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2003年12月  毛沢東生誕110周年によせて…

     
     
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今年は、「中国の偉大な領袖」毛沢東(1893~1976)の生誕110周年の節目の年にあたる。生誕日の12月26日の前後にわたり、ゆかりの地である陝西省、江西省をはじめ各地で秘蔵写真展やシンポジウム、映画祭などが盛大に執り行われている。
そして、それは出版の分野でも大きな盛り上がりを見せている。毛沢東の実の娘や孫による回想録、中国中央テレビ局(CCTV)の特番とタイアップしたノベライゼーション、さらに中国式市場経済の発展を反映してか、毛沢東に学ぶ管理学のハウツー本など、多彩な記念出版物が店頭をにぎわせている。
というわけで今回は、生誕110周年、死後27年の今なお中国に絶大な影響力を保ちつづける毛沢東の話題の本を中心に、ご紹介したいと思う。

 

 
     

北京の大型書店、西単の北京図書大廈の店頭には、11月下旬から毛沢東生誕110周年の特別コーナーが設けられた(ちなみに中国では、毛沢東の生誕を「誕辰」(ダンチェン)という言葉で敬意を表している)。ざっと見ただけでも、特別コーナーにならぶ新刊本や改訂版は100種類を下らない。
『毛沢東伝』(中央文献出版社、上下巻)、『偉人毛沢東』(同、上中下巻)のようなオーソドックスな本の出版はもちろんのこと、生誕110周年の特徴としては、血縁者による回想録が一挙に出そろった感がある。

bj200312_05毛沢東の実の孫にあたり、新進気鋭の政治家である毛新宇(毛沢東と最初の妻・楊開慧の次男・毛岸青の息子、33歳)は、『爺爺毛沢東』(祖父・毛沢東、国防大学出版社)につづいて『親情的紐帯』(肉親の情をむすぶ帯、中央文献出版社)をこの12月に出版。生き生きとした祖父・毛沢東の姿を肉親の証言でつづった2冊が評判となり、CCTVのインタビュー番組に出演するなど、その活動の場を広げている。
また、こちらも孫娘にあたる孔東梅(毛沢東と2番目の妻・賀子珍の第五子、李敏の娘、31歳)は、『翻開我家老影集』(わが家の古いアルバムを開く、中央文献出版社)で母親・李敏をはじめ、親族と毛沢東のかかわりを貴重な写真でひもといてゆく。「一度も祖父に会ったことはないけれど、アルバムは祖父との唯一の交流手段だった。……だんだんと薄らいでゆく偉人の肉親世界に近づいてみたい」と正直な心境をうちあけている。

bj200312_07かつて『我的父親毛沢東』(邦題『わが父、毛沢東』)を著した李敏(66歳)が、毛沢東生誕110周年によせて、口述筆記で出版したのが『我的童年与領袖父親』(私の幼年と領袖の父親、四川出版集団ほか)だ。李敏は、毛沢東と2番目の妻・賀子珍との間の6人の子どものうち唯一成人した娘で、全国政治協商会議委員という要職にも就いている。幼児期に母親と暮らしたモスクワでの9年間を除いて、毛沢東とは14年間をともに過ごした。
旧ソ連にいたころは「自分が本当に毛沢東の娘だろうかと、悩んだこともありました」。しかし49年に帰国後、毛沢東のそばで暮らした一時期には「父は私たちに熱心に教えさとしたのです。『人民と呼吸を同じくし、命運をともにしなさい』と。父は私たち子どもの命に深く『人民』の2文字を植えつけた、と今ではほこりに思っています」(李敏)。
タイトル通り、幼少期のかけがえのない思い出がテーマとなっている。そのため、自分も江青(毛沢東の3番目の妻)らにより迫害を受けた「文化大革命」(文革、1966~76年)についてはほとんど触れられていない。子どもをもつ若い世代に、父親・毛沢東の慈愛に満ちた教育姿勢を学んでほしいというのが、本書の目的である(出版後記)という。

bj200312_0612月中旬に一挙放送されて注目を集めたのが、CCTVの大型ドキュメンタリー番組「独領風騒―詩人毛沢東」(24集)だ。文人政治家・毛沢東の詩詞(詩と詞)から、その歴史と人物を解きあかそうとする試みで、貴重な歴史的フィルムや名句が人々の胸中にさまざまな思いをよみがえらせた。
中国労農紅軍の戦略的大移動「長征」、革命の根拠地「井岡山」などにおける毛沢東の秘蔵写真やフィルムをはじめ、日本から国交正常化交渉(72年)に訪れた田中角栄氏に古典名著の『楚辞集注』6巻を手わたす映像などが、折々の詩の朗読とともに流された。私も思わず見入ってしまったが(!?)、連日ゴールデンタイムの放送で高視聴率を獲得した影響か、ノベライゼーションの『独領風騒―毛沢東心路解読』(領袖の風流韻事―毛沢東の計略解読、万巻出版公司)や、復刻版の『毛沢東詩詞集』(中央文献出版社)の売り上げもまずまず。書店の特別コーナーには、毛沢東時代をじかに知らない若者たちが大勢詰めかけていたが、特番とタイアップした出版キャンペーンの「効果は大」といったところであろう。

