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2005年2月  祝您

        新春快乐,鸡年大吉!  
     
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 中国の人たちにとって最大の年中行事である「春節」(旧正月)が、今年は一段と豪華さ、にぎやかさを増したようです。北京では、春節休暇(2月9~15日)の前後に、ほんとうは禁止されているはずの花火や爆竹が毎晩のように鳴りひびき、正月ムードを高めていましたし、この休み中に海外旅行(香港・マカオを含む)をした北京市民は3万2000人と前年同期比15.4%増で、大型連休のうちでも過去最高となる旅行者数を記録したというのです(2月16日付『北京晩報』)。

春節といえば、露店や出し物でおなじみの「廟会」(ミャオホイ)も、市内各地で大にぎわいでした。廟会とは、廟(寺院や道観)における縁日や、縁日の市のことですが、80年代以降は公園などでも行われてその規模を拡大、今年の廟会では前年比およそ10%増となる人出があったといわれています(どうりで、以前にも増して満員電車なみの混みようでした)。
北京では郊外も含めて11カ所で行われましたが、その中のひとつ、市内でも最大級の廟会といわれる「地壇廟会」では、昔ながらの出し物に"初笑い"を楽しむ市民が大勢つめかけていました。中国語でも「和気致祥」(笑う門には福きたる)といいますし、ここではチラリとそのユニークな出し物のようすをご紹介し、今年の「福」をお届けしたいと思います。

 

 
     

市街地の北部、地壇公園で行われた「第20回 地壇春節文化廟会」は、1日に約10万人もの入場者を数えたそうです。なかでも、園内に設けられた屋外ステージで、連日多くのお客さんを集めていたのが「北京曲芸団」の公演です。
「曲芸」とは、民間に伝わる謡い物などの「曲」と、戯法(手品)、相声(漫才)、口技(物まね)などの「芸」の総称で、公演を披露した北京曲芸団は、北京市文化局に属する唯一の曲芸専門団体として、創立50年あまりの歴史をほこるそうです。

日本の寄席でいえば"お囃子"にあたる、胡弓や太鼓、拍板(カスタネットのような打楽器)のにぎやかな音楽と新年のあいさつで幕を開け、最初に披露されたのが「中幡」(ジョンフォン)です。がっしりとした体格の青年たちが、直立させた幟(のぼり)を肩や腕、頭の上に移し変えていくという伝統の妙技です。
どことなく力士の旭鷲山に似ている青年の説明によれば、もともとは清代の「礼部」(儀礼や祭典などをつかさどる役所)で行われていたもので、清朝が倒れたのちに民間芸能になったそう。北京の天橋で「寶老師」という芸人が始めて有名になり「ボクたちは、その4代目の流れをくみます」と、旭鷲山くんは胸をはってアピールしていました。
高さ5メートル以上もあると思われる竹の幟を、ひじ、指、おでこ、頭の上とカンタンそうに移し変えていきますが、ときおり吹く風にバランスを崩してハラハラする場面も。そのうち幟は、鼻筋、下の歯などの信じられないところに立てられ、最後にはそれを足の甲から頭の上に飛ばして乗せるという、まるでサッカーのようなアッパレな技も披露されました。ステージをとりまく親子連れやカップル、シニアの観客たちからは、やんやの喝采。「好!」(いいぞ)という歓声があちこちから上がりました。

京劇の歌につづいて、何もなかった筒の中からジャガイモや白酒(?)入りの甕を出した民間手品、プロレスにも似た中国相撲の摔跤(シュワイジャオ。ここでも旭鷲山くんが大活躍)などが行われ、そしてお待ちかねの中国漫才・相声(シャンション)の登場です。
といっても、なぞなぞや言葉遊びなどの独特なユーモアを聞き分けるのは、外国人には至難の業……。必死に耳を傾けているその隣で、4、5歳の中国の女の子が爆笑しているのにはガクゼンとしましたが、こちらも負けてはいられません。ステージでは「最優秀青年相声演員」と紹介された王正さんと李然さんの若手漫才が、テンポよく進んでいきます。

