1.『品三国』(上)
易中天著 上海文芸出版社 2006年7月初版
アモイ大学教授で、中国中央テレビ(CCTV)教育チャンネルの歴史講座「百家講壇」の講師の1人としても知られる著者が、中国の古典名著『三国演義』(三国志)を歴史に照らし、事実に即して説きあかす。
2.『品三国前傳之漢代風雲人物』
易中天著 東方出版社 2006年8月第2刷
今回のベストテントップに輝いた『品三国』の著者による、最新刊のひとつ。昨年、CCTVの「百家講壇」で放送されて、好評を博したシリーズ講座「漢代風雲人物」をまとめたものだ。
漢の高祖劉邦の功臣・韓信の「境遇の謎」「成敗の謎」をはじめ、前後あわせて400年もの漢帝国のいしずえを築いた劉邦の「勝利の謎」「好敵手の謎」など、風雲児たちに秘められたナゾが、テレビのままのやさしい言葉で解きほぐされる。
3.『人体使用手冊』(人体使用手帳)
呉清忠著 花城出版社 2006年5月第7刷
大陸で働いていた台湾生まれの著者が、積年の体調不良を中国医学で改善。その豊富な知識と体験にもとづいて、中国医学をわかりやすく解説している。
4.『別了,我的書!』(さようなら、私の本よ!)
大江健三郎著 許金竜訳 百花文芸出版社 2006年9月初版
ノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎さんがこのほど、中国社会科学院の招きで北京、南京を訪問された。北京ではサイン会やシンポジウム、講演会などが行われ、地元の人々にあらためて深い感銘を与えた(小欄の「おわりに」もご参照ください)。
そのサイン会で、対象となった著作が、中国語訳の新刊『別了,我的書!』をはじめ、既刊の翻訳本『愁容童子』(憂い顔の童子)、『我在曖昧的日本』(あいまいな日本の私)など。連日のように、大江さんの活動がメディアで取り上げられたこともあり、中国語版はみるみる売り上げを伸ばして、今回のベストテンではそのうちの2冊がランクインを果たした。
本書は、『取り替え子(チェンジリング)』『憂い顔の童子』とつづく3部作の完結編。東京のテロ計画に巻き込まれた、大江氏自身がモデルと思われる著名な老作家と、テロの構想を練る友人との「絶望からはじまる希望」「生と死」を描いた長編小説である。
5.『季羨林談人生』(季羨林が語る人生)
季羨林著 当代中国出版社 2006年4月第3刷
6.『懺悔無門』
王春元著 長江文芸出版社 2006年6月第2刷
米国籍の元華僑で、慈善家・李春平氏の半生を小説化。李氏は、北京市慈善協会名誉会長、中国紅十字(赤十字)総会名誉理事。
7.『人生若只如初見』(人生かくも初見の如し)
安意如著 天津教育出版社 2006年8月初版
サブタイトルに「古典詩詞の美しさと哀愁」とある。「詩経」「長恨歌」「白頭吟」「子夜歌」などの中国の古典名詩を、現代風によみといたエッセイ。女性筆者が、詩やことばの背後に秘められた美と歴史ロマンを、感性あふれる筆致で描き出したと本書にある。
8.『泡沫之夏Ⅱ』(バブルの夏)
明暁溪著 新世界出版社 2006年8月初版
9.『愁容童子』(憂い顔の童子)
大江健三郎著 許金竜訳 南海出版公司 2005年8月初版
国際的な作家・長江古義人が主人公の3部作の第2弾。故郷の森へ移り住んだ老作家が、自らの作品テーマやアイデンティティーを再検証しようとする。
故郷には、森の奥にいる「童子」が土地を守ってくれるという古くからの伝承があるが、古義人には「童子」にまつわる悲しい記憶があった――。
義兄・伊丹十三氏の自殺を扱った『取り替え子』の続編で、私小説風フィクションを軸としながらも、日本の近現代史を問い直す、重厚なおもむきの1冊だ。
10.『紀連海新解 乾隆朝三大名臣』(乾隆年間の3大名臣)
紀連海著 光明日報出版社 2006年9月初版
CCTV「百家講壇」の講師の1人で、北京師範大学第二付属中学の教師である著者が、テレビ講座の内容をまとめたもの。清代乾隆年間の"3大名臣"といわれる劉墉、紀暁嵐、和珅の歴史的真相にせまる。
著者には、ほかに『歴史上的多爾袞』(歴史上のドルゴン)などのベストセラーもある。
|