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2004年8月 特別版  アジア杯の“熱い”夜を振り返る

    ─北京のある男女の会話  

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サッカー・アジア杯 決勝間近のスタジアム

 

アテネ五輪の宴たけなわといったところですが、そういえばあれも“熱い”夜のできごとでした。8月7日夜、北京で行われたサッカー・アジア杯の「日中対決」。それは、重慶、済南、北京へと白熱化したリーグ戦と、中国球迷(サポーター)たちの騒動とも相まって、日中双方で大きく報じられたことはいうまでもないでしょう。
サポーターの熱狂ぶりはある意味、いまの時点で噴き出してきた日中問題の積年の「膿」であるのかもしれません。しかし「それを放置して、化膿させる必要はないでしょう」「両国や個人の一人ひとりが、それを治すように努力していくべきではないか」などという建設的な声も、双方からは聞こえてきます。
アテネの次は、2008年北京五輪。アジアで開かれるスポーツ最大の祭典を成功させるためにも、またアジアと世界の安定のためにも、私たちは今回の「アジア・カップ問題」を真摯に受けとめる必要があるのではないでしょうか――。 と、だいぶ説教臭くなってきましたが、北京にいる友人の間では、いまもこの話題に大きな関心が集まっています。そこで、ここでは趣向を変えて、北京のとあるカフェバーでアジア杯について振り返る、ある日本人男女の会話に耳を傾けてみることにいたしましょう。

※以下の内容は、個人的な体験と取材、見解に基づくものです。男女の設定はフィクションです。

 

 
     

ユリ 久しぶり~。出張で日本へ帰っていたんだって?

健  そうそう。日本ではさ、ちょうど中国アジア・カップの問題が大きく取り上げられていたんだけど、ユリは北京で観戦したんだろう? この三里屯のバー通りもスタジアムに近いから、サポーターが夜更けまで大騒ぎして、すごかったというじゃないか。

ユリ それがね……。私が見た限りでは、そんな風でもなかったのよ。話せば長くなるんだけどさ。
あの晩は、正規のチケットがほぼ完売といわれていたので、ダフ屋からこっそり買ったのはいいんだけど、それが本物そっくりの偽チケット! プレミアも、透かしも付いていなかったので、何かヘンだな~と思っていたら案の定、入場ゲートで目ききの係
員に門前払いを食わされちゃった(笑)

  おっちょこちょいのユリらしいよな~(笑)

ユリ 一瞬にして、1枚400元(約5000円)がパーよ! まぁそれも自業自得なんだけどね。それで日本の友人と近くのバーで、ぎゅう詰めの中国ファンに混じってテレビ観戦していたんだけど、それが不思議なのよね~。日本チームが攻撃したり、得点したりする時に、いわれていたような激しいブーイングがほとんど起こらなかったのよ。時おり「中国隊,加油!(がんばれ)」というエールがこだましたほかは、み~んなテレビにクギ付け。うそのような静けさとタバコの煙が、バーを包み込んでいたのよね。
「さっすが、ホワイトカラーの集まる三里屯のバーは違う。大人って感じ」。友人とそんなオシャベリをしていたの。それに日本語で話していても、だれも冷たい視線を浴びせたり、なじったりするような気配はなかった。「どうだい?得点してうれしいだろう」なんて気軽に声をかけてくる中年のおじさんもいたくらい。試合終了まで、そんな大人の落ち着きが、あのバーにはあったのよ。

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落ち着いていた三里屯のバー

「審判のバカ……」

  でも、試合後はどうだったんだい? 日本のテレビで中国人サポーターの騒動を見たよ。

ユリ バーを後にして、工人体育場(スタジアム)の北門前を通りかかった時のことよ。たしか午後10時すぎだったと思うけど……。
「裁判傻bi、裁判傻bi!」(審判のバカ)という罵声が耳に入ったの。その時は何をいっているのか、よくわからなかったけど。後日になって中国の友人に尋ねたら、顔を赤くしながら教えてくれた。「傻bi」は、中国語で女性性器をなじる最高級の罵り言葉だそうよ。日本チームの2得点目がハンドの反則によるもので、レフリーの誤審に違いないと怒っていたのね。
罵声の主を探してみると、上半身はだかの若い男が、駐車車両の上で中国国旗を振りかざしながら大声を上げていた。その扇動的な行動が、周りにいた数百人のサポーターをいっせいに巻き込んでいったのよ。開催国の中国が決勝で敗れたという悔しさと、レフリーの“誤審”に対するうっぷんが溜まっていたんでしょう。人々はシュプレヒコールを上げながら、敗北のストレスを解消しているという様子だった。

