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2011年12月

 作家富豪ランキング、
 郭敬明が3年ぶり首位に輝く

   
   

作家富豪ランキングを発表した「華西都市報」の記事年末恒例の「中国作家富豪ランキング」(作家長者番付)の第6回となる2011年版がこのほど中国で公表され、ファンやメディアの注目を集めている。
中国の新世代「80後」(バーリンホウ、80年代生まれ)を代表する作家であり、マルチプロデューサーの郭敬明が2008年以来3年ぶりに首位を奪還。
2位に冒険ミステリー小説の南派三叔、3位に児童小説の鄭淵潔がランキングされ、依然として青少年向けの「軽閲読」(軽い読み物、ライトリーディングス)の根強い人気が示される結果となった――(一部敬称略)。

   
 

■富豪作家“第一人者”の郭敬明

中国国内作家トップ30「中国作家富豪ランキング」は2006年から毎年1回、ジャーナリストで同ランキングの独立系制作者、呉懐堯氏が調査し発表してきたもの。今年は四川省成都市の大衆紙「華西都市報」の編集協力のもと、11月21日に独占的に報道された(のち多数のメディアが転載)。

同ランキングは中国系作家たち(香港、マカオ、台湾を含む)の大陸での所得変化を追うとともに、中国人の読書傾向をうかがうことが目的。
従来と同じように北京、上海、武漢、成都、天津など各地の出版社、出版取次、印刷会社、ネット書店、実店舗、さらには作家の協力を得てリサーチし、印税収入の上位30人(前年は25人)をランキング表に示したという。

【2011中国作家富豪ランキング】
 順位/作家 印税(人民元)  ベストセラー代表作 
 1 郭敬明  2450万元  『小時代』ほか
 2 南派三叔  1580万元  『盗墓筆記』(墓盗掘ノート)シリーズ
 3 鄭淵潔  1200万元  『皮皮鲁総動員』(ピピル総動員)シリーズ
 4 楊紅桜  1100万元  『淘気包馬小跳』(わんぱく少年・馬小跳)シリーズ
 5 安妮宝貝    940万元  『春宴』ほか
 6 江南    790万元  『龍族』シリーズ
 7 韓寒    600万元  『青春』
 8 当年明月    575万元  『明朝那些事儿』(明朝それらのこと)シリーズ
 9 郎咸平    485万元  『郎咸平説』(郎咸平が語る)シリーズ
10 蔡康永    450万元  『蔡康永的説話之道』(蔡康永の話の道)

※ 印税の統計期間は2010年11月10日~2011年11月10日。
※ ランキングは出版印税に限られ、ドラマや映画の原作料など派生的収入は含まれない。

前年トップだった児童文学作家の楊紅桜にかわり、今年は出版プロデュースなどマルチな才能を発揮するイケメン人気作家、郭敬明(28)が3年ぶりの首位に返り咲いた。
自身が編集長兼プロデューサーを務める文芸月刊誌『最小説』は06年の創刊以来、月に40万部前後という“高め安定”の売り上げをほこる。さらに今年は、同誌に連載された青春小説『小時代』(TINY TIMES)の単行本とコミック化のシリーズが好評を博したほか、ベストセラー『幻城』から10年ぶりのファンタジー・アドベンチャー『爵跡』のシリーズ2作が売り上げ上位に食い込んだ。
作家富豪ランキングがスタートしてからの6年間で、郭敬明がトップの座に輝いたのは07年、08年に続いて3度目。しかも毎年トップ級をキープしており、この間の印税収入は累計9700万元(1元は約12円)に上るという。名実ともに富豪作家“第一人者”の地位を占めるというわけだ。

もっとも郭敬明自身は、王座の奪還を手放しで喜んでおらず、中国のつぶやきサイト「微博」(騰訊微博)ではこう語る。 http://t.qq.com/guojingming 
「実際、ほかの職業だったら2000万元ではトップテンに入らないよ。でも作家なら1位なんだ」(…という位、収入が低い)
「皆さんにはランクインした僕らだけでなく、才能はあっても収入の少ない、でも夢を持って頑張っている多くの作家に目を向けてほしい。(海賊版ではなく)正規版を支持してもらい、作家の権益をもっと守ってほしいんだ」
そう作家の地位向上と読者の理解を求めている。
 