 王 「…じゃ、つぎは逆さ言葉をやろう。僕がいった言葉を、反対にするんだよ。我桌子(ウォ ジュオズ、私の机)
  李 「ウォ ズジュオ」
  王 「我椅子(ウォ イーズ)
  李 「ウォ ズーイー」
  王 「我二人凳(ウォ アールレンドン、二人掛けの腰掛け)
  李 「ウォ ドン アールレン(我瞪二人、二人をにらむ)、おいおいケンカが始まるのかい?」
  王 「じゃ、これはどう? 我脳袋」(ウォ ナオダイ、私の頭)
  李 「ウォ ダイナオ(我呆脳)、ぼ、僕はバカかぁ!?」
  王 「我嘴(ウォ ズイ、私の口)
  李 「ズ、ズ……"嘴"をどうやって逆さにするんだよ! 少なくとも2文字以上にしてくれよ!」

場内は、笑いの渦に包まれました。古典的な作風ですが、ハツラツとした若さで演じたフレッシュ・コンビ。お笑いで人気の"爆笑問題"、いやいや将来の"やすきよ"を見るようで、これからも応援したくなりました。

大トリをつとめたのは、ベテラン・コンビの王さん、李さんによる「双簧」(シュワンホァン)です。
双簧は、いってみれば「二人羽織」のようなもの。前に座る人が後ろに隠れた人の発声に合わせて、口パクをするという言葉の技です。
舞台に登場した王さん、李さんには、見ているだけでおかしさが込み上げてくるような芸人特有の味わいがありました。先ほどの若手コンビが"やすきよ"ならば、こちらは中国の"いとしこいし"といえるでしょう。
「これはね"日本"から輸入したカツラなんですよ」(技術大国の日本がもてはやされている!)と頭に"つけ毛"をつけ、両目と口のまわりにおしろいを塗って、こっけいな風貌となった王さんと、その後ろに隠れた李さんの絶妙なやりとりです。

 李 「報せをうけた羅という部将、急いで甲冑に身をかため、槍を手にして馬に乗った。ところが羅さんのその馬は、あっちへいったり、こっちへいったり。逛(グアン、ぶらぶら)、逛、逛~、あ~逛、逛、逛~」
  王 「(椅子から立ち上がり、振り向いて)おいっ、グアグアグアって、カエルじゃないんだから!」
  李 「すまん、すまん。君が馬から落ちるんじゃないかと思ってね」
  王 「馬なんだから、もっと速く走らせてくれよ!」
  李 「わかった、わかった。じゃ、もう一回。報せをうけた羅という部将……槍を手にして馬に乗った。ところが…」ドスン!(李さんが椅子を引き、王さんが転ぶ)
  王 「いたた……」
  李 「それみたことか。君は駿馬には乗れないといっただろう? でも大丈夫かい?」
  王 「う、う、持病の心臓病が……」
  李 「薬はあるのかい? もらってこようか」
  王 「ダメダメ」
  李 「注射は?」
  王 「効かない」
  李 「救急車は?」
  王 「だめだろう」
  李 「じゃ、いったいどうしたらいいんだい?」
  王 「狗不理包子(老舗の肉まんじゅう)を僕にくれたら……」
  李 「どこにあるんだよ!」

 

場内からはワッと歓声があがりました。"真打ち"らしい堂々とした風格で、見事な最後をかざりました。観客たちは「やっぱり廟会はこれを見なくちゃ、意味がないのよねえ」などと喜びあいながら、帰っていきます。どの顔を見ても、嬉しそう。冷たい北風が吹き抜けていましたが、心の中が、ほっこりと温かくなったような気がしました……。

じつはこうした民間芸能を、屋外ライブで楽しむ機会は、めっきり少なくなりました。北京には、前門の「老舎茶館」「広徳楼」などの専門劇場がありますし、テレビの芸能番組や、DVD、CDなどでも親しむことができますが、昔ながらの屋外ライブには、ひときわ素朴な味わいと迫力があります。北京っ子たちも、それが見たくて集まるのでしょう。
テレビや映画、インターネットの普及によって、かつての人気に陰りの見える民間芸能。若手の育成に力を入れているという「北京曲芸団」の今後に期待したいところです。

