中国・本の情報館~東方書店~
サイト内検索
カートを見る
ログイン ヘルプ お問い合わせ
トップページ 輸入書 国内書 輸入雑誌  
本を探す 検索 ≫詳細検索
東方書店楽天市場店「東方書店plus」
楽天市場店 東方書店plus
 
各種SNS
X東方書店東方書店
X東京店東京店
X楽天市場店楽天市場店
Instagram東方書店東方書店
Facebook東京店東京店
 
Knowledge Worker
個人向け電子書籍販売
 
BOOK TOWN じんぼう
神保町の書店在庫を横断検索
 
日本ビジネス中国語学会
 
北京便り
上海便り
ネット用語から読み解く中国
 
bei_title  
 
 
 
   
2009年1月

 低俗サイト一掃で、ネット文学も対象に

      
   
 bj200901-08

 

   
 

中国の建国60周年にあたる今年に入り、中国政府がインターネット上のわいせつ情報などに対する取り締まり強化に着手している。「低俗サイト」一掃キャンペーンが全国展開されているのだが、その対象となるサイトには、大手ポータルサイトのリンク先のみならず、オンライン書店のネット文学、ネット出版物なども含まれるという。
ある大手オンライン書店の関係者は「投稿された(文学)作品の中には確かにわいせつ情報を含むものもあるが、我々は掲載を拒絶している」として強気の構えを見せているが、「一部サイトには(リンク先や掲載内容を)管理・監督するための資金不足があるのが実情だ」と認めている。

1989年の天安門事件から20年となる今年は、政治的に「敏感な年」といわれる。昨年末には中国共産党が「世論宣伝の管理を強化する」方針を打ち固めたとされており、今回のネット規制も「世論管理の強化」の一環だと見る向きもある。
今年に入り、相次いで行われているネット規制の現状は――。

■グーグルも対象、726サイトが閉鎖


地元紙などによると中国政府は1月5日、ネット上のわいせつ情報などの取り締まりを強化する対策「全国整治互聯網低俗之風」(ネット低俗傾向の全国的取り締まり)を決定。米ネット検索大手・グーグルや中国のネット検索大手・百度(バイドゥ)といった19のサイトについて「低俗な内容を含んでいる」として公表し、善処を求めた。
ついで、8日に米マイクロソフトが運営するポータルサイトの中国語版「MSN中国」など14サイトが、12日には党機関紙『人民日報』が主管する北京の総合紙『京華時報』のネット版「京華網」など17サイトが、さらに19日には「中国娯楽網」など12サイトが「低俗サイト」として公表された。
いずれもリンクされているサイトの中に、わいせつ情報、誹謗中傷、プライバシーの侵害、暴力の宣揚といった内容を含むものがあると判断されたためである。
これにより19日までに名指しで批判された大手サイトは計62に上り、各リンク先で「違法」とされた計726サイトが相次いで閉鎖されたという(人民ネット15日付)。

bj200901-05  

■「世論管理の強化」の一環か?


ネット文学といえば、韓寒や郭敬明ら「八〇後」「九〇後」といわれる中国の若手作家を生み育ててきた新ジャンルである。作家たちはサイト上で作品を連載しながら人気を集め、出版化してベストセラーを連発してきた。
若手作家はいわば現代っ子のオピニオンリーダー的存在なのだが、今回はそんな彼らの“表現の場”であるネット文学、ネット出版物にまで、規制の手が伸びたのである。低俗サイト取り締まりへの当局の強い覚悟がうかがえるものだ。
これに対し、大手オンライン書店「起点中文網」は「投稿作品の中には確かにわいせつ情報を含むものもあるが、全体の5%にも満たず、我々は(それに対して)掲載を拒絶している」と強調する。しかしその一方で「一部のサイトには(リンク先や掲載内容を)管理・監督するための資金不足や、アクセス数を伸ばしたいといった理由がある」と認めている(『新京報』14日付)。