  へえ~「裁判傻bi」か、なかなかニクイことをいうじゃないか(笑)

ユリ そのうちにね、扇動者の行動が、異様に過激になっていったの。
「打倒小日本!」「毛主席万歳!」なんていう大声を上げたかと思うと、赤い丸をつけた白いナイロン袋を「日の丸」に見立てて燃やし始めたのよ。ちょっと待ってよ、それはひどすぎるんじゃないの?と思った矢先、手書きの文字を記した白い紙をもった男が、群衆の前を行ったり来たりしはじめた。
「抗日遊撃隊」――。なるほど、そうだったのかと思ったわ。やっと腑に落ちたっていう感じ。つまりね、彼らはサポーターのうっぷんを利用して、「反日」を唱えたい一部のアウトローだったのよ。それは明らかに、一般市民という様子ではなかったわ。
案の定、武装警官が彼らを蹴散らした後は、レフリーへの不服を漏らす者はあっても、集団で「反日」のシュプレヒコールを上げる者は、辺りからいなくなった。11時を回ったころには、多くの人が最寄りの地下鉄駅に吸い込まれ、いつも通りの静けさが夜の街に戻ったのよ。
それは友人と目撃したかぎり、日本でセンセーショナルな話題となっている「数千人」という規模でもなければ、「未明まで続いた」大混乱でもなかったわ。ごく一部の扇動者のしわざなのよ。「日本のマスコミは誇張している」(『人民日報』8月5日付等)と中国メディアが伝えていたけど、その気持ちもわからないではなかったな。

 

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北京工人体育場


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武装警官や警備員が多数配置された

北京の阿波おどり!?

  でもさ、試合終了後に一部の暴徒が日本大使館の車を壊したり、日本人サポーターがスタジアムに2時間も缶詰にされたりしたっていうじゃないか。それに、程度の差はあれ、重慶、済南を経て、北京へと一連の騒動が続いてきたんだからね。日本のマスコミの報道に責任を転嫁するというのは、ちょっと筋違いな話になるんじゃないかい?

ユリ 一部の暴徒の行動は、本当に悔やまれることだったし、あってはならないことだった。それに対しては、中国外交部(外務省)が遺憾の意を、北京市公安局が謝罪の意を表しているということね。
でもね、私が声を大にしていいたいのは、スタジアムの観衆6万人すべてが「反日デモ」を繰り広げたり、暴動を起こしたりした訳ではない――ということ。重慶でも済南でも、スタジアムでのブーイングがひどかった、というけれど、中国の友人によれば、スタジアムには一種独特なムードがあって、そのムードに飲み込まれてしまうんだって。重慶在住の日本人の話では、スタジアムの外に出れば、街はいつも通りの静けさを保っていたというわ。地元で中国戦がなかったので、市民の中にはアジア杯があったことすら知らない人がいたそうよ。
中国のサッカーファンはけっこう熱くて、国内のリーグ戦だって、大ブーイング合戦よ。「傻bi」という罵声語も、サッカー観戦にはつきもののようよ。
だから、日本チームに罵声を浴びせたからといって、それがイコール「反日感情」だとは思わない方がいいのではないか、っていうことなのよ。今回、どうも中国チームより世界ランキング格上の日本と韓国に対する罵声がひどかったらしいけど、韓国は準々決勝で敗退したので、騒ぎが大きくならなかったのよ。

  中国の人って、確かに熱いもんなあ。2001年夏に、北京五輪の開催が決まったときも、街じゅう歓喜に沸いていた。

ユリ アジア杯の決勝の夜、北京っ子たちは、お祭りに繰り出すみたいに楽しそうだった。顔や体に赤い国旗や黄色い星をペイントしちゃって、国旗を振ったり、ラッパを吹いたり、試合前から嬉々としていた。
それは例えば、充満したエネルギーを街じゅうで爆発させる「ねぶた祭」や「阿波おどり」のような機会の少ない中国の首都で、“お祭り騒ぎのマネをした”というに等しい、子ども染みたものだったのよ。一部の扇動者を除いてはね……。

