『狼図騰』(オオカミのトーテム)
姜戎著 長江文芸出版社 2004年4月初版
『水煮三国』(三国志の水煮)
成君憶著 中信出版社
『傑出青少年的七个習慣』(邦題『7つの習慣 ティーンズ』)
ショーン・コヴィー著(米) 中国青年出版社 2004年3月5刷
ビジネスマン向け『7つの習慣』を基礎にしたティーンズ編。「主体的に行動する」「目的を持って始める」「一番大切なことを優先する」「希望をもち続ける」など、すばらしい人生を手に入れるための7つのエッセンスを、若い世代に解き明かしている。日本では『7つの習慣 ティーンズ』というタイトルで2002年5月、キングベアー出版から翻訳出版されている。
『中国文化的深層結構』(中国文化の深層構造)
孫隆基著(米) 広西師範大学出版社 2004年6月第2刷
著者は重慶生まれの香港育ち、米スタンフォード大で東アジア史の博士学位をとり、現在は米メンフィス大の歴史学部教授。本書は米国での1983年初版、89年改訂、また最新の改訂を行い、今年初めて中国で出版されたもの。「中国人の“人”の定義」「中国人の“和合性”」「中国人の“固体”」「国家と社会」「世界に対する態度」など、その深淵なる文化構造を歴史学的、哲学的に解き明かしている。
『借我一生』(わが一生を借りて)
余秋雨著 作家出版社 2004年8月初版
『文化苦旅』『山居歳月』などの味わい深い散文集で知られる余秋雨は、1946年浙江省生まれ。上海に育ち、上海の戯劇学院学院長を務めたのちに、作家に転身。「国家級突出貢献専家」(国家クラスのきわめて貢献した専門家)などの称号をもつ。『借我一生』は、そんな余秋雨の初の自叙伝。幼年期から大学、学院長時代の足跡をはじめ、数々の名作を生みだした経緯を振り返る。
とりわけ世間の注目を集めているのが、「文革」時代の経歴だ。
当時、彼は上海の「文革」推進派グループとして “大批判写作組”に参加し、“ブルジョア反党路線”に対する批判文を発表していたという“風評”に対して、「当時の私は農村に下放されており、上海に帰ったことは一度もない」「“大批判写作組”とはいっさい関わりがない」という反論を展開している。
しかし、一部の研究者からはなおも「余秋雨の自伝の真実性は疑わしい。虚言である」などの指摘が出ており、本書はその文学性のみならず、ゴシップ的にも大きな話題となっている。
『狼的誘惑』(オオカミの誘惑)
可愛淘著(韓) 世界知識出版社 2004年8月初版
韓国の女子大生作家・可愛淘の最新作。『那小子真帥』シリーズに続き、300万の韓国読者を睡眠不足にさせたというキャンパス・ラブストーリー。田舎から出てきた平凡な女の子・彩麻が、貴公子・君野と孤独で不思議な美少年・英奇の2人の間でゆれ動くのだが……。
物語に複雑で神秘的な色彩を加え、「愛を取るか、友情を取るか」という旧来の “三角関係モノ”とは異なる新しいラブストーリーを生み出した、と若い世代の称賛を浴びている。
『新編 博弈論平話』(新編 ゲーム理論平話)
王則柯著 中信出版社 2004年3月第2刷
現在、中山大学嶺南学院教授で、上海法律経済研究所学術委員の筆者が、「博弈論」(game theory=ゲーム理論)と呼ばれる経済学を、わかりやすく解く。
室内ゲームから政治、経済、社会まで、さまざまな問題を定式化して考えるゲーム理論は、筆者によれば「利益衝突する主体者の対局を研究する理論」。「双贏(winwin)対局」「先動優勢」「後動優勢」「承諾と脅威およびその信用性」「ゲームの中の情報作用」など、20世紀前半から欧米で編みだされた科学的理論を現代的に考察している。ゲーム理論が、中国語では「博弈論」(囲碁論)と訳されていることにも納得!
『読書的芸術:如何閲読和閲読什麼』(読書の芸術:いかに、何を閲読するか)
『博覧群書』雑誌選編 九州出版社 2004年3月初版
古今東西の著名人が、どのように読書を楽しみ、その世界を広げてきたか……。魯迅の「読書の方法」、郭沫若「私の読書経験」、茅盾「愛読の書」、老舎「読書と写作(執筆)」、フランシス・ベーコン「読書を語る」、ヘルマン・ヘッセ「最も愛する読み物」など、心に沁みる識者たちの読書論を、この一冊にまとめている。
『那小子真帥2』(イケてるあいつ)
可愛淘著(韓) 世界知識出版社 2004年4月初版
韓国で200万部を売り上げたという人気小説『那小子真帥』の第2弾。イケメンで裕福な家庭の“あいつ”智銀聖と、平凡な家庭だけど元気一杯の“わたし”千穂のちょっぴり切ないキャンパス・ラブだ。
作者の可愛淘は1985年生まれの女子大生。物語のなかに、ケータイやショートメッセージ、カラオケという若者ならではの必須アイテムをちりばめて、同世代の人気を集めた。最新作の『狼的誘惑』が、早くもベストセラー第6位にランキングされている。
『河流如血』(河流は血のごとく)
海岩著 人民文学出版社 2004年7月初版
1954年北京生まれの海岩は、刑事モノのハードボイルド小説『便衣警察』(私服警察)や『永不瞑目』(永遠に目を瞑らない)などが、いずれも映画やテレビドラマに採用されるという人気作家だ。
最新作の『河流如血』は、ある河川流域の両岸を舞台に繰り広げられる人間ドラマ。「血」とはここでは「血縁」「肉親の情」を表している。恋人・権虎と駆け落ちした姉の保珍のゆくえを追う主人公の陸保良と、その家族の数十年の歴史を軸に、「人間とは、肉親の情とは」を問いかける異色作だ。
陸保良の父は、公安局の捜査隊長。黒社会(暴力団)の犯罪捜査で、権虎の父・権力とその部下を容疑者として逮捕する。権力には死刑判決が下り、権虎と保珍は無罪釈放後、蒸発してしまうのだった。数々の身の危険を冒して、姉の足取りをようやく突きとめたとき、そこに残されていた者は……。
作者の海岩は「これは単なる刑事モノではなく、人生の小説だ。私は最近、人間性の悪の部分を語ることに、ますます興味を覚えている」と語っている。
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