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2007年2月  漫才大師の馬季氏をしのぶ

     
     
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中国漫才の大家「相声大師」、または「新型漫才の代表者」と呼ばれ、人気をあつめた漫才師・馬季(マー・チー)氏が急逝されて、約2カ月。
北京では、代表作をあつめた追悼公演が行われたり、テレビの特番が放送されたりしているが、出版界でもその業績をしのぶ動きが盛んだ。馬季氏自身が2年前から書きはじめ、遺作となった自伝 『一生守候』(一生守る)が2月中旬、北京の団結出版社から刊行された。
"文化大革命"のころは、師匠であり大家でもある侯宝林先生を批判し、逆に師匠から批判されたこともある――といった異質な体験も、赤裸々につづられる。中国漫才には清代から約200年の歴史があるといわれるが、その伝統を守り抜くことの厳しさ、誇らしさが、タイトルには表されているようだ。
書店の「追悼コーナー」には、作品集が山と積まれる。創作のプロセスや背景をときあかす新書の出版も計画されているという。
日本などの外国の文化も貪欲に吸収し、「(中国漫才の)近現代の橋渡し役」ともいわれた馬季氏。自伝を中心にひもときながら、その業績をしのびたい。

 
     
   
馬季氏は、1934年北京生まれ。本籍は河北省・黄荘村。本名は馬樹槐。
小学生のころ寄席でのぞいた漫才に魅了され、新華書店に勤めたのちに出場した「全国従業員アマチュア演芸コンクール」でみごと優勝。漫才大家の侯宝林氏に見こまれる。56年、中央広播説唱団(放送演芸団)に入団し、プロの漫才師としてデビューする。
同年、中国共産党に入党。61年には、文豪・老舎が「侯派の継承者だ」として馬季氏を高く評価する文章が『人民日報』に掲載される。
66~76年の"文革"時代には、「古い芸術」である漫才も批判の対象となり、東北地方の「五七幹校」(幹部訓練学校)で労働・思想教育を受けるなどの辛酸をなめる。
その後は、創作漫才を次々と発表。漫才師、演芸作家として活躍するかたわら、全国政治協商会議委員(78年から4期)、中央広播文工団説唱団団長などの要職を歴任。日本訪問をはじめ、香港、台湾、アメリカ、東南アジアで海外公演を成功させるなど、中国漫才の発展と普及に大きく寄与した。
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とりわけ、師匠の侯宝林氏をはじめ、劉宝瑞、郭啓儒、郭全宝ら先代のすぐれた漫才芸術をうけつぐ世代の代表として、「近現代の継承者」「橋渡し役」とも称された。
50年におよぶ"漫才人生"で、創作された作品はおよそ300。代表作に「登山英雄賛」「打電話(電話をかける)」「女隊長」「五官争功」など。民衆の生活を、明るく親しみやすい笑いで描き、人気をよんだ。
正規の弟子に、姜昆、趙炎、劉偉、馮鞏、笑林といった"全国区"の漫才師が17人おり、その勢力は中国の有名なマラソンチームになぞらえて「漫才界の馬(マー)軍団」と称された。
2006年12月20日、心臓病のため、北京市内の病院で死去。72歳だった。

