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2003年6月  

     
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北京の中心、故宮の北側に「ヽ」の字型によこたわる湖、什刹海(シーチャーハイ)があります。前海・后海・西海と呼ばれる3つの湖の総称で、一帯には伝統住宅の四合院(しごういん)や、縦横にいりくんだ横町・胡同(フートン)などの明・清代の古い街並みが残されています。
人力車で横町をめぐる「胡同遊」の観光スポットとして知られていましたが、ここが最近、大きく様変わりしようとしています。湖のまわりに、おしゃれなカフェバーがずらりと数10軒も並んだのです!
午後3時ごろから開店し、深夜まで営業しています。週末ともなれば、ニューリッチ層や、流行に敏感な若者たちでいっぱい。訪れたこの日曜も、ビールやワインを片手に、湖畔のテラスで涼む北京っ子たちの姿がありました。
では、なぜ今、什刹海なのか? 若者のたまり場だった三里屯(サンリートゥン)のバーやディスコが先ごろ、新型肺炎の蔓延をふせごうと閉鎖されましたが、次なる新天地として注目されたのがここ、什刹海だったのです。理由は「風通しのいい湖畔だから」。ウイルスがはびこるはずがない、ということで、什刹海は今や「第2の三里屯」「酒吧街(バー通り)」として脚光を浴びています。

 

 
     

★ちょっと気になる本“追星族”の必須アイテム──アイドル本が多彩に

♪就算你我有前生的約定 也还要用心去尋找 不見不散……
君とボク たとえ前世の約束があったとしても
心して捜したい 会えるまで待ってる……  (『不見不散』)

新型肺炎SARSの影響で、北京の宿舎にこもりがちだったこの約2カ月。"鬼の霍乱"ではないが、いつになく弱気になっていた私を、励まし続けてくれたのが、中国の実力派歌手・孫楠(スン・ナン)のさわやかな歌声だった。

1999年の正月映画『不見不散』のテーマソングとして大ヒットしたこの曲は、今でも中国で、カラオケの人気ナンバーとなっている。昨年秋には、日中国交正常化30周年を記念したNHKの「日中友好芸能フェスティバル」にも出演し、中国語で朗々と歌い上げたので、思い出される方もいるかもしれない。
歌詞が、またいい。「不見不散(会えるまで待ってる)~」
孫楠の美しいテノールが、そう響くたびに「待っててね~~」と大きくあいづちを打つ私であった。

 

bj200306_7香港系の衛星テレビで、音楽専用チャンネルの「Channel[V]」も、しょっちゅう見ていた。こうしてなんとか、この特別な時期を乗り越えてきた。若くて元気ハツラツとした中国歌曲や中国系のスターたちが、「心のオアシスになった」といっても過言ではない(いやホントに)。
そこで、街の雰囲気が落ち着いてきた6月初め、中国の芸能情報をあらためて探ってみようと、書店へ出かけた。すると、あるわ、あるわ。現在、目に付いたものだけでも、歌にドラマにと乗りに乗っている台湾のアイドルグループ・F4(エフ・スー)、台湾のアイドル歌手・蔡依林(ジョリン・ツァイ)、台湾ラップで注目を集める周傑倫(ジェイ・チョウ)、アジアの歌姫・香港の王菲(フェイ・ウォン)、大陸の人気男性デュオの羽・泉(ユィ・チュエン)などの写真集や読み物が、所狭しと並べられていた。

「写真集」は、台湾などで作られた出版物の版権をとり、大陸で"焼き直し"をしたものが多く、ビジュアルセンスに富んでいる。一方、大陸の出版物で多いのが「読み物」のたぐいである。写真のセンスはイマイチながら、スターのコメントや解説などをまとめて、文章を中心にした"内容勝負"の傾向がうかがえる。

写真集はいずれも30元前後と、一般書籍と比べると数倍高いが、こうしたいわゆる「アイドル本」は、中高生や若い男女の人気のまとだ。書店の芸能コーナーは、いつ訪れても若者たちの熱気がうず巻いている。

