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2011年03月

 マイクロブログ小説「微小説」が盛んに

   
   

新浪微博の「微小説」コンテストインターネットの“中国版ツイッター”といわれる「微博」(ウェイボー、マイクロブログ)が中国で人気を集めているが、最近にわかに注目されているのが「微小説」。
マイクロブログの特性である140字制限を生かし、制限内で完成された物語を描くという新しいスタイルのネット文学だ。微博を使った小説なので、そう呼ばれる。

中国大手の無料マイクロブログ作成サービス「新浪微博」(シンランウェイボー)が昨年末、「中国第1回微小説コンテスト」を開催したところ、募集期間わずか1カ月余りの間に応募数が23万本、転送などで話題にされた発言(ツイッターでのツイート、リツイート、リプライなどに当たる)が約167万本に上り、予想以上の盛り上がりを見せたという。

一方、微小説の著作権についても議論が巻き起こっている。ツイッターや微博などでの発言は、原則として作者の許可を得ずに転送や引用(リツイート、リプライ)をすることが認められている。
しかし微小説はれっきとした1つの文学作品であり、日常のつぶやきとは異なるとして、著作権が発生するとの主張も出てきた。
中国で話題の微小説の世界とは――。

   
 

■新しいネット文学

微小説は、中国でまたの名を「小小説」「超短編小説」「一分小説」などといわれる。もともと中国語で200字以内の小説がそう呼ばれていたが、140字制限の微博が普及したこの数年のうちにユーザーたちが創作しはじめ、やがて“新(新興)ネット文学”として広く知られるようになった。
中国語(漢字)による文章は、日本語のおよそ1.5~2倍の内容が盛り込めるとされる。140字という短文ながら、中国語ならストーリーが成立しやすいところも注目される理由だろう。

新浪微博「中国首届微小説大賽」受賞作品(クリックでジャンプ)ちなみに中国のネットユーザー数は2010年末時点で、世界一の約4億5700万人。
世界的に利用者を広げるツイッターは、原則として中国本土では規制されているため、国内ユーザー数は現在約20万人と4億ネット人口からすれば多くはない。
一方、微博のユーザー数は、昨年10月時点で1億2500万人。中国ネット人口の約4人に1人が利用している計算になり、その数は日ごとに急増しているという。

現在、中国の微博サービスには、大手ポータルサイトやニュースサイトが開設している「新浪微博」(09年開設)、「人民微博」をはじめ「網易」「捜狐」「騰訊」「鳳凰」(各微博)などがあり、トップクラスのユーザーには人気女優の姚晨(ヤオ・チェン、ファン=フォロワー約200万人)、陸上110mハードル金メダリストの劉翔(リュウ・シャン、フォロワー約1000万人)らがいてファン層を広げている。
2月20日の「中国ジャスミン革命」に際しては、まっさきに微博のシステムで「茉莉花」「革命」などの言葉が検索不可になるなど、当局もそのネットワークの広がりには神経をとがらせている。
 

■「80~90後」の共感呼ぶ

この新しいメディア・微博を使った微小説。
中国大手の「新浪微博」が昨年末に「中国第1回微小説コンテスト」を開いたところ、1等賞が10万元(1元は約13円)相当の自動車、2等賞が現金2万元……といった豪華な賞品・賞金が目を引いたのか、募集期間わずか1カ月余りの間に応募数が23万本、微博での転送・引用が約167万本に上り、予想を超える反響を呼んだという。

作家の王躍文氏、詩人の沈浩波氏ら23人の審査員による厳正な審査の結果、惜しくも1等の該当者はナシ。
2等は、計6人が受賞した(1等賞の相当額を2、3等に配分)。
そのうち、公式サイトで公開されている「最優秀人気作品」は、中国南方生まれのビジネスマン、「信天雲」さんの小説だ。

「自動車事故で失明した私は、彼女がどんなふうに成長したのかを知らない。その年、彼女は胃ガンを患い、亡くなる前に私への角膜移植を申し出た。目が見えるようになってから、私は最初に彼女の写真を探したが、見つかったのは手紙だけ。そこには空白の写真があって、このように書いてあった。『私がどんなふうだったか、もう考えないで。次にあなたが愛した人が、私の姿よ』」……(拙訳、以下同)
悲しみの中にも希望が沸いてくるような、優しいラブストーリーだ。

また、同じく2等のうち「審査員推薦作品」に選ばれたのは、北京に住む男性「甲斐文」さんの作品。
「ある村にNasaというみなしごがいた。いつも駆け回っては『宇宙人よ、やってこい。おじけづいたか~』などと大声で叫んでいた。宇宙人の髪の毛1本、見つからないにもかかわらずだ。遊び疲れることを知らないNasaにはある秘密があった。彼はハイパー(超能力)戦士だったのだ。宇宙人が来襲するたび彼が撃墜、その回数も増えて、数え切れないほどだった。Nasaを見ると、いつもプリプリ怒っていた村人たちにも秘密があった。週末の夜になると麻袋をかぶり、宇宙人に扮してNasaと遊ぶのであった」
どこかSFチックでありながら、じんとさせられる人情物語だ。

