌(挿図本)』(輝きに向かう、挿絵本)
金一南・著 中華書局 2011年6月初版


北京テレビのレクチャー番組「中華文明大講堂」のシリーズ講座「走向輝煌」をもとに、大幅に加筆整理して出版。
国防大学教授(同大戦略研究所所長)で中国人民解放軍の金一南・少将軍銜が、中国共産党と解放軍の歴史、中華人民共和国の建国までの道のりを、当時の国際社会と照合させつつ解説。
「戦略的意識を持って、歴史を論じた一大絵巻」と本書推薦の言葉にある。
金氏の著書には、他にベストセラーの『苦難輝煌』(苦難輝く、華芸出版社)などがある。 


4.『侯衛東官場筆記7』(侯衛東の官界メモ7)
小橋老樹・著 鳳凰出版社 2011年6月初版


村から鎮(町)、県、市、そして省の政府へ。主人公の公務員・侯衛東の10年にわたる栄転ドラマを描くとともに、ベールに覆われた官界の実情と秘密に迫る。 


5.『我的愛如此麻辣』(私の愛はこんなに辛い)
張小嫻・著 北京十月文芸出版社 2011年5月


張小嫻は、中国版ツイッターの1つ「新浪微博」のフォロワーが200万人を超える香港の人気恋愛小説家。その3年ぶりとなる、ファン待望の最新恋愛小説だ。
香港で伝統的なレストラン「麻辣火鍋店」を経営していた父が急逝し、ヒロインの夏如星は悲しむ間もなく、2人の姉妹が台湾、成都にそれぞれ暮らすことを知る。火鍋店の経営維持と思わぬ現実に直面した彼女は、幼なじみで現在はアフリカに住む友人・浩山に手紙を書いてあれこれ相談するうちに、ほのかな恋心を抱くようになり……。
 家族への情、幼なじみとの恋愛、火鍋店の経営、さらにドラマチックな異変も起こり、夏如星は「愛」とは何かを理解していく。 


6.『卑鄙的聖人:曹操』(卑劣な聖人:曹操)
王暁磊・著 江蘇文芸出版社 2011年6月初版


中国の公務員向け偉人伝「公務員読史」シリーズの1冊。シリーズでは歴代帝王や将相たちの数奇な運命、伝奇的な生涯を、躍動感ある小説仕立てにして読ませる。偉人たちの深思熟慮と執政に学び、公務員の“修身治国”に役立てようとするもの。
本書では、中国後漢末の武将・曹操(魏の武帝)による呂伯奢の家族の殺害、呂布軍との攻防など数々のエピソードを挟みつつ、悪役として知られる曹操の詩人としての一面や、孤独でやさしく、デリケートな心の世界を描いている。 


7.『力量』(ザ・パワー)
ロンダ・バーン著(豪) 王莉莉・訳 湖南文芸出版社 2011年5月初版


世界的ベストセラー『ザ・シークレット』の姉妹編だ。
宇宙で最強の力「ザ・パワー」。素晴らしい人間関係や仕事、健康、十分なお金を手にすることのできる「宇宙最強のパワー」を引き寄せるためのノウハウを伝授する。 


8.『人生不設限』(原題『Life without limits』、限界のない人生)
ニック・ブイチチ著(豪) 彭蕙仙・訳、天津社会科学院出版社 2011年6月初版


腕と足がない「先天性四肢欠損症」の障害を持つ青年、ニック・ブイチチ氏は、10歳までに3度自殺を考えたものの、持ち前の明るさと不屈の精神で大学ではダブル学位を取得。水泳やサッカーなどのスポーツをこなし、現在は講演者として全世界34カ国で1500回以上もの講演を行っている。人々に愛と希望、勇気、信じることの大切さを説いているという。
本書には、そんな彼の信念が詰まっている。
「望まない変化が突然起こった時は、慎重かつ迅速に次のステップを踏むこと。変化がプレッシャーを軽減するのに気づくでしょう」
「失敗するのも命のプレゼントの1つ。だから、それらもとことん利用するのです」
「神が誤りを創ることはありえない。彼は奇跡を創造し、私はひとつで、あなたもそうです」
「最も哀れな人生は、手足を失うことではなく、希望や目標がないこと」
「本当に運命を変えるのは、チャンスではなく態度です」
……など、元気と勇気がわいてくるような言葉が満載。日本では今年5月、三笠書房から『それでも僕の人生は「希望」でいっぱい』として翻訳出版されている。 


9.『懺悔無門(修訂版)』
王春元・著 人民文学出版社 2011年4月初版


2006年に長江文芸出版社から出版された同名タイトル本の改訂版。中国系アメリカ人で、「中国紅十字(赤十字)慈善家」などの称号を持つ富豪慈善家・李春平氏の自伝的小説だ。
1991年に中国に帰国してからSARSの際の「天使基金」や北京市児童福利院、中国紅十字基金会などに対し、現金にして計5000万元以上を寄付。2007年には2000万元を投資して「李春平慈善基金管理委員会」などを設立した。
そうした惜しげもない寄付・献金には称賛の声が上がる一方、なぜ巨万の富に恵まれたのか? 亡くなった元妻が米ハリウッド女優であり、その遺産によるのでは? 彼女はいったい誰なのか?(本書でも未公開だが)実はオードリー・ヘプバーンではないか? といった疑問や憶測を呼んでいる。
ベールに包まれた慈善活動の秘密にせまる、ロングセラー。 


10.『大家都有病』(みな病あり)
朱徳庸・著 現代出版社 2011年5月初版


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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