推敲のあとが絶筆になったという『一生守候』からは、自伝を通して、中国漫才の移り変わりと神髄がうかがえるようで興味深い。

 
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bj200702-03 漫才も批判の対象となった"文革"時代――。
「侯師匠を批判する大字報(壁新聞)を、私も書いたし、師匠も私を批判した。しかし党員としては、上部の命令に従わざるをえなかった」
同志や友人、家族であってもかたき同士になる、異質な時代だったという。
「弟子の馬季が、師匠を平手打ちした」というウワサが広まったこともある。師匠の沈黙を尊重し、弁解を避けてきたからだが、本書で初めて真相が明かされる。「かつて師匠をたたいたことなど、一度もなかった。私はずっとこれまで侯先生を、師と仰いできたのだ」
折しも中国は50年代末から、伝統漫才の保存活動をすすめていた。それだけに"文革"による文化の破壊をくやしがるが、根っから明るく、前向きな馬季氏は語る。
「私にとって"文革"は迫害ではなく、財産だった! 私は幸いにもその階段を上りつめた! もし吊るし上げに遭わなければ、どうやって人間のさまざまな側面を知るのだ! 人間性を深く理解するというのだ?」
吊るし上げに遭い、毎朝のトイレ掃除の罰を受けながらも、いつかは再び舞台に上がることを確信していたという。

その後の80~90年代は、「創作のピークだった」(馬季氏)。水を得た魚のように「宇宙タバコ」「多層ホテル」など、時代をうつした新作漫才を発表していく。
乙のいなかへ、公演に行った甲。

    ――で、どこのホテルに泊まったんだい?
    ――多層ホテル
    ――多層ホテル? ……何階建てなの?
    ――200以上だろう
    ――200階? そんなに高い建物はないよ
    ――ちがうちがう 泊まるための手続きが200以上あるんだよ

(「多層ホテル」より)
 

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外国への訪問も、創作に大きな影響を与えたようだ。79年秋には「中国青年代表団」で初めて出国。行く先は、日本だった。
東京、大阪、奈良、京都、広島などの都市をめぐり、落語や漫才といった日本の演芸にも理解を深めた。あるとき、演芸を見ていると、日本の芸人が岸信介、田中角栄、大平正芳といった歴代首相のまねをした。歩き方から、話し方までそっくりなのだが「まったくもって驚いた。そして理解に苦しんだ」(馬季氏)。中国では、国家幹部を笑いの対象としたものまねがタブー視されているからだろう。
旺盛な好奇心と、鋭い観察眼をもって日本をまわり、「日本の漫才は、中国の"対口相声"(かけあい漫才)とほぼ同じ」「日本の芸人は中国の芸術から多くのものを吸収しているが、それに比べて我々は、日本からの学びが足りないのではないか?」と感慨を深める馬季氏。
訪日の成果は、日本人の"おじぎ文化"をユーモラスな角度でとらえた作品「彬彬有礼」(品がよい)に結実している。

晩年は、後進の指導に力を入れた。大衆の中から「生きたことば」を吸収し、作品に時代感を取り入れることも忘れなかった。そして、漫才の体系的な教科書づくりを説き、「文化的品格の向上」を訴えてやまなかった。
漫才と苦楽をともにし、70歳をすぎてなお「いかなる状況下であっても動揺しない、ホンモノの漫才師になりたい!」(本書)とのべた馬大師。あふれるばかりの情熱が、中国の大衆演芸を支えてきたことに改めて気づかされるのである。

書店のコーナーには作品集『馬季 表演相声精品集』(王文章・主編、文化芸術出版社)が山と積まれ、ファンの関心を集めている。地元紙によると、創作のプロセスや背景をときあかす新書の出版も計画されているという。

漫才の大御所といわれた馬三立氏も03年に他界されたが、いっぽうでは郭徳綱氏のような若手も台頭している。北京ではさいきん、新設の寄席「張一元天橋茶館」がオープンしたり、寄席はいずれも盛況だったりと、新たな漫才ブームが起きているようだ。
その死去は悔やまれるが、つねに時代と庶民をうつしとってきた馬季大師。自伝や作品集などを通して、中国漫才の"いま"を知るのも、意義深いことだろう。

 
     
     
bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計) 2006年2月9日~2月15日

     
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1.『于丹《論語》心得』
于丹著 中華書局 2006年11月第2刷