bj200312_08ほかに「堅持真理 実事求是」(真理を堅持し、事実に基づいて追求する)、「自己動手 豊衣足食」(衣食が満ち足りるよう、自分で行う)、「要尊敬長輩 尊重他人」(先輩を尊敬し、他人を尊重する)、「不要搞特殊化 更不能貪汚腐化」(特殊化してはならず、汚職・腐敗をむさぼることはできない)というおなじみの“毛沢東語録”を、現代管理学に生かそうとした『毛沢東教我們学管理』(毛沢東の教えに学ぶ管理、中共党史出版社)も、この11月に出版された。絵に描いたような「理想論」とみる向きもあろうが、文人政治家が人々を魅了したキャッチフレーズである。現代人も、なにかそこから学ぼうとする試みがおもしろい。生誕110周年の好機を生かした関連本の出版は、こうしてまさに“百花斉放、百家争鳴”のにぎわいとなっている。

中国の友人Aさん(60代)は、テレビに触発されて『毛沢東詩詞』を読み返し、万感胸にせまったという世代のひとりだ。当時のインテリ青年の多くがそうだったように、Aさんも文革で地方に下放された経験の持ち主である。
「複雑だったあのころを思うと、いろいろな感情がよみがえります。我々世代がもつ毛沢東への思いには、愛があり、恨みがある。『建国には功績があったが、建設には過ちと罪があった』と専門家がいうとおり、毛沢東という偉人は、一言ではとても言い表せないのです」
しかし、そうした複雑な時代があったからこそ、いまの中国の発展がある、とAさんは考えている。あの厳しい50~70年代こそが、こんにちの基礎を築いたのだと……。
「重要なのは歴史を学ぶ目的です。それは歴史から、こんにちがどうあるべきかを学ぶこと。歴史に今を学ぶのです」

生誕110年のキャンペーンは、その多くが来年1月26日まで行われている。こうした機会に、毛沢東と新中国の軌跡を見つめ直してみるのも意義深いことだろう――。

 
   
     
     
bestsellere  

社会科学類
★北京図書大廈(西単)(北京市西城区西長安街17号)
2003年11月1日~11月30日

     
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1.『水煮三国』(三国志の水煮)
成君憶 著 中信出版社 2003年7月初版 1375冊


「水煮」とは、たっぷりのトウガラシと油を使った四川風煮込みのこと。そんな「水煮」と「三国志」の名を冠した本書は、「『三国演義』をベースにした麻辣(ピリカラ)風味の管理学」であるという。アジア太平洋人力資源研究協会(APHRA)の副秘書長で『三国演義』ファンの筆者が、劉備や曹操、諸葛亮などおなじみの登場人物をまじえて、経営管理をわかりやすく説く。


2.『外交十記』(外交十話)
銭其琛 著 世界知識出版社 2003年10月初版 1332冊

中国の外交部長(外相)をへて、今年3月まで副総理を務めた銭其琛氏(75歳)の話題の回想録だ。「中ソ関係正常化」、「ソウルへ向かう」、昭和天皇崩御のさいの「東京の“葬礼外交”」など、外交にまつわる10のエピソードを披露する。


3.『北京人手冊』(北京人手帳)
地質出版社 2003年10月初版 1240冊


一家の必需品として、また新年の贈答用として重宝がられている情報ハンドブック『北京人手帳』の2004年版が、早くもベストセラーに! 
最新版の特徴は、①飽きのこないシックなブラウン系のビニールカバー付き、②北京市の分割地図を拡大し、新しい五環路までを詳報した――などなど。国と市の政府機関、医療、各種企業、観光、交通、ホテル、娯楽施設、ショッピング&グルメ、各種ホームページ(HP)アドレスなどの情報も満載で、変化の激しい大都会にとり残されないためにも、市民必携の一冊だ。


4.『做人不要太老実』(人として真面目すぎる必要はない)
水中魚 著 当代世界出版社 2003年11月第5刷 1228冊


「『真面目』は、いくじなしで世事にうとく、消極的で融通がきかない……の代名詞である(中略)。しかし、考え方や行動パターンからそうした弱点を分析し、真面目な人たちが長所を保ちながら、より積極的ですばらしい生活が送れるように指南したい」と著者はいう。「冒険心を養おう」「自己肯定をマスターしよう」「自信を強める」など、真面目な人が「生きやすくなる」ための処方箋が詰まっている。身にしみ込んでいくような、わかりやすくやさしい言葉も人気のようだ。


