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日本ビジネス中国語学会
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東京便り―中国図書情報 第19回 .

 『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』
   出版記念パーティーで、登場人物たちが熱く語る

   
   

出版記念パーティー(集合写真)中国人ジャーナリストの趙海成さんが、在日中国人たちに本音の日本論や奮闘のライフストーリーを聞き出したインタビュー集『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(拙訳、CCCメディアハウス刊)の出版記念パーティーが6月20日夜、東京・銀座の全日本華僑華人連合会で、日本と中国の関係者ら約50人が出席してにぎやかに開かれました。
本書に登場するのは、大学教授から画家、ジャーナリスト、自治体職員、医師、保育園や不動産会社の経営者、元不法滞在の料理人まで、さまざまな職業で活躍している著名な在日中国人たち(現在日本を離れた人や華人を含む)。

(左写真:岩崎洋一郎氏提供)
 

   
 

趙海成さんこの日のパーティーは著者の来日に合わせて急きょ開催されましたが、主な登場人物21人(ロングインタビュー掲載者)のうち、半数以上にあたる12人が出席(※下記参照)。
とりわけ、中国で知られる作家の唐辛子さんは大阪から、中国・天津に教育研究施設を創設した天真集団CEOの崔愛玲さんは天津から、中国人民政治協商会議全国委員会委員(全国政協委員)の潘慶林さんは北京から遠路はるばる駆けつけてくださり、出席者からはそれぞれ、現在の日中関係や今後の目標などについての前向きな発言が聞かれました。

登場人物はいずれも在日15年以上の“日本通”ですが、独立独歩の精神で、自らの道を切り開いてきた人ばかり。聞くところによると、日本にいてもこうして一堂に会することは滅多にないとか。
貴重な機会でしたので(いささか手前味噌ではありますが)、その印象的な発言の一部をご紹介したいと思います。

※ 登場人物のうち、この日の出席者(本書登場順、敬称略)
張麗玲(株式会社大富社長)/李小牧(歌舞伎町案内人)/応暁雍(株式会社愛嬰代表取締役)/何仲涛(徐福中医研究所所長)/銭行(NHKディレクター)/顔安(舞踊家、全日本華僑華人連合会会長)/潘宏程(東拓株式会社社長)/張強(画家)/崔愛玲(天真集団CEO)/唐辛子(作家)/丁寧(「日中市民共同声明」発起人)/潘慶林(全国政協委員)
 

■あってはならない子どものケンカ

潘慶林さん潘慶林さん:全国政協委員
[東京・北京往来30年]
1953年、中国・天津生まれ。85年に留学のため来日。日本の銀行家の娘と結婚後、90年からは中日両国に居を構え、往来しながら政治、経済、文化の交流活動に従事。中国の国政諮問機関である中国人民政治協商会議(政協)全国委員会委員を連続4期務めている。

――私たち中国と日本には2000年余りの交流の歴史があり、こんにち漢字を使う国は世界で2つしかありません。つまり中国と日本です。この歴史は容易なことではなく、そのためにも私たちは永遠に友好的につきあっていかなければならないと思います。

著者の趙海成さんについていえば、私は1985年に留学のため来日したころ(生活するため新聞配達や皿洗いなど、多くの)アルバイトをしていました。時給は620円でした。
そうした時代に、趙さんは初めて会った時に650円の味噌ラーメンをごちそうしてくれた。そのことは今でも忘れられません。以来これまで公私にわたり、趙さんとのいいおつきあいが続いています。
趙さんは、このたびの新著で多くの(在日)中国人の姿を記録されました。そういう意味でも、彼はこの間の中日友好の立会人であると思います。

私は今年62歳で、日本に来てちょうど30年目を迎えました。30年前までは中国で共産主義、社会主義の教育を受けました。その後、来日して日本人と結婚し、暮らしてきました。現在は全国政協委員を務めています。