そんな廟会の興奮も冷めやらぬ折のこと――。書店では、『老北京的廟会』(旧北京の廟会、文物出版社、2004年12月初版)という新刊を見つけました。1930年代末から40年代初め、北京の名刹で行われていた廟会のもようを、英訳付きの解説と、初公開の貴重な写真とともにふりかえる3巻本のシリーズです。
道教寺院の白雲観やチベット仏教の雍和宮など、寺院それぞれに民俗色あふれる縁日のようすを伝えています。多くの写真が収められているので、まるで当時の廟会にタイムトリップするかのような楽しさがあります。
ロバや馬車に乗って参詣に向かう人々、長い線香の束をたむけて祈る老若男女、今ではあまり見られなくなった曲馬に人形劇に西洋鏡(のぞきからくり)。寺院内部や古い街並みの写真からも、多くの情報が得られます。変わりゆく今の北京と比較しながら訪ねてみるのも一興でしょう。廟会のお供にしたい、おススメの3冊です。
そうそう、廟会に行ったら曲芸のステージもぜひご覧になってみてください。中国独特のお笑いが、きっとあなたに「福」を運んでくれることでしょう。

 
   
     
     
bestsellere  

総合、三聯書店の出版物以外
三聯韜奮図書中心(三聯書店) (北京市東城区美術館東街22号)
2005年2月14日~2月20日

     
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1.『退歩集』
陳丹青著 広西師範大出版社 2005年1月初版


1953年上海生まれの陳丹青は、中国モダンアートの先駆者の一人。
"文革"時代をへて中央美術学院で油絵を学び、その後、2000年までの18年間、ニューヨークで創作活動を続ける。帰国後は北京の清華大学美術学院教授を務めるかたわら、油絵の製作や執筆活動にいそしんでいる。
この本は、そんな彼が帰国後5年間に書きためた文章や、対談、講演などの内容30編あまりを収めたもの。テーマは、絵画をはじめ映像、都市、教育などと幅広い。
自らを「退歩している」としながらも、「中国絵画の伝統と西側の"最先端"文化が交わるなかで、自分のアイデンティティーをはっきりさせることが大切だ」と、その信念を曲げることはない。「中国近現代の芸術エリアにおける"進歩観"に、疑問を投げかけている」とは評論家たちの弁である。


2.『他改変了中国―江沢民伝』(中国を変えた―江沢民伝)
Kuhn,R.L.著(米)/于海江ら訳 世紀出版集団 上海訳文出版社 2005年2月第2刷


北京前沿(先端)科学研究所副理事長などの肩書きをもち、中国を深く知る筆者が、江沢民氏の足跡――とくに中国の国家指導者、最高権力者であった彼の10年間の功績をふりかえる。
公務や家庭生活、趣味、人柄など、江沢民氏を「多角的、多面的に伝え」ており、「西洋人(の筆者)として、ある種の見方は中国人と異なるが……江沢民氏を系統的に理解し、(その足跡とともに)中国の移り変わりを、おさらいすることができるだろう」と本書は語る。


3.各種カレンダー(小)
容品公司


玉蘭(モクレン)の写真を集めた「北京的玉蘭」などのミニ・シリーズ。


4.『景観譚之宅運』(景観譚の住宅運)
孟東籬著 陝西師範大出版社 2005年2月初版


筆者は「形勢派風水学」の第一人者。北京や上海、香港、北米の華人居住地域の建築業界に、大きな影響力があるという。風水に関する著書も多いが、この本は、これからマイホームを手に入れたい、自宅をリフォームしたい、という一般の人たちに向けて、「場」を重んじる風水の理念をわかりやすく説いたもの。「風水とは何か」から「応用編」まで、美しいイラスト入りで解説している。
例えば「部屋にドアが2つある場合、ドアを相対させてはいけない。入ったものが、出てしまうから」など。風水の理念を積極的にとりいれて、好運を招こうと著者は語る。


