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2009年3月

 中国でなぜ人気? 山岡版『徳川家康』

      
   
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山岡荘八の歴史小説『徳川家康』の中国語版(南海出版社)が、大陸部で売り上げ計200万部を超える快進撃を続けている。16~17世紀の日本の将軍を描いた小説が、中国で人気を呼んでいる意外な現象については、3月7日付の英紙『タイムズ』でも報じられた(香港『中国評論新聞』)。
同書が「深刻な金融危機を乗り越えるためのテキスト」であり、「日本に追いつき追い越すための必読書」(中国メディア)であるといった魅力もあるが、それだけではない。20~30代の若い世代が興味を持つのは、中国でも人気のゲームソフトの影響を抜きにしては語れないようだ。

   
 

■ ブームは台湾から?

bj200903_02山岡荘八著の『徳川家康』は、1950年から67年まで足かけ18年にわたって新聞連載された大河小説。戦乱の世に終止符を打ち、徳川幕府200年の太平の世を拓いた人間・家康の生涯を余すところなく描いている(現在は講談社・山岡荘八歴史文庫に収録、全26巻)。
この長編小説の第1巻「乱世孤主」が、大陸部で翻訳出版されたのは2007年11月。以来これまでに最終巻の「長河落日」まで全13巻が出版され、合計200万部を超える売り上げを記録した。先ごろはまた、中国メディア40社以上に「2008年度最優秀外国書籍」として選ばれたという(地元紙)。

しかし、なぜここへきて日本の歴史小説が、中国史上空前ともいうべき大ヒットを飛ばしたのか?
じつは中華圏では早くから家康ブームが沸き起こっていた。台湾では繁体字版が1980年代に出版され、今でも新しいファンを増やし続けているという(『海峡都市報』電子版)。
大陸側も、そうした息の長い流行を見逃さなかった。版元である南海出版社(海口市)は、台湾にいた著名作家で故人の柏楊(ポー・ヤン)氏の言葉を借りて「中国で『徳川家康』に並ぶのは『資治通鑑』(北宋の司馬光が編纂した歴史書)と『三国演義』(三国志)だ」などと大々的にPRした。中国語でいう「名人効応」(有名人効果)をねらったというわけだ。
香港・台湾の進んだ文化を積極的に取り入れる大陸部では、近年の中台接近ムードも追い風となって、如才なく中華圏の家康ブームに乗じたといえるだろう。。  

■ 金融危機と日本への関心

昨年来の世界的金融危機が、かえって功を奏したと見るのは『タイムズ』である。
中国での意外な家康ブームについて、同紙は「深刻な金融危機に直面し、中国の多くのビジネスマンが(これを乗り越えようと)徳川家康に学んでいる」(7日付)などと論評した。
その上で「家康の苦難の生涯から、成功と自律、勝利を手にする秘訣がうかがえた」とする中国ファンのコメントを紹介。『徳川家康』が未曾有の経済危機を乗り越えるためのテキストになっている、と分析したのである。これについては、同書中国語版の編集者も「ますます深刻化する金融危機が、本書の売り上げを後押しした」(甘粛在線=電子版)と認めている。

さらに、同書の出版関係者はこうも語る。
元駐日アメリカ大使のライシャワー氏の言葉を引用して「(本書は)日本を知り、追いつき追い越すための必読書であり、日本の歴史、文化がわかる重要な読み物である」(『海峡都市報』電子版)と。
「中国人の多くは、今でも日本や日本人に対して複雑な感情を抱いている。それでいて若い世代は日本への理解が少なく浅い。そうした中で、一国を治め、日本に最大の功績をもたらした歴史的人物・家康を知ることは、日本の国と民族、文化の由来を知ることになる。“武”と“柔”の2つの文化の併存を知ることになるのです」(同)

bj200903_03北京の大型ブックストア・王府井書店の日本文学コーナーを訪れると、小林多喜二著『蟹工船』(訳林出版社)、リリー・フランキー著『東京タワー』(中信出版社)、田辺聖子著『新源氏物語』(上海訳文出版社)、京極夏彦著『姑獲鳥の夏』(世紀文景出版社)など、日本の最近刊ベストセラーの翻訳書がずらりと並んでいる。そのジャンルの広さ、出版数の多さは、外国文学の中でもトップクラスだ。
近年、日中関係が雪解けムードに転じてからの傾向であろうが、それにしても中国の人々が“複雑な感情”を抱きながらも日本への関心を強めていることがうかがえる。
家康人気も、こうした“日本書ブーム”があってこそ、といえなくもなさそうだ。