中国の改革・開放後、とりわけ1990年代後半に、チャイニーズ・ポップスや中国系の映画、ドラマが多様化するにつれて、盛んになっていった「アイドル本」の製作出版。とくにここ数年は、その種類も内容も"百花繚乱"の感がある。キッカケがなければ、どこからひも解いたらいいのかわからず、ぼう然としてしまうほどだ。
というわけで今回は、その手ほどきともなるような中国系スターの情報本を、いくつかご紹介しよう。いわば、中国の追っかけ"追星族"(ジュイシンズゥ)たちの基礎知識であり、必須アイテムなのである。

bj200306_10まずは、『追星酷酷派』(劉穎・編著、中国電影出版社、2003年2月初版)だ。「追っかけクール派」とでも訳せるだろうか。表紙には「超人気魅力明星 一網打尽」「香港、台湾トップスターの第一資料」などと書いてある。
王菲、F4、周傑倫をはじめ、台湾のビッグアイドル・孫燕姿(ステフ・スン)、女優として歌手として活躍の場を広げる香港の陳慧琳(ケリー・チャン)、香港映画『少林サッカー』で世界的スターダムにのし上がった周星馳(チャウ・シンチー)、張芸謀(チャン・イーモウ)監督の新作映画『英雄(HERO)』で新境地を切り開いた香港のナンバーワン俳優・梁朝偉(トニー・レオン)、『宋家の三姉妹』(香港/日本)、『花様年華』(仏/香港)の香港女優・張曼玉(マギー・チャン)、それにアクションスターの成龍(ジャッキー・チェン)、4月に亡くなった張国栄(レスリー・チャン)など、そうそうたる中国系スター(29組)のグラビアや情報が満載である。

昨年、東芝EMIからSONYに移籍した王菲(フェイ・ウォン)は、日本でもすでにアルバムが30枚ほど売り出されている。ウォン・カーワァイ監督の香港映画『恋する惑星』に出演し、張芸謀監督の『英雄(HERO)』のテーマソングを歌った、アジアのトップスターである。

bj200306_9172センチ、50キロ。モデルのようにスリムなボディと、愛らしい顔立ちからは信じられないが、前夫との間に竇靖唐(ドウ・ジンタン)という6歳の一人娘がいる。「毎日いっしょに水泳をしているわ。娘とは友だちみたいな関係ね」
スターの証ともいうべきか、先ごろは11歳年下の人気俳優・謝霆鋒(ニコラス・ツェー)との恋愛も取り沙汰されたが、彼女自身は「アイドルというのは疲れるものよ。ファンは私のことを知っているけど、逆に私はファンのことがわからない。それでも私には音楽しかないし、音楽には国境がない。だから、音楽という共通のことばを通じて、ファンに答えていくしかないの。私の気持ちを、もっともっと、わかってもらいたいのよ」(要旨)。そう、音楽への思いを、熱く語る彼女であった。

スターのプロフィールや作品紹介、最新情報とともに、スターの本音に肉薄したお役立ち本である。

スターの本音がうかがえる、といえば、こちらもオススメ。コンパクトな手帳サイズでありながら、読み応えのある『非常接触』「影星版(俳優版)」と「歌星版(歌手版)」の2冊セットだ(中国文聯出版社、2003年2月初版)。今をときめく中国系スター20人が、ズラリと紹介されている。