2.『明亡清興六十年(下)』
閻崇年著 中華書局 2007年1月初版

中国中央テレビ(CCTV)教育チャンネルの人気歴史講座「百家講壇」をまとめた。著者は、北京のシンクタンク・北京社会科学院の研究員であり、歴史学者。
満州女真族のヌルハチが挙兵した1583年から、清の世祖・順治帝が中国を支配する1644年までの60年をつぶさに見つめる。
著者によれば、それこそが「明亡清興」の歴史であり、貧と富、官と民、中国と西洋などの要素が融合しあい、ぶつかりあう「近代社会の縮図」である。そのうえで「勝者の知恵と修養にまなび、敗者の愚かさ、傲慢さを記憶しなければならない」と語る。
昨年からのCCTVシリーズの人気で、メディアミックス型"歴史ブーム"は、まだまだ続きそうな勢いだ。


3.『明亡清興六十年(上)』
閻崇年著 中華書局 2006年8月初版


4.『墨跡(曽子墨自述)』
曽子墨著 長江文芸出版社 2007年2月初版
米国に留学後、米モーガン・スタンリー銀行での勤務をへて2000年、香港の鳳凰テレビに転職、経済番組の女性キャスターとして絶大な人気をほこる曽子墨。美貌と才能にあふれ、中国女性のあこがれの的である彼女が、その類まれな足跡をふりかえる。
"アイドル本"として若い女性に人気があるだけでなく、小さい子どもを持つ親たちも「教育の参考に」と買い求めているようだ。


5.『人体使用手冊』(人体使用手帳)
呉清忠著 花城出版社


6.『明朝那些事儿』(明朝それらのこと)
当年明月著 中国友誼出版公司


7.『説慈禧』(慈禧を語る)
隋麗娟著 中華書局 2007年1月初版

CCTV教育チャンネルの人気講座をまとめた。清代末期の政権をあやつり、中国近代史に大きな影響をあたえた"ドラゴンレディー"西太后慈禧。
権力保持のために肉親でさえ毒殺し、帝国列強に屈して清の半植民地化をうながしたといわれる西太后は「中国屈指の悪女」と評されている。しかし、ひとりの女性、妻として、母として、また清朝の最高統治者として、どのような数奇な運命にあったのか――。
ハルビン師範大学の女性教授が、人間・西太后の精神世界から中国史を見つめなおした画期的な評論集だ。


8.『別説不可能』(不可能と言うな)
梁凱恩口述/呉錦珠著 二十一世紀出版社 2007年1月初版

世界を股にかけて活躍する台湾の実業家であり、「スーパー演説家」の異名をもつ梁凱恩氏。台湾のみならず、大陸ではこれまでに北京、天津、上海、広州、深センなどの各市で、のべ2000回あまりの講演を開いたという。
本書では、夢を実現させるために「時間(期限)、規模、内容」を具体化した101の目標を書きだして、人生の青写真をハッキリさせることが重要だと説く。鬱屈していた高校時代から、華麗なまでに転身をとげた梁氏の自伝的ノウハウ本だ。


9.『所以』(だから)
池莉著 人民文学出版社 2007年2月初版

3年の月日を費やしたという、人気女流作家の待望の新作。3度の結婚に失敗した、ある女性の成長の日々を描く。
「美と徳を追いもとめ、生きる知恵を啓発する」物語であり、めまぐるしい"変化"の時代に生きる女性たちに、力強いエールを送る。
作者の池莉は、第10期全人代(国会)代表、中国作家協会主席団委員などを歴任している。


10.『品三国』(上)
易中天著 上海文芸出版社
 
   
     
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bj200702-10中国の旧正月「春節」のゴールデンウイーク(18~24日)には、北京市内だけでも10カ所以上で廟会(縁日)が行われ、にぎやかでした。
今年のテーマとなったのが、いよいよ来年夏に迫った「北京五輪」。地壇廟会の特設ブースでは、歴史写真のパネルが飾られ、サインコーナーが設けられて、五輪ムードを盛り上げていました。中にはちゃっかりハートマークを描いて、愛を誓ったカップルも(写真)。
爆竹や廟会でにぎわった春節も終わり。休み明けの25日から、中国の2007年が本格的にスタートしました。

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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