5.『致加西亜的信』(原題『A Message to Garcia』、邦題『ガルシアへの手紙』)
エルバート・ハバード著(米)趙立光など訳 ハルビン出版社 1098冊


『聖書』『毛沢東語録』などに続く、有史以来の世界的ベストセラー。古典的な人生の指南書で、北京では昨年春に復刻版が出てから、静かなブームを呼んでいる。


6.『人性的弱点 全集』(人間らしい弱点 全集)
デール・カーネギー著(米)袁玲 訳 中国発展出版社 2003年7月第2刷 1040冊


自己啓発本としては古典的名著のデール・カーネギー著『人を動かす』と『道は開ける』(日本では、ともに創元社から訳本が出ている)。中国版は、どうやらその2冊の合本らしいのだが、詳しい説明は書かれていない……。
「リラックスすることを学び、疲労をときはなつ」「微笑みを忘れない」「あなたは唯一無二のもの」「70%の悩みは金銭とかかわりがある」など、“成人教育の父”と称えられる著者が、よりよい人間関係と人生を築くためのノウハウを伝授する。


7.『給心霊洗個澡』(心を洗ってあげよう)
裴玲 著 金城出版社 2004年1月第4刷 981冊


「運命は人がおかれた環境ではなく、人の心の持ちようで決まる」と、楽観的でしあわせな人生を送るための秘訣を紹介する。「時間の存在を忘れる」「自分と対抗することはない」「『自分には何もない』と言わない」など、古今東西の名句をひきながら“心の洗濯”がいかに大切かを訴える。中国にも、いよいよ「癒しの時代」がやってきたのであろう。


8.『高效能人士的七个習慣』(能率の高い人の7つの習慣)
スティーブン.R.コヴィー著(米) 中国青年出版社 969冊

世界で1億冊を売り上げたという超級ベストセラー。日本では『7つの習慣―成功には原則があった!』(キングベアー出版)というタイトルで翻訳出版されている。「積極的に」「相互依存」「ウィン・ウィンの発想」など、“真の成功”と“すばらしい人生”を手にするための7つの習慣を紹介する。


9.『宋美齢画伝』
師永剛/林博文 編著 作家出版社 2003年11月第5刷 867冊


今年10月23日、ニューヨークの自宅で死去した宋美齢(106歳)は、台湾の故蒋介石夫人として、波乱の人生を歩んだ女性だ。「宋家の三姉妹」の三女として生まれ、長女の宋靄齢(財閥の孔祥熙夫人)、二女の宋慶齢(孫文夫人、元・中国国家副主席)とともに「世紀の三姉妹」「歴史を操った三姉妹」などと称されてきた。
本書は、そんな彼女の運命的な生涯を、初公開を含む200枚あまりの写真と直筆の国画とともにふりかえる。それがそのまま、激動の中国近代史とオーバーラップしていることがうかがえるだろう。


10.『六頂思考帽』(6つの考える帽子)
エドワード・デ ボーノ著(英)馮楊 訳 北京科学技術出版社 2004年1月初版 859冊


既成概念にとらわれない、自由な発想法「水平思考」を開発したデボーノ博士が、「思考を切り換え、整理して考えるために6色の帽子をかぶり分けよう」と提唱している。その6色の帽子とは……【白】客観的で正確な情報を集める【赤】感情と感覚から見る【黒】わるい方から考える【黄】優れているところを探す【緑】創造的に考える【青】思考をコントロールする。
6色の帽子は、ビジネスだけでなく、生活上のさまざまな問題にも応用できそうで楽しい! 邦訳として『デボノ博士の「6色ハット」発想法』(ダイヤモンド社)、『会議が変わる6つの帽子』(翔泳社)が出版されている。

 

 
   
     

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2003年は、皆様にとってどんな年だったでしょうか? 北京の窓からこの1年を振り返ってみると、筆頭にはやはり「SARSの発生と被害」があげられるでしょう。それは多くの犠牲者を出しましたが、苦難を乗り越え、明るくたくましく生き抜こうとする北京っ子たちの姿には、励まされる思いがしました。健康や衛生に対して、これまで以上に関心が高まったのも「不幸中の幸い」だったかもしれません。

胡錦涛主席―温家宝総理の新しい政治体制が敷かれて、中国が初めて有人宇宙飛行を成功させた快挙の年でもありました。レスリー・チャンや宋美齢などの巨星が堕ちましたが、「女子十二楽坊」などの新しいスターも登場しました。

2004年はどんな1年になるのでしょうか? 来たる年が皆様にとってすばらしい1年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

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