1.『退歩集』
陳丹青著 広西師範大出版社 2005年1月初版
1953年上海生まれの陳丹青は、中国モダンアートの先駆者の一人。
"文革"時代をへて中央美術学院で油絵を学び、その後、2000年までの18年間、ニューヨークで創作活動を続ける。帰国後は北京の清華大学美術学院教授を務めるかたわら、油絵の製作や執筆活動にいそしんでいる。
この本は、そんな彼が帰国後5年間に書きためた文章や、対談、講演などの内容30編あまりを収めたもの。テーマは、絵画をはじめ映像、都市、教育などと幅広い。
自らを「退歩している」としながらも、「中国絵画の伝統と西側の"最先端"文化が交わるなかで、自分のアイデンティティーをはっきりさせることが大切だ」と、その信念を曲げることはない。「中国近現代の芸術エリアにおける"進歩観"に、疑問を投げかけている」とは評論家たちの弁である。
2.『他改変了中国―江沢民伝』(中国を変えた―江沢民伝)
Kuhn,R.L.著(米)/于海江ら訳 世紀出版集団 上海訳文出版社 2005年2月第2刷
北京前沿(先端)科学研究所副理事長などの肩書きをもち、中国を深く知る筆者が、江沢民氏の足跡――とくに中国の国家指導者、最高権力者であった彼の10年間の功績をふりかえる。
公務や家庭生活、趣味、人柄など、江沢民氏を「多角的、多面的に伝え」ており、「西洋人(の筆者)として、ある種の見方は中国人と異なるが……江沢民氏を系統的に理解し、(その足跡とともに)中国の移り変わりを、おさらいすることができるだろう」と本書は語る。
3.各種カレンダー(小)
容品公司
玉蘭(モクレン)の写真を集めた「北京的玉蘭」などのミニ・シリーズ。
4.『景観譚之宅運』(景観譚の住宅運)
孟東籬著 陝西師範大出版社 2005年2月初版
筆者は「形勢派風水学」の第一人者。北京や上海、香港、北米の華人居住地域の建築業界に、大きな影響力があるという。風水に関する著書も多いが、この本は、これからマイホームを手に入れたい、自宅をリフォームしたい、という一般の人たちに向けて、「場」を重んじる風水の理念をわかりやすく説いたもの。「風水とは何か」から「応用編」まで、美しいイラスト入りで解説している。
例えば「部屋にドアが2つある場合、ドアを相対させてはいけない。入ったものが、出てしまうから」など。風水の理念を積極的にとりいれて、好運を招こうと著者は語る。
5.『多余的素材』(よけいな素材)
陳丹青著 山東画報出版社 2004年11月第3刷
ベストワンに輝いた『退歩集』の作者が、ニューヨーク時代に書き表した散文をまとめている。上海の横町で育った少年時代、農村で働いた"文革"時代の思い出、画家仲間らとの交わり……。「できるだけ、プライベートな視点を除いて、ある人物の歴史の断片を記録したかったのだ」と作者は語る。
ベストテンに陳丹青の本が並んだのは、アート系の本が充実していて、芸術家肌の客があつまる三聯書店ならでは、だろう。
6.各種カレンダー(大)
容品公司
中国のモダンアーティスト・方力鈞の作品を集めたものなど。
7.『正説明朝十六帝:図文本』
王天有監修 中華書局 2005年1月第2刷
昨年末にベストセラーとなった『正説清朝十二帝:図文本』の姉妹編。太祖・朱元璋から思宗・朱由検まで、明代の皇帝16人の生涯を、多くの資料写真とともにふりかえる。
8.『菊花与刀―日本文化的諸模式』(菊と刀―日本文化の諸モデル)
ルース・ベネディクト著(米)/孫志民など訳 九州出版社 2005年1月初版
アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクト(1887-1948)の古典的名著。女性である著者が、その鋭い洞察力により日本人とは何かを分析している。中国でもこれまでに商務印書館から翻訳出版されているが、本書は資料写真を加えた「挿図(写真入り)珍蔵本」だ。
9.『有関品質』(品性について)
朱偉著 作家出版社 2005年1月初版
作者は、雑誌編集者などを経て、現在は週刊誌『三聯生活週刊』の編集長をつとめる。
「人の一生には、蓄積された自らの品性がある。品性は、だれの心の中にもあるものだ」と作者。「入り口と出口」「陳凱歌の表情」「張国栄記」など、『三聯生活週刊』のコラム「品性について」で発表したものを中心に収めている。
10.『双子座:対話中的王小慧』(対話の中の王小慧)
王小慧編著 文匯出版社 2005年2月初版
欧州と中国を行き来しながら、活動をつづける女性カメラマンの王小慧。カメラマンとして、また映画監督・脚本家(『破碎的月亮』、ドイツ映画脚本賞受賞)として、世界を股にかけて活躍中だ。2002年に北京でもベストセラーとなった自叙伝『我的視覚日記』(私のビジュアル・ダイアリー)は、上海優秀図書賞を受賞している。
本書は、そんな旬の彼女が、作家の于是やテレビキャスターの陳魯豫ら当代の著名人たちと行った対談を収めたもの。「内なる美しさこそ、ほんとうの美。そんな美しさをポートレートに収めたい」という本音トークが繰り広げられる。
「双子座」というタイトルは、双子座の彼女が中国と西洋という2つの文化を享受して、2つの自我と二面性をもつからだという。
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