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2008年4月

 成人向け、萌え

  ……中国漫画に新潮流 
   
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人目をはばかるような男性の"性"の実態をユーモラスなエッセイ漫画で描いたり、日本のアキバ系"オタク文化"を模したような、その名も『萌』(萌え、ラブリー)なるイラスト集が登場したり……。
中国の漫画界に、ちょっとした異変が起きている!? "漫画・アニメ大国"といわれる日本の影響も一部にはあるのだろう、経済や交流の拡大、インターネットの普及などによって、文化の同時代化、グローバル化がここ大陸でもじわじわと進んでいることがうかがえるのだ。
中国の「動漫」(アニメ・漫画)ワールドにあらわれた、新潮流とは――。

   
 

■「成人漫画」は是か非か?

男性の"性"の実態を真正面からユーモラスにとらえたエッセイ漫画が、ネットユーザーなどの間で評判になっている。
それが、中国の青年漫画家・涂老鴉氏(ペンネーム)の新著『小老爺們兒那点事兒』(男たちのあの事、国際文化出版公司)だ。北京の大衆紙『新京報』などで連載した作品を、1冊の本にまとめたもの。「成人漫画」と銘打って、少年時代から33歳の現在にいたるまでの自らの成長過程を、赤裸々に描いている。

・パンツの中を拡大鏡でのぞく男……「こんなに大きかったら、どれほどいいか……。男はアレの大きさに、こんなに関心を持っている」。

・不適切な時にアレが立ってしまったら、ポケットに手を入れて直す。時には真ん中に落ち着かずに左に寄ったり、右に寄ったり。そして僕は「左傾機会主義」「右傾機会主義」と名付けた。

・妻に責められる不能の男。「泰山だって倒れるよ。ベッドでは、やさしくして……」

――などなど"性"に対する男の素直なつぶやきを、素朴なタッチで面白おかしく描いているのだ。
"性"の商業化には、公的にはオカタイ中国で「初の成人向け漫画だ」「成人漫画の空白を埋めた」とメディアの注目を集めている。また、流行に敏感なネットユーザーの間でも「いくらか自嘲気味だが、率直だし、勇敢だ」「甘酸っぱい思春期のころを思い出した。表現もタッチもかわいらしいし、下品じゃない」と評判に。涂老鴉氏のファングループが、その名をとって「鴉片」(アヘン)という捻りのきいたファンネームをつけるほどに、話題になっているのである(『新京報』)。
しかし、あまりにもストレートで刺激的な"性"の告白に対しては、連載当初から異論があったことも事実。保護者からは「子どもの健全な成長によろしくない」「"性"のテーマは、子どもの読み物にふさわしくない」という抗議の電話がかかったという。公的にはハレンチな"性"の話題を封印してきた中国では、いきなりの開放ムードが人々の反発を招くのは予想された出来事だろう。
これに対して、作者の涂老鴉氏はこう反論する。
「出版にあたっては、自分なりに敏感なカットを削除した。もしもこの本が出版にふさわしくないというなら、今後は誰も描かなくなってしまう」
中国の"成人漫画"は緒についたばかり。本書もできれば「R-15」(15歳未満の鑑賞禁止)の指定をしたいと、その影響力を懸念した上で、涂氏はいう。
「子どもの読書に障害(規制)があるのはわかるが、大人にとっては避けては通れないテーマ。本書が人生経験者の心得を描くことで、悩み多き若者のための健全な教育読本となれば……」
長年、児童漫画を手がけてきたという涂老鴉氏。プロフィールでは、人との煩雑な交際を好まず、自宅のパソコンで絵を描くという「SOHO型の"宅男"」(オタク)だと明かしている。中国の「宅男」くんの勇気が、中国の"性"の開放を牽引するかどうか。本書の読者反応とともに見守りたいところである。

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■『萌』イラストに萌える

日本のアキバ系"オタク文化"から生まれたスラング「萌え」。対象への好意や興奮などを表す言葉として知られているが、そうした概念を直輸入したような『萌』(萌え、ラブリー)なるイラスト集が登場した。
若手女性イラストレーター・客心さんのカラー作品集 『萌 客心画集』(黒竜江美術出版社)である。2007年2月の出版ながら、北京市内の大手書店では最近も「動漫コーナー」で平積みにされていた。一般書籍と比べれば128ページで38.8元と割高感はあるものの、漫画ファンらの根強い人気があるのだろう。
作品はいずれも客心さんの長編漫画『未成年』、短編漫画『天使』、雑誌カバーなどからのイラストを集めたもの。水彩画の淡い色使いや、パッチリとした瞳の童顔系のイラストは、まさに日本の"MANGA"そのもの、「萌え~」的なふんいきが濃厚だ。

