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2006年06月  盗作のスパイラル?
   
   
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なんだか盗作疑惑ばやりである。

人気作家、郭敬明のベストセラーが荘羽著『圏里圏外』の盗作だったとして、北京高等裁判所が著作権侵害にあたると判決を下したことは先月書いたとおりだが、郭敬明に別の盗作疑惑が起きて、新聞をにぎわせている。

 

   
 
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■郭敬明に新たな盗作疑惑

『夢里花落知多少』については判決どおり、上海市内の書店からは姿を消しているものの、郭敬明自身から謝罪の表明がないことに批判が集まるなかで、新たに盗作疑惑が起こった形だ。
『新聞晩報』によれば、昨年初めに出版された『夏至未至』が、日本の人気コミック『NANA』の人物設定や物語の方向性などが酷似しているというのだ。コミックファンからの指摘で取り沙汰されるようになったもので、さらに以前にも郭の『幻城』が同じく日本のコミック『聖伝』に似ているのではないかと言われている。
世界的ベストセラーの『ダヴィンチ・コード』にも盗作疑惑が起きている。許されることではないが、出版業界で剽窃が指摘されるのは言ってみればよくある話だ。しかし、こんな例はそうあることでないだろう。

女優・映画監督で、中国ブログ界の女王の異名もとる徐静蕾。ブログ本が初版10万部で出版されるなど何かと話題になっているが、今度は彼女に盗作疑惑が持ち上がった。
今回の疑惑は、彼女のブログの中のある文章が、香港の女性人気作家、張小嫻の作品に酷似しているとネット上で囁かれたのが始まりだと、『新聞晨報』は伝えている。

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■盗作したのはいったい誰?

その文章とは、祖母についての思い出を綴ったもの。句読点の位置や文章内に出てくる都市名が「北京」と「台北」と違うくらいで、まるで同じだというのが“告発”の内容なのだが、それに対して徐静蕾側は盗作など有り得ないと完全否定。というのも、その文章はブログ上では2005年10月にアップしているが、2000年に出版された最初の写真集に掲載されたものなのだという。それに対して、盗作の「親本」と言われている張小嫻の『我不是一個壊女人――張小嫻自伝』の出版は2002年9月となっている。となれば、張が逆に徐を剽窃したのか?という疑問が生まれるわけだが、結論は否。そして、当事者にとってみれば狐につままれたようなとしか言いようのない、とんでもないオチが待っていた。

『我不是一個壊女人――張小嫻自伝』の版元は陝西師範大学出版社なのだが、同出版社から同名の書籍は出版されていなかったのだ。さらに、張小嫻の大陸での出版等の代理人によれば、同名の繁体字版自体が出版されていないし、大陸での出版はこれまで南海出版公司と天津人民出版社のみ。7月に出版される新刊も北京十月文藝出版社であって、陝西師範大学出版社とはこれまで接触もしたことがないという。盗作騒ぎのもとになる張小嫻著の「親本」自体が存在せず、張小嫻の名が騙られたニセモノ本が出版されていたということなのだ。

中国で書籍を出版するには「書号」、雑誌を出版するには「刊号」が必要で、各出版社には年間の発行点数が割り当てられている。
雑誌については、外国資本が中国市場に食い込むために年間数十万元の使用料を払うことで、廃刊になった雑誌や販売不調な雑誌の「刊号」を借りて、編集・発行している例はいくつもある。日本語のフリーペーパーなどもその類だ。しかし、「刊号」よりも管理の厳しい「書号」はそう簡単には売買されていないが、ニセモノ本を正規出版物に見せるためには「書号」が必要となる。そのため『我不是一個壊女人――張小嫻自伝』では「書号」をコピーしたというわけで、本来は有り得ないことだが同じ「書号」で何冊もの本が出版されている。

