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2005年6月  「結婚相手を大募集!」

     
     
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6月といえば、ブライダル・シーズン。この月に結婚した花嫁は幸せになれるというヨーロッパの言い伝えから、日本でも6月は結婚するカップルが急増するそうですが、こちら中国ではどうなのでしょう?

中国には「ジューン・ブライド」(6月の花嫁)といわれるようなハッキリとした結婚シーズンはありませんが、婚姻の届け出や結婚パーティーの集中するのが"春節"(旧正月)、"五一"(メーデー)、"十一"(国慶節)からはじまる1週間の連休のころ。ふつう結婚の公的休暇は1日しかありませんので、こうした大型連休の前に婚姻届けを出してから、連休を利用してパーティーを開いたり、親戚回りをしたりと、あわただしく過ごすというわけなのです。
そのほかにも、偶数は縁起がよいと考えられているため「双月双日」(偶数月の偶数日)には結婚ラッシュとなりますし、干支でいえば「弱くて、不幸な運命」とされる羊年(未年)を避けるために、その前後にあたる馬年(午年)、猴年(申年)が"結婚イヤー""出産イヤー"となるようです。いずれにしても、現実的でありながらも伝統思想をしっかり取り入れているという柔軟性が、現代中国のブライダル・スタイルなのかもしれません。

そんなことを考えていたある日のこと。なにげなく読んでいた新聞広告に、ふと目がとまりました。「征婚啓事」――いわゆる結婚相手募集のお知らせです。

 

 
     

■太陽の娘に、君子の風格

「女未 25/1.69 二外本科国際旅遊翻訳英語八級清新爽朗陽光女孩 ℡……」
(女性、未婚、25歳、169センチ、北京第二外大卒、国際観光通訳ガイド、英語検定8級、さわやかで朗らか、太陽のように明るい女の子)
  ――『北京晩報』2005年5月28日付

「男未 37/1.78 本科留外学士外資集団華北区域経理名車公寓君子風範 TEL……」
(男性、未婚、37歳、178センチ、大卒、外国留学を経験し、学士修了、外資系企業グループの華北地域代表、クルマ、マンションあり、君子の風格)
  ――『北京晩報』同日付

限られたスペースのなかに、自分の長所や特徴を最大限にもりこんでいます。口ベタな(?)日本人からすると気恥ずかしいところもありますが、「陽光女孩」「君子風範」なんて自ら言ってしまうところに、積極性とユーモアのセンスが感じられて、思わずニッコリしてしまいます。少ない文字数でありながら、当人のようすが見事に浮かび上がるのは、情報伝達量の多い漢字のなせるワザでしょう。

拡大鏡が欲しいくらいの小さな文字で、不幸な境遇をせつせつと訴えているものもあります。

「男 48/1.76 喪,女独立,国外帰来,現経営大型集団公司,車房全,重情愛家,海外漂流多年,虽然事業成功,経済富足,但愛情一片空白,年齢漸長更需要一位真心相愛的妻子相依相伴,覓真心成家需要丈夫痛愛的女士為妻。℡……」
(男性、48歳、176センチ、伴侶と死別し、娘は独立している。外国から帰り、現在は大型の企業グループを経営。クルマとマイホームをもち、家庭をすこぶる大切にする。長年海外を渡り歩き、事業は成功して経済的にも豊かだが、愛情面において空しさがある。しだいに年をとるために、心から愛しあい連れ添うことのできる妻を探し求めている…)
  ――『精品購物指南・精品資訊』2005年6月16日付

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事業は成功したものの、伴侶と死別して独りで暮らすことの淋しさや空しさが、文面からにじみ出てくるようです。
公示のなかには、「離」という文字も多く見られます。よんどころない事情で離婚してしまい、孤独から抜け出そうと新しいパートナーを探し求めている人たちでしょう。「戸孩職不限,覓有縁人」(戸籍、子ども、職業は制限しない。ご縁のある人を探している)などという寛容な呼びかけも、あちこちに見受けられます。
仕事や収入などの経済状況や、容姿や性格、経歴などを端的にアピールしている「征婚啓事」。一般紙(誌)に、こうした広告が堂々と掲載されているさまは、日本ではあまり目にしないだけに新鮮さを覚えます。注意しなければ見過ごしてしまいそうな紙(誌)面の小さなコーナーですが、そこからは中国における婚姻事情のひとコマがうかがえるような気がします。

