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2006年07月  旅情をそそる

      世界遺産と青蔵鉄道  
     
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四川省の「パンダの生息地」が世界自然遺産に、河南省安陽市郊外の古代都市遺跡「殷墟」が世界文化遺産にそれぞれ登録され、"世界の屋根"をはしる青蔵(青海省―チベット自治区)鉄道が試営業をスタートするなど、この7月は中国にとって、ビッグニュースがあいついだ。
それを待ちかねていたように、北京市内の書店では、関連本がぞくぞくと登場している。美しいカラーグラビア満載の雑誌から、列車で行くチベット観光のレクチャー本まで、ページを繰るだけでも大いに旅情がそそられる。
そんな、この夏イチオシの注目本をひもといてみた――。

 
     

■人工繁殖パンダを自然に

リトアニアの首都ビリニュスで開催されたユネスコの世界遺産委員会で、四川省の山地にまたがる「パンダの生息地」が自然遺産に登録されたのが7月12日、河南省の「殷墟」が文化遺産に登録されたのが翌13日だった。これにより、中国の世界遺産は合わせて33件となった。
ジャイアントパンダの生息地は、面積9245平方キロメートル(青森県とほぼ同じ)。西の涼山、相嶺山、臥竜自然保護区から北の秦嶺山脈まで、こま切れにつづく一帯で、野生パンダの約3分の1がここに生息しているという。
なかでも臥竜自然保護区は、パンダの保護区としては世界最大。同区には「ジャイアントパンダ研究センター」が、また、ふもとの成都市には「ジャイアントパンダ繁殖研究基地(センター)」があり、いずれも世界唯一の施設である。

そのパンダの保護活動などについて、30ページにわたる特集を組んだのが月刊誌『華夏地理』(華夏地理雑誌社)7月号だ。
臥竜の研究センターで生まれ育ったパンダ・祥祥(シャンシャン、オス5歳)がこの春、人工繁殖のパンダとしては初めて大自然のふところに放たれ、野生化していくプロセスが詳しく記されている。その「野生化トレーニング」に費やされた時間は、なんと3年。仕上げの段階では、近くに人の気配を感じれば、攻撃的になるほどまでに野生化した。
「野生種の"原住民"が、この"新移民"をしぜんに受け入れるかどうか」、研究者たちの心配はつきないが、GPSを設置されたシャンシャンは、いまのところ臥竜自然保護区の竹林で、旺盛な食欲ぶりを見せているようだ。

同研究センターでは昨年も、人工飼育のパンダのうち11頭から16頭の赤ちゃんが生まれるなどの喜びにわいた(現在、臥竜自然保護区の野生パンダは140頭、人工飼育パンダは101頭)。
パンダの繁殖技術に自信をふかめた同センター。今後は、増えていく人工繁殖(飼育)パンダの野生化、原生林の保護、自然保護区の拡大などが、この地域のいっそうの課題になるだろうと『華夏地理』では示唆している。

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■甲骨15万件の1000字を解読

いっぽう、世界遺産の登録に先がけて「殷墟」の大特集を組んだのが隔月誌『中国文化遺産』(中国文物報社)2006年第3期だ。
殷墟は、商(殷)王朝(前16世紀~同11世紀)晩期の都市遺跡。面積は約24平方キロで、1899年以降、大量の青銅器や甲骨文字、墳墓などがここから発掘されている。それまで「架空の王朝」ともいわれた商の存在を裏づけるもので、中国の考古学界には「20世紀最大の発見」だとする向きもある。

「中国の安陽、世界の殷墟」と題した約60ページにわたる本誌の特集で、目を引くのが「甲骨文」(甲骨文字)のレポートだ。甲骨文は、古代エジプトの象形文字、メソポタミアの楔形文字、原始インド文字とならぶ「古代文字」のひとつである。
殷王は、国家の大事やみずからの行いを卜占(うらない)で定め、その内容を亀の甲や動物の骨に刻ませた。のちに周の攻撃をうけたさい、それらの甲骨文や青銅器は地下深く埋められて、これまで3000年以上にわたり保存されてきたのだという。

本誌によれば、清代末期の文字学者・王懿栄(おういえい)が、安陽産の漢方薬「竜骨」に刻まれた文字を発見したのが1899年。その最初の発見から、この100年あまりに発掘された甲骨は、約15万件にのぼる。これまでに確認された文字は、およそ4000字。うち3000字の研究が進められているが、学者らのコンセンサスを得た文字は、ようやく1000字あまりになったところだ。
特集をひらくと「酒」「雨」「門」「象」「魚」などの"絵文字"のような甲骨文を、わかりやすく図解していておもしろい。なかには「商の周辺小国が、謀反を起こした」記述も読みとかれていて、商王朝晩期における混沌とした情勢がうかがえるようだ。
「甲骨文は、中国古代文化の百科全書。21世紀の我々は、引き続きその神秘に迫らねばならない」と本誌に。世界遺産入りを機に、改めて古代ロマンの旅へと読者をいざなう1冊である。