■青少年向け文学が市場をリード

中国国内漫画家トップ15続く2位には、前年14位(285万元)の南派三叔が一気に浮上した。
大ヒットした冒険ミステリー小説『盗墓筆記』(墓盗掘ノート)シリーズはこれまでに7巻が刊行され、販売累計1000万部を突破。完結編となる第8巻(上下巻)が12月に発売予定だ。
さらに今年8月1日には、自身が編集長を務める文芸月刊誌『超好看』(Super Nice)を創刊した。誌上で若手作家の活躍を後押しするとともに、『盗墓筆記』最終シリーズの連載をスタート。戦国古墓の秘密をめぐる長編アドベンチャーの結末に注目が集まり、初版50万部は発売数日で売り切れ、急きょ10万部が増刷されるという人気ぶりだった。

3位につけたのは、前年と同じく鄭淵潔。85年創刊の児童向け雑誌『童話大王』の唯一の筆者兼編集長で、同誌の印刷部数は計1億8000万冊に上るという。
そこから生まれたのが人気児童小説『皮皮鲁総動員』(ピピル総動員)。主人公の男の子・ピピルとその仲間たちが大活躍する冒険物語で、シリーズは単行本にして全70巻構成、これまでに約60巻が出版された。テレビアニメ化されて広く知られるストーリーも数多い。

このほか10位内では、前年は25位圏外だった安妮宝貝(アニー・ベイビー)が5位に躍進したのが目を引く。
5年ぶりの長編で初版120万部、“劇中劇”の手法でヒロイン2人の異なる愛を描いた『春宴』が評判になったほか、今年3月にムック型文芸誌『大方』を創刊。中国でも人気の村上春樹を大々的に特集するなど斬新な内容で、初版100万部というビッグタイトルを作り上げた。
6位には冒険ファンタジー『龍族』シリーズの江南、7位には「80後」作家のパイオニア・韓寒、8位にはネット作家としてブレイクした当年明月、10位には台湾の人気司会者・蔡康永がそれぞれランクイン。トップテンでは9位の郎咸平(台湾出身の経済学者)以外は、ほとんどが児童文学やネット文学、青春小説の作家で占められる結果となった。
ちなみにランキング6年間の累計を見ても、トップは順に、①郭敬明(9700万元)、②鄭淵潔(7600万元)、③楊紅桜(7010万元)の3人が押さえ、他の追随を許さないという。

一方、純文学の作家は?というと、かろうじてトップ30にランクインしたのが『一句頂一万句』の劉震雲(26位)、『古爐』の賈平凹(28位)、『你在高原』の張煒(30位)など。いずれも中国文学の最高賞の1つ「茅盾文学賞」の受賞作家で、その作品が世に知られた(賈平凹は08年第7回に『秦腔』で、劉震雲と張煒は11年第8回に同作品で、それぞれ受賞)。
ランキングで前年24位だった王蒙は圏外に後退してしまい、“正統派”の文学はセールス的には伸び悩んでいるようだ。
ここでも中国の出版マーケットは、青少年向け文学がリードしていることがわかる。
 

■読者の「若さ」と「軽さ」好み

外国作家トップ15ランキングに対しては「信憑性が疑われる」などとして批判も多い。
「実にくだらない。作家の価値は、文学の影響力ではかるべきだ」「販売部数や印税率はそれぞれに異なるため、印税データは本来不明。ランキングは憶測にすぎない」といった文学ファンや出版業者の酷評も、ネット上では認められる。
しかしそれらを勘案した上で、ランキングは「国内出版界の現状を側面から反映している」(『新京報』11月22日付)とする容認派もある。

今年6位についたSF歴史小説作家の江南は、こう語る。
「ランキングはあまり注目していないが、見たところ読者の“若年化”が進んでいる。読書に関心を持つのは若者が主流であり、大人たちは読書に興味がないか、海賊版を買う率が高いか? いずれにせよ大人への本のセールスはよくないようだ」
その言葉の通り、近年ランキングされるベストセラーの多くは児童文学や青春小説、テレビ・映画関連で占められており、読者の若年化と「軽閲読」(ライトリーディングス)の人気の高まりが指摘されている(同紙)。