審査員の1人、沈浩波氏は「140字以内で(わくわくするような)話の展開があり、構想が新しく、チャレンジ精神に富んでいて、物語が完結しているかどうか(が重要)。あるものは小説と認められないから0点にしたが、それは(他の審査員との)理解の差でしかない」などと論評している(同公式サイト)。

こうした新ネット文学の多くは、デジタル世代といわれる「80後」(バーリンホウ、1980年代生まれ)、「90後」(ジュウリンホウ、90年代生まれ)が創作し、同世代の若者たちの共感を呼んでいる。
「微小説を通して、80後(~90後)のフィーリングの世界や、そこに込められた暗号を理解することができる」(「百度百科」―微小説)。それは、若い世代の心の内にアプローチできる新形態であるという。

前述の微小説コンテストの作品は、その後もラジオドラマや芝居のシナリオの原作になるなど、さまざまな形で発展している。「ネットユーザーの創造性と微小説の可能性は無限大だ」という高い評価も見受けられる(「百度百科」同)。
 

■問題視された無断使用

各紙に掲載された微小説一方、微小説の人気が高まるにつれて、その著作権についても議論が巻き起こっている。
今年の「情人節」(バレンタインデー)を前に、あるネットユーザーが奥さんに贈る微小説をネット上で発表したところ、某新聞の「情人節微小説」欄に無断転載されてしまい、ユーザーが憤るという出来事があった(上海『青年報』電子版2月16日付)。
それは2人の恋愛時代を静かに振り返る、愛にあふれた物語だった。
「微小説を発表したのは妻に見せたかったから。何の打診も報酬もなく、勝手に使われて心穏やかではいられないよ」とそのユーザーは憤慨しているという。

ところで、ツイッターや微博などでの発言は、原則として作者の許可を得ずに転送や引用をすることが認められている。
これが日記的なウェブサイト「ブログ」などの場合、許可なく全文を引用すれば「無断使用」や「盗作」に当たるものの、「正当な範囲内での引用」であれば基本的には問題にならないとされる。そのため中国のメディアやウェブサイト上では“引用”はよく見られる方法だ(海賊版ともなれば当然、違法行為だが……)。

ところが、より短文の微博の場合はどうか? 140字以内の短文であれば、全文引用・転載しても構わないのか?
これに対して、中国の著作権法の専門弁護士、呉冬氏はこう語る。
「中国の法律では“文字数が○○字以下であれば、著作権が適用されない”とは決められていない」。つまり著作権の適用に文字数は関係なく、微博での発言にも著作権が生じることがあるという。

とはいえ全ての発言に著作権があるとも限らず、「肝心なのは、微博の文章が1つの作品になっていて“オリジナリティー”があるかどうかだ。問題となった微小説には独自性があり、新聞社がそれを転載するならば、同意を得た上で利用料を払うべきだ」。著作権の有無は内容にもよるということだろう。
さらにユーザー側にも注意が必要だ。
「転送や引用は、微博のゲーム・ルールのようなもの。作者が“転送禁止”(著作権所有)を言い出さない限り、転送に同意したものと認められる」(同氏)

中国メディアは最近、微博の著作権に対して戦々恐々としているという。「発言の(もとの)作者を探すのは大変だ」と無断使用の理由を述べるが、呉冬氏はこれに対して「口実だ」と反論する。
「中国にはすでに『中国文字著作権協会』がある(2008年10月設立、国家版権局認可。文字著作権に関する中国唯一の集団管理機構)。同協会にまず利用料を支払い、それから作者に分配してもらうことだってできるのだ」

現行の著作権法には、中々なじみにくいとされる微博の著作権問題。
まずは個別対応が求められるが、微小説などの普及とともに、ルール整備が進められる可能性もありそうだ。

[ご参考]
新浪微博「中国第1回微小説コンテスト」受賞作品
「微博陥著作権風波 給老婆的微小説成了 “免費範文”」(『青年報』電子版2月16日付)
中国文字著作権協会

 
   
   
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★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2011年2月11日~2月17日

     
第2位:『喜羊羊与灰太狼電影連環画3』

第3位:『爵跡・燃魂書』

第4位:『中国共産党歴史 第二巻(1949-1978)』
                                         第7位:『微博:改変一切』