昨年末には、中国人学者や作家など303人が共産党の独裁体制を批判し、政治体制の改革を求めた「08憲章」をインターネット上で発表した。起草者の1人、著名な作家の劉暁波氏はすでに拘束されたという。また、今年1月12日には、中国の学者や弁護士ら22人が、国営中央テレビ(CCTV)に対し「洗脳を拒絶する」などとして、視聴をボイコットする宣言をインターネット上で発表している。
89年の天安門事件から、今年はちょうど20年。奇しくもここへきて中国の民主化を求める言論がネット上をにぎわせている。
一方で、こうした動きを阻止するためか、中国共産党が昨年末に「世論宣伝の管理を強化する」方針を打ち固めたとされている(『産経新聞』電子版1月11日付)。今年に入っての低俗サイト一掃も「世論管理の強化」の一環だと見る向きもある。

「敏感な年」の初め、水面下ではなにやら“言論”の攻防戦が繰り広げられている。建国60周年という干支が一巡した中国で、新たな動きが起こるのかどうか? ネット規制の動きとともに“敏感”になって、見つめていく必要がありそうだ。

bj200901-06

bj200901-07
※ 関連ウェブサイト
人民ネット「互聯網低俗之風」(写真も)
http://it.people.com.cn/GB/119390/118342/142545/

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2009年1月1日~1月7日

     
bj200901-09

bj200901-10

bj200901-11

bj200901-00

bj200901-01

bj200901-02

bj200901-03
 

1.『明朝那些事儿(陸)』(明朝それらのこと6)
当年明月著 中国海関出版社 2008年12月第3刷


大手ポータルサイト・新浪ネットのブログが火を噴き、書籍化されたのが2006年9月。以来シリーズ化されて、合計約300万部のベストセラーに。本書はその第6巻(出版社は本書より変更)。第6巻では明代末期、宦官・魏忠賢の興起や名将・袁崇煥の奮戦といった歴史的エピソードを描く。
「中国最後の漢人王朝(明朝)の栄枯盛衰」をテーマに、皇帝から王侯貴族、一般の人たちにまで命をふきこみ、小説仕立てで歴史をひもとく。そこに新しさと面白さがあったようだ。


2.『杜拉拉2 華年似水』(杜拉拉2 青年は水の如し)
李可著 陝西師範大学出版社 2009年1月初版


昨年ベストセラーになった話題の“職場(オフィス)小説”、『杜拉拉昇職記』(杜拉拉のプロモーション)の第2弾。
第1弾と同様に、外資系企業で働く若いヒロイン、拉拉(ララ)の奮闘ぶりと人間模様をリアルに描き出している。英語が公用語の職場でバリバリと仕事をさばき、恋に悩み、さらなるステップアップを目指して、転職すらも視野に入れはじめる拉拉。帯にもある通り「現実主義的な職場小説」として、中国ホワイトカラーたちの熱い支持を受けている。


3.『秘密』(ザ・シークレット)
ロンダ・バーン著(豪) 謝明憲訳 中国城市出版社 2008年11月初版


4.『滚雪球:巴菲特和他的財富人生』
(雪だるま式:バフェットとそのビジネス人生、上下巻)
アリス・シュローダー著(米) 覃揚眉など訳 中信出版社 2009年1月初版


全米で話題となった、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の最新自伝の中国語版。元保険アナリストで著者のアリス・シュローダー氏が、バフェット氏への密着取材や往復書簡、資料をもとに「投資の神様」の知られざる半生を描き出している。
原書の版元・米バンタムグループと昨年秋に版権契約を交わした中信出版社は、精鋭の翻訳者5人をそろえて、約2カ月という超スピードで本書を刊行。世界的金融危機に見舞われる現在、バフェット氏のいう「大きな雪だるまを作るように」地道で、根気のいる投資スタイルが、中国でも関心を集めているようだ。


