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2002年4月  

     

 中国の春の風物詩として知られる柳絮(りゅうじょ)。ことしは早くも3月末には、北京の街に舞いはじめました。柳絮とは、白い綿毛につつまれた柳の種のこと。ふわふわと風に舞うその光景は、なんとも幻想的でロマンチックなものですが、これもまた大量に発生した日には、目や耳や鼻に入って大変です。
  そうした被害をもたらす柳絮は、中国の人々にしてみれば実に印象が悪いようで、ある中国の友人いわく「“柳絮楊花”(ともに柳絮のこと)という言葉は、ふわふわとした女性の浮気心を指すんだよ」とのこと。こちらの詩心などまったく理解できないといった風でした。

 

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柳絮舞う北京

 
     

★ちょっと気になる本

 「家庭ものコーナー」から

 豊かになった現代中国人の「三種の神器」といえば、マイホームとマイカー、それにパソコンの3つがよく挙げられるところです。3つ目のパソコンは、そう高い買い物でもないので、これには異論があるかもしれません。いずれにしても、私たち日本人の欲望となんと似通ってきたことでしょうか(そういう私も同じような欲望を持つひとりなのですが……)。
  最近は中国の書店でも、マイホームやインテリアについての指南本があふれています。美しいカラー写真やわかりやすいイラストを駆使して、ビジュアル効果をねらう雑誌や本の数々……。今回は、こうしたマイホームの関連本など、中国の人々に根強い人気のある「家庭ものコーナー」から、気になる本をご紹介したいと思います。

●新華書店総店(北京市西城区阜外北礼士路135号)=以下、順不同

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『大衆薬粥130例』
王慕同 主編 中国軽工業出版社 2001年1月初版


 風邪をひき、高熱を出して寝込んだり、飲みすぎて頭が割れそうに痛くなったり。そんな時ほど、日ごろの不摂生を深く反省するものではないだろうか。「もうこんな生活やめた!これからは規則正しく生きるのだ」と……。
  この冬も、中国で猛威をふるったインフルエンザに屈したばかりの私。なにしろ料理が大の苦手ときているので、日ごろの“貧しい食生活”から改善しなければならない。身体によくて、手軽に作れる料理はないだろうか。そんな都合のいいことをバクゼンと考えていた矢先、出合ったのが本書である。
  それによれば「薬粥」というのは、「適量の漢方薬と米に、一定量の水を加えて煮込んだもの」であり、「疾病の予防や、病後の療養に効果がある」という。清代の宮廷で利用された本草書『本草求真』の中にも、「米〓常食之物,服之不甚有益,而参以薬段,則其力甚巨,未可等為論常而忽視也」(米そのものの薬効はなくても、漢方薬を加えれば、その力の甚大なること軽視できない=要約)と記されているそうだから、これはますます“軽視”できない。健康にもよさそうだし、なにより簡単に作れそうなのがいい。
  中国では1995年現在、8484種という膨大な数の生薬が認められている(本書)が、ここではその中から「手に入れやすく、簡単に調理でき、即効性のある」130種の生薬と、それを使った薬粥が紹介されている。
  例えば、もち米50~100グラムにスライスしたショウガ6グラムを加えて煮込む「ショウガ粥」は、悪寒、発熱、せき、頭痛など風邪の諸症状に効果的だし、もち米100に500~800ccの水、ダイコンの絞り汁100ccと千切りにしたダイコン適量を加えて煮込む「ダイコン粥」は、消化不良や胃酸過多に効き目があるという。
  このほか、野菜類の薬粥には、日本で手に入る野菜だけとってみても「ネギ粥」「イモ粥」「トウガン粥」「ほうれんそう粥」「ニラ粥」「セロリ粥」「ニンニク粥」などがあるし、豆類には「緑豆粥」「小豆粥」「ナタ豆粥」、漢方薬類には「ニッケイ粥」「ウイキョウ粥」「葛根(カッコン)粉粥」「(朝鮮)ニンジン粥」などがある。
  中国の医学文献には数千年前から「食療」「食養」などの記載が見られ、「医食同源」「薬膳同功」の思想はいまも、暮らしの中に生きている。しかも、本書を見る限り、それはすぐにも実践できそうだ。悠久の歴史の中で編み出され、伝えられてきた「医者いらず(!?)」の虎の巻――。これを利用しない手はない、と早速ダイコンとネギとショウガを大量に買い込んだのであった。
  シリーズ本に、『大衆薬茶700例』(王慕同・主編、中国軽工業出版社、2001年1月初版、10元)が、また"変わりダネ"として「薬材として使える身近な生き物」を紹介した『庭園薬用動物250種』(徐亜萍/許俊・主編、中国紡績出版社、2001年1月初版、15元)などがある(希少保護動物以外です。念のため)。

