1.『做最好的自己』(Be Your Personal Best)
李開復著 人民出版社 2005年9月初版
台湾出身の有名な工学博士で、米マイクロソフトから米グーグルに移籍して物議をかもしているカイ・フ・リー(李開復)氏が、若者向けに書き下ろした人生とビジネスを成功させるための指南書。李氏はマイクロソフト中国研究院(現・同アジア研究院)担当の元副社長で、現在はグーグル社の副社長。この驚愕の移籍問題は米国で裁判沙汰になっており、本書の「後記」でもその件について触れている。
いわく「なぜ移籍したか?という問いについて、私の心の声が答えた。(中略)マイクロソフトは学ぶ価値のある会社だが、グーグルは私を揺り動かす会社だと」。このほか「反省が成功につながる」「人との交際―現代人の必修科目」など、いま中国でもっともホットな人物による、独特の人生観が語られる。
2.『為什麼制度重要』(なぜ制度が重要か)
盛洪主編 鄭州大学出版社 2004年12月第2刷
中国の有名な経済学者、盛洪・博士による各地の大学やシンポジウムでの講演をまとめたもの。「制度の起源」から表題作の「なぜ制度が重要か」、「水権制度と治水哲学」「中国の企業制度を探る」など、中国の社会経済学を縦横に論じた14の講演内容が収められている。
3.『兄弟』(上)
余華著 上海文芸出版社 2005年8月初版
『活着』(生きる)などのベストセラーで知られる人気作家の10年ぶりの待望の新作だ。江南地方の小さな町に生まれた李光頭と、異父兄弟の宋鋼の数奇な運命の物語。"文革"のころ、寡婦であった母親の2番目の夫・宋凡平は地主の出身だとされて、紅衛兵に撲殺される。ともに父親を亡くした李光頭と宋鋼は、このときから互いに助けあい、支えあう生活を始めるのだが……。
2人の異なる運命が"文革"と現代の相反する2つの時代を背景に、織りなされてゆく。愛と血縁、運命と歴史の真実にせまる大河小説。現代社会が舞台になるという下巻が、早くも余華ファンから待ち望まれている。
4.『亮剣』
都梁著 解放軍文芸出版社 2005年3月第3版
退役軍人・都梁の処女作。第4回中国人民解放軍図書賞を受賞し、同名のテレビドラマが中国中央テレビ(CCTV)で放送されたこともあって、すでに約40万部を売り上げるベストセラーとなっている(『解放軍報』11月25日付)。
主人公の職業軍人・李雲竜が、抗日戦争時代から1949年の新中国成立をへて55年に将軍となるまでの半生と、その愛と友情、勇気を描いた戦争文学。「強大な敵に直面してもひるむことなく、刀剣をもって毅然として立ちむかう」李雲竜が、現代中国に求められるヒーロー像として注目されているようだ。
5.『哈利・波特与"混血王子"』(ハリー・ポッターと混血のプリンス)
J.K.ローリング著(英)/馬愛農・馬愛新訳 人民文学出版社 2005年10月初版
6.『圏子圏套』(業界のわな)
王強著 清華大学出版社
「中国現代ビジネス道3部曲」の第1部。中国のある外資系企業を舞台として、激しくも凄まじいビジネス商戦の内幕を明かす。中国のエリート層たちの必読書と、本書のキャッチコピーにある。
7.『藏獒』(ザンアオ)
楊志軍著 人民文学出版社 2005年9月初版
ザンアオとは、中国の青藏(青海・チベット)高原を原産地とする大型のチベット犬のこと。希少種であり、犬の種類のなかでも生きた化石といわれている。
青海省生まれの作者は、自身がザンアオを飼ったことのある経験にもとづいて、この獰猛でありながらも忠誠心がつよく、周囲との秩序をたもつ精悍な犬と高原の人々との心温まる交流を描く。動物小説としてはベストセラーの『狼図騰』(狼のトーテム)とよく比較され、作者自身も「刺激を受けなかったわけではない」と語るが「"ザンアオ精神"と"狼文化"はまったく異なる。文学上の比較は、読者の判断にゆだねたい」(『北京青年報』11月13日付)と明らかにしている。
8.『学哲学 用哲学』(上下)(哲学を学び 哲学を使う)
李瑞環著 中国人民大学出版社 2005年11月第3刷
前全国政治協商会議主席で、天津市長を務めた李瑞環氏のマルクス主義原理にもとづく哲学理論書。
「哲学を学ぶ意義は大きい」「調査研究はいっさいの事業を成しとげる前提」「経験を用いて、事業を推進する」「具体的な問題は具体的に分析する」など、関連の文章や演説内容が上下2巻にまとめられた大著である。
9.『Outsider 局外人』(アウトサイダー)
(韓)可愛淘著 中国城市出版社 2005年11月初版
青春小説『那小子真帥』(イケてるあいつ)で大ブレイクした韓国の若手女流作家・可愛淘(中国語)の新作だ。本書によれば、中国、韓国、日本、タイなどの国が、同時に版権を取得したという。
家人が亡くなり、孤児となった18歳の韓雪理は、ひきとられた家の兄弟、江天空、江尹湛と互いに意識するようになるが……。息子たちに対して冷酷な父親、深夜に泣いている江尹湛。そして、江天空のアルバムにはられた女の子の顔写真は、黒く焼きこがされていた。謎だらけの家は、韓雪理を"部外者"として排除するかのようだった……。可愛淘の「最高傑作」の呼び声もたかい、甘く切ない青春小説。
彼女の中国版公式サイト(http://www.taocu.com/)では、作品の一部をはじめ「泣きながら読みました」などというファンの感想が公開されている。
10.『達・芬奇密碼』(原題『THE DA VINCI CODE』)
(米)ダン・ブラウン著/朱振武・呉晟・周元暁訳 上海人民出版社
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