ところで、中国語の「萌」(meng2)という言葉だが、「萌」にはもともと「芽生え」「芽生える」「起こる・始まる」などの動詞・名詞の用法しかなかったはずだ。しかし、中国の人気百科サイト「百度百科」で調べると「日本動漫中的"萌"」として、1990年代から日本の漫画・アニメから発生したとされる新語の意味が丁寧に解説されている。

※「萌」項目
http://baike.baidu.com/view/4973.htm

また、大手検索サイト「百度」で「萌」を検索すると、「動漫萌地帯」「卡萌動漫」「論壇・萌造工坊」など、アニメ・漫画絡みのサイトがずらずらとヒットする。若者を中心とするファンの間では、アキバ系スラングの「萌」が中国語としても定着していることがうかがえるのだ。
ファンの書き込みサイトでも「真的很萌哦~喜欢~」(萌えてる~好きだな~)、「我和同学都很喜欢她啊。她的单行本我都买了」(友だちも好きですよ。単行本は全部買った)といった称賛の声が多々……。
もっとも、北京の中年男性の友人に「"萌え"って知ってる?」と聞いたら「草木が萌えるの萌え?」とまったく関心のない様子だった。世代や地域、文化的背景によっても認識の違いがありそうだ。
「萌え文化」が中国で独自の発展を遂げるかどうか、"ジャパニメーション"を超える秀作が生まれるかどうか。中国漫画世代のオリジナリティーと持続力が、まさに問われているようだ。

■オークション破格値の『老夫子』

そしてもう1つ、漫画にからんだ新ムーブメントの話題を――。
香港の長寿漫画『老夫子』の原画がこのほど、競売大手「サザビーズ」のオークションにかけられ、2セット各4作品で合わせて47万香港ドル(1香港ドルは約13円、約615万円)という、予想を大幅に上回る高値で落札された。サザビーズのオークションに漫画が出品されるのは、今回が初めてだという(『新京報』)。
『老夫子』は、1964年に連載がスタートした、数コマからなるギャグ漫画。イタズラ好きの爺さん・老夫子が、仲間の秦先生、大番薯とともに、気の利いたイタズラで大活躍する物語だ。
出品されたのは「恭喜発財」(おめでとう)、「落雨打傘」(雨降りに傘をさす)など2セット各4作品。作者の王沢氏はサザビーズに求められ、「こんなもの、一体どうするんだ?」といぶかしがりながらも、虫食いや色あせのなかった収蔵作品を探し出した。2セットには、それぞれ25万9500香港ドル(約340万円)と、21万1500香港ドル(約275万円)の破格値がつけられた。
王沢氏の息子で、作品を管理する台湾老夫子哈媒体(メディア)の王総裁は、今回の高値に対し「現在の漫画の多くはアーティスティック。これで漫画家と挿絵画家たちが社会からより尊重されるし、漫画文化の発展にも寄与できる。作品が競売にかけられることも増えるだろう」と喜びを語ったという。
中国の画家・劉小東(リュウ・シャオドン)、張暁剛(ジャン・シャオガン)らが描く現代アート作品に、6、7億円の買い値がつくいま、漫画バブルの到来ももうすぐそこまで来ているのかもしれない。

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bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2008年4月3日~4月9日

     
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1.『明朝那些事儿(伍)』(明朝それらのこと5)
当年明月著 中国友誼出版公司 2008年3月初版

大手ポータルサイト・新浪ネットのブログが火を噴き、書籍化されたのが2006年9月。以来シリーズ化されて、合計200万部のベストセラーに。本書はその第5巻となる。
「中国最後の漢人王朝(明朝)の栄枯盛衰」をテーマに、皇帝から王侯貴族、一般の人たちまでに命をふきこみ、小説仕立てで歴史をひもとく。そこに新しさと面白さがあったようだ。


2.『汪海三十年:汪海和他的中国双星』(汪海30年:汪海と彼の中国双星)
趙晏彪著 人民出版社 2008年3月初版

 中国有数の運動靴メーカーで、国有企業の「双星グループ」。創立約30年で同グループを世界的企業へと発展させた、汪海総裁の成功への軌跡を追う。
「市場に果てはなく、管理に終止符はなく、ブランドに終身はない」がそのモットー。「一貫管理法」「九九管理法」などユニークな経営法で世界的競争力を身につけ、ブランディングに成功した、汪海氏の知恵と工夫の秘密に迫る。