日本と中国は、今また子どものようにケンカを始めています。これはあってはならないことです。
戦争の歴史は後世のためにも忘れてはなりませんが、それと同時に日本の多額の円借款(対中ODA)がなければ、中国の改革開放は今日まで至らなかったことも忘れてはなりません。
日中がケンカをしている中でも、中国人はどんどん(観光で)日本を訪れるようになり、日本人も中国の発展にとても関心を持って見守っているようです。
そうした中で私たち政治家は、政治家の責任として子々孫々のためにも1年365日、中日友好とアジアひいては世界の平和のために力を尽くさなければならないと思います。

日本語の学習では、最初に「あいうえお」を学びます。最初の2文字は「あい」で、つまり中国語も日本語も発音の同じ「愛」にあたります。
「愛」の発音は同じですが、違うのは日本の漢字の中には「心」があり、中国の簡体字「爱」には「心」がなくなってしまったこと。
だからいっそう温かな心、善良な心、愛の心を大切にして、中国と日本の交流を深めていきたいと思います。
  

■「元・中国人」が日本で政治家をめざす

李小牧さん李小牧さん:歌舞伎町案内人
[東京在住27年]
1960年、中国湖南省生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社社員などを経て88年に来日。歌舞伎町に魅せられ、外国人向けのガイドやコラムニストとして幅広く活動。レストラン「湖南菜館」プロデューサーとしても活躍。
2015年2月に日本国籍を取得し、李小牧(り・こまき)として、4月の東京都新宿区議選に無所属新人(民主党推薦)で出馬。新宿のグローバル化や共生社会の構築などを訴えて1018票を獲得したが、わずか約400票差で当選ラインに届かなかった。

――私は今年2月4日に日本国民になりました。なぜ日本人になったか? それは選挙に参加したかったから、中国にはない選挙権と被選挙権を日本で手にしたかったからです。
中国には(直接)選挙はなく、報道の自由、出版の自由、言論の自由も事実上ありません。だから私は日本人になり、日本の街頭に立ってマイクを握り、日本で民主主義を実践したいと新宿区民に訴えました。
日本に帰化してから区議選までは2カ月しかなく、準備不足、経験不足ではありましたが、おかげさまで1018票を獲得し、非常にうれしく思いました。

今回の貴重な選挙体験をまとめた本が7月に出版される予定です。『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス刊)。
私のこれまでを振り返り、中国で体験した大規模政治闘争「文化大革命」のこと、来日して歌舞伎町という裏社会で生きてきた27年間のこと、そして今回の選挙体験のことについて綴りました。ぜひ、こちらも楽しみにしてください。

今後については「来年の参議院議員通常選挙に出馬するのでは?」とよく聞かれますが、それは違います。2年後に予定される都議会議員選挙に立候補することを考えています。2020年東京オリンピックを見すえて(歌舞伎町案内人としての経験を生かし)、安心・安全な環境づくりや、外国人客に喜ばれるおもてなしを実現させたい。
夢の民主主義の実践に向けて、元・中国人が日本で政治家をめざしますよ!
  

■「日本と中国が仲良くするための懸け橋になりたい」

応暁雍さん応暁雍さん:株式会社愛嬰代表取締役(保育園経営者)
[東京在住18年]

1970年、中国浙江省寧波生まれ。97年、研修生名義で騙されて来日しホステスに。のちに日本人と結婚し専業主婦になる。出産後に託児の難しさを覚え、自ら託児所を運営するようになった。現在は正規の保育園を4カ所(池袋、新宿、板橋各区と川口市)で経営している。

――来日したばかりのころ、日本のメディアの報道を見ると、中国人のイメージはあまりよくありませんでした。(犯罪をして)捕まったとか、そういう報道に接すると、私は悲しくなりました。
人間は、中国人でも日本人でもどこの国の人でも同じですが、いい人もいれば、よくない人もいる。そうした(当たり前の)ことを、保育園を通じて発信したかったのです。

ですから私たちの保育園では日々、中国人の先生に対して「私たちの言動は中国の代表であり、窓口なのです」と教育しています。そして日本の人たちに「ああ、中国人にもすばらしい先生がいる」と知っていただきたいのです。なぜかというと日本と中国はとても近い隣国で、仲良くしなければならないからです。