5.『多余的素材』(よけいな素材)
陳丹青著 山東画報出版社 2004年11月第3刷


ベストワンに輝いた『退歩集』の作者が、ニューヨーク時代に書き表した散文をまとめている。上海の横町で育った少年時代、農村で働いた"文革"時代の思い出、画家仲間らとの交わり……。「できるだけ、プライベートな視点を除いて、ある人物の歴史の断片を記録したかったのだ」と作者は語る。
ベストテンに陳丹青の本が並んだのは、アート系の本が充実していて、芸術家肌の客があつまる三聯書店ならでは、だろう。


6.各種カレンダー(大)
容品公司


中国のモダンアーティスト・方力鈞の作品を集めたものなど。


7.『正説明朝十六帝:図文本』
王天有監修 中華書局 2005年1月第2刷


昨年末にベストセラーとなった『正説清朝十二帝:図文本』の姉妹編。太祖・朱元璋から思宗・朱由検まで、明代の皇帝16人の生涯を、多くの資料写真とともにふりかえる。


8.『菊花与刀―日本文化的諸模式』(菊と刀―日本文化の諸モデル)
ルース・ベネディクト著(米)/孫志民など訳 九州出版社 2005年1月初版


アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクト(1887-1948)の古典的名著。女性である著者が、その鋭い洞察力により日本人とは何かを分析している。中国でもこれまでに商務印書館から翻訳出版されているが、本書は資料写真を加えた「挿図(写真入り)珍蔵本」だ。


9.『有関品質』(品性について)
朱偉著 作家出版社 2005年1月初版


作者は、雑誌編集者などを経て、現在は週刊誌『三聯生活週刊』の編集長をつとめる。
「人の一生には、蓄積された自らの品性がある。品性は、だれの心の中にもあるものだ」と作者。「入り口と出口」「陳凱歌の表情」「張国栄記」など、『三聯生活週刊』のコラム「品性について」で発表したものを中心に収めている。


10.『双子座:対話中的王小慧』(対話の中の王小慧)
王小慧編著 文匯出版社 2005年2月初版


欧州と中国を行き来しながら、活動をつづける女性カメラマンの王小慧。カメラマンとして、また映画監督・脚本家(『破碎的月亮』、ドイツ映画脚本賞受賞)として、世界を股にかけて活躍中だ。2002年に北京でもベストセラーとなった自叙伝『我的視覚日記』(私のビジュアル・ダイアリー)は、上海優秀図書賞を受賞している。
本書は、そんな旬の彼女が、作家の于是やテレビキャスターの陳魯豫ら当代の著名人たちと行った対談を収めたもの。「内なる美しさこそ、ほんとうの美。そんな美しさをポートレートに収めたい」という本音トークが繰り広げられる。
「双子座」というタイトルは、双子座の彼女が中国と西洋という2つの文化を享受して、2つの自我と二面性をもつからだという。

 

 

 
   
     

 

 

 

 

2月23日は、旧正月15日の元宵節(げんしょうせつ)でした。中国の人たちはこの日、「元宵」といわれる餡入りの団子を食べて、家族円満や一年の幸せを祈りますが、最近ではなんと、その餡にもさまざまなものが出回っています。
伝統的な餡は、ゴマ餡、こし餡、さんざし餡などですが、新しいものではチョコレート餡、クリーム餡、ココナッツ餡なども。試してはいませんが、食べるにはちょっとした勇気がいるかもしれません(笑)。
菓子の老舗「稲香村」などでつくられた元宵がとくに人気で、10元(約130円)前後と手ごろなバラ売りはもちろん、100元近くもするような、きれいな菓子箱入りの贈答品も、飛ぶように売れていました。
そして人々は、夜ともなると広場や公園で行われる「灯篭祭り」に出かけます(北京では少なくなりましたが…)。日本でも、長崎の「ランタンフェスティバル」が有名ですよね。こうして家族とともに楽しく過ごすのが、中国における昔ながらの元宵節の姿です。中国の友人宅で過ごした私も、つい楽しくて、ピンポン球大の元宵を8つもいただいてしまいました(!?)。
元宵節がすぎると、いよいよ中国の新年が本格的にスタートします。

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写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
  b_u_yajirusi  
 
   
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