第9位:『我与地壇』
 

1.『姥姥語録』(おばあさんの語録)
倪萍・著 中華書局 2011年1月初


2.『喜羊羊与灰太狼電影連環画3』(「シーヤンヤンとホイタイラン」映画コミック3)
広東原創動力文化伝播有限公司・著 人民郵電出版社 2011年1月初


中国の人気アニメ『喜羊羊与灰太狼』の映画シリーズ第3弾「兔年頂呱呱」(卯年は素晴らしい)をコミック化。
同アニメ映画は、今年の春節(旧正月)映画として公開されて以来、2月中旬までにシリーズ前作を上回る興行収入1億4000万元を突破。子どもファンの大好評を博している。
個性豊かなヒツジたちと、それを狙う間抜けなオオカミの勧善懲悪をユーモラスに描くこのシリーズ。第3弾では、主人公の「喜羊羊」が月の救世主に変身するなどSF的要素をタップリ取り入れ、イマジネーション豊かな世界を描いている。


3.『爵跡・燃魂書』
郭敬明など著 長江文芸出版社 2011年1月初版


「80後」(1980年代生まれ)の人気作家、郭敬明の長編ファンタジー・アドベンチャー・シリーズ『臨界・爵跡』。
伝説の「奥汀(オーティン)大陸」を分ける東西南北4国で、神秘的な妖術「魂術」を使って激しい攻防が繰り広げられる。魂術を学んだ純朴な少年、麒零(チーリン)の活躍を軸に、「活字のムービー」といわれる気宇壮大なストーリーが展開していく。
本書はその世界観、歴史的背景、キャラクターの魅力、戦闘力の分析などを一挙公開。100枚を超えるイラストや4コマ漫画などを挟みながら、神秘的な『臨界・爵跡』ワールドを解き明かす。
制作サイドは、中国の先端を行くビジュアルと文学の融合で「現有の出版マーケットと伝統メディアのPR方法に挑戦する」と意気込んでいる。 


4.『中国共産党歴史 第二巻(1949-1978)』(上下冊)
中共中央党史研究室・編著 中共党史出版社 2011年1月初版


1921年の中国共産党創立から、49年の中華人民共和国成立までをまとめた「第一巻」(1991年初版)の続編。
編集に16年もの歳月が費やされたという。49年の建国から78年の改革・開放政策のスタートまでを網羅。58~61年に当時の毛沢東政権が推進した農工業の大増産政策「大躍進」では、政策の失敗と天災が重なって、多くの餓死者を出したとされる。
第二巻では「大躍進政策で年1000万人が死亡」と公的文書では初めて、多数に上る具体的死者数が記録されたことなどが注目されている。 


5.『蔡康永的説話之道』(蔡康永の話の道)
蔡康永・著 瀋陽出版社 2010年11月


6.『貨幣戦争3 金融高辺疆』
宋鴻兵・著 中華工商聯合出版社 2011年1月初


7.『微博:改変一切』(マイクロブログ:一切を変える)
李開復・著 上海財経大学出版社 2011年2月初版


マイクロソフトの世界副総裁、グーグルの副総裁兼グーグルチャイナ総裁などを歴任し、2009年に起業家支援企業「創新工場」を設立、理事長兼CEOに就任した李開復氏。『世界因你不同 李開復自伝』(中信出版社、2009年)など多くの著書がある。
マイクロブログ「微博」の140字が世界を変える――と李氏。マイクロブログでの彼のファン(フォロワー)は昨年末の時点で、新浪微博が約275万人、騰訊微博が約781万人、ツイッターが約86万人にそれぞれ上り、急速に広がっているという。
本書では、多数のファンを持つ李氏が「いかに自己をアピールするか、いかに140字でうまく伝えるか、いかにファンを増やすか、発信する最適の時間や頻度は?」など微博の有効利用法について詳しくレクチャー。
話題になったニュースや結婚相手募集などの実例をあげながら、マイクロブログが人々のライフスタイルやビジネスモデル、交際方法を大きく変えると述べている。
今年1月に北京で開かれた出版会見では、本書について「マイクロブログを制するだけでなく、方法論や本(文章)の書き方も把握できる」と自ら強くアピール。本書は紙書籍のほか、電子書籍も同時出版されている。 


8.『臨界・爵跡Ⅱ』
郭敬明・著 長江文芸出版社 2011年1月初


9.『我与地壇』(私と地壇)
史鉄生・著 人民文学出版社 2008年9月初


2010年も押し詰まった12月30日午後、脳溢血で急逝した作家、史鉄生氏(1951-2010年)。故人の遺言により、告別式は行われなかったという。
生前は、腎臓病から尿毒症を患い、人工透析を続けるなど常に闘病生活にあり、自身でも「職業は病気持ち、余暇に執筆」などと揶揄していた。
本書は、作家の名随筆集の1つとされ、高校の教科書にも作品が採用された。比喩的に見つめた生と死の関係、ヒューマニズムにあふれた哲学的思想など、しみじみとした深い感慨にひたることのできる1冊。
作家の死を悼むファンらが、改めてこの名著を求めているようだ。 


10.『幸福了嗎?』(幸せですか?)
白岩松・著 長江文芸出版社 2010年9月初版


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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