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■列車で行く青海・チベット

青海省西寧とチベット自治区ラサを結び、5072メートルの世界最高地点を走る青蔵鉄道――。その試営業が、7月1日にスタートした。
北京からラサまでの直通列車(片道48時間)が開通したこともあり、にわかに青海・チベット観光が注目をあつめているが、それだけに最近では、列車のチケットや終点ラサのホテル、車両が押さえにくくなっている。あまりの混雑ぶりに、団体チケットの発売が一時見あわせになっているほか、「青蔵鉄道を利用する人は、かならず到着地の宿泊予約を済ませてから乗るように」という注意喚起がニュースになっているほどだ。

ますます人気の高まりそうなチベット観光であるが、「列車の旅の見どころは?」「高山病にどう対処する?」など、チベット旅行の"初心者"にはわからない点も多い。そんな折、たのもしい観光ガイドとして登場したのが、本書『坐着火車去西蔵』(列車でチベットへ、新星出版社)。青海・チベットの旅に精通した女性筆者・陳暘さんによる、足で歩いたナマの情報とあざやかなカラー写真が満載の本だ。

筆者によれば、列車で行くチベット観光のよさは、①流行を先がける、②乗り換えなしで手軽、③食堂車、寝台、テレビ、浴室・トイレなど設備が整っていて心地よい、④飛行機と同じ気密構造車体が使われ、酸素吸入器が設置されていて安心、⑤車窓の景色を満喫できる、⑥交通費が比較的安い、など。
"青い海"と呼ばれる中国最大の塩水湖「青海湖」や、希少動物のチベットレイヨウが群れをなして走る「ココシリ自然保護区」、万年雪をいだいた「タングラ山」の主峰など、筆者オススメの見どころもたっぷり紹介されている。
コンパスや水筒、サングラスなどチベット旅行の必需品、外国人観光客がチベット自治区に入るには、国内指定旅行社の受け入れが必要――など、重要な情報も。
欲をいえば、単なる観光ガイドではなく、エッセイや体験記などで筆者のホンネを加えたらさらに読者を惹きつけると思うのだが、それは今後に期待することにしよう。

チベット関連の本が続々とお目見えしているが、青蔵鉄道を専門的な立場から解説した写真集が『青蔵鉄路紀念冊』(青蔵鉄道記念集、中国鉄道出版社)だ。
国家プロジェクト「西部大開発」の一環として、内陸とチベットを鉄路でつなぎ、地元に多大な経済効果と人的交流をもたらす――といった建設の意義をはじめ、建設の歴史、沿線の魅力が、豊富なカラー写真とともに紹介されている。ゴルムド―ラサ間の「世界の屋根」をつらぬくレール、壮大なスケールの鉄道橋の写真など、鉄道ファンにはこたえられない記念集になることだろう。

漢民族と少数民族の「和諧」(調和)など、政策上の意図もあるといわれる青蔵鉄道――。中国大陸を横断するレールのゆくえを、これからも注視したい。

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bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店のデータから統計)
2006年7月14日~7月20日

     
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1.『像男人那様去戦斗』(男のように戦いに行く)
黄健翔著 朝華出版社 2006年4月第2刷


著者の黄健翔は、中国中央テレビ(CCTV)スポーツチャンネルの実況アナウンサー。サッカーW杯ドイツ大会では、決勝トーナメントのイタリア対オーストリア戦で「偉大なイタリア、イタリア万歳!」とイタリアびいきの感情的な放送をして、中国メディアや視聴者のブーイングを浴びたことでも知られる。
4月に発売された本書が、7月半ばのベストワンに輝いたのは、そんな彼が、"話題の人"であるからに他ならない。
W杯の実況は、フランス大会、日韓大会を経験している中堅である。本書では、2002年の日韓大会での経験をはじめ、中国代表選手との交流、携帯電話、ダイエットなどの日常を赤裸々につづる。
「平和な時代のどこに、真の戦いがあるというのか。己に勝つことだけが、自分を成しとげることだ」(本書)。そんな情熱的なことばは、"絶叫アナ"の彼ならではのものだろう。