現在、4カ所の保育園にはいずれも日本人の先生を迎えています。入園する子どもの3分の2は日本の子ども、3分の1が中国の子ども。日本と中国の先生はだいたい半々を占めています。
日本のお母さんたちは、初めて見学する時はほとんどが「大丈夫ですか?」という不安そうな目をしていますが、子どもが卒園する時には「本当にありがとうございました!」「すばらしい保育園ですね」とおっしゃってくださいます。
すごく小さなことですが、私自身、日常の行動を通して「日本と中国が仲良くするための懸け橋」になりたい。私たちの保育園ではそれを実践していきたいと思います。
  

■徐福が求めた「不老長寿」、中医学で実現を

何仲涛先生何仲涛先生:徐福中医研究所所長
[東京在住25年]

1946年、中国湖北省生まれ。湖北中医薬大学を卒業後、湖北中医薬大学付属病院で、難病の中医学臨床研究に従事する。90年4月、笹川医学奨学金制度研究者として来日。2010年、東京・新宿に徐福中医研究所を設立し、所長を務める。

――私は平成2年(1990年)、中国の厚生省にあたる衛生部の派遣で、笹川医学奨学金制度研究者として来日しました。その後、筑波大学、東邦大学の研究室で中医学臨床の共同研究に携わりつつ、日本各地の医師たちに中医学臨床指導を行っています。専門分野は不妊症の治療やアンチエイジングなどです。

なぜ研究所を「徐福」と名づけたか? それは2000年以上前の徐福(秦代の方士で、始皇帝の命により、不老不死の仙薬を求めて日本にやってきたとされる人物)の歩みに沿って中医学を日本に紹介していきたいという意味を込めたほか、徐福を日本語で音読みすると「ジョフク」(女福)となり、「女性の幸せのため」という意味にもなるからです。
中国政府の派遣で、不老長寿、今でいえばアンチエイジングの診療をしている私は、徐福と似ているところもあります(笑)。

日本の不妊治療では、体外受精や顕微授精が盛んに行われていて、中国よりも進んでいます。ただ、学会の統計からいえば、それらの(出産)成功率は20%くらい。私のところへは、他の病院にかかっても成功しなかった人が来ていますが、学会で発表する私の統計では出産成功率は40%以上。45歳以上の女性も多く、47歳で成功した女性もいます。
毎年日本で開催される日中医学交流会では、医師らから「何先生は日本の少子化にかなり貢献している」といわれます。

これからも中医学による不妊治療やアンチエイジングを、日本で普及させていきたい。医療はこれから世界的に「病気を診断して治療する」という方法から、「病気にかからないように健康的な生活を送る」という流れになっていくでしょう。健康で、元気に年を重ねるという、徐福が求めた「不老長寿」の医療になっていくと思います。

最近は、大学病院で治療を受けても頻尿が治らないという男性患者が、私のところでお灸を据えたら、トイレの回数が1晩14回だったのが4回に減りました。
このところ中国では年々中医学の生薬が高騰していますが、私のところでは料金据え置きで診療・処方しています。かなりの“赤字”ですが、鍼などの治療によって生薬(いわゆる漢方薬)の赤字を補填しているのです(苦笑)。
不妊症、月経不順、更年期障害、男性性機能障害など、もしもお悩みがあるようでしたら、女性でも男性でもせひご相談ください。


【関連記事】
  東方書店ウェブサイト「東京便り」vol.16  【Interview この人に聞く(6)】 
  『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』の著者 趙海成さん
  http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/t201504.html 

【関連書籍】
『在中日本人108人の それでも私たちが中国に住む理由』『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』  『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』
    趙海成/小林さゆり 訳 CCCメディアハウス 2015年03月 1,800円+税
 [姉妹編]
  『在中日本人108人の それでも私たちが中国に住む理由』
    在中日本人108人プロジェクト 編 阪急コミュニケーションズ 2013年08月 1,800円+税

 

 
     

 

 

小林さゆり
東京在住のライター、翻訳者。北京に約13年間滞在し、2013年に帰国。
著書に『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)、
『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)などがある。

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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