1)『我的野生動物朋友』(邦題『TIPPI アフリカに育まれた少女』)
ティッピ・デグレ 著 シルヴィ・デグレ・ロベ-ル/アラン・デグレ 写真 黄天源 訳 雲南教育出版社
ナミビアで生まれた少女ティッピは、5トンのアフリカ象やライオン、ヒヒ、チーターが大切な友だち。野生動物とすぐに仲良くなれる不思議な能力を持ったティッピの成長記録を、写真とともにつづる。アフリカの大自然に包まれた自然児ティッピと動物たちとのふれあいは、なぜか見る者の心をいやしてくれる。日本では、映像文化センター (日本ヴォーグ社)から刊行されている。
2)『你的降落傘是什麼顔色?』
(原題『WHAT COLOR IS YOUR PARACHUTE?』=あなたのパラシュートはどんな色? 邦題『パラシュート』)
リチャード・N・ボレス 著(米)、陳玮・陳紹鋒/梁峰 訳 中信出版社、2002年5月初版
本書は30年来、世界的な支持を集める転職バイブル『WHAT COLOR IS YOUR PARACHUTE?』(改訂版)の訳本。表紙には「全世界で700万冊突破」「最も読まれる"転職"実用手帳」とうたわれている。「何をしたいか」「何ができるか」「どうやって好きな仕事を手にするか」。リストラやヘッドハンティングの増加によって"跳槽"(転職)をする機会がごく日常的になった中国でも、転職への貴重なアドバイスを示した本書の人気は、必至なのかもしれない。
3)『格調―社会等級与生活品味』(格調―社会階級と生活の味わい)
ポール・ファッセル著(米) 梁麗真など訳 広西人民出版社 2002年4月第2版
「どんな服を着て、どんなテレビを見て、どんな食事をとるか。それがみな、あなたの社会階級を表している」と本書。お金や家、職業の違いだけでは測ることのできない、人間が本来もつべき「品格」の大切さを説いている。中国では1999年の初版に続き、この改訂版がまたもベストセラーに。原題は『CLASS A Guide through American Status System』(邦題『階級(クラス)―"平等社会"アメリカのタブー』。
4)『誰動了我的奶酪?』(チーズはどこへ消えた?)
スペンサー・ジョンソン著(米) 呉立俊 訳 中信出版社
5)『潜規則―中国歴史中的真実游戯』(潜んだ規則―中国歴史上の真実の遊戯)
呉思 著 雲南人民出版社 2002年2月第2版
6)『似非而是』(非に似て是なり)
ケント・キース著(米) 雷格 訳 中信出版社/遼寧教育出版社 2002年5月初版
『チーズはどこへ消えた?』の作者スペンサー・ジョンソンが推薦する「意義ある人生を送るための指南書」。原題は『The Paradoxical Commandments』で、直訳すれば「逆説の戒律」。
10の「逆説の戒律」が紹介されており、それは例えば「なにか魂胆があるのだろうと人に陰口をたたかれても、良い行いをしなければならない」「何年もかけて培ってきたものが一夜にして壊されたとしても、建設しなければならない」「人を助けた時、かえって攻撃されるかもしれないが、それでもあなたは人を助けなければならない」などなど。
大きな文字にイラストを添えた全100ページほどの気軽な本だが、その中には、重みある人生の戒律がつめこまれている。
7)『致加西亜的信』(原題『A Message to Garcia』、邦題『ガルシアへの手紙』)
エルバート・ハバード著(米) 趙立光など訳 ハルビン出版社 2002年5月初版
有史以来の世界的なベストセラー『聖書』や『毛沢東語録』などに続いて第6位に数えられる本書は、古典的な人生の指南書である(今回はやけに、この手の本が多いな…)。「困難に立ち向かい、勇気をもって課題に挑むこと」「自信を持つこと」「自分を信じること」の大切さを説いている。
8)『果殻中的宇宙』(The Universe in a Nutshell=殻の中の宇宙、邦題『ホーキング、未来を語る』)
スティーヴン・ホーキング 著 呉忠超 訳 湖南科学技術出版社 2002年2月初版
全世界にホーキング・ブームを巻き起こした前作『ホーキング、宇宙を語る』(邦題)の続編。「アインシュタインの再来」「車椅子の天才科学者」として知られるホーキング氏は、前作にもまして、わかりやすい図版やイラストを駆使して宇宙の謎に迫る。最新の宇宙論からM理論、ゲノム研究、人類の未来まで、それは時空を超えた遥かなる世界へと人々をいざなう。
中国語のタイトルは原題に忠実な直訳『果殻中的宇宙』で、これは本書第3章の同名タイトルから取られた。「私たちは"クルミの殻"に閉じ込められていても、自分自身を無限に広がる宇宙の王と考える」と、ホーキング氏は新しい概念の宇宙像「殻の中の宇宙」像を提示し、世界の読者を魅了し続けている。
9)『流氓兎的故事』(いたずらウサギの物語)
趙丁 編著 地震出版社 2002年5月初版
「流氓兎」(いたずらウサギ)は、韓国生まれのフラッシュアニメ『マシマロの森の物語』に出てくるウサギのマシマロのこと。中国では若者を中心に「流氓兎」と呼ばれて親しまれている。ずるがしこくて下品だが、そこがおチャメでかわいいと、中国でもたちまち人気のキャラクターになった。
フラッシュアニメの漫画版など関連本も次々と出版されているが、今回ベストテン入りした本書の実態は、「流氓兎」の名前を借りた青少年向けの読み物。
主人公の「流氓兎」が日常生活の中からさまざまなことを学び、成長していく過程を描くが、その内容は中国側編著者のまったくの創作である(オリジナルキャラの無断引用らしい……!?)。
例えば――ある日、「流氓兎」を野菜畑に案内した父がこう言った。「ごらん、野菜はこうして成長しているときは瑞々しいが、いったん熟してしまえば腐乱が始まるんだよ」。そこで「流氓兎」は、成長し続けることの大切さを学ぶのである――。
人気キャラのあからさまな"横取り"には多少の疑問を覚えるが、中国の青少年教育の一端を知る、という意味においては興味深く読める。
10)『時間簡史(挿図本)』(A Brief History of Time、邦題『ホーキング、宇宙を語る』)
スティーヴン・ホーキング著 許明賢/呉忠超 訳 湖南科学技術出版社
ビッグバンやブラックホールなど知られざる魅惑の宇宙について、「車椅子の天才」ホーキング氏が解き明かす。1988年の英語版刊行以来、全世界で1000万部を記録。科学書としては、空前のベストセラーとなった本書は、中国では今年2月に第2刷を数えている。続編の『果殻中的宇宙』が、今回のベストテン第8位にランキングされている。
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