  たしかに英国フーリガンの例を上げるまでもなく、血気盛んな若者たちの集まるサポーターが、ゲームしだいで過熱化するのは周知の事実。川淵三郎・日本サッカー協会会長も、今回の騒動について「サッカーのサポーターのこうした行為はほかの地域でもゼロではない。そのことは声高に非難しない」(8月9日付、共同)というコメントを出したというもんな。一部の騒ぎの原因を見つめ直す必要はあるけれど、「一事が万事」のように考えるのは性急な結論なのかもしれないな。

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地方からのサポーターも応援に

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ホットな関係に

ユリ それから問題なのは、いま、どうしてこういう一部の扇動者が現れてきたのかっていうことよ。スタジアムの観衆を、一時的であれ、巻き込んでしまうような影響力があるんですもの。

  重慶の日本戦では、「釣魚島(尖閣諸島・魚釣島)を返せ」という横断幕を掲げた中国人観客の写真をネットで見たよ。もちろん問題はそれだけじゃなく、日本の首相の靖国神社参拝、歴史教科書、イラク派兵、憲法改正……。それに民間レベルでも、珠海での日本人の集団買春事件、西安の日本人留学生のハレンチ事件など「反日」とまでいかなくても、「嫌日」のムードがそのつど高まっていた。中国の人たちに、日本に対するさまざまな感情がうっ積していたと思うんだ。
そうした原因を、近年来の中国の「愛国主義教育」に求める日本側の見解もあるけれど、物事には必ず「陰と陽」の両側面があるだろう。一方的な問題ではなく、日本側にもその火種がないわけじゃない。「火のないところに煙は立たない」というだろう。そういう「煙」の出どころを、僕たち一般の日本人も知っておく必要があると思うんだ。

ユリ 日本にも、中国に対する不穏なムードがあるらしいわよ。いま日本では「次期オリンピックを北京で開催するのは、ふさわしくないのでは」という議論が巻き起こっているんだって。
アジア・カップの問題しかり、中国人留学生の福岡の殺人事件しかり……。挙句の果てには、東京あたりではいま「ピッキング犯人=中国人」という極端な決めつけが、まかり通っているらしいわよ。なんだかひどい話じゃないの。

  それもこれも、日中関係の「政冷経熱」(政治が冷たく、経済が熱い)という現状が一因なのではないか、というのが馮昭奎・中国社会科学院日本研究所研究員の見解だ(『人民網日本語版』8月13日付)。なにしろ、靖国参拝の問題で、日中両国の首脳レベルの相互訪問が3年も途絶えている。「政府の仲が悪いのに、どうして民間が仲良くしなければならないんだ」と中国の人は思うよね。
それに、これだけ貿易・経済や人の往来が盛んなのに、どうして政治が冷たいままなんだろうか。政治もホットな関係になって、経済とともに相乗効果を生み出してもらいたいものだよな。中国国内にだって、僕らみたいな日本人のビジネスマンやその家族、留学生が10万人も暮らしているんだからさ。いまや切っても切れないアジアの隣国になっているんだよ。

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お祭り気分で盛り上がる

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2008年を北京で

ユリ いろいろあるけど、北京五輪はいよいよ4年後。逆に考えれば、いまの時点でこうした「膿」が噴き出してきて、よかったのかもしれないわね。その出どころがわかったんだから、あとは互いに治していくだけ。

  「治していくだけ」って…。事はそんなに簡単ではないと思うけどね。でも、今回のアジア杯は、中国が国の威信をかけて「文明的な観戦」(『人民日報』8月6日付等)を呼びかけた。4万6000人という武装警官や警備員を動員し、「何とか成功した」(当局)と評しているだろう。「スポーツに政治を持ち込まない」という議論も出ているし、「中国は民族主義の熱を冷まそう」(『人民網 中日論壇』8月13日付)という意見も出ている。
中国はあと4年のうちに、何としても北京五輪を成功させる地盤をつくるに違いない。そういう意味でも、いまこの時点で諸問題が明らかになってよかったのかもしれないな。「ピンチはチャンス!」というやつさ。
中国には、本当の意味で国際化するためにも、こうしたスポーツの祭典に偏狭なナショナリズムを持ち込むのではなく「国境を超えて、ともにスポーツを楽しもう。各国選手の健闘を称えあおう」という心の余裕を持ってもらいたいものだよな。

ユリ それから心配なのは、いま双方に深まりつつある“不信の溝”よ。今回の騒動のこともそうだけど、互いに相手を知らないだけに、先入観で亀裂を深めているみたい。その溝を埋めるためにも、もっと互いをよく知りたい。とくにサポーター世代の若者同士が、もっと理解を深めあいたい。一人ひとりが互いのことを尊重し、理解しあえば、相手の国もグッと身近になると思うの。

  それもそうだな。いま日本では「韓流」といって韓国が大ブームらしいけど、中国ブームの「中流」も起こらないかな。きっかけは、ヨン様でも健様でも何だっていいからさ(笑)。そこから、互いの理解が深まれば……。

ユリ そんな風になったらいいわね……。ところで2008年の北京五輪、観戦したいと思わない? いつからチケットの予約ができるんだろう?

