Q.微博から微信へのシフトをどう考えるか?
「2つの主な原因がある。1つは微博は実際には明らかに不平等で、大Vでなければ誰も耳を傾けてくれず、構ってくれないと、より多くの人が気づくようになった。もう1つの理由は微博の情報はあまりに乱雑で、有用な情報が見つからない。フォロワーを増やすため、微博を使ったセールス、僵尸粉(キョンシーフォロワー、フォロワー数を水増しするための実際には存在しない虚偽のフォロワー)などをきちんと管理してこなかったので、情報の質がますます悪くなり、ゴミばかりが増えた」。
一方「微信は知っている人だけと交流できる。その結果(1)互動性が高く、大Vでなくても自分の書き込みに対して反応、コメントしてくれる人が多く、気分が良い。(2)知り合いだけなので、より気楽に書き込める、マスクをかぶる必要がない。こうした理由で微博から微信への急速な遷移が起きており、ユーザー数だけでなく、活発さ度合いにも現れている。SNSにアクセスする時間も限られているから、微博より微信で発信する人が増えている」。
Q.新浪微博は危機に感じているのでは?
「感じているだろうが、これは(利用者にとって)悪いことではない。なぜなら微博と微信の間には明確な違いがあるからだ。微博はメディアにより近くなり、メディアとしての属性がより強まる。新浪はそれを望んでいるとは限らない。メディアは儲からず、しかも(政府の言論統制を受けやすく)危険だと感じているからだ。中国ではメディアをやることは永遠に危険だ。だがユーザーの角度からすれば、(住み分けが進むことは)悪いことではない」。
Q.では微博は中国におけるツイッターの様にユーザーが減少し周辺化するのか?
「そのように考える人もいる。だが自分は同意しない。だが微博のメディア属性が高まったことで、情報を広く発表したいと考える人、自分が知らない人にも知らせたいと考える人は微博を使うだろう。先ほど微信は親近感がある、簡単で居心地がいいと言ったが、だが長期間使っていると微信の問題も見えてくる。常に少数のグループでの交流だからだ。相手がどのような反応をするか、あらかじめ分かってしまう」。
「微信の『群』(特定のテーマで集まるグループ)はその目的は商売だったり知識人が政治を語るためだったりいろいろだが、やがていつも同じ人が同じことを議論していると気付き嫌になることもある」。
「さらに微信の方が微博よりも安全だという人もいるが、そうとも限らない。政府があなたを管理しようと思ったら、微博でも微信でもどちらも管理できる。彼らは微博、微信の記録のどちらも見ることができる。そしてあらゆる『群』の中で何が起きているか、何を話しているか見ることができる。例えば南方週末記者の『群』があり、彼らが(当局による)社説(の書き換え)に反対していたら、彼らの議論を全て把握し、この『群』は何を考えているか、報告できる。そういう意味で微信のほうがより危険だ。当局も当然微信に注目しているだろう」。
「だが安全は保証されないにせよ、微信は悪いことではなく、ネットユーザーの微博とは別の需要を満たしている。親友同士が友情を深めるだけでなく、同窓会などのグループでこれまで知らなかった人と知りあうきっかけにもなる」。
Q.新浪微博も「密友圏」などの微信に近い機能を拡充しているが。
「微信の優位性があまりに大きいので、微博が競争するのは難しい。だが微信の新鮮さが薄れて、微博にも長所があると多くの人が気づいた。微信が登場した直後はもう微博はやらないと多くの人が言ったが、これからは使い分けるようになるだろう」。