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2006年11月  空前の“中国語熱”

    新教材も続々と  
     
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めざましい経済発展にともなう中国への関心の高まりで、世界じゅうに“中国語熱”(ブーム)がおきている。
中国教育部(文科省にあたる)によると、世界の中国語学習者数は現在、3000万人あまり。欧米各国のなかには、大学の選択科目のみならず、中学・高校から中国語を正規のカリキュラムにとりいれている国もある。中国政府が国家プロジェクトとして世界各地の大学などと連携して設立している教育機関「孔子学院」は、日本をはじめ、すでに51カ国・地域の123カ所を数えるという(建設中をふくむ)。
こうしたブームを背景に、中国語と英語2カ国語のマガジン『漢語世界』(隔月刊)がこのほど創刊されるなど、新しいタイプのテキストも続々と出版されている。世界をとりまく空前の“中国語熱”と、中国発のユニークな新教材を見てみると――。

 
     

■世界的ブームと戦略

世界の中国語ブームは、中国への関心の高まりと、まるで“正比例”するかのようだ。
教育部の国際合作・交流司(局)によると、世界の中国語学習者数は現在、3000万人あまり。約100カ国・地域の大学で中国語の授業が行われている。
アメリカでは今後10年以内に、全体の15%にあたる高校で、中国語を正規の外国語科目とする計画がすすめられている。またフランスでは、中国語科目をもうけた中学・高校が130校あまりを数え、3年前に比べると20%の増加だという。
中国にいる留学生数のトップは韓国人で、現在およそ4万5000人と留学生全体の4割を占める。1992年の中韓国交正常化から、その数は年々増えているようだ(日本人留学生は2004年に約1万9000人で、留学生総数の第2位)。

中国語のTOEFL(トーフル)といわれ、生活や学習むきの中国語レベルを判定する「HSK」(漢語水平考試、教育部主催)は84年にスタートし、累計受験者数は、世界120カ国の100万人(05年7月現在)。
“中国語熱”の追い風もあって、今年11月中旬には、HSKとはまた別の中国語試験もスタートした。「C.TEST」(北京語言大学主催)といわれ、国際ビジネス分野の中国語力を判定するもの。日本と中国で同時に行われて、注目された。

中国政府が04年以降、中国語の普及や文化理解を促進するために、世界各地の大学などと連携して設立している「孔子学院」は、すでに51カ国・地域の123カ所を数える。
日本では、これまでに開校した立命館大、桜美林大、北陸大、愛知大をはじめ、来年開校予定の立命館アジア太平洋大、札幌大の計6カ所。中国側から教材やノウハウの提供をうけて、「学生や社会人への中国語教育」など、専門性の高い教育・研究環境をととのえていく計画だという。

昨年7月には、中国政府主催の第1回「世界漢語大会」が北京で盛大に行われ、政府関係者がこう語った。
「ことばが普及することは(その国が)強国であるしるし。中国語の世界的普及は、中国の国家戦略プロジェクトであり、重要かつ巨大な市場がみこまれる文化産業でもある」(人民ネット)

発展する中国のことばや文化に、世界じゅうが注目している。そこで、その上昇気流をとらえてさらに高く飛びたとう、政治的・経済的にも世界への影響力を強めようとする中国側の周到なまでの戦略が、発言からはうかがえるようだ。

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■一石二鳥のテキスト

こうした盛り上がりをうけて、新しいタイプのテキストも続々と登場している。
このほど創刊された、外国人学習者向けのマガジン『漢語世界』(The World of Chinese)もそのひとつだ。辞書のしにせ・商務印書館と、北京師範大学にもうけられている中国語普及のための非営利機構・漢語国際推広北京基地の共同出版。中英2カ国語による雑誌ふうのテキストはめずらしく、注目をあつめている。
(ちなみに、同北京基地は、国務院が組織する「中国国家対外漢語教学領導小組弁公室(国家漢弁)」と「孔子学院本部」の実行組織のひとつにあたり、中国語を世界に普及させる活動をしている)