 

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『吉宅装潢』(縁起のいい家の装飾)
雲蕾 著 陝西旅游出版社 2001年11月初版


「二部屋型」「三部屋型」「四部屋型」「豪華型」の4冊シリーズ
 『客厅大典2800例』(客間大典)
雲雨 主編 陝西旅游出版社 2002年1月初版


 


A、B、C、Dの4冊シリーズ。


『百姓家居 装潢与設計』(庶民の家 装飾と設計)
王芹芹 編 広州出版社 2001年9月初版
4冊シリーズ――など多数


 冒頭でもご紹介したとおり、このところマイホームやインテリア関係の本が、続々と登場している。中国では3年ほど前から、住宅が国(職場)の分配ではなくなり、個人が住宅の「使用権」(ふつうは70年契約)を買い取る制度に改革された。そのうえ住宅のほとんどは、壁と天井と部屋の空間しかない「カラッポ」の状態で売買されるので、室内装飾は自分であれこれと考えなければならなくなった。
  もちろん多くの場合は、かなりのお金を投資してプロの業者に任せるのだが、その内装にかける情熱たるやすさまじい。納得するまで業者ととことん話し合い(みずから設計図を書く人もいる)、時には家族や業者とケンカをしながらも、オリジナリティーを生かした部屋づくりを目指す人たちが多いのである。
  お気に入りの油絵をいくつか飾った画廊のような部屋や、植物園のように観葉植物や季節の花をズラリと並べたテラス、高さが天井まである本棚をつくり、すっきりと蔵書を収めた図書館風の書斎など、これまでに訪ねたことのある中国の友人宅はいずれも、個性的でオシャレな住まいばかりだった。「自慢の家」にはその人のセンスやポリシーが詰まっているし、相当な自信がなければ、他人に見せることもできないだろう。
  そんなわけで、「インテリアセンスを磨く」この手の本が多数、出版されている。オールカラーで美しく、パラパラとめくっているだけでも楽しいし、すぐにも参考になりそうなモデルルームが数多く紹介されている。欲を言えば、写真だけでなくきめの細かな解説も充実させてほしいところだが、まずは「目を磨く」ということなのだろう。フローリングに木彫家具のゆったりとしたリビングや、シックでオシャレなベッドルーム、狭いロフトの空間をうまく生かした子ども部屋など、そこには豊かさのシンボルともいえる“憧れの世界”が広がっている。
  こうした本の登場が、人々の購買意欲をそそり、インテリアへの関心を高め、生活レベルを確実に上げていく。これからも発展するに違いない“中国式市場経済”の縮図を、こんなところにも認めた思いになったのである。

 
   
     
     
     
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ベストセラー

北京風入松書店 (北京市海淀区海淀路46号、北京大学南門東側
http://www.forestsong.com.cn 2002年3月16日~3月22日

     
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『潜規則―中国歴史中的真実游戯』(潜んだ規則―中国歴史上の真実の遊戯)
呉思 著、雲南人民出版社、2002年2月第2版


中国で長く続いた封建時代、役人たちの間には、地位と名誉と富をほしいままにするための暗黙の“決まり”があった。それが「淘汰清官」(清廉な役人を淘汰する)であり、「皇帝と庶民はいいカモだ」という考え方である――。元新聞記者の作者が、歴史に埋もれた悪徳役人たちの行状にするどいメスを入れた異色作だ。


『小王子』(星の王子さま)
アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ作(フランス)艾柯 訳 曽銘祥 画 哈爾濱出版社