5.『不生病的知慧4』(無病の知恵4)
欒加芹著 江蘇文芸出版社 2009年1月初版


中医学博士の欒加芹氏が、五経の1つ『易経』や現存する中国最古の医学書『黄帝内経』などをひもときながら、「医学と易」から病を治す方法を説く。
漢方薬とツボを合わせることによって、人間の8大系統「脳、脾、胃、心、腎、胆、肺、肝」を守ることができるという健康法「8大薬物帰経保健法」を紹介。高血圧や糖尿病、不眠症などの現代病にも効くという対処法も。


6.『沈思録』(Meditations)
マルクス・アウレリウス著 何懐宏訳 中央編訳出版社


7.『求医不如求己3』
中里巴人著 江蘇文芸出版社 2008年11月初版


8.『藏地密碼5』(チベット・コード5)
何馬著 重慶出版社 2009年1月初版


チベット仏教1000年の秘史を尋ねる「百科全書タイプ」の長編小説。紀元838年、吐蕃ランダルマ王の「廃仏」により、いっさいの仏教信仰が禁止された。膨大な数の経典や仏像などが僧侶たちに埋蔵されたが、現代の考古学者や生物学者、特殊兵、密教修行者からなる探検隊が、秘宝のゆくえを追ってチベットの奥深くへと分け入る。
歴史、地理、科学といった角度からチベットの神秘のベールを剥がす本書は、中国のオンライン書店「当当ネット」「卓越ネット」で連続25週間、小説部門のベストセラー第1位に輝いたという。


9.『大猫兒的TT奮闘史』(ダーマオルのTT奮闘史)
阿巳著 国際文化出版公司 2009年1月初版


中国の広告代理店に勤める若い女性・大猫兒(ダーマオル)。“できる広告人”を目指していたが、ある日、飛び込んできた仕事は、最新の国産安全コンドーム「TTブランド」のプロモーション。伝統的観念と先端をいく性文化のハザマで揺れ動きながら、友人たちの協力を得つつ、斬新な広告作りに没頭していく。
働く女性の成長物語を軸に、中国の若者たちの友情、恋愛、トレンドなどを織り交ぜたファッション感覚のオフィス小説。


10.『非誠勿擾』
馮小剛著 長江文芸出版社 2008年12月初版


この年末年始に大ヒットを飛ばした中国映画『非誠勿擾』のノベライズ版。正月映画のヒットメーカーといわれる馮小剛監督が、自らのシナリオを書籍化した。
タイトルの「非誠勿擾」とは、直訳すれば「誠にあらずんば、擾(みだ)すなかれ」だが、意訳すれば「本気でつきあえる人を望む」ほどになろうか。中国では、大衆紙などの結婚相手の募集広告でよく使われる言葉である。
過去の恋愛で心に傷を持つ主人公の中年男性・秦奮が結婚相手を求めて東奔西走、やがて訳アリの女性・梁笑笑と心を通わせていくというハートフルな物語。クライマックスを迎える後半の舞台に日本の北海道が登場し、物語を盛り上げている。
映画では、小気味のいいセリフ回しが評判になったため、「小説でも改めて楽しみたい、感動したい」という人が増えているのだろう。


 
 
     

北京便り――おわりに

bj200901-04中国で、春節休暇を故郷で過ごす帰省客の大移動がピークを迎えています。
航空便や鉄道、長距離バスなどが増設されるこの時期の特別輸送体制は「春運」(チュンユン)と呼ばれ、今年の春運期間は、1月11日から2月19日までの40日間とされています。
今年は前年同期比3.5%増の延べ23億2000万人が移動すると予測されており(新華社)、史上最大規模となる見込みだそうです。
世界的金融危機の影響で仕事がなくなり、南部の沿海地域などでは、春節の里帰りが早くも昨秋から始まっているところもあるとか。景気の先行きはなお不透明ですが、会社員も民工(出稼ぎ労働者)らにも、春節明けにこれまで通りの仕事があるよう願っています。

  祝 春節快楽!

 

 

 

文・写真 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

  ブログ http://pekin-media.jugem.jp/
   
  b_u_yajirusi
 
 
     
   
中国・本の情報館~東方書店 東方書店トップページへ
会社案内 - ご注文の方法 - ユーザ規約 - 個人情報について - 著作権について