2.『哆来咪発唆』(ドレミファソ)
可愛淘著(韓)/黄黌訳 中国城市出版社 2006年7月初版


『局外人』(アウトサイダー)などのベストセラーで知られる、韓国の女流作家・可愛淘(中国語訳)の最新作だ。
天使の歌声をもつ男性ボーカル・成隠葵と、天才柔道少女・雲浄媛の不釣り合いでユーモラスなラブストーリー。
テンポのよい会話を中心にして物語を展開し、文中に顔文字を多用するなど、80年代生まれの若手作家ならではのライブ感とスピード感にあふれている。
※可愛淘の中国版オフィシャルサイト「淘酷ネット」 http://www.taocu.com


3.『懺悔無門』
王春元著 長江文芸出版社 2006年6月第2刷


米国籍の元華僑で、慈善家・李春平氏の伝記的小説だ。李氏は、北京市慈善協会名誉会長、中国紅十字(赤十字)総会名誉理事。
なにしろ、その慈善活動がすごい。
1991年に中国に戻って以来、SARSのさいの"天使基金"や、北京市児童福利院、中国紅十字基金会などに、現金に換算して合計5000万元以上(1元は約14円)を寄付したという。
そうした無償の高額献金に、国内から賞賛の声が上がっている。李氏の巨額の財産は、米ハリウッド女優の遺産が主で、彼女がいったい誰なのか(本書では明らかにされていないが)、オードリー・ヘプバーンではないかとのうわさも流れているほどだ。
ベールに包まれた慈善活動の根源にせまる、話題の本だ。


4.『人体使用手冊』(人体使用手帳)
呉清忠著 花城出版社 2006年5月第7刷


大陸で働いていた台湾生まれの著者が、積年の体調不良を中国医学で改善。その豊富な知識と体験にもとづいて、中国医学をわかりやすく解説している。
著者によれば、誰でもできる養生(保健)の基本は「一式三招」。
つまり、①早寝早起きする、②「胆経」(胆をめぐる経絡、とくに脚部)をたたく、③「心包経」(心臓をまもる経絡)をマッサージする――の3点。②と③については、毎日20分足らずの繰り返しで、おどろくほど体調不良が改善すると著者は語る。
インターネットで公開された草稿の人気に火がついて、書籍化された。今年1月の初版発売から、約半年で7刷、あわせて18万部が発行された人気書になっている。


5.『追風筝的人』(カイト・ランナー)
カーレド・ホッセイニ著(米)/李継宏訳 世紀出版集団/上海人民出版社 2006年5月


6.『狼図騰』(オオカミのトーテム)
姜戎著 長江文芸出版社


7.『兄弟』(下)
余華著 上海文芸出版社 2006年3月初版


8.『季羨林談人生』(季羨林が語る人生)
季羨林著 当代中国出版社 2006年4月第3刷


9.『天使与魔鬼』(天使と悪魔)


ダン・ブラウン著(米)/朱振武など訳 人民文学出版社 2005年2月初版
世界中の推理ファンを魅了した『ダ・ヴィンチ・コード』の著者ダン・ブラウンによるシリーズ第1作。最新科学を駆使するテロリストとバチカン市国の枢機卿が対決するという、科学と宗教、歴史的な要素を織りまぜたスピード感あふれる追跡劇だ。話題の映画『ダ・ヴィンチ・コード』の影響か、約1年ぶりにベストテンに返り咲いた。


10.『做最好的自己』(Be Your Personal Best)
李開復著 人民出版社

 
   
     

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"北京最大の規模"というフレコミの大型書店「第三極書局」が7月15日、市内北西部の中関村にオープンしたので、のぞいてみた。
名門校・北京大学の南側、北4環路(第4環状道路)がはしる海淀橋のそばにある。地上17階(表示20階)、地下4階の巨大ビルの5~8階が、その書店だ。
なんでも、総面積は約2万平方メートル。これまで市内最大とされた"西単図書大廈"の1.6万平方メートルをゆうに上回る大きさだという。
各階もすっきりと分類されている。5階はベストセラーやDVD、ゲームソフトなどの「時尚(トレンド)館」、6階は文学・小説、ビジネス書の「人文館」、7階はIT(情報技術)、科学技術、語学関連の「科教館」、8階は児童・女性書、アニメ・漫画、趣味の分野の「生活館」とそれぞれ名付けられていて、わかりやすい。
地元紙によれば、初日の売り上げは「20万元(約280万円)を突破した」という。幸先のいいスタートを切ったようだが、中関村は「中国のシリコンバレー」と呼ばれるアカデミックな一帯だ。もとより書店の激戦区でもある。
「第三極書局」が、その名のとおり書店の「頂点」となることができるか。読者をつかむプランニングを楽しみにしたい。

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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