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2010年06月  作家協会にもはびこる「5色の収入」
   
   

中国作家協会の公式HP『中国作家網』国営新華社通信がこのほど配信した「中国の経済格差が社会的容認の“赤線”(警戒線)に近づいている」とする記事がちまたで話題になっている(「我国貧富差距正在逼近社会容忍“紅線”」、5月10日付)。
経済格差を生み出す原因になっているのが、中国にはびこる白、黒、灰、血、金の「5色の収入」であり、このような不当な収入が少数の富裕層に流れて、貧富の格差がますます拡大。中国ではすでに10年前に所得格差の指標“ジニ係数”が警戒線の0.4を超え、その後も年々上昇しているという衝撃的な内容である(ジニ係数が警戒線を超えると、社会で衝突が発生しやすくなると考えられている。中国では現在、0.61に跳ね上がっているとする観測もある)。

こうした“告発記事”は体制批判とも受け取られかねないだけに中国では珍しいが、これを受けて、今度は中国文学界の全国組織「中国作家協会」の腐敗を明らかにした記事がネット上で公開された(南方網、5月18日付)。
「中国作家協会であれ同様だ。中国の作家たちも貧富の格差にあえいでいる」とするショッキングな報告である。中国では文学事業振興などのために毎年7億元(1元は約13円)もの巨額を投資しているが、それは「わずか200人の作家のみ、とくに作家協会の役員だけを養うものだ」と記事は厳しく糾弾している。
作家協会にもはびこるという「5色の収入」と、貧富の格差の実態とは――。

http://news.xinhuanet.com/fortune/2010-05/10/c_1283123.htm
http://news.xinhuanet.com/book/2010-05/18/content_13512047.htm

   
 

■白黒灰血金の“5色の収入”

まず、新華社の記事が分析した「5色の収入」をまとめてみると、
①白い収入――給与や年金などの正規の収入
②黒い収入――汚職や犯罪によって得る非合法な収入
    (公的資金が権力者、犯罪者に流れることが多い)
③灰色の収入――正規の給与以外に発生する収入。合法的なものから非合法なものまでさまざま
    (仲介料、感謝料、仕事代、授業料、原稿料、謝礼金など)
④血の色の収入――他人の命を犠牲にしたり、“血を搾取”したりして得る収入
    (奴隷のように労働者を酷使した山西省の無認可レンガ工場など)
⑤金色の収入――株や不動産投資で得る収入
    (理性的投資のために、投資家への指導や市場調整が必要)

――という内訳。さらに記事はこう伝えている。
中国経済改革研究基金会国民経済研究所の王小魯(ワン・シャオルー)副所長が2007年に発表した一連の調査結果によると、中国には年に4兆8000億元(約65兆円)もの「隠性収入」(副業による非公開の収入)があることがわかった。その4分の3は都市住民の10%にあたる高所得者層に集中しており、格差の拡大を招いている。
専門家らは、社会保障制度の改革や安い労働賃金の引き上げなどで、貧富の格差の“赤線”を守る(超えない)ことが大事だと認めているという。

■7億元で作家200人だけ養う

『南方網』が伝えた「7億元で200名の作家を養う」との記事経済格差の原因をわかりやすく“色分け”し、その上で、格差が社会的容認のデッドライン(限界)に近づいていると警告した新華社の記事は、瞬く間に多数のメディアに転載されて話題を呼んだ。
これを受けて、「中国文学界でも同様に、貧富の格差が広がっている」とする記事を発表したのが南方網(南方新聞・電子版)の閻延文記者だ。タイトルは「作家権力収入:7個億養200名作家 到底値不値?」(作家の権力収入:7億元で200名の作家を養う いったい値するのか?)。