 

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■全国に2万軒、対象は4億人

こうした公示は、「婚介機構/公司」(結婚紹介所/会社)の広告であることが多いのですが、そんな中国の結婚紹介業はいつからはじまり、どれだけの規模をほこるのでしょう?
関連サイトで調べてみると、中国の結婚紹介所は改革・開放後の1980年代初めに登場。いまでは全国に2万軒以上あり、従事者は20万人、対象者はなんと3~4億人にのぼる一大マーケットとなっています(中国城際婚介ネット)。
登録料は、各所によっても異なりますが、多くは1人100元(約1300円)前後。高いところでは1人2680元(約3万5000円)という会費を請求する会社が大連にあるそうですが、この一般サラリーマンの月給ほどにあたる「貴賓保密」(VIPシークレット)コースは「さすがに信頼がおけるし、サービスがよい」という理由で、今年3月末のスタートから1カ月の間に200人以上の会員を集めたそうです(新華ネット、5月12日付)。そんな彼らは、最良の伴侶をゲットするためには金に糸目をつけない富裕層たちなのでしょう。

会員になると、登録料のほかにも各種のパーティー参加費や、気に入った相手とのデート紹介料など、それぞれに数十元から数百元がかかるようになっています。本人であることを確認する身分証明書や戸籍簿、学歴、持ち家などの証明書、顔写真などの必要書類を提出し、審査にパスすれば、はれて正規の会員になれるというわけです。

成功率は一概にはいえませんけれども、結婚紹介所の利用者を対象にしたアンケート調査によると、紹介所を通じてゴールインした人は、上海でわずか7%、天津でも10%足らず(中国城際婚介ネット、新華ネット2003年11月1日付)と、なかなかに厳しい現実が見えてきます。

それでは中国の人たちは、一体どうやって結婚相手を見つけているのでしょう? (つごう上、個人的にも大いに関心がありますが……)。
有力紙『中国青年報』の社会調査センターがことし4月、青年男女1438人を対象にして行った調査によると、既婚者のうち結婚相手と知り合ったキッカケは上から、①学友または同僚だった(68.9%)、②社会活動を通じて(43.4%)、③インターネット(15.5%)、④偶然(12.6%)=複数回答=などとなっています。
また、未婚者のうちでは「結婚紹介所を通じてパートナーを探したい」と答えた人が2.2%でしたが、この意外と少ない数値について、5万人の顧客をほこる、国有の大手結婚紹介所「北京紫禁城相識サービスセンター」(中国婦女聯合会傘下)では、こう分析しています。
「紹介所を通すとお金がかかるし、この業界はじっさいに玉石混交。メディアのマイナス報道も多いのです。こうしたことから、結婚紹介所を利用するのに慎重にならざるを得ないのでしょう」
  (『中国青年報』2005年4月25日)

■現代版「紅娘」に期待

しかし、誕生してからまだ二十数年と"若い"中国の結婚紹介所には、大きな潜在力と発展の可能性があるのも事実。
最近のはやりことばに「世界に3種の人がいる。男性、女性、女博士」とあるとおり、高学歴の女性を「第3の性」「結婚の対象外」とみる風潮があること、それにともなう高学歴女性の未婚率の上昇、忙しい社会人たちの出会いのチャンス減少、はたまた、簡素化された「婚姻登記条例」が2年前に施行されてから、増えつづける離婚率(上海では、昨年1~9月の離婚者数が約2万組で、前年同期比30%増=人民ネット)など、中国でも婚姻をめぐる問題が、複雑多様化しています。

核家族化がすすんで、ご近所さんとのつながりも弱くなり、昔ながらの世話好きな仲人さん「紅娘」(ホンニャン)の出番が少なくなったいま、結婚紹介所こそが現代版の「紅娘」になり得るかもしれないからです。

 