ジャーナリストの周南焱氏は、トップ10位がいずれも「商業タイプ」の作家で占められ、青春ファンタジー、通俗歴史、盗掘、武侠、職場をテーマにした「娯楽・商業的」作品がベストセラーを占領していると指摘する(『北京日報』11月22日付)。
その上で「(現代の)市場には芸術性のある純文学が欠けている。……文学がビジネスだけなら市場で勝利を収めようが、それは全体的なクオリティーには無益なものだ。商業作品を重視するとともに、純文学を支援する。そうしてこそ(市場に)格調高い文学と商業タイプの両輪を築くことができるのだ」
純文学と商業文学のバランスのよい発展を唱えている。

「若さ」と「軽さ」が際立った中国人の読書傾向――。
来年もこうした傾向は続くのか? 気になるところだ。

※ ランキング表は『華西都市報』より。

※ ランキング2
【2011漫画家富豪ランキング】
順位/作家 印税(人民元) ベストセラー代表作
 1 朱徳庸  6190万元  『大家都有病』(みな病あり)
 2 幾米  2500万元  『向左走・向右走』(ターンレフト・ターンライト)
 3 周洪浜  1830万元  『偷星九月天』(Star-Stealing Girl)
 4 猫小楽  1700万元  『阿衰 on line』
 5 敖幼祥  1350万元  『烏龍院』
 6 朱斌  1200万元  『爆笑校園』(爆笑キャンパス)
 7 Hans    420万元  『阿狸・夢之城堡』(子ぎつねアリー・夢の城)
 8 阿桂    400万元  『瘋了!桂宝』(クレイジー!桂宝)
 9 顔開    310万元  『星海鏢師』(星の用心棒)
10 陳翔    270万元  『神精榜』(仙人榜)

※ 今年初めて、漫画家富豪ランキングが発表された。統計期間は2001~2011年の10年間。
※ 1位の朱徳庸、2位の幾米、5位の敖幼祥はいずれも台湾の漫画家。日本デビューを果たした美人漫画家の夏達が15位につけるなど、大陸の作家も健闘。

※ ランキング3
【2011外国作家富豪ランキング】
順位/作家 印税(人民元) ベストセラー代表作
 1 G.ガルシア=マルケス(コロンビア)  1100万元  『百年の孤独』
 2 J・K・ローリング(英)    900万元  『ハリー・ポッター』シリーズ
 3 トーマス・ブレツィナ(オーストリア)    750万元  『タイガーチーム事件簿』シリーズ
 4 村上春樹(日)    620万元  『1Q84 BOOK3』
 5 東野圭吾(日)    480万元  『白夜行』
 6 ウォルター・アイザックソン(米)    450万元  『スティーブ・ジョブズ』
 7 黒柳徹子(日)    365万元  『窓ぎわのトットちゃん』
 8 R.L.スタイン(米)    320万元  『グースバンプス』シリーズ
 9 ステファニー・メイヤー(米)    300万元  『トワイライト』シリーズ
10 ダン・ブラウン(米)    250万元  『ロスト・ シンボル』

※ 統計期間は2010年11月~2011年11月。中国大陸での印税収入で算出。
※ 『百年の孤独』のガルシア=マルケスと、『ハリー・ポッター』のJ・K・ローリングが圧倒的な強さ。10月末に世界同時発売された『スティーブ・ジョブズ』(正規版)は中国でも大人気で、このランキングでも早速トップテン入り。海賊版やパクリ本も数多く出回った。
※ 日本の作家では、4位に村上春樹、5位に東野圭吾、7位に黒柳徹子、12位に稲盛和夫(『生き方-人間として一番大切なこと』)がそれぞれランクインした。なお東野圭吾は、深刻な海賊版問題に業を煮やし、中国市場から撤退することを表明したとの情報もある。
   

