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2009年2月

 春節のヒット、牛年の運勢本あれこれ

      
   
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今年は牛(丑)年。中国では、牛に対して「実直、強い、働き者」といった良いイメージを持つことが多く、そのせいでしょうか? ここ北京では、不況をめぐる深刻な悲壮感にはまだ覆われていない模様です。
今年の春節期間中(旧暦の大晦日から小正月まで、今年は1月25日~2月9日)、縁日の廟会やデパートなどでは例年を上回る賑わいを見せていたようですが、書店もどうやら例外ではありません。
とりわけ今年の運勢を占う「牛年の運勢本」に注目が集まっており、書店によっては春節前の1週間で、関連本を各100冊以上売り上げたところもあったとか。
春節の書店人気と「牛年の運勢本」、そのあれこれについて見てみました。

   
 

bj200902_02春節休みに廟会やデパート、レストランのみならず書店へ足を運ぶのは、もはや人々の習慣になってきたようです。
国営・中国中央テレビ(CCTV)の人気ドキュメンタリー「焦点訪談」によると、今年の春節期間中、北京図書大廈、深圳書城、上海書城、天津図書大廈、瀋陽新華書店など全国の主要書店では、販売額と客足がそれぞれ(前年同期比)平均20%増を記録。
北京の大型書店・北京図書大廈を例にとれば、1月25日から2月8日までの客足はのべ80万人、販売額は2800万元(1元は約13円、3億6400万円)超となり、いずれも前年同期比20%の伸び。春節期間における売り上げの過去最高を記録したそうです(「焦点訪談」2月9日放送分より)。

そうした中で、とくに人気を集めていたのが牛年の運勢本。『牛年運程』という運勢本にいたっては、同じタイトルのものが別の出版社から複数冊でています。
王府井書店などの市内の大型書店では、このほど“牛年本”専用コーナーが設けられました。書店によっては春節前の1週間で『牛年運程』をそれぞれ100冊以上売り上げたところもあったそうです(『法制晩報』1月18日付)。
春節休みに王府井書店を訪れた私も、『牛年運程』を1人で何冊も買い込んだり、長時間専用コーナーで読書にふけったりする人を目撃しました。こうした本は、家族や友人同士で楽しめるとあって、お年始回りの格好の贈答品になっているようです。

“牛年本”のいくつかを見てみると――。  

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①『牛年運程』、東籬子・編著(中国商業出版社、2008年10月初版)
 ――「十二支の起源」「十二支と陰陽五行(古代思想)」などの全般的な解説から、干支別の運勢までを網羅。干支別の今年の運勢では、年間、月間、事業、財産、愛情、健康などの項目に分けて、干支の運勢それぞれを占っていてわかりやすい。
「自己を深く理解して、吉を招いて凶を免れ、成功に近付こう」と本書は語る。

②『牛年運程』、仲侯・編著(中国商業出版社、2008年10月初版)
 ――編著者の仲侯氏は「十二支文化研究」で知られる学者。2004年以来、6年連続して干支の運勢本を出版し、各大型書店でベストセラーになっているという。

③『牛年運程』、呉長坤・編著(群言出版社、2008年11月初版)
 ――本書によると、中国の古代人は「干支は、人生と運命の本(もと)。生命の由来であり、人の一生の運命を決めるもの。そのため干支を敬い、守り、冒涜してはならない」と考えていた。「現代人からするとこうした見解は科学的な根拠に欠けるが、それでも現在、干支は依然として各世代の人々に影響を与えている」という。
本書では、牛年の干支ごとの事業、金運、愛情、健康に対する占いをはじめ、干支別の星座占い、血液型占いなどもある。東西思想の融合が今風であるし、ユニークだ。

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④『十二生肖 牛』、李子鳴・編著(大象出版社、2008年1月初版)
 ――文芸作品に出てくる「牛」について紹介。「知識性と鑑賞性、面白さが一体となった読み物」と本書に。牛年の大事件、牛年の有名人、牛に関する成語、ことわざ、なぞなぞ遊びなどを紹介している。

⑤『星座小王子 2009星座運程』、星座小王子・著(上海錦綉文章出版社、2008年11月初版)
 ――中国の若い女性に人気の星座本も1冊ご紹介しておこう。占星術による2009年の運勢本だ。
著者の星座小王子氏の素性は明らかにされていないが、香港をスタートにアジアで人気№1となった占星術師。もともと鳳凰衛視(衛星テレビ)、重慶衛視などで司会を務めたこともあり、各種メディアでの占星術ブームの火付け役の1人となった。
本書では、星座ごとの2009年総体、愛情、学業・事業、財産などの運勢、開運の秘訣、月ごとの運勢などについて、イラストを交えわかりやすく紹介。
「来たる1年の趨勢を知り、心の準備をして、積極的に楽観的にこれに立ち向かおう」「人生の重要な1年に神秘的な色彩を添え、さらに長い未来のために十分な準備をしよう!」と本書は語る――。

bj200902_08歴史は古く、中国の商(殷)代(紀元前16世紀~前1043年)までさかのぼり、陰陽五行説とも結びついてさまざまな占いに活用されたという「干支」の思想。
旧習を廃した“文革”などの影響で、何度も消滅しかけましたが、約3000年もの時空を超えてこうして今も生きています。(私も今回読んでみて、強く引きつけられましたが)そこには何か、人々の心を捉えてはなさない神秘的な魅力があるのでしょう。牛年本のヒットがそれを物語っているようです。