ここで、とくに注目したいのが『少林サッカー』でおなじみのコメディー俳優・周星馳(チャウ・シンチー)。少林拳法とサッカーをドッキングさせた異色のコメディー映画『少林サッカー』は、監督・脚本・主演をつとめ、地元の香港で2001年香港映画の興行収入第1位を記録。日本においても2002年度、興収第1位の『ハリー・ポッター賢者の石』、3位の『スターウォーズ エピソード2』に迫るかのような勢いで、11位にランクされた(映画情報筋)大ヒット作である。

bj200306_6それなら、周星馳の代表作は『少林サッカー』かと、思いきや……!?
大陸に限っていえば、『少林サッカー』に先駆けて95年に公開された映画『大話西遊』(大ぼら西遊記、邦題『チャイニーズ・オデッセイ/西遊記』)に、ファンの軍配が上がるようだ。周星馳の扮する孫悟空が、500年後にタイムスリップして繰り広げる、笑いと涙のラブ・コメディー。大陸では、公開から4年ほど遅れた99~00年ごろに、VCDを通じて大学生や若者の間で爆発的にはやったという。
北京の友人(20代男性)も、「周星馳のセリフ"I 服了 YOU"(敬服します)などの変わった言葉が流行語になりました。VCDを数10回も見た人がいたし、関連のホームページもたくさん開設されています」と、『大話西遊』にすっかり入れ込んでいるようす……。主人公の心のひだを演じわけ、実力派俳優の地位を確立したといわれる映画だけに、その後の『少林サッカー』は、「CGを駆使した妙なアクションが、いただけない」「周星馳のそれまでの風格にそむいた」「(作品の)出来が後退した」という、ファンの酷評があいついだのである。
こうした厳しい見方に対し、周星馳は本書で語る。
「俳優として、監督として、『少林サッカー』は『大話西遊』より進歩したと思っているよ。でも、じっさいに『大話西遊』を超えたかどうかは、観客が評価すること。ボクには予想がつかないよ」
「セリフに頼らない、すぐれたアクションは世界性がある。世界の人々に受け入れられる。そのいい例が『臥虎蔵龍』(グリーン・デスティニー、01年アカデミー賞外国語映画賞など4部門受賞のアメリカ・中国合作映画)だよ。それまでハリウッドで上映される中国映画は全部、英語に吹き替えられていたけど、このときから吹き替えがなくなった。観客は、字幕を見ながらアクションを楽しんでいたよ。これは大きな進歩ではないかな」

bj200306_8『少林サッカー』にも相当なこだわりがあるようだ。資金面でのプレッシャーから製作は一時的にストップしているが、「続編、ぜったいに撮りますよ。今は頭の中にいくつかのアイデアがあって、あれこれ考えているところ」。
「内地(大陸)と香港における、歴代映画の興収ナンバーワンは『タイタニック』だそうだけど、外国映画にお株を奪われるなんて。ボクは自分の作品で、その雪辱を果たしたいんだ!」
周星馳の情熱は、あふれるばかりだ。本書には、ふだんは手の届かない偶像(アイドル)たちと、対話をするかのような楽しさがある。

めざましい経済発展につれて、中国系の芸能界も華やいでいくに違いない。それにともない「アイドル本」もバージョン・アップするのは目に見えている。初めて興味をもつビギナーにとっても、熱烈なファンにとっても、こたえられない文化の"黄金時代"を迎えているのだ。これからが、ますます楽しみである。

ところで、冒頭でもふれたお気に入りの孫楠サマだが、音楽人へのインタビューをまとめた『音楽人生―名人訪談録』(万年華・主編、上海教育出版社、2003年4月初版)に登場していた!! それによると「『不見不散』は、ボクにぴったり。自分でも一番好きな曲ですね」とのこと。好みも同じで、またまた、ニッコリとうなずいてしまう私であった。

 

 
   
   
     
     
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★北京国林風図書センター
(北京市海淀区海淀西大街36号 海淀図書城昊海楼B1)
2003年6月2日~6月8日

     
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1)『目標管理―如何実施有效的業務評估』
(管理目標―いかに有効な業務評価を行うか、原題『On Target』)

ミシェル・L・ベクテル著(米)、馬素紅など訳 中信出版社ほか 2002年11月初版


「マネジメントの責任は、トップにあるだけでなく、社員一人ひとりの手の中にある」。適切な業務評価こそが、企業に最大の効果をもたらすと説く、マネジメントの解説本。日本では、原書のみが手に入る。


