この問題で、香港、『東方日報』は休暇中の10月5日、「爆買いは選挙権を持たない中国国民のいわば代償行為だ」として次のように論じた。
国慶節の長期休暇に、中国人は大挙して日本を訪問、狂ったように買い漁っている。このことは日本製品ボイコットを呼び掛けるナショナリストたちには耐えられないだろう。
反日主義者は、日本が中国の観光客の第1の出国先に選んでいることを認めたくないだろう。だが携程(シートリップ)、衆信、同程など多くの旅行サイトのデータで、2015年中国の観光客の海外旅行先で、日本は韓国を抜いて最も人気となった。
なぜ日本旅行がこれほどブームか?まず中国の商品は信頼できず、人々は日本製品に信頼があること、次に円安により価格が中国の民衆を引きつけていることがある。
国慶節の休暇では、中国人の日本での爆買いはピークに達した。日本のテレビ局の取材を受けた中国の観光客は多くが100万円を準備したと答えている。
興味深いのは、日本の各売り場も中国人顧客向けに多くの準備をしていることだ。中でも多くの売り場で「国慶節歓迎」「国慶節慶祝」などの標語が貼りだされた。最も興味深いのは、「中国の国慶節」ではなく(単に)「国慶節」と表示したことだ。日本には国慶節の概念はなく、似ているのは天皇誕生日だろう。だがもし12月23日に中国の売り場で「天皇誕生日慶祝」などと標語が貼りだされたら、ナショナリストたちに大騒ぎする口実を与えるだろう。
日本はお客が来てくれて商売ができればよく、誰の国慶節だろうが気にしないのだ。人々の生活が幸福なら、国や国慶節などどうでもいいのだ。
爆買いを見ていると、日本製品ボイコットを思い出さざるを得ない。日本製品ボイコットはこれまで3回あった。最初は1910年代、日本の繊維製品が大量に中国に流入、中国の業者はボイコットした。2回目は日本から侵略を受けた1930年代だ。3回目は近年、中国の自動車、電気製品のメーカーが(反日を)操り、日本製品を誹謗した。
この3回の日本製品ボイコットはいずれも政治情勢と関係がある。特に3度目は中国国内の矛盾が激化したため、日本や米国などの仮想敵に矛盾を転嫁する必要があった。
だが人々はだんだん「日本製品ボイコット」に構わなくなった。2015年は温水便座買い漁り事件が起き、中国メーカーは日本製を買う必要はないと批判したが、民衆は日本製の商業基準、商業検査、商業信用を堅く信じていた。今回温水便座を買う人は減ったが、それはこれが大きすぎて他の商品を買えないからで、人々は電気製品、化粧品、さらには風邪薬まで買っている。風邪薬まで外国製を買い漁るのは、中国の国家体制に深刻な問題を抱えていることをはっきりと示している。
中国国民が海外で買い漁るのは、日本だけでなく韓国、米国、欧州、香港、台湾などもある。これは民衆が金銭で投票しているのだ。自らに投票権がないことを不満に思う人々は、時には意識することもないまま、(買い漁りという)投票を時々刻々行っているのだ。
だが観光客の増加に伴い、様々なトラブルも伝えられるようになった。9月には札幌のコンビニで支払い前のアイスを食べたことを店員から注意された中国人観光客が店員に殴りかかり現行犯逮捕されたニュースは、日本メディアの中国語報道をきっかけに大きな反響を呼んだ。
同様に大きな問題となったのが、京都で起きた「当たり屋」疑惑事件だ。
詳しい経緯は日本のネットメディアなどでも伝えているが、中国紙「新京報」は10月6日、事件について以下のように伝えた。
中国の高齢女性が京都で「当たり屋」を仕掛け10万円を支払わせたとの文書が、中国国内で話題を呼んだ。この女性が所属する旅行団体の引率者、劉(女性)は10月6日午後、「当たり屋」ではなかったと否定した。
劉によると、8月20日から25日、女性を含む旅行団を率いて東京、京都などを6日間旅行。21日午後5時ごろ、京都祇園で自由行動中、劉は旅行客が車とぶつかったと電話を受けた。現場に行くと、多くの人が集まる中、老女は赤い車の前に座っていた。
車を運転していた(日本人)女性の説明では、低速で運転中、右側の人を避けようとして、左側にいた女性の右足とぶつかったという。老女はその後病院で検査を受け、足が痛むものの大した怪我ではなかったとの診断だった。
劉はその後ネットで伝わった、老人が「当たり屋」だったとの指摘を否定。10万円は人民元で5000元に相当するが、今回の旅行は1人あたり7000元かかっており、5000元を騙し取るためにわざわざ海外に行くだろうか、と反論した。
ネットでは「中国の老女が京都旅行中、突然サイドミラーに倒れこみ、『痛い』と叫んだ。診断結果は『怪我はない』との事だったが、家族が金の支払いを要求、運転手は10万円を支払った。警察は『これは恐喝、犯罪だ』と述べた」との日本語の文書が流布した。
だが最初にこのニュースを伝えた香港フェニックステレビの日本駐在記者は6日午後、文書を出した自治会が「老女が怪我をしていなかったというのは誤りで、本日訂正文を出した」と微博で明らかにした。
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