  ユリはおっちょこちょいだからさ。また買い逃したなんていうなよな。そうそう、ダフ屋から買うのは違法なんだからさ、それだけはやめてくれよ(笑)

『人民日報』8月5日付
http://www.people.com.cn/GB/paper464/12625/1134487.html
『人民網日本語版』8月13日付 馮昭奎氏の見解
http://people.ne.jp/2004/08/13/print20040813_42292.html
『人民日報』8月6日付
http://www.people.com.cn/GB/guandian/1033/2690069.html
『人民網 中日論壇』8月13日付
http://bbs.people.com.cn/bbs/ReadFile?whichfile=256359&typeid=18

 
   
   
     
     
bestsellere  

総合
★北京国林風図書センター
(北京市海淀区海淀西大街36号 海淀図書城昊海楼B1) 2004年8月9日~8月15日

     
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『狼図騰』(オオカミのトーテム)
姜戎著 長江文芸出版社 2004年4月初版


『水煮三国』(三国志の水煮)
成君憶著 中信出版社


『傑出青少年的七个習慣』(邦題『7つの習慣 ティーンズ』)
ショーン・コヴィー著(米) 中国青年出版社 2004年3月5刷

ビジネスマン向け『7つの習慣』を基礎にしたティーンズ編。「主体的に行動する」「目的を持って始める」「一番大切なことを優先する」「希望をもち続ける」など、すばらしい人生を手に入れるための7つのエッセンスを、若い世代に解き明かしている。日本では『7つの習慣 ティーンズ』というタイトルで2002年5月、キングベアー出版から翻訳出版されている。


『中国文化的深層結構』(中国文化の深層構造)
孫隆基著(米) 広西師範大学出版社 2004年6月第2刷


著者は重慶生まれの香港育ち、米スタンフォード大で東アジア史の博士学位をとり、現在は米メンフィス大の歴史学部教授。本書は米国での1983年初版、89年改訂、また最新の改訂を行い、今年初めて中国で出版されたもの。「中国人の“人”の定義」「中国人の“和合性”」「中国人の“固体”」「国家と社会」「世界に対する態度」など、その深淵なる文化構造を歴史学的、哲学的に解き明かしている。


『借我一生』(わが一生を借りて)
余秋雨著 作家出版社 2004年8月初版


『文化苦旅』『山居歳月』などの味わい深い散文集で知られる余秋雨は、1946年浙江省生まれ。上海に育ち、上海の戯劇学院学院長を務めたのちに、作家に転身。「国家級突出貢献専家」(国家クラスのきわめて貢献した専門家)などの称号をもつ。『借我一生』は、そんな余秋雨の初の自叙伝。幼年期から大学、学院長時代の足跡をはじめ、数々の名作を生みだした経緯を振り返る。
とりわけ世間の注目を集めているのが、「文革」時代の経歴だ。
当時、彼は上海の「文革」推進派グループとして “大批判写作組”に参加し、“ブルジョア反党路線”に対する批判文を発表していたという“風評”に対して、「当時の私は農村に下放されており、上海に帰ったことは一度もない」「“大批判写作組”とはいっさい関わりがない」という反論を展開している。
しかし、一部の研究者からはなおも「余秋雨の自伝の真実性は疑わしい。虚言である」などの指摘が出ており、本書はその文学性のみならず、ゴシップ的にも大きな話題となっている。


『狼的誘惑』(オオカミの誘惑)
可愛淘著(韓) 世界知識出版社 2004年8月初版


韓国の女子大生作家・可愛淘の最新作。『那小子真帥』シリーズに続き、300万の韓国読者を睡眠不足にさせたというキャンパス・ラブストーリー。田舎から出てきた平凡な女の子・彩麻が、貴公子・君野と孤独で不思議な美少年・英奇の2人の間でゆれ動くのだが……。
物語に複雑で神秘的な色彩を加え、「愛を取るか、友情を取るか」という旧来の “三角関係モノ”とは異なる新しいラブストーリーを生み出した、と若い世代の称賛を浴びている。


