1.『我為歌狂 終結本8848』(ボクは音楽狂 終結本8848)
胡依紅 企画 董潔心 著 上海辞書出版社 2003年9月第4刷
2001年末、中国初の国産青春アニメとして、華々しくテレビに登場した『我為歌狂』(ボクは音楽狂)。ハイスクールを舞台に、バンド活動に打ち込むクールな男女の青春物語は、中国で大きなセンセーションを巻き起こした。アニメはなんども再放送され、ノベライゼーション第1作の『我為歌狂』は、すでに88万冊を突破(今月のベスト5位にも)。「我為球狂」(ボクはバスケ狂)、「我為画狂」(ボクはマンガ狂)など、「我為~狂」という流行語まで生まれている。
本書はその完結編。ラストで葉峰、楚天歌らバンドのメンバーたちは、音楽学院(大学)に合格するなど、それぞれの新しい道を歩きはじめる。音楽と愛と人生の最高峰「8848(チョモランマ=エベレストの標高)をめざすのだ――。
「恵まれた日本のプロデューサーのように、成熟した小説やマンガからシナリオが起こせるわけじゃなく、まったくゼロから物語を編みだしたの(中略)。完璧な作品ではないけれど、国産アニメもけっこう努力していることがわかってもらえると思うわ」(序)と女性プロデューサーの胡依紅は語る。
2.『流浪児迪克』(流浪の子ディック、原題『Ragged Dick』)
ホレーショ・アルジャー著 馮楊 訳 海南出版社 2003年8月初版
ホレーショ・アルジャー(1832~1899)は、少年物語を得意とする作家で、牧師でもあった。この本は、孤児のディックが逆境にもめげず、努力して自分の運命を切り開き、立派な青年紳士として成長する物語。中国語版では、郭運娟のユニークな挿絵が入り、子どもたちの人気の的となっている。
3.『我們仨』(私たち三人)
楊絳 著 生活・読書・新知三聯書店 2003年8月第3刷
長編小説『洗澡』で知られる著名作家の楊絳(1911~)は、中国を代表する作家で学者の故・銭鍾書の夫人。最愛の娘と夫をあいついで亡くし、知られざる家族3人の肖像とかけがえのない思い出を語る。
4.『不能承受的生命之軽』(邦題『存在の耐えられない軽さ』)
ミラン・クンデラ著(仏) 許鈞 訳 上海訳文出版社
現代チェコが生み出した作家ミラン・クンデラ(1929~、フランス在住)。その代表作ともいえる『存在の耐えられない軽さ』は、チェコスロバキアの「プラハの春」と、その後のソ連軍侵攻をベースにした哲学的恋愛小説。87年にアメリカで映画化されて、中国の「6.4天安門事件(89年)」にも影響をあたえたといわれている。
5.『我為歌狂』(ボクは音楽狂)
曽炜など著 上海人民出版社 2003年7月第21刷
アニメ『我為歌狂』のノベライゼーション第1作。今月のベストワン『我為歌狂 終結本 8848』が8月に出版されたのに合わせて、またも売り上げを伸ばしているようだ。
6.『窗辺的小豆豆』(窓ぎわのトットちゃん)
黒柳徹子 著 いわさきちひろ 絵 趙玉皎 訳 南海出版公司 2003年6月第2刷
1981年に日本で出版され、大ブームを呼んでから22年。「本書は世界33言語に訳され、読者は合わせて数千万人に上る」と中国語版の紹介にある。「小学1年生で退学になった」トットちゃんが、転校先の小学校で、周囲の愛につつまれ元気よく成長していく姿が描かれる。ユニセフ(国連児童基金)親善大使・黒柳徹子さんの自由奔放な幼少期である。
中国の親たちにとって、宝物のような一人っ子の教育は最大の関心事。本書の帯には「子どものために読んでほしい。親と教師一人ひとりに」というキャッチコピーもあり、読者の心をグッとつかんでいるようだ。
7.『語文新課標必読叢書 初中生必背古詩文50篇』(国語新カリキュラム標準必読叢書 中学生必須暗記古詩文50篇)
王峰 馬奔騰 注釈 人民文学出版社 2003年7月第3刷
小中高生の国語能力を高めるため、一昨年と今年、教育部(文部科学省にあたる)が公布した「全日制義務教育語文課程(国語カリキュラム)標準」「普通高校語文課程標準」。その標準にあわせて編纂された、指定図書のひとつである。「孔子語録」(『論語』)、「出師表」(諸葛亮)、「桃花源記」(陶淵明)、「行路難」(李白)、「春望」(杜甫)など、中学生が暗記すべき古典詩文(抜粋)50篇を、注釈や解説とともに簡潔にまとめている。
8.『一生必読的60本書』(一生で必読の60冊)
張玉斌 王晶 編著 北京工業大学出版社 2003年9月第2刷
魯迅やヘミングウェイら、古今内外の巨匠がとりあげた「必読書」を基礎に、文学、哲学、歴史、軍事など各分野における世界的代表作60冊をピックアップ。その内容や解説などを紹介している。
中国モノでは『論語』『史記』『孫子の兵法』『三国志』『水滸伝』『紅楼夢』『西遊記』『本草綱目』などの古典から、『毛沢東伝』『四世同堂』『囲城』『冰心散文選』『活着(活きる)』などの近現代文学まで。海外モノでは『聖書』『種の起源』『戦争論』から、『老人と海』『星の王子さま』『雪国』『存在の耐えられない軽さ』『ソフィの世界』まで――。あらゆるテーマの世界名著のエッセンスが、この一冊に凝縮される。
9.『我把青春献給你』(青春をあなたに捧げる)
馮小剛 著 金麗紅など責任編集 長江文芸出版社
中国コメディ映画の第一人者、馮小剛(フォン・シャオガン)監督の回想録風エッセイだ。『再見のあとで』(1992年、脚本)、『太陽の少年』(95年、出演)、『甲方乙方』(97年、監督)、『没完没了(ミレニアム・ラブ)』(99年、監督)など、数々のヒット作を世に送り出してきた馮監督。作品に込めた思いや舞台裏、私生活のようすが十二分に綴られる。
10.『習慣決定命運』(習慣が運命を決める)
瑜苑 編著 地震出版社 2003年3月初版
「習慣と運命は、密接な関係がある」「自分を理解し、運命を把握する書」とその表紙にある。暮らしや健康、学習、理性、美徳、貢献など、人生のさまざまな場面における「習慣づけ」の重要性を説く。輝ける人生を送るための中国版ノウハウ本。内外の古典や現代人の事例が数多く引用されており、読み物としてもおもしろい。
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