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2008年8月

 五輪ネタに見る中国出版界

      
   
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8月8日から24日まで、17日間にわたって熱戦が繰り広げられた北京五輪も、ぶじに閉会しました。「比類なき」と称えられた絢爛豪華な開閉会式に、ホームの圧倒的な強さを見せつけた中国のメダル獲得数(金51、銀21、銅28)。
史上最多の204カ国・地域が参加し、43の世界新記録が生まれましたが、出版界でも五輪に関する話題はこと欠かないようで――。

 

   
 

■かわいくない『東遊記』

bj200807_04まずはこちら。
次の五輪開催国であるイギリスの公共放送BBCが、中国の古典『西遊記』からヒントを得た五輪PRフィルムを作ったところ、中国のネットユーザーから激しい批判を受けたという話題です。
湖北省の『楚天都市報』によると、BBCは『西遊記』を元ネタにした約2分間のアニメーションを製作。ストーリーは、孫悟空ら『西遊記』でおなじみのキャラクターたちが、さまざまな困難に遭いながらも「天竺」ではなく、北京の「国家体育場」(通称・鳥の巣)へ経典を取りに行く。ハードルや棒高跳び、鉄棒、競泳、中国武術などの五輪競技にチャレンジしながら、次々と襲いかかる妖怪変化を退治していく、というもの。
テーマソングも「栄光のために夢を抱き、生死をともにする」という、五輪にちなんだものになっているとか。

これに異議を唱えたのが、中国のネットユーザーたちです。中国の人気動画サイトなどから視聴できるこの作品は中国で『東遊記』と名づけられて、ヒット数も急増中。
http://www.tudou.com/programs/view/bkUNom5LpCE/ 

「BBCの軽いノリは我慢できても、中国文化を本当に理解しているとはいえない。中国文化を変にすりかえてしまったのだ」
「孫悟空のむき出しの歯も、猪八戒もまるでかわいくない。沙悟浄は、青い妖怪に変わってしまった」
「(BBCは)孫悟空に、一撃のもとにやっつけられるぞ」などなど……。

BBCとすれば、北京からロンドンへとつながる五輪を『西遊記』のパロディーで表現し、ウケを狙ったところでしょうが、中国人の心まではつかめなかった?
2年ほど前に、日本で放送された日本ドラマの『西遊記』も「三蔵法師を女性が演じるなど中国文化の冒涜だ」として、中国のネットユーザーたちから激しい非難を浴びました。他国文化の正しい理解は大前提であるにしても、中国側にも、シャレを笑い飛ばすくらいのゆとりと余裕を求めたいところです。

■李寧、張芸謀の半生記も

bj200808-0405北京五輪の開会式。聖火の最終ランナーとして、ロサンゼルス五輪の体操男子金メダリストにして、中国の国民的英雄・李寧(リー・ニン、44歳)が登場したのは、式典最大のサプライズでした。報道によると、李寧の個人資産は週明けの8月11日、経営するスポーツ用品メーカー「李寧」の株価上昇で3000万ドル(約33億円)増加し、人々の関心も高まるばかり。
そんな折に登場したのが、李寧の半生記となる『李寧:冠軍的心』(リー・ニン:勝者の心、虞立琪・著、中信出版社、39元)です。ロス五輪で金メダル3個を含む6個を獲得、「体操王子」として人気をさらった時代から、転進したビジネス界で成功を収め、自身もかかわる北京五輪を迎えるまでの軌跡を描いたもの。
選手生命を終え、人生の岐路に立たされた李寧は、故郷(広西チワン族自治区)の体育委員会からの引き合いを断り、新たなる道を模索。テレビドラマ「武尊少林」に少林寺の高僧役で出たこともあったそうです。香港映画「七金剛」(ファントム・セブン、1994年)にも主役の1人として出演しましたが「客の入りは芳しくなく」、李寧はしだいに芸能界を去ったのだとか。
44歳にして、再び世界の脚光を浴びた李寧――。本書からは、その栄光と挫折の半生をうかがい知ることができそうです。

話題の開閉会式の総監督を務めた張芸謀(チャン・イーモウ)にも注目が集まっています。このほど出版された半生記『印象中国:張芸謀伝』(黄暁陽・著、華夏出版社、38元)では、うわさのあった女優・鞏俐(コン・リー)との出会いと別れ、そして「当時の心境が初めて暴露された」として、ファンらの話題となっています。
「妻との離婚について世間で騒がれたが、(恋人)コン・リーとの結婚を決断しなかったので、彼女が去っていった」と監督。
もちろん、「紅いコーリャン」(ベルリン国際映画祭金熊賞受賞)から「王妃の紋章」まで、代表作の撮影秘話もつづられていますが、監督自身が秘められた恋について「初告白した」という点で、話題をさらっているようです。

bj200808-02■ポスト五輪の出版物は

中国経済ネットの記事(“后奥运”图书出版筹备已迫在眉睫)によると、オリンピック関連書籍は、2006年に108種、07年に439種、08年は7月半ばまでに400種超と年々増加してきました。オリンピックの歴史から有名選手、北京五輪の開催都市、競技場、観戦マナーまで、その内容もテーマも多岐にわたりますが、五輪後の出版物はどうなるか?
早くも気になるポスト五輪の出版物の傾向について、北京体育大学オリンピック研究室の黄亜林主任はこう語ります。
「ポスト五輪の出版物は、大きく3つの面に分けられる。第1に、北京五輪の総括、第2に、北京五輪が中国にもたらした変化と影響、第3に、五輪後の英雄に関するものだ」

