1.『明朝那些事儿(陸)』(明朝それらのこと6)
当年明月著 中国海関出版社 2008年12月第3刷
大手ポータルサイト・新浪ネットのブログが火を噴き、書籍化されたのが2006年9月。以来シリーズ化されて、合計約300万部のベストセラーに。本書はその第6巻(出版社は本書より変更)。第6巻では明代末期、宦官・魏忠賢の興起や名将・袁崇煥の奮戦といった歴史的エピソードを描く。
「中国最後の漢人王朝(明朝)の栄枯盛衰」をテーマに、皇帝から王侯貴族、一般の人たちにまで命をふきこみ、小説仕立てで歴史をひもとく。そこに新しさと面白さがあったようだ。
2.『杜拉拉2 華年似水』(杜拉拉2 青年は水の如し)
李可著 陝西師範大学出版社 2009年1月初版
昨年ベストセラーになった話題の“職場(オフィス)小説”、『杜拉拉昇職記』(杜拉拉のプロモーション)の第2弾。
第1弾と同様に、外資系企業で働く若いヒロイン、拉拉(ララ)の奮闘ぶりと人間模様をリアルに描き出している。英語が公用語の職場でバリバリと仕事をさばき、恋に悩み、さらなるステップアップを目指して、転職すらも視野に入れはじめる拉拉。帯にもある通り「現実主義的な職場小説」として、中国ホワイトカラーたちの熱い支持を受けている。
3.『秘密』(ザ・シークレット)
ロンダ・バーン著(豪) 謝明憲訳 中国城市出版社 2008年11月初版
4.『滚雪球:巴菲特和他的財富人生』
(雪だるま式:バフェットとそのビジネス人生、上下巻)
アリス・シュローダー著(米) 覃揚眉など訳 中信出版社 2009年1月初版
全米で話題となった、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の最新自伝の中国語版。元保険アナリストで著者のアリス・シュローダー氏が、バフェット氏への密着取材や往復書簡、資料をもとに「投資の神様」の知られざる半生を描き出している。
原書の版元・米バンタムグループと昨年秋に版権契約を交わした中信出版社は、精鋭の翻訳者5人をそろえて、約2カ月という超スピードで本書を刊行。世界的金融危機に見舞われる現在、バフェット氏のいう「大きな雪だるまを作るように」地道で、根気のいる投資スタイルが、中国でも関心を集めているようだ。
5.『不生病的知慧4』(無病の知恵4)
欒加芹著 江蘇文芸出版社 2009年1月初版
中医学博士の欒加芹氏が、五経の1つ『易経』や現存する中国最古の医学書『黄帝内経』などをひもときながら、「医学と易」から病を治す方法を説く。
漢方薬とツボを合わせることによって、人間の8大系統「脳、脾、胃、心、腎、胆、肺、肝」を守ることができるという健康法「8大薬物帰経保健法」を紹介。高血圧や糖尿病、不眠症などの現代病にも効くという対処法も。
6.『沈思録』(Meditations)
マルクス・アウレリウス著 何懐宏訳 中央編訳出版社
7.『求医不如求己3』
中里巴人著 江蘇文芸出版社 2008年11月初版
8.『藏地密碼5』(チベット・コード5)
何馬著 重慶出版社 2009年1月初版
チベット仏教1000年の秘史を尋ねる「百科全書タイプ」の長編小説。紀元838年、吐蕃ランダルマ王の「廃仏」により、いっさいの仏教信仰が禁止された。膨大な数の経典や仏像などが僧侶たちに埋蔵されたが、現代の考古学者や生物学者、特殊兵、密教修行者からなる探検隊が、秘宝のゆくえを追ってチベットの奥深くへと分け入る。
歴史、地理、科学といった角度からチベットの神秘のベールを剥がす本書は、中国のオンライン書店「当当ネット」「卓越ネット」で連続25週間、小説部門のベストセラー第1位に輝いたという。
9.『大猫兒的TT奮闘史』(ダーマオルのTT奮闘史)
阿巳著 国際文化出版公司 2009年1月初版
中国の広告代理店に勤める若い女性・大猫兒(ダーマオル)。“できる広告人”を目指していたが、ある日、飛び込んできた仕事は、最新の国産安全コンドーム「TTブランド」のプロモーション。伝統的観念と先端をいく性文化のハザマで揺れ動きながら、友人たちの協力を得つつ、斬新な広告作りに没頭していく。
働く女性の成長物語を軸に、中国の若者たちの友情、恋愛、トレンドなどを織り交ぜたファッション感覚のオフィス小説。
10.『非誠勿擾』
馮小剛著 長江文芸出版社 2008年12月初版
この年末年始に大ヒットを飛ばした中国映画『非誠勿擾』のノベライズ版。正月映画のヒットメーカーといわれる馮小剛監督が、自らのシナリオを書籍化した。
タイトルの「非誠勿擾」とは、直訳すれば「誠にあらずんば、擾(みだ)すなかれ」だが、意訳すれば「本気でつきあえる人を望む」ほどになろうか。中国では、大衆紙などの結婚相手の募集広告でよく使われる言葉である。
過去の恋愛で心に傷を持つ主人公の中年男性・秦奮が結婚相手を求めて東奔西走、やがて訳アリの女性・梁笑笑と心を通わせていくというハートフルな物語。クライマックスを迎える後半の舞台に日本の北海道が登場し、物語を盛り上げている。
映画では、小気味のいいセリフ回しが評判になったため、「小説でも改めて楽しみたい、感動したい」という人が増えているのだろう。
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