結婚紹介所に関心をもっているという中国の友人(IT関連業、30代独身男性)は、こう語ります。
「じっさい、紹介所を通して最良のパートナーを探すというのは、ことわざにもあるとおり『大海撈針』(海に落とした針を探す)、『広種薄収』(作付面積は広いが、単位あたりの収穫量は少ない)ですよ。相手が見つかることはごく稀ですが、それでも手段がないよりはマシ」
ひと昔前までは、たしかに「父母之命、媒酌之言」という封建的な考え方にしたがう風潮があったのですが、いまでは結婚紹介所に登録することは、恥でもなんでもないといいます。
「紹介所の発展に、選択肢の広がりという社会の変化と、価値観の多様化という中国人の思想解放が感じられます。だって、そうでしょう? 募集広告を見ていると、中国人の向上心や自主的な姿が見えてくるようではないですか……」

結婚紹介所の信用度を高めるために、営業許可システムの見直しや違法営業者の摘発を強化するという動きもあるようです。信頼のおける紹介所が増えることで、中国のブライダル産業がますます盛んになる可能性も……。
社会の変化にともなって、結婚相手募集の広告がどのように変化するのか、これからも注視していきたいところです(やっぱり、取材を兼ねて?登録するべきだろうか……)。

【ご参照】
北京の大手結婚紹介所サイト
★「北京紫禁城相識サービスセンター」 http://www.zjc.com.cn/
★「京城邂逅婚介公司」 http://www.jcxh.com.cn/

 

 
   
     
     
bestsellere  

総合
光合作用書房 (北京市海淀区 五道口華清嘉園1号楼)
2005年6月5日~6月11日

     












 

1.『贏』(Winning)
ジャック・ウェルチ/スージー・ウェルチ著(米) 余江など訳 中信出版社 2005年5月初版


2002年まで21年間にわたり、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)の会長兼CEO(最高経営責任者)であったジャック・ウェルチ。GEを世界最強の企業へと変えた彼が、仕事や生活においてどうしたら"勝者"になれるか、豊かな経験と管理実践例をあげながら解きほぐす。
英語版の原本(初版)は今年4月に出ており、中国語の翻訳版もほとんど同時発売となった(日本語版は未刊)。3年ほど前に中国でもベストセラーになった『傑克・韋爾奇自傳』(ジャック・ウェルチ自伝)は、日本では『ジャック・ウェルチ わが経営(上・下巻)』として日本経済新聞社から出版されている。


2.『天黒以後』
村上春樹著(日)/林少華訳 上海訳文出版社 2005年5月第2刷


昨年9月、講談社から刊行された村上春樹『アフターダーク』の中国語版。今年4月に翻訳出版されて以来、早くも2刷(印刷6万冊)となっている。
映画のようなビジュアル性を重視して、現在進行形で語られる新感覚の小説だ。キーパーソンとなる若い中国人女性の登場も、中国の"ハルキスト"たちの関心を集めている。
訳者の林少華氏は、これまでに29冊の村上作品を訳出しているベテラン。今後も『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』など、村上春樹のエッセイ、旅行記8冊を翻訳出版する予定だという。


3.『栄格自伝』(ユング自伝)
C.G.ユング著(スイス)/劉国彬など訳 国際文化出版公司 2005年6月初版


スイスの精神医学者で、分析心理学(ユング心理学)の創始者ユング(1875~1961)。フロイトとの出会いと仲違い、そしてそこから独自の分析心理学を打ち出していくユングの足跡が語られる。「無意識」には、自我の抑圧や忘却による「個人的無意識」だけでなく、神話や昔話などに基づく人類共通の「普遍的無意識」があるとしたユング。
西洋だけでなく世界の宗教に関心を示していた彼は、中国の『易経』、日本の禅などの紹介にも努めたという。本書においても「分析心理学は、はからずもある部分において(道教の)煉丹術と一致する」と語っている。
日本では、1972年にみすず書房から『ユング自伝―思い出・夢・思想』(河合隼雄・訳)が出版されている。


4.『喧囂的九十年代』(The Roaring Nineties)
ジョセフE.スティグリッツ著(米)/張明など訳 中国金融出版社 2005年1月初版


2001年ノーベル経済学賞受賞の経済学者であり、クリントン政権の経済諮問委員会委員長であったスティグリッツの『吼え続けた90年代:世界で最も繁栄した10年をいま見直す』(日本語版は未刊)。
「自由市場の繁栄が、同時に経済衰退への種をまいた」「自由市場のイデオロギーが、開発途上国の多くを苦しめている」など、1990年代に世界の指導者たちをガイドしてきたビジネス理論の矛盾と問題点をするどく追究している。