それによれば、中国共産党の指導下にある文学界の全国組織「中国作家協会」(団体会員約40、個人会員約6000人、※)では、ごく少数の役員作家のみが国からの文学投資を独占している。中国では文学事業振興などのために毎年7億元もの巨資が投じられているが、その資金は作家協会の役員わずか200人を養うものだというのである。
データの根拠は明らかにされておらず、いささか誇張気味の数値かもしれない。7億元の実際の使途も不明だが、それにしてもこれをもとに単純計算をすれば、200人の役員にはそれぞれ年間350万元(約4700万円)の高額手当が支払われていることになる。さらに記事は、役員作家にも「5色の“権力収入”」があることを指摘している。つまり……
①白い収入――肩書きで得る収入。例えば作家協会主席になれば、官僚クラスの待遇(専用車、給与〈手当て〉、分譲住宅の高収入)が得られる。さらに高額の印税が得られ、中国作家長者番付に載ることができ、各種の文学賞を受賞することができる。
②黒い収入――悪役人に作家の“冠”を売りつけて得る収入。例えば、詩作に没頭した元山東省斉河県党委員会書記の李鳳臣は、在任中に中国作家協会会員、国家一級作家となり、7冊の詩集を出版。作家協会主催で年に7回ものシンポジウムを開いた。
しかしその後、作家協会で内部抗争があったのか?2009年だけで6人の貪官会員が除名されたという。
③灰色の収入――役員の肩書きで得る、高額のリベート、出演料、祝儀、講演料、名義貸しなど。
④血の色の収入――公費での飲食、公用車の利用、公費出国の“三公”問題に該当する費用。三公問題は、一般人が「血の涙を流して」嘆く話題となっている。例えば中国「詩歌祭」の開催に3000万元が投じられ、豪華な大会が設けられ、役員は高級ホテルに宿泊するなど。
⑤金色の収入――国家級の文学賞の選考委員や代表ポストを兼任して得る収入。
例えば、現在選考が進められている第5回魯迅文学賞では、国の予算のほかに香港の富豪・李嘉誠の基金会から助成金500万元が寄せられた。また紹興市政府からの支援もある(『京華時報』3月3日付)。スポンサーの賛助+国家予算+地方財政で、文学賞の“銭途”(前途)は燦然と輝いているという。
文学賞の停止を求める専門家もいるが、私腹を肥やす役員作家がいるために、それはきわめて困難だとされている。

以上が、役員作家の「5色の収入」であるという。

■アンバランスな利益配分

さらに記事はこのように指摘する。
――権力配分が明らかなその体制は、制度上、作家間の身分やポスト、収入の差を激化させた。少数の役員作家が豊かになる一方で、一部の作家はペンだけに頼る貧しい暮らしを余儀なくされている。
2006年には、遼寧省の作家・洪峰が路頭に迷い、作家協会を脱会。07年10月には青年詩人・余地が、かわいいふたごの赤ちゃんを残して自殺。そのわずか10カ月後には、青年詩人・吾同樹が自殺、手元には現金わずか200元しか残されていなかったなど――。

「文学への巨額の国家予算は、少数の作家協会の役員を豊かにしただけだった。(中略)文学界の配分がアンバランスなのは明らかだ。本当に才能のある民間の作家、ネット作家、青年作家は、国の文化投資を受けることができず、才能を発揮することばかりか生活の保障すら難しい」

中国の巨大組織・作家協会は最近なにかとヤリ玉にあがっているが、原因はどこにあるのか?文学界のアンバランスな利益配分であり、一般作家と社会が容認できる警戒線が近づいているのでは――。
記事はそう訴えている。権威組織であるからこそ、世間の見る目も厳しいはず。中国政府は「汚職撲滅」キャンペーンを展開中だが、ここ文学界の拠点でも“自助浄化”が急がれているようだ。

作家協会は「魯迅文学賞」などの主要文学賞も主催【中国作家協会】
中国共産党の指導のもと、中国の各民族の作家をまとめ、指導する全国組織。党政府と作家、文学業界を結ぶ架け橋であり、文学事業の振興をその主な目的とする。
前身は1947年に北平(現・北京)に成立した中華全国文学工作者協会で、53年に中国作家協会に改名された。初代主席は作家の茅盾、第2代主席は作家の巴金。
現在の主席は、現代女流作家の鉄凝。会員は、団体会員約40、個人会員約6000人。
ただし、指導権は内部の共産党委員会書記にあり、通常は党中央宣伝部副部長が兼務する。
作家出版社や魯迅文学院、中国現代文学館などを系列化におき、『文芸報』『人民文学』『作家文摘』などの新聞、雑誌を主管・主宰。
「魯迅文学賞」「茅盾文学賞」「宋慶齢全国優秀児童文学賞」など、中国文学の最高名誉賞といわれる5つの文学大賞を設けている。
住所は、北京市朝陽区東土城路25号。
公式ウェブサイトは、「中国作家網」。  http://www.chinawriter.com.cn/ 

 
   
   
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総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2010年5月6日~5月12日