2)『像芸術家一様思考』(芸術家と同じような思考)
ベティ・エドワーズ著(米) 張索娃 訳 海南出版社 2003年4月初版


世界13の言語に訳され、合わせて250万冊を売り上げたというこの本。「右脳で描く」独自の美術教育法が、いまでは創造力を高めるトレーニングの教材として、IBMやアップル・コンピューター、ディズニーなどの大企業に取り入れられているという。
日本では『脳の右側で描け』(エルテ出版)というタイトルで、翻訳出版されている。


3)『海辺的卡夫卡』(海辺のカフカ)
村上春樹 著(日)/林少華 訳 上海訳文出版社 2003年4月初版


4)『管人的真理』(管理者の真理)
スティーブン・P・ロビンズ著(米)/王敏 訳 中信出版社 2003年3月第4刷


マネジメント実践のためのバイブル。世界で累計200万冊を売り上げた人気書となっている。採用からモチベーション、リーダーシップ、チーム作り、衝突の処理まで、企業に必要な63の「真理」を解き明かしている。邦訳本は『マネジメントの正体―組織マネジメントを成功させる63の「人の活かし方」』(ソフトバンクパブリッシング)。
それにしても、外国で人気のビジネス書があると、リアルタイムで翻訳出版する中国には勢いを感じてしまう……。


5)『我把青春献給你』(青春をあなたに捧げる)
馮小剛 著/金麗紅など責任編集 長江文芸出版社 2003年3月初版


6)『自動自発』(原題『Willingness』、進んでやる)
エルバート・ハバード著(米)/陳書凱 編訳 機械工業出版社 2003年6月第5刷


「自動自発」とは「要求したり、強制したりする人がなく、自覚して自分のことをバツグンにやり遂げること」。『ガルシアへの手紙』で「成功する人」の秘訣を説いた著者による、あらゆる社会人のための自己啓発本である。


7)『我的非正常生活』(私の異常な生活)
洪晃 著 海南出版社 2003年3月初版


8)『北島詩歌集』
北島 著 南海出版公司 2003年1月初版


1949年北京に生まれ、現在はアメリカに居住する現代作家・北島の詩集。「労働/手,/地球を囲む」「平和/帝王が死んだ場所/あの槍から枝が伸び、発芽して/障害者の杖になった」
「多事之秋」「在天涯」「可疑之処」などの作品もある。短くも鋭いことばに込められた、北島の思いは深い。


9)『身份』(原題『L'identite』) ミラン・クンデラ著(仏)/董強 訳
上海訳文出版社 2003年2月初版


10)『誰説大象不能跳舞?』(象が踊れないなんて誰がいった?)
ルイス・V・ガースナー著(米) 中信出版社 2003年3月第2刷


 
   
     

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「什刹海へ行ったら、ぜひ、アレを見てくださいよ!」
北京に住む、日本人留学生の田渕人司さんが教えてくれたのが、什刹海のまわりに据え付けられたSARS対策用の新型ゴミ箱。ロボットが両手をあげたようなユニークな形で、向かって左上にのびる物体が「灰皿&ペーパーホルダー」、右上が「灰皿」(のようなもの)、そして中央の筒が「ゴミ箱」になっています。
SARS対策のために、北京では「みだりに、たんを吐かない」などの議論がわきおこりました。一部では、たん処理用の「清潔袋」が配られましたが、このゴミ箱もその対策のあらわれです。胴体には「克服陋習 講究痰吐」(悪しき習慣を克服し、痰吐を気づかう)と明記されており、たんをふき取ってから捨てるようにと、ロールペーパーが配されました(もっともペーパーが切れたのか、いずれのホルダーも空でしたが……)。
「長耳朵垃圾筒」(長耳ゴミ筒)と呼ばれています。市内の数カ所に、試験的に置かれましたが、よりよい機能やデザインについてアイデアを公募中。2008年五輪までには、改良型の「長耳くん」がお目見えする予定です。田渕さんたち留学生も「これで北京がきれいになるといいですね」と、期待を込めて語っていました。

 

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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