盗作騒動の親本自体がニセモノ本だったという、実に奇妙なこの盗作スパイラル。今回は偶然発覚したが、ニセモノ本の氾濫の状況(2004年6月、2006年3月の本欄参照)から見て氷山の一角であることは間違いないだろう。海賊版の流通は出版社にとって頭の痛い問題だが、それ以上に有名作家の名前を騙ったニセモノ本の影響は大きいし、今回のような悪循環も生む。
書籍の全国レベルの流通網が整備されていないことも一因ではあるが、中国の出版業界が連携をとって対策を講じなければ、ニセモノ本を駆逐することはいつまでもできないのではないだろうか。

   
 須藤みか/上海在住フリーランスライター
日刊ゲンダイでの連載をまとめた
『上海発!新・中国的流儀70』
(講談社+α文庫)発売中!
ウェブでは、以下に連載中。
http://blog.5012.jp/nikkeiwoman/essay3/
http://blog.excite.co.jp/g-shanghai/
   
   
  『上海電視』6月25日号(上海書城、季風書園、思考楽書局など調べ)
     
   

1位 『達芬奇蜜碼』
ダン・ブラウン著 朱振武・呉晟・周元暁訳 上海人民出版社


ルネサンス時代の大芸術家ダ・ビンチの作品群に隠された暗号の謎を解いていく、世界的に大ベストセラーとなったミステリー本。


2位 『笑場』
瀋宏非著 作家出版社


新聞で健筆をふるう新鋭コラムニストの最新作。


3位 『品人録』
易中天著 上海文藝出版社


易中天のお馴染み中国文化シリーズの1冊。文化的角度から項羽、曹操、則天武后らを品評し、独自の見解と斬新な評論で読者を歴史的人物の心の世界へと誘う。


4位 『兄弟 下』
余華著 上海文藝出版社


昨年ベストセラーとなった『兄弟』の下巻。


5位 『八十年代訪談録』
査建英著 北京三聯出版社


詩歌、小説、音楽、美術などの分野で80年代を彩った人物(阿城、北島、陳丹青、崔健ら)11名を訪ね、80年代という時代を語り合った対談集。


6位 『悄悄的一綫光』
亦舒著 新世界出版社


夫に捨てられ子供を抱えて貧しさに苦しむ若い女性、母が父を殺す血生臭い場面に遭遇する少女ら3人の女性。悲惨な運命に翻弄される女性たちが不幸のどん底の中で、人に手を差し伸べられ支えられ、立ち上がっていく…。亦舒らしい優美な筆致で物語が紡がれていく。


7位 『耶穌裏屍布之謎』
[スペイン]フリア・ナバロ著 何玉潔訳 遼寧教育出版社


キリストの聖骸布が保管される、トリノ大聖堂で火災が発生。焼け跡から発見されたのは、“舌のない男”の焼死体だった…。聖骸布をめぐる謎を軸に壮大に展開する歴史ミステリー。邦訳は、ランダムハウス講談社文庫から出版されている。


8位 『蓮花』
安妮宝貝著 作家出版社


『薔薇島嶼』『清醒紀』など都会的な作風で若い女性たちから大きな支持を集める安妮宝貝の最新長編。ラサで出会い、旅の道連れとなった男女と、男は道々で女にある別の女性の話を語り伝える…。愛や信仰、生命の本質とは何かに迫った本作は、クールで美的感覚に優れたな作風に重厚さが増したと評される意欲作。


9位 『漫巻西風』
陳丹燕著 上海訳文出版社


2005年にドイツ、オーストラリアを旅した陳丹燕が、両国の風土や人々、歴史について綴った最新作。


10位 『人体使用手冊』
呉清忠著 花城出版社


多くの成人病は、間違った生活習慣から生まれるもの。必要なのは霊験あらたかな妙薬ではなく、人体を正しく使用する手引きである、というのが本書の主旨。作者自身が健康を害し、偶然出会った中国医学の奥深い世界にひかれていく。中国医学の体系と慢性病の予防知識を平易な言葉で語っている。


 
     

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