 


『傑克・韋爾奇自傳』(ジャック・ウェルチ自伝)
ジャック・ウェルチ/ジョン・バーン著(アメリカ) 曹彦博/孫立明/丁浩 訳 中信出版社

 


『魔戒』(The Lord of the Rings)
J.R.R.トールキン著(イギリス)湯定九 訳 訳林出版社 2002年2月重版


 日本では『指輪物語』というタイトルで知られるこの小説。昨年末に映画「ロード・オブ・ザ・リング」が世界公開されたこともあり、中国でもその訳本が一気にベストテン入りを果たした。遠い昔、魔力を秘めた指輪をめぐり、善と悪の戦いが壮大なスケールで繰り広げられる冒険ファンタジーの超大作。北京では、4月中旬に映画が「指環王」というタイトルで公開される。

 


『北京:城与人』(北京:街と人)
趙園 著 北京大学出版社 2002年1月初版


  北京を愛した作家・老舎の作品に見る「京味」(北京の味わい)や、生活、商業、建築、方言など各方面にわたる北京の文化を解き明かしながら、「都会と人」の関係を深く見つめた北京文化史研究書。


『東西南北人』(東西南北の人)
余秋雨など著 当代世界出版社 2001年12月初版


 余秋雨の「王朝の背景」、張承志の「回民の黄土高原」、茅盾の「新疆風土の雑憶」、魯迅の「上海の少女」、周作人の「上海気」、王蒙の「蘇州賦」、郁達夫の「杭州」など、中国を代表する現代作家たちの風土記をまとめる。作家たちそれぞれの秀逸な文章と、独特な視点を味わうことができる。

 


『人間詞話』(世間詞話)
マルグリット・デュラス著(フランス)王道乾/南山 訳 上海訳文出版社 2002年1月重版


『情人,烏髪碧眼』(愛人/ラマン、黒髪と青い眼)
マルグリット・デュラス著(フランス)王道乾/南山 訳 上海訳文出版社 2002年1月重版


 『情人』は、フランス植民地時代のインドシナを舞台に、華僑青年の愛人となって情事を重ねる、フランス人少女の心の成長過程を描く。マルグリット・デュラスの自伝的小説といわれ、同名タイトルの映画『愛人/ラマン』(1992年・英仏合作)も有名。ほかに、短編の『烏髪碧眼』を収める。


『沈黙有大多数』(沈黙にも多数ある)
王小波 著 中国青年出版社 2002年1月第6刷社


1997年に45歳の若さで他界した当代人気作家・王小波のエッセイ集。その領域は幅広く、社会倫理、文化論争、国学と新儒家、民族主義、性と生育問題、同性愛問題など多岐にわたる。「筆鋒するどく、ユーモアに満ち、洒脱で壮大な独特の思考が展開される」と本書。今年1月に6刷を数える大ベストセラーとなっており、ファンの根強い人気のほどがうかがえる。


『我的求学之路』(私の求学の路)
季羨林 著 百花文芸出版社 2002年1月初版


 北京大学副学長や北京大学南アジア・東南アジア研究所所長を歴任した筆者は、文学者であり、哲学家でもある。「過ぎ去った日々は、なんと麗しく、いとおしいものか」と、本書ではその清華大学学生時代から、研究生としてドイツに留学した10年間、そして帰国するまでの日々を丹念に描いている。こうした偉人の回顧録、しかも青春メモワールが売れている、というのは天下の北京大学隣の書店だけに、ナットク(!?)できる。


 

 

 

 
   
     

 

 

2000年末、北京市にある公共図書館の蔵書は、市民一人あたり0.64冊で、新書の数は同0.032冊。公共図書の購入経費は、上海が1999年に8114万元(1元は約15円)だったのに対して、北京が2001年に1209万元と、上海の約6分の1に満たない――。先日の『北京晩報』は、北京の“お寒い”公共図書事情をそう伝えていました。このため、市の文化局では図書館の水準をあげるための法律「北京市図書館条例」の制定を急いでいるとか。国際都市にふさわしい文化環境の整備が、待たれるところです。

 

 

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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