     
第1位:『務実求理(上下)』

第3位:『我是愛情科代表』

第5位:『上海世博会精彩看点 解読』

第7位:『我最想要的理財書』

第8位:『失楽園(全訳本)』

第9位:『好女人性感第一』
 

1.『務実求理(上下)』(実務に励み、理を求める)
李瑞環・著 中国人民大学出版社 2010年4月初版


李瑞環氏は、中国人民政治協商会議全国委員会(政協)主席、中国共産党中央政治局常務委員などを歴任。2002年に江沢民、李鵬、朱鎔基らとともに中央委員を退き、03年には全国政協主席を退いて、政界から引退した。
1989年の天安門事件の際には、趙紫陽総書記らとともに失脚したこともある。いわゆる改革派の1人だった。
本書は、李瑞環氏が政治家として在任中に発表した重要演説と草稿117本を収める。その大半が初めて一般公開される内容だ。
「改革、発展、安定」「“和”の思想」「民族宗教工作」「都市計画、建設と管理」「群衆の観点と群衆の路線」「宣伝思想工作」など、いずれも優れた理論的価値と、実践的指導の意義があるという。 


2.『把喫出来的病喫回去』(食べて生じた病気を食べて治す)
張悟本・著 人民日報出版社 2009年11月初版


3.『我是愛情科代表』(私は愛情学科の代表)
王芳・著 江蘇文芸出版社 2010年5月初版


著者は、北京テレビ(BTV)のトーク番組「選択」「誰在説」などで人気を集める女性キャスター、王芳。
本書は「国内第一線の“愛情”番組の司会者」として知られる著者が、愛情学科の代表として“92の必修科目”に分けたさまざまな恋愛・愛情問題を解き明かす。
「女の子は『愛している』と何度もいってはならない」「愛は怠けてはならない」「離婚女性がいかにステップアップするか」など恋愛や愛に悩む都市部の男女に、有益なアドバイスとエールを送る。 


4.『杜垃垃3:我在這戦闘的一年里』(杜拉拉3:私のこの戦闘の1年で)
李可・著 江蘇文芸出版社 2010年5月初版


5.『上海世博会精彩看点 解読』(上海万博のすばらしい見どころ 解読)
呉志強・著 上海人民出版社 2010年4月初版


著者は、上海万博園区総規画師(万博会場総プランニングマスター)。都市計画の専門家として多数の著書、訳書がある。
本書は、そうした第一線のプロの目から見た、万博会場の設計、新技術の運用、見どころなどを紹介。さらに万博会場を有効に回るために、赤や緑、青など、わかりやすく色分けした7つの見学コースや、1~3日間の見学コースなどを提示している。 


6.『婚姻,決定女人的一生』(婚姻が女性の一生を決める)
南仁淑・著(韓) 江蘇人民出版社 2010年4月初版


7.『我最想要的理財書』(私が一番欲しいと思う財テク書)
李南・著 広西師範大学出版社 2010年5月初版


湖南衛星テレビ、内モンゴル衛星テレビ、北京テレビなど各局の経済番組を担当する「女性経済キャスター、ナンバーワン」といわれる著者が「私たちは、財産の自由を実現させよう!」と唱えている。
一般家庭、中産階級、サラリーマン、ホワイトカラー、低収入者といったそれぞれの階層に対し、実用的な財テク方法をレクチャー。例えばホワイトカラーには、クレジットカードを活用し、節約してできたお金で財テクのための金融商品を買う――といった具体的なノウハウを教えている。 


8.『失楽園(全訳本)』
渡辺淳一・著 竺家栄・訳 作家出版社 2010年4月出版


日本で1997年2月に講談社から刊行後、上下巻合わせて300万部を突破したという大ベストセラーの完全中国語版。本書の“正規版完訳本”が出版されたのは、中国では初めて。
 「夢と現実、肉体と精神、喜びと苦痛が交差する、魂を揺さぶる傑作」などと中国メディアは高く評価。ネットの掲示板でも「興味深い」「読んでみたい」と高い関心が寄せられているが、「ラストを読んだら吐き気をもよおした」「これは愛ではなく、単なる肉欲の物語だ」という批判的な読者の声もある。 


9.『好女人性感第一』(素敵な女性はセクシーさが第一)
張暁梅・著 文化芸術出版社 2010年4月出版


全国政協委員で、『中国美容時尚報』社社長・総編集長を務め、中国の「美容女王」といわれる張暁梅。美容やマナーに関する著書も多数ある。
本書では、女性ならみな関心を持ちつつも直面する勇気がない「女性のセクシーさ」について解き明かし、魅力的で実用的なセクシーさを高める秘訣をレクチャーする。
「セクシーさとは一種の状態、気質、表現である」「女性は見栄えがよくなくても、セクシーさがなければならない」などとした上で、それは内なる知恵と外なる美しさの修練のたまものであると説く。 


10.『黄帝内経使用手冊2』(紅楼夢80回後の真物語)
武国忠・著 上海錦綉文章出版社 2010年4月初版


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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