『漢語世界』のコンセプトも、中国語と中国文化を世界におしひろめること。創刊号をひらくと、きれいなカラーグラビアにイラスト、中英2カ国語による楽しい読みものが満載だ。
新語や流行語の解説をはじめとして、中国の著名言語学者のインタビュー、チャン・ツィイー主演の映画『茉莉花開』(ジャスミンの花開く)のセリフで学ぶ中国語、青蔵鉄道の開通で関心が高まるチベット、ココシリ探訪、中国料理のクッキング・コーナーなど、まるでカルチャー誌をめくるかのようにテキストに親しめる。
各コンテンツの朗読がおさめられたCDも付いているので「中国語の初心者から、文化や国情に関心のある上級者まで楽しめる」(関係者)。ホットな中国情報とともに、ことばが学べる“一石二鳥”のユニークな仕上がりとなっているのだ。
『漢語世界』は、各国にある中国大使館などを通じて、国内外で販売される予定だという。

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■米紙に中国語のタイトル

雑誌ふうの中国語テキストの草分けといえば『学漢語』(Learning Chinese、北京語言大学出版社)。86年の創刊以来、20年にわたり隔月で発行されている、外国人向けテキストの“大御所”だ。
『漢語世界』のようなハデさはないが、中国語の用法や読者の作文、HSK対策などを紹介しており、実用書のおもむきがある。長年の教育実績があるので、学習者としては『漢語世界』とあわせて利用したいところだ。

日本と中国の漢字は、それぞれ簡略化されたものもあるけれど「7割は、漢字を見ればわかるほどの変化」だという説がある。
ところが、漢字をつかう必要のない外国人にとっては、中国語学習の大きなネックとなるのが漢字……。「中国語を話すことはできても、読み・書きはむずかしい」という外国人ビジネスマンや留学生は、いまなお多い。

そんなときこそ強い味方になるのが、このテキストだ。
『趣味漢字』(新世界出版社、06年10月第12刷)。常用漢字の起源となりたち、筆順、熟語などについて、わかりやすいイラスト入りの中英2カ国語で解説している。
たとえば「女」は、手を前にしてひざまずく人をかたどった象形文字からなるが、書きやすさから変化して、いまでは「大またで闊歩する女性の姿」になった――など。漢字がわからない外国人にも、単なる「記号」ではなく情報のつまった「文字記号」として、その意味から覚えてもらおうとする工夫が凝らされている。
ふだん漢字をつかう日本人でさえ、漢字のなりたちや意味について、深く考えることはそうないだろう。私もついつい引きこまれ「へえ~」とか「ほう」とか唸っていたが、本書は漢字のしくみが楽しく学べるテキストとして、広範な外国人学習者に役立ちそうだ。

昨年5月22日、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の1面に「開封からニューヨークへ――かがやきは一瞬の間に」という中国語の見出しがおどった。
「意味がわからなかったら、中国語を勉強してほしい。なぜならそれは、未来のことばなのだから」と、同紙の著名コラムニストで、中国と日本に駐在経験のあるニコラス・クリストフ氏は語る(『中華読書報』)。
中国語がじわじわと浸透している。
そうでなくとも、人口13億の中国である。中国語人口は、世界で1、2位(英語人口は、10~15億)。世界の共通語が「英語と中国語」になる日が、近づいているかもしれないのだ。
こうして、壮大な国家プロジェクトに舌を巻きながら、中国語のテキストを今日も朗読する私である。

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bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計) 2006年11月17日~11月23日

     
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bj200611-61.『快楽生活一点通』
孫暁峰 張暁静主編 北京出版社 2006年11月初版


北京テレビ系で、2004年から全国放送された人気番組「快楽生活一点通」を書籍化したもの。祖父母と両親、楽楽くんの5人家族が登場し、暮らしに役立つ、とっておきの“知恵袋”を紹介している。
ホウレン草をつかって、白い衣類の洗いあがりをさらに白くする方法、自家製の美肌パックのつくりかた、クルマの中のいやな匂いを、フルーツで吸収する方法など、ふだんは見のがしがちな「へえ~」といった知恵が満載だ。
番組のダイジェスト版VCDもふろくに。お買い得感たっぷりの1冊となっている。


2.『人体使用手冊』(人体使用手帳)
呉清忠著 花城出版社


3.『美麗教主之変臉天書』(美の教祖の美顔神書)
伊能静著 接力出版社 2006年10月初版


映画にドラマ、歌もこなして大活躍の台湾アイドル・伊能静(Annie)。中学・高校時代を日本ですごし、台湾でデビューした彼女が、「美しい肌」を保つための最新コスメ事情を紹介する。


