1.『1Q84 BOOK2』
村上春樹・著(日) 施小煒・訳 南海出版公司 2010年6月初版
『1Q84 BOOK1』(第1巻)の中国本土版が今年5月に国内で発売されたのに続き、6月にはBOOK2が登場。『新京報』の週間ベストセラーでは、発売3週ほどでベストテン入りするとともに、堂々の第1位に輝いた(6月24日~30日統計分)。以来、トップの座を守っている。
2.『杜垃垃3:我在這戦闘的一年里』(杜拉拉3:私のこの戦闘の1年で)
李可・著 江蘇文芸出版社 2010年5月初版
3.『怒江之戦』(怒江の戦い)
南派三叔・著 文化芸術出版社 2010年5月初版
戦後65年の今年は、抗日戦争期における中国ビルマ(現ミャンマー)遠征の終結65周年でもある。中国とインド、ビルマで繰り広げられた抗日戦は3年3カ月に及び、中国は兵力40万人を投入、うち死傷者は約20万人に上ったという。
悲壮な歴史を忘れてはならないと、このビルマ遠征軍を背景として歴史サスペンス小説を著したのが、人気作家の南派三叔氏。
1942年、孫立人らの第1次ビルマ遠征軍は中国・怒江で大敗を喫し、野人山の胡康河谷と呼ばれる場所で5万人の兵士を失う。ほどなくして深いジャングルの中では、証拠隠滅をはかるかのように、駐印英国空軍の飛行機が爆撃を始めていた。こうした折に、中国軍の特別選抜隊が派遣され、隠された野人山の秘密に迫るのだった。
従来の戦争・歴史小説とは異なり、サスペンス性に富みながら悲壮な歴史や激しい戦争、戦士たちの友情と裏切りを描いた新感覚の歴史小説。
作家自らが作詞した同名タイトルのテーマソングも作られ、中国の男性トップデュオ、羽泉(ユー・チュアン)が歌ったCDが本書に付いている。
4.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社
5.『藏地密碼8』(チベット・コード8)
何馬・著 重慶出版集団 2010年6月初版
6.『中国自助游(2010年版)
『中国自助游』編集部・編 陝西師範大学出版社 2010年1月初版
9年連続出版されている、人気の中国個人旅行ガイド2010年版。新しい観光スポット情報を約100カ所、最新のグルメ・宿泊情報を約500カ所、それぞれ増やした。
また358枚の美しい写真、2020カ所の有名スポット、158枚の最新地図をいずれも更新。毎年ページ数を増やしつつ、値段はすえおきというのも魅力だという。
7.『1Q84 BOOK1』
村上春樹・著(日) 施小煒・訳 南海出版公司 2010年5月初版
8.『東宮』
匪我思存・著 新世界出版社 2010年7月初版
ネット小説で人気の女流作家として2005年のデビュー以来、14本の作品(うち3本はテレビドラマ化)を発表している匪我思存。新作は、架空の王朝を舞台にした皇子と異郷の姫とのラブストーリー。
西涼国の姫が和親(婚姻関係を結んで親善を保つ)のために、中原の地へとやってきた。しかし、政治的な理由により皇太子は異郷の姫とは婚姻関係が結べず、しかも彼には寵愛する妃がいた。その後、皇太子の地位をめぐる権力闘争が繰り広げられる。皇太子と西涼国の姫は、はからずも婚姻関係を結ぶことになるのだが……。
「東宮」(皇太子の住む所、皇太子)という皇宮よりも危険な場所、皇帝よりも危険なポストをテーマに、悲劇の愛憎物語を現代風にアレンジしている。
9.『低碳陰謀:中国与欧美的生死之戦』(ローカーボンの陰謀:中国と欧米の生死の戦い)
勾紅洋・著 山西経済出版社 2010年5月初版
二酸化炭素や汚染物質の排出を抑え、エネルギー消費の削減をめざす「低炭素」(ローカーボン)スタイルが、世界で注目されている。
中国でも、欧州諸国などに続いて2012年前後から炭素税を導入、二酸化炭素排出量に応じて一定の税額を課す「定額税率方式」を採用することが計画されているようだ。
しかし、ローカーボンスタイルは本当にエコロジーなのか、エコの名を借りた新たな政治手段ではないか? 先進国が発展する中国にプレッシャーを与えるための便利な道具なのではないか――?
本書は、排出量取引や炭素税など、環境計画の現状を解説。その上で、計画の裏にひそむ政治的陰謀や、中国・インドといった新興国がこれにどう挑むかなど、国際政治・経済動向をふまえた“ローカーボン未来図”を予測する。
10.『永楽大帝』
商傳・著 広西師範大学出版社 2010年5月初版
著者は現在、中国社会科学院研究生院(大学院)歴史学部の教授。本書は、中国中央テレビ(CCTV)の人気レクチャー番組「百家講壇」で講師の経験を持つ著者が、専攻する「明の第3代皇帝・永楽帝」について、わかりやすくまとめたもの。
その出生の秘密から、皇帝即位後の功績とされる北京への遷都、紫禁城の建設、北方・西南・ベトナム遠征、鄭和の大航海派遣、『永楽大典』『四書大全』の編纂、そして永楽帝が眠るという明の十三陵「長陵」の秘話までをやさしく解き明かす。
甥にあたる建文帝を倒して帝位を奪うなどの不正はあったが「中国史上、歴代帝王の中でも永楽帝はすぐれた皇帝であり、『永楽盛世』と呼ばれるにふさわしい繁栄の時代を築いた」と著者は語る。
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