3.『沈思録』(Meditations)
マルクス・アウレリウス著/何懐宏訳 中央編訳出版社 2008年2月初版



4.『求医不如求己2』
中里巴人著 江蘇文芸出版社 2007年10月初版


5.『于丹《論語》感悟』(于丹『論語』の悟り)
于丹著 中華書局 2008年3月初版

中国古代文学を専攻する北京師範大学教授が、孔子の言行録である『論語』の真髄をわかりやすく説きあかした『于丹《論語》心得』の第2段。大人気番組、中国中央テレビ(CCTV)教育チャンネルの歴史講座「百家講壇」での講話をまとめた。
「孝敬の道」「誠信の道」「忠恕の道」「仁愛の道」など7つに分けた論語の教えを、平易な言葉で語りかける。


6.『生命之痛:社会能見度』(命の痛み:社会の透明度)
曽子墨著 中国青年出版社 2008年3月初版

香港・鳳凰衛視(フェニックステレビ)のドキュメンタリー「社会能見度」(社会の透明度)が放送3周年を迎えたのにあたり、番組を文字化してまとめたもの。
陝西省・漢江流域にあるガン患者の多発村、不法で過酷な労働を強いられる夏期休暇の出稼ぎ労働者、暗躍する人体臓器売買の実態など、取材チームは社会の暗部に鋭く切り込む。番組を担当する人気キャスターの曽子墨さんは、「労働災害や汚染、医療事故、不正との遭遇……これは天災か?人災か?」「番組で答えは出せないが、私たちは少なくとも記録をしている」とその苦悩を明かしている。
衛星放送のフェニックステレビが視聴できない家庭でも、本書を通じて、大陸社会のネガティブ面に思いを寄せることができるだろう。


7.『貨幣戦争』
宋鴻兵編著 中信出版社



8.『馬未都説収蔵・家具編』
馬未都著 中華書局 2008年3月初版

中国初の私立博物館「観復博物館」を創設し、館長を務める馬未都氏が、ホンモノの骨董を見わける「眼力」を伝授する。
シリーズ1の「家具編」では、北京の故宮博物館などに収蔵される黄花梨や紫檀のイスやベッド、ついたて、衣装ケースなど歴史にのこる高級家具のいわれを伝える。


9.『杜拉拉昇職記』(杜拉拉のプロモーション)
李可著 陝西師範大学出版社 2008年3月第7刷

 「中国ホワイトカラー必読の職場修練小説」とサブタイトルに。発売3カ月で、口コミを中心に中国全土で10万部を売り上げたという話題のベストセラーだ。
外資系企業で働く若いヒロイン・拉拉(ララ)の奮闘ぶりと人間模様がリアルに描き出されている。それもそのはずで、作者の李可さんは某大手外資系企業で十余年間、マネージャーなどを務めた実績の持ち主。
英語が公用語の職場でバリバリと仕事をさばき、時には甘いラブロマンスも。憧れのOLライフとして、若い女性読者から圧倒的な支持を受けているようだ。


10.『生命的呐喊』(命の喚声)
張雅文著 新華出版社 2007年12月初版

国家一級スピードスケート選手から、国家一級作家へと華麗に転身した女流作家・張雅文。しかしその背後には、人里離れた興安嶺で暮らした少女時代から、苦恋を経ての結婚、文革、35歳で賭けに出たという作家活動まで、紆余曲折した経歴があった。
60歳をこえた今、作家が渾身の力をふりしぼって描いた自叙伝。「当代"中国阿信"(おしん)の伝奇人生!」と帯にうたわれている。

 


 
     

 

 

北京の日本大使公邸で4月19日に開かれた、日中平和友好条約締結30周年の「日中青少年友好交流年記念交流会」(桜を見る会)には、日中双方から関係者約850人が集まり、盛会でした。
宮本雄二大使は「日中両国は現在、戦略的互恵関係の構築に共に努力している。まもなく胡錦濤主席が訪日されるが、この成功に向けて我々日中政府は全力で取り組んでいる」とのメッセージをプリントに記して1人ひとりに配られました。
4月26日には長野市で北京五輪の聖火リレーが行われ、5月初旬に胡錦濤主席の訪日、そして8月の五輪開催へと中国関連の重要行事がつづきます。中国は今、いろいろな意味で世界の注目を集めていますが、記念すべき1年の諸行事が、とどこおりなく、無事に、平和的に執り行われることを願うものです。

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写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://pekin-media.jugem.jp/
   
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