bj200903_04■ ゲームソフトの影響も

人気の理由はそればかりではない。
『徳川家康』のヒットに、日本のゲームソフトの影響を見ているのは、北京の清華大学大学院で航空工学を専攻する黄さん(26歳)だ。黄さんは同大学のアニメサークル「次世代文化と娯楽協会」の代表でもあり、日本のアニメや漫画、ゲームに詳しい。
黄さんによると、中国の10~20代には、関ヶ原の戦いなどを描いたゲーム「戦国無双」が、また30代以上の世代には戦略ゲーム「信長の野望」が人気だという。

「前者は、日本の戦国時代を舞台に、真田幸村や織田信長といった好きな武将を操縦し、華麗な武技で、敵軍の“ザコ”キャラクターたちをボコボコにやっつけたり、名武将との間で決闘をしたりする痛快なゲーム。後者は、自分が君主になって領地を豊かにし、軍事力を備えて合戦を繰り広げ、やがては日本を統一するという壮大なゲームです。山岡版『徳川家康』の人気は、こうしたゲームファン層が支えている可能性がある」
とりわけ支持者は、30代以上の青年たち。10年ほど前にはやった「信長の野望」ゲームのファン層だという。
「僕たち20代の若者には、全13巻をそろえる資金力も、時間もないからですが(笑)、機会があったら『徳川家康』をぜひ読みたい。戦国ゲームにはまり込み、大学卒業後は元の専攻を蹴って、日本の歴史を研究しようと大学院進学をめざしている友人もいるくらいなんですよ」

さまざまな好条件が重なって、中国で沸き起こった家康ブーム。金融危機もなんのその、徳川家康の名声は400年の時を超えて、中国全土にとどろいているかのようだ。

   
   
bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2009年3月5日~3月11日

     
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1.『従頭到脚説健康』(頭から足まで健康を語る)
曲黎敏・著 長江文芸出版社 2008年7月初版


2.『杜拉拉2 華年似水』(杜拉拉2 青年は水の如し)
李可・著 陝西師範大学出版社 2009年1月初版


3.『魔法誘惑』(マジックの誘惑)
劉謙・著 北京出版社 2009年2月第8刷 


――日本の紅白歌合戦にあたる旧暦大晦日の人気テレビ番組「春節聯歓晩会」(春晩)。歌あり、踊りあり、コントありと盛りだくさんのエンタテインメント番組だが、今年人気をさらった1人が台湾のイケメン・マジシャン、劉謙だった。
華麗な手さばきとクールな笑顔に、中国の視聴者たちは熱狂。その影響でテーブルマジックや関連グッズがちょっとしたブームになっているほどだ。
本書(原書の簡体字版)も2006年の初版から今年2月で8刷を数え、劉謙人気を裏付けている。トランプ、コイン、輪ゴム、タバコ、マッチといった日用品で、カンタンにできるテーブルマジックを惜しげもなく紹介。続編もすでに出版されている。


4.『求医不如求己3』
中里巴人・著 江蘇文芸出版社 2008年11月初版
 


5.『老子的帮助』(老子の助け)
王蒙・著 華夏出版社 2009年1月初版


――中国の元文化相で作家協会副主席という文学界の重鎮・王蒙。『我的人生哲学』『青狐』などのベストセラーでも知られる作家が、「老子」全81章の現代意訳を試みた異色作。
「老子は、現代人にどんなことを教えてくれるか? 老子が提唱したのは“無為”(何もせず自然に任せる)の思想であったが、私の経歴は“懸命にやる”“やむをえずやる”の結合だった。そこで私は、私の経験から老子の学説を検証してみたのである」(王蒙)
まさに現代版の“衆妙之門”(全ての妙を生み出す門――老子)であろう。


6.『我的団長我的団』(下)
蘭暁竜・著 新星出版社 2009年1月初版


――抗日戦争末期を背景に、国民党捕虜兵士からなる一軍の角度から、国共合作の闘志と苦難の戦いを描く。作家の蘭暁竜は、1997年中央戯劇学院を卒業し、北京軍区戦友話劇団で脚本家として活躍。創作現代劇「愛爾納・突撃」が2005年に老舎文学賞を受賞。
本書『我的団長我的団』を原作とするテレビドラマが3月現在、北京テレビで連続放送されており、今後も全国のローカルチャンネルで放送が予定されている。。