『新編 博弈論平話』(新編 ゲーム理論平話)
王則柯著 中信出版社 2004年3月第2刷


現在、中山大学嶺南学院教授で、上海法律経済研究所学術委員の筆者が、「博弈論」(game theory=ゲーム理論)と呼ばれる経済学を、わかりやすく解く。
室内ゲームから政治、経済、社会まで、さまざまな問題を定式化して考えるゲーム理論は、筆者によれば「利益衝突する主体者の対局を研究する理論」。「双贏(winwin)対局」「先動優勢」「後動優勢」「承諾と脅威およびその信用性」「ゲームの中の情報作用」など、20世紀前半から欧米で編みだされた科学的理論を現代的に考察している。ゲーム理論が、中国語では「博弈論」(囲碁論)と訳されていることにも納得!


『読書的芸術:如何閲読和閲読什麼』(読書の芸術:いかに、何を閲読するか)
『博覧群書』雑誌選編 九州出版社 2004年3月初版


古今東西の著名人が、どのように読書を楽しみ、その世界を広げてきたか……。魯迅の「読書の方法」、郭沫若「私の読書経験」、茅盾「愛読の書」、老舎「読書と写作(執筆)」、フランシス・ベーコン「読書を語る」、ヘルマン・ヘッセ「最も愛する読み物」など、心に沁みる識者たちの読書論を、この一冊にまとめている。


『那小子真帥2』(イケてるあいつ)
可愛淘著(韓) 世界知識出版社 2004年4月初版


韓国で200万部を売り上げたという人気小説『那小子真帥』の第2弾。イケメンで裕福な家庭の“あいつ”智銀聖と、平凡な家庭だけど元気一杯の“わたし”千穂のちょっぴり切ないキャンパス・ラブだ。
作者の可愛淘は1985年生まれの女子大生。物語のなかに、ケータイやショートメッセージ、カラオケという若者ならではの必須アイテムをちりばめて、同世代の人気を集めた。最新作の『狼的誘惑』が、早くもベストセラー第6位にランキングされている。


『河流如血』(河流は血のごとく)
海岩著 人民文学出版社 2004年7月初版


1954年北京生まれの海岩は、刑事モノのハードボイルド小説『便衣警察』(私服警察)や『永不瞑目』(永遠に目を瞑らない)などが、いずれも映画やテレビドラマに採用されるという人気作家だ。
最新作の『河流如血』は、ある河川流域の両岸を舞台に繰り広げられる人間ドラマ。「血」とはここでは「血縁」「肉親の情」を表している。恋人・権虎と駆け落ちした姉の保珍のゆくえを追う主人公の陸保良と、その家族の数十年の歴史を軸に、「人間とは、肉親の情とは」を問いかける異色作だ。
陸保良の父は、公安局の捜査隊長。黒社会(暴力団)の犯罪捜査で、権虎の父・権力とその部下を容疑者として逮捕する。権力には死刑判決が下り、権虎と保珍は無罪釈放後、蒸発してしまうのだった。数々の身の危険を冒して、姉の足取りをようやく突きとめたとき、そこに残されていた者は……。
作者の海岩は「これは単なる刑事モノではなく、人生の小説だ。私は最近、人間性の悪の部分を語ることに、ますます興味を覚えている」と語っている。

 

 

 
   
     

 

 

アテネ五輪。日本勢の健闘に胸のすく思いがしていますが、次期開催を控えた北京でも、街のいたるところでオリンピックを身近に感じることができます。
北京の繁華街・王府井には、中国選手の金メダル獲得数を示すボードが登場。エアライフルや重量挙げ、シンクロ高飛び込みなど、中国の獲得した金メダルの数が、ボードに貼られる金色のステッカーによって、日々更新されていきます。道行く人たちも興味津々でながめています。
また、王府井大通りに今年6月オープンしたばかりの「LI-NING」(リーニン)は、中国の元体操金メダリストの李寧が開発したブランド・スポーツ用品のアンテナショップ。アテネ五輪の開幕式や表彰式でおなじみの中国公式ユニホーム(男女用とも上下で688元)が売られているなど話題性もタップリで、客足が絶えることはありません。
アテネが終われば、次は北京。2008年へのカウントダウンとともに、五輪ムードはますます盛り上がっていくことでしょう。

be200408_a1中国選手の金メダル獲得数を示すボード
王府井大通りにオープンした「LI-NING」be200408_a2

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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