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2011年11月11日~1月17日

     
第1位:『史蒂夫・喬布斯伝』

第2位:『青春』

第7位:『失恋33天』
                                         第8位:『神奇的一氧化氮』
 

1.『史蒂夫・喬布斯伝』(スティーブ・ジョブズ)
ウォルター・アイザックソン(米)著/管延圻など訳 中信出版社 2011年10月初版


10月5日死去した米アップルの創業者で、前最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ジョブズが生前、取材に全面協力した公認伝記。10月24日に世界同時発売となった。日本では、『スティーブ・ジョブズ』ⅠⅡ巻として、講談社から翻訳出版された。
アップル創設の経緯から、iPhone、iPadの誕生秘話、さらに引退まで、ベールに包まれたジョブズの軌跡が明らかに。
ライバルとされた米マイクロソフトの共同創業者兼会長ビル・ゲイツ氏について、「想像力がない」と酷評していたことも話題となった。
中国では、この正規版とは別に、パクリ本や海賊版が数多く出回った。 


2.『青春』
韓寒・著 湖南人民出版社 2011年9月初版


「80後」作家のパイオニアにしてオピニオンリーダー、韓寒の最新エッセイの精選集。「フランス製品ボイコット」「山寨(コピー品)立法」「建国大業」「仕方なく万博を待つ」「倒鉤(釣魚=フィッシング)事件」など、時代と社会を鋭くきりとる痛快エッセイの数々を収録。
プロのラリーレーサーとしての一面や、小説の創作秘話についても明かしている。 


3.『于丹趣品人生』
于丹・著 中信出版社 2011年10月初


4.『朱鎔基講話実録』(全4巻)
『朱鎔基講話実録』編集チーム編 人民出版社 2011年9月初


5.『百年孤独』(百年の孤独)
G.ガルシア=マルケス著(コロンビア) 范曄・訳 南海出版公司 2011年6月初


6.『世界如此険悪,你要内心強大』(世界はこんなに険悪だから、内心を力強く)
石勇・著 印刷工業出版社 2011年7月初


7.『失恋33天』(失恋33日)
鮑鯨鯨・著 中信出版社 2010年1月初版


11月8日の公開からわずか3週間で3億元の興行収入を上げ、今年一番の「ダークホース」といわれる中国映画「失恋33天」の原作本。もとは2009年にネット小説として公開され、人気を呼んだラブコメディーだ。
都会の結婚式プロデュース会社に勤める黄小仙が失恋してからの33日間の心の変遷を、リズミカルに丁寧に描く。落ち込んだり、悩んだりしながらも、最初はイヤな同僚だった「王小賎」こと王一揚の優しさに、しだいに心を開いていく……。
映画のヒットは、中国で俗に「光棍節」(独身デー)といわれる11月11日に“失恋モノ”を当てたことといわれる。とくに2011年は「1」が6つ並ぶ100年に一度の「神棍節」ともてはやされて、観客動員に一役買った。
ストーリーにも派手さはないが、「80後(1980年代生まれ)の等身大のラブストーリー」「癒し系の物語」などと若者たちの共感を呼んだ。映画の大ヒットで、昨年1月に出版された原作本が見直された形となった。 


8.『神奇的一氧化氮』(原題「Magical Nitric Oxide」、不思議な一酸化窒素)
フェリド・ムラド(米)、陳振興・著 訳林出版社 2011年11月初版


著者のフェリド・ムラド氏は、米国の内科医、薬理学者。1998年にノーベル生理学・医学賞を受賞。現在、ジョージ・ワシントン大学生化学・分子生物学科の教授を務める。
その主な研究は、薬物を用いて循環系の弛緩因子である一酸化窒素(NO)を体内に放出し、血管を拡張させるしくみについて……(適用例の1つに、バイアグラの開発がある)。
心血管系の健康に欠かせない物質で、糖尿病や癌、免疫疾患、性機能改善に効き目があるとされるNO。
本書では、そのNOを利用した養生法と疾病予防について論理的に説く。
どういった人たちにNOが必要か、また食事やスポーツ、抗酸化剤などから、いかに適量のNOを効率よく取り入れるかについて、わかりやすく解説する。
共著者の陳振興氏は医師、医学博士で、ムラド氏の研究協力パートナー。 


9.『杜拉拉大結局』(杜拉拉の最終章)
李可・著 湖南文芸出版社 2011年10月初


10.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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