4.『品三国』(上)
易中天著 上海文芸出版社 2006年7月初版


5.『無毒一身軽』(毒素をなくし身を軽く)
林光常著 国際文化出版公司 2006年6月第3刷


著者は、台湾がん基金会顧問などの要職をつとめる健康教育の専門家。「毎日、水を3リットル以上飲む」「適当な運動で、睡眠の効率を上げる」など、からだや生活環境への配慮、気持ちの持ちようから「毒素(toxin)」を排除しようと訴える。


6.『人生若只如初見』(人生かくも初見の如し)
安意如著 天津教育出版社 2006年8月初版


サブタイトルに「古典詩詞の美しさと哀愁」とある。「詩経」「長恨歌」「白頭吟」「子夜歌」などの中国の古典名詩を、現代風によみといたエッセイ。


7.『新結婚時代』
王海鴒著 作家出版社 2006年9月初版


『牽手』(つれあい)、『中国式離婚』など、社会派の問題作を放ちつづける王海鴒の最新長編力作。めざましい変貌をとげる現代社会を舞台に、中国人の「食い違い結婚」をテーマとして、2世代3組の婚姻の本質にせまる。「結婚の倫理をつきつけ、自省をうながす」ヒューマンドラマであるという。


8.『長尾理論』(The Long Tail)
クリス・アンダーソン著(米) 喬江涛訳 中信出版社 2006年12月初版


インターネットの小売店では、たとえヒット商品でなくてもターゲットを絞ったニッチ(すきま)商品であれば、細く長く売れつづける。そんなネット小売市場の特性「ロングテール」を利用すると、ビジネスの方法は劇的に変わるという。著者は、米IT雑誌『ワイアード』の編集長。既存の経済界を震撼させた話題の書である。
日本では、早川書房から『ロングテール「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』として今年9月に出版された。


9.『誅仙(7)』
蕭鼎著 花山文芸出版社 2006年11月初版


ネットの読者を中心に、爆発的な人気をほこるファンタジー武侠小説。『誅仙』の読書サイトへのアクセス数は、2003年の公開時からのべ3億回を数えるという。作者の蕭鼎は「ポスト金庸」との呼び声も高く、台湾・香港にも熱烈なファンが多い。
平凡な少年・張小凡が、厳しい鍛錬をかさねて武芸を身につけ、悪の権化の妖怪たちに戦いをいどむ。本書で7巻目となるが、物語はまだまだつづく一大スペクタクル長編小説だ。


10.『明朝那些事儿』(明朝それらのこと)
当年明月著 中国友誼出版公司 2006年9月初版


「だれが、易中天(テレビ歴史講座の人気講師)をPKに追いこめるか? それは『明朝那些事儿』しかない」と帯にある。
大手ポータルサイト・新浪ネットのブログが火を噴き、ついに書籍化。明代の皇帝から、王侯貴族、ふつうの人々までに命をふきこみ、小説仕立てにして歴史をひもといた。そこに、新しさと面白さがあったようだ。
本書は、明の太祖「朱元璋の巻」。「今年、大ブレイクする予感がする」(文学博士)、「中高生の必読の書にしたい」(教育者)など、多くの感動の声がよせられている。

 
   
     

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二十四節気のひとつ「小雪」(しょうせつ)がすぎた25日、北京には初雪が降りました。積もるほどの雪ではありませんでしたが、凍結するのをおそれて、市内には150トンもの融雪剤がまかれたそうです。
書店には来年の干支の「猪」(ぶた)のカレンダーが並びだしましたし、北京っ子たちご愛用の情報ハンドブック『北京人手冊』の2007年版も登場しました。
ことし13年ぶりに元旦と春節(旧正月)の爆竹が解禁された北京では、そろそろ新しい爆竹の話題も出はじめています。来年の春節は2月18日とまだ先ですが、どことなくそわそわ、うきうきした年末のふんいきが北京の街には感じられます。
ことしも、あと1カ月ちょっと。みなさんは、どんな年末をおすごしでしょうか?

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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