7.『銭文忠解読《三字経》』(上)
銭文忠・著 中国民主法制出版社 2009年2月初版


――大人気のレクチャー番組、中国中央テレビ(CCTV)「百家講壇」の講座をまとめたもの。著者は現在、復旦大学歴史学部の教授。
『三字経』は、宋代の儒者・王応麟らが編纂したといわれる道徳教育のテキストで、韻をふんだ3字1句、計1000字余りの漢文からなっている。その内容は、歴史、天文、地理、倫理、道徳、民間伝説と幅広い。日本でも江戸時代に寺子屋で使われていたというが、なるほど「玉不琢,不成器」(たまみがかざれば、きをなさず)などの言葉は、今の日本でもよく知られている。
著者によると『三字経』の教えは、現代においても重要な意義があり、社会的効用があるという。


 8.『生死之戦――達能娃哈哈国際商戦内幕』(生死の戦い――ダノン・ワハハ国際商戦の内幕)
銭衛清・著 北京出版社 2009年1月初版


――著者は、企業戦略管理の専門家で、清華大学の客員教授。
フランスの大手食品メーカー・ダノンと、中国最大手飲料メーカー・娃哈哈(ワハハ)集団は中国に合弁会社を設立しているが、そのうち1社の100%子会社が「娃哈哈」の商標で飲料などを生産した。娃哈哈との合弁で51%の株式を保有するダノンは、これは契約違反の商標使用であるとして2007年6月、米カリフォルニア州最高裁判所に商標権侵害で関連企業を提訴。中国で「達娃の争い」といわれ、世界的にも注目される商標権トラブルへと発展した――。
争いは今もこう着状態のようだが、この問題は、中国での合弁会社の難しさを改めて浮き彫りにしたといわれる。
本書は「達娃の争い」が「改革・開放以来最大の国際商戦」「民族ブランドと資産の保護戦争」であるとして、中国側の立場からその内幕に迫ったビジネス書。「本土企業グローバル化競争の優勢と出路を見出す」「企業管理人、必読の書」とある。


9.『明朝那些事儿(陸)』(明朝それらのこと6)
当年明月・著 中国海関出版社 2008年12月第3刷


10.『朗読者』(Der Vorleser)
ベルンハルト・シュリンク著(独) 銭定平・訳 訳林出版社 2009年3月第2刷


――今年の米アカデミー賞で主演のケイト・ウィンスレットが主演女優賞を受賞、作品賞・監督賞部門でもノミネートされた映画「朗読者」(日本公開タイトル「愛を読むひと」)。その原作の中国語版である。
21歳年上の謎めいた女性ハンナと恋に落ちる15歳の少年ミヒャエル。ある日突然、姿を消したハンナだったが、のちに再会した彼女は、ナチスの罪を裁く法廷の被告席に座っていた……。
愛と戦争のはざまを鋭く描き、現代ドイツ文学を代表する世界的ベストセラー。日本では2003年に『朗読者』(新潮文庫)として翻訳出版されている。


 
 
     

■北京便り――おわりに

bj200903_11今月号の特集「山岡版『徳川家康』」でも少し触れましたが、中台の接近は、書籍販売の分野でもじわじわと進められているようです。
今年3月に創業20周年を迎えた台湾の大手書店「誠品書店」はこのほど、3~5年以内に大陸部に支店を開く計画を明らかにしました(『新京報』3月12日付)。
「誠品書店」は台湾各地に計45店舗をかまえ、来客数は年間のべ8000万人超を数える大手です。台湾では書籍の販売のみならず、ライブ、展覧、講演、レストランなどを提供する複合型カルチャーセンターとして業務を拡大しているのだとか。
このほど北京を視察した同店の関係者は「(大陸でも)一定の規模を確保して、販売スタイルは読者の要求を見きわめたい」と語っていたそうですが、すでに“飽和状態”だといわれる大陸部の大型書店。オンライン書店も普及する中、厳しい販売競争に台湾ブランドが打ち勝てるのかどうか――。同業者の注目もますます高まっているようです。

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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