五輪開催後には、オリンピックについての「より科学的で、緻密な分析がなされるだろう」と同記事。北京五輪が中国をどう変えたのか? 2008年は真の意味で、中国の国際化を推し進めたのか?
今後、しだいに出てくるものと見られる、冷静かつ客観的な分析に期待したいところです。

   
   
bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2008年7月31日~8月6日

     
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1.『従頭到脚説健康』(頭から足まで健康を語る)
曲黎敏著 長江文芸出版社 2008年7月初版


2.『2008-北京CITY城市地図』
羅勇主編 地質出版社 2008年6月第4刷


北京市街地(5環路内外)の最新地図。北京南駅から地下鉄10号線、首都空港第3ターミナル、約500本の公共バス路線まで、ホットな交通情報を網羅している。地名のインデックス付きで、地図に防水加工のコーティングが施されているのもうれしい。


3.『北京奥運場館旅游交通図―場館篇』
中国地図出版社 2007年9月第2刷 


 北京五輪の競技場の場所をわかりやすく示した市街地マップ。各競技場のイラストや特徴なども併記されていて、読み物としても楽しめる。シリーズものとしてほかに「環境篇」「人文篇」「科技篇」「交通篇」「成果篇」などの地図がある。


4.『沈思録』(Meditations)
マルクス・アウレリウス著 何懐宏訳 中央編訳出版社 2008年2月初版


5.『求医不如求己2』
中里巴人著 江蘇文芸出版社


6.『紫陽花日記』
(日)渡辺淳一著 王智新訳 文匯出版社 2008年6月初版


あじさいの花言葉は、「浮気」「心変わり」。『産経新聞』の連載小説をへて、講談社から2007年10月に出版された『あじさい日記』の中国語版。中年の夫の浮気を、詳細に日記につづる妻がいた……。中国語版の帯には「男女間の情感の深淵を描く文学大作」とある。


7.『智弈』(The power of wisdom)
中胥英傑・李平著 清華大学出版社 2008年7月初版


中国第2の広告メディア集団に上りつめた「分衆メディア」の成功への軌跡を描く。中国企業にとって重要な財産とは、「創業精神+創新精神+連合理念」であると作者。とりわけ、「効率を下げる悪性の競争から離れ、連合理念を導入し、偏見をなくし、知恵を集めれば、より大きな成功をつかむことができる。本書を、国内企業のM&A(合併と買収)の新モデルに」と唱えている。


8.『用夢想填平溝壑』(Dreams pave the way)
姚莉著 北京出版社 2008年5月初版


国有企業、外資系企業などで長年管理職についていた作者が、ある日突然、仕事を辞めて、農民工(出稼ぎ労働者)の子弟のための職業教育学校を創設。「公平な教育で、貧富を結ぶ」「清潔、透明、高能率」などの非営利管理をモットーに、子供たちの未来を変えるために手を差し伸べた……。
作者の約10年にわたる奮闘をルポルタージュにまとめた本書は、「変革中の中国社会に育まれる新しい道徳力だ」「和諧社会の建設に有益」と感動をもって受け入れられているようだ。


9.『貨幣戦争』
宋鴻兵・編著、中信出版社


10.『2008第29届奥運会観賽指南』(第29回オリンピック観戦指南)
顧勇等編 化学工業出版社 6月初版


競技場へのアクセスや競技ルールなどをコンパクトにまとめた携帯型ガイドブック。

 
     

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■おわりに――

世界中の話題をさらった第29回夏季五輪が終わり、北京の街はパラリンピックへの“お色直し”を急ピッチで進めています。
パラリンピックの聖火リレーもスタート。北京の天壇公園で採火された聖火は、29日から大会開始の9月6日までの9日間、「中華文明」「時代風采」の2つのコースに分かれて国内全11都市を巡り、6日にメーン会場・国家体育場(通称・鳥の巣)の聖火台にともされる予定です。
パラリンピック聖火リレーのテーマは、「超越、融合、共享(ともに享受する)」。さらに「点燃激情、奉献関愛」(情熱を燃やし、思いやりを捧げる)をスローガンに、計850人(うち身体障害者は全体の20%)の走者が聖火をつないでいくそうです。
9月の初秋、北京は1年で最もいい季節を迎えます。パラリンピック出場選手たちの健闘と大会の無事の開催を祈っています。

 

 

文・写真 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

  ブログ http://pekin-media.jugem.jp/
   
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