   
   
bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2009年1月29日~2月4日

     
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1.『杜拉拉2 華年似水』(杜拉拉2 青年は水の如し)
李可・著 陝西師範大学出版社 2009年1月初版


――昨年ベストセラーになった話題の“職場(オフィス)小説”、『杜拉拉昇職記』(杜拉拉のプロモーション)の第2弾。
第1弾と同様に、外資系企業で働く若いヒロイン、拉拉(ララ)の奮闘ぶりと人間模様をリアルに描き出している。英語が公用語の職場でバリバリと仕事をさばき、恋に悩み、さらなるステップアップを目指して、転職すらも視野に入れはじめる拉拉。帯にもある通り「現実主義的な職場小説」として、中国ホワイトカラーたちの熱い支持を受けている。


2.『絶対小孩2』(ぜったい子ども2)
朱徳庸・著 現代出版社 2009年1月初版


――台湾の売れっ子漫画家・朱徳庸の最新作。同シリーズ第1作は、大陸では2007年5月に上海錦綉文章出版社から出版されている。
繊細なタッチ、独特なキャラクターの4コマ漫画は、なおも健在。小憎らしくも愛らしい子どもたちの自由闊達な世界が描かれていて、思わずクスリとさせられる。全編カラーの豪華版。


3.『従頭到脚説健康』(頭から足まで健康を語る)
曲黎敏・著 長江文芸出版社 2008年7月初版


4.『秘密』(ザ・シークレット)
ロンダ・バーン・著(豪) 謝明憲・訳 中国城市出版社 2008年11月初版
 


5.『明朝那些事儿(陸)』(明朝それらのこと6)
当年明月・著 中国海関出版社 2008年12月第3刷


6.『先秦諸子百家争鳴』
易中天・著 上海文芸出版社 2009年1月初版


――大人気のレクチャー番組、中国中央テレビ(CCTV)「百家講壇」の講座をまとめたもの。
著者は、CCTVの同番組とタイアップした著書『品三国』『品人録』『漢代風雲人物』などで大ブレイクしたアモイ大学教授。「百家講壇」のスター講師として知られるが、易氏が離れて以来、番組の視聴率が急落したことから再び請われて新講座を設けたといわれている。
今度のテーマは、2000年以上前の先秦時代(春秋戦国時代)に現れた思想家・学派の「諸子百家」。本書の内容も「実話孔子」「儒墨之争」「儒道之争」「儒法之争」などと幅広いが、易氏は「諸子百家は、中国古代300年以上にわたる大弁論」「中国の思想史上のオリンピック」などとわかりやすくレクチャーし、歴史マニアの心をつかんだようだ。


7.『杜拉拉昇職記』(杜拉拉のプロモーション)
李可・著 陝西師範大学出版社


 8.『我父親的夢想 奥巴馬回憶録』(我が父の夢 オバマ回想録)
バラク・オバマ・著(米) 訳林出版社 2009年1月初版


――アメリカ合衆国第44代大統領、バラク・オバマ氏初の自伝。アフリカ系黒人の父とアメリカ人の白人の母を持つ彼は、父の急死でケニヤへ飛ぶ。そこで知ったのは父の苦悩と見果てぬ夢、そして自分が歩むべき道だった。家族と人種をめぐる感動の真実が、叙情的筆致によって明らかにされる……。
中国語版の帯には「孫中山(孫文)氏は中華民国臨時大総統、オバマ氏はアメリカ初の黒人大統領。ハワイの同じ学校(有名私立小中高一貫校)から2人の総統が輩出したのは、まさに美談」「オバマ氏の成長、家族愛、友情と愛が本書に」とある。
英語の原書は、オバマ氏が米国上院議員の民主党候補になった2004年当時の出版。
日本ではダイヤモンド社から『マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝』として2007年12月に翻訳出版されているが、ここへきて改めて注目を集めているという。


9.『藏地密碼5』(チベット・コード5)
何馬・著 重慶出版社 2009年1月初版


10.『求医不如求己3』
中里巴人・著 江蘇文芸出版社 2008年11月初版


 
 
     

■北京便り――おわりに

bj200902_12私旧正月のラストを飾る元宵節(小正月、今年は2月9日)の夜、北京市内で起きた高層ビル火災は痛ましい出来事でした。原因は、CCTVの関係者が違法に打ち上げた式典用の大型花火。この火災により、29歳の消防士1人が死亡。 ほかに建設作業員1人と消防士6人の計7人が負傷しました。
亡くなられた勇敢な消防士のご冥福をお祈りし、負傷された方々および関係者の皆さんにお見舞いを申し上げます。ビルはオープン直前でしたが、かえってそれが不幸中の幸いだったといえるでしょう。
火災をめぐっては、さまざまな問題が浮き彫りとなりました。
ビルの防火システムの見直し、消防車の緊急走行の優先、市民の防火・防災意識の向上などなど。北京では「円明園の焼き討ち(1860年)、八カ国連合軍の北京侵攻(1900年)に続く、3回目の大火事」という噂もあります。年の始めの惨事でしたが、これを重い教訓として再発防止に努めてもらいたい。北京市住民の一人としても心から願っています。

(写真は、火災のあったCCTV新社屋の付属高層ビル)

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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