1.『中国足球内幕』(中国サッカーの内幕)
李承鵬ら著 江蘇人民出版社 2010年1月第2刷
2.『小姨多鶴』(多鶴おばさん)
厳歌苓・著 陝西師範大学出版社 2010年1月初版
第2次大戦後、中国東北地方に散らばる「満蒙開拓団」の一員だった日本人少女、多鶴(たつる)は、悲惨な逃亡劇の末に、ある中国人家族の家に引き取られる。その家の長男はかつて日本軍に殺されており、次男の張倹の妻・朱小環は日本軍におびえて流産、子どもができない体であった。
そうしたなか16歳の多鶴は、張倹の子孫を残す「道具」として迎え入れられ、3人の子どもを産み育てる。1949年の新中国成立後、多鶴が日本人であるという事実は、張家によって固く覆い隠された。多鶴は、朱小環の「妹」であり、子どもたちの「おばさん」であると偽られ、ゆがんだ家族関係を隠すために何度も転居がくりかえされた。
しかし数十年が経ち、日本人である多鶴のまじめさとしっかりした性格が張家によい影響を与え、張家の大らかさや順応性も多鶴に好影響を与えていく。苦しくつらい生活のなかで、彼らの根っからの善良さが、家族を固く結び付けていくのだった……。
中国の女流作家・厳歌苓が1940年代から80年代にかけて書き上げたという長編歴史小説の改版となる。作品は、『当代』長編小説最優秀賞など数々の文学賞を受賞。同名テレビドラマ(全36回)も製作され、2009年11月に中国の教育・科学技術チャンネルで放送されている。
3.『小時代2.0 虚銅時代』(TINY TIMES 2.0)
郭敬明・著 長江文芸出版社 2010年1月初版
4.『球事兒』(サッカーのこと)
郝洪軍・著 中国三峡出版社 2010年1月初版
中国の公安当局らは昨年末から、中国サッカー界にはびこるヤミ賭博と八百長の一掃をめざして捜査を本格化させている。今年1月には捜査の一環で、中国サッカー協会の南勇副主席、楊一民副主席らが当局に連行されている。
こうしたなか、今回のベストセラー第1位に踊り出たのが、サッカー界の“黒い内幕”をあばいたノンフィクション『中国足球内幕』。そして第4位となった本書も、ジャーナリストの著者が、サブタイトルにあるとおり「中国足壇反賭打黒第一現場」(中国サッカー界のヤミ賭博・犯罪組織取り締まりの最前線)に迫ったものだ。
4年ほど前、遼寧省サッカークラブの理事長を務めた著名コメディアン・趙本山氏が、理事長職を辞任し、同クラブから離れた事情の真相についても明かしている。巻頭には趙氏本人の推薦のことばがあり、「八百長は消費者をだます行為だ。(中略)コペンハーゲンは地球を救い、彼(著者)はサッカー界を救う。中国サッカーが健全なものとなり、サッカーファンが楽しみたいという目標はみな同じで、それは手の届かない望みではないはずだ!」と記されている。
5.『失落的秘符』(ロスト・シンボル)
ダン・ブラウン著(米) 朱振武ら訳 人民文学出版社 2010年1月初版
6.『低碳之路』(低炭素の路)
熊焰・著 中国経済出版社 2010年1月初版
2009年、中国の胡錦濤国家主席は国連の気候変動サミットで「中国は2020年までにGDP単位当たりのCO2排出量を05年より顕著に削減することを目指す」として、その上で「グリーン経済、低炭素経済、循環型経済を大いに発展させる」と強調した。
これを受けて最近、中国メディアでもよく話題に上るのが「低炭素経済」だ。二酸化炭素や汚染物質の排出を抑え、エネルギー消費の削減をめざす経済のことである。
本書は、北京環境交易所董事長の著者が、気候変動枠組み条約などの世界情勢をふまえた上で、行政や企業、個人がどう「低炭素社会」を構築するかを提言している。北欧の省エネ事情や日本の「低炭素都市」の取り組み、中国の現状などを紹介しながら、クリーン社会への意識改革の必要性を唱えている。
7.『康震評説唐宋八大家・韓愈』(康震が唐宋8大文学者・韓愈を論ずる)
康震・著 中華書局 2010年1月初版
中国の文学博士であり、現在、北京師範大学文学院副院長・教授である著者が、中国中央テレビ(CCTV)の人気レクチャー番組「百家講壇」の講座をまとめた。「唐宋八大家」とは、唐宋時代の8大文学者――唐の韓愈、柳宗元、宋の欧陽修、蘇洵、蘇軾、蘇轍、王安石、曽鞏――のことをさしている。
そのうちの1人、韓愈は「屈強な儒家道徳の提唱者であった」と本書。父と兄を失い、苦労して育った幼年期から、進士に及第して官歴を重ねた青年期、儒学を尊び、仏教・道教を排撃したことで時の憲宗皇帝の逆鱗にふれ、左遷された壮年期など、その数奇な運命をふりかえりながら、彼の提唱した「古文復興運動」を見つめ直す。この文学革新の運動は、のちの宋代にまで影響を与えたといわれる。
本書では、この傑出した文学家であり、思想家、政治家、外交家、軍事参謀、そして教育家であったという韓愈その人の人生と功績をわかりやすくレクチャーする。
8.『宝貝,宝貝』(いとし子よ)
周国平・著 江蘇人民出版社 2010年1月初版
著者の周国平氏は、中国社会科学院哲学研究所の研究員で、中国のニーチェ研究の第一人者。
1996年以降、中国で出版された『妞妞:一個父親的札記』は、不治の病でこの世を去った愛娘のはかない生涯をつづり、中国で一大ロングセラーとなった(日本では03年、『ニュウニュウ―18カ月で娘を喪った哲学者の至上の愛』として翻訳版が出版されている)。
本書は、後にニュウニュウの妹として生まれた啾啾(ジュウジュウ)の物語。
「宝貝, 宝貝,我的女兒,我的生命中的時光」(いとし子よ、私の娘、私の命の歳月よ)……。
その愛情をいっぱいに注ぎながら、「人生でもっとも貴重な」おさな子の成長過程を見つめる、やさしい父親のエッセイ風の記録である。
9.『第二次改革』
遅福林・著 中国経済出版社 2010年2月第3刷
著者は、「新中国60年の経済建設に影響を与えた経済学者100人」のうちの1人で、現在は中国(海南)改革発展研究院院長などを務める。
本書では、今後30年の中国で予想される「消費主導」「都市化」「低炭素経済」「政府転換型」の時代を分析。世界の金融危機以降、中国が強国の道をいかに探るべきかとして、政府転換型の行政管理システム改革、税収システム改革など、管理体制改革や内需拡大策の推進を唱えている。
10.『朱鎔基答記者問』(朱鎔基が記者の質問に答える)
《朱鎔基答記者問》編集組・編 人民出版社 2009年8月初版
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