5.『関于上班這件事』(出勤することについて)
朱徳庸著(台湾) 中信出版社 2005年4月初版


6.『非常道:1840~1999的中国話語』 
余世存編 社会科学文献出版社 2005年5月初版


7.『退歩集』
陳丹青著 広西師範大出版社 2005年1月初版


8.『薔薇島嶼』
安妮宝貝著(文・写真) 天津人民出版社 2005年5月初版


20代の女流作家・安妮宝貝は、インターネット上に作品を発表する「網絡文学」(ネット文学)というジャンルを確立した一人。1998年から発表をはじめ、短編小説『告別薇安』『八月未央』、長編小説『彼岸花』などの話題作を次々と出版している。
写真とエッセイでつづる『薔薇島嶼』は、2002年に刊行された同名タイトルの作品に、推敲を重ねた2005年版。「愛。それは水辺に立って、キラキラと光りかがやく水面を見ているようなもの。手を伸ばせば、いっさいが幻影だったことに気づく……」。チベットのラサや香港、ベトナムで撮影された写真の数々も、彼女のエッセイと同じように繊細で美しい。


9.『紅底金字―六七十年代的北京孩子』(赤地に金文字―6、70年代の北京の子ども) 
劉仰東著 中国青年出版社 2005年2月初版


「紅底金字」とは"文化大革命(文革)"のころに、少年先鋒隊や紅衛兵がつけていた腕章をはじめ、校旗、学生証、卒業証書がいずれも「赤地に金文字」だったことを指している。筆者によれば、それは「昔の暮らしを追憶する色彩」であるという。
文革当時、小中学生だった北京の子どもたちが記憶する学校の改名、復学後の革命、闘争(吊るし上げ)などの物々しいできごとから、バスの中、キャンディの包み紙、缶蹴り、卓球、住環境、点心(軽食)などの懐かしい日常生活までをつぶさに紹介。一種異様な激しい時代だったがゆえに、この年代の人たちは"文革"というと、なにか特別なノスタルジーや連帯感がわきおこってくるようだ。


10.『秦腔』
賈平凹著 作家出版社 2005年4月初版


長編小説『廃都』などで知られる当代の人気作家・賈平凹の待望の新作だ。「秦腔」とは、陝西省で生まれた語りものの戯曲のこと。作家の生まれ故郷である陝西省の片田舎をモデルにした「清風街」を舞台に、改革・開放後の二十余年、清風街におとずれた激しい変化と、人々の生と死、歴史の転換期が農村にもたらした震動を、生き生きと描く。
清風街には「白家」と「夏家」という2軒の地主があったが、白家は早くに衰退してしまう。夏家の変遷は、そのまま清風街や陝西省、ないしは中国の農村の象徴となってゆく……。
作家によれば「秦腔」というタイトルは「陝西省の声」ほどのシンボリックな意味あいだという。

 

 
   
     

 

日本、中国、韓国の歴史学者らが共同編集し、このほど3カ国ほぼ同時に出版された東アジア近現代史の教材『東亜三国的近現代史』(社会科学文献出版社)が、北京の書店にも並びはじめています(日本では、『未来をひらく歴史』として高文研から出版)。
2001年に日本で『新しい歴史教科書』が採択された際に、中韓両国が反発したことを受けて2002年、日中韓3国共通歴史教材委員会が発足。「中学生を対象にした共通の副教材」を目標に、東京、北京、ソウルで10回の編集会議を重ねて作られたものだそうです。
「南京大屠殺(虐殺)」「細菌戦」「慰安婦」「皇民化政策」「創氏改名」など、日本では論議をよぶ事項をはじめ、「3国の青少年の文化交流」「『冬のソナタ』ブーム」といった相互交流の発展についても、客観的かつ冷静な視点にたって記されています。
日中韓の3国において、中学生だけでなく大人が読んでも、また従来の歴史教科書と照らし合わせてみても、意義深いことでしょう。

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
  b_u_yajirusi  
 
   
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