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ネット用語から読み解く中国
 
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ネット用語から読み解く中国

(3)「新意見階層」

   

2010年中国社会形势分析与预测

 

ネット人口が4億人を超えた中国社会で、様々な時事、社会問題について自らの考え方を積極的に発信し、世論の動向を左右する力を持つようになったのが、前回も少し触れた「新意見階層」(新意见阶层)と呼ばれる新しいグループだ。彼らは特定の団体などを形成しているわけではなく、ブログ、ツイッターなどのネットツールを使いこなし、主にバーチャル空間で交流、活動しているのだが、新聞やテレビなど伝統メディアも彼らの意見に耳を傾け、世論の焦点を探る手がかりとして活用するなど、その影響力はバーチャル空間から外へと広がりつつある。
  「新意見階層」という言葉を初めて提起したのは、中国社会科学院が発行する《社会藍皮書》(社会青書)の「2008年中国インターネット世論分析報告」であり、「時事問題に関心を持ち、ネットで思ったことを率直に述べるネットユーザー」と定義付けている。
  この報告を作成したのは、人民日報網絡中心(ネットセンター、人民網)による「輿情監測室」(世論観測室)だ。ことし1月に東京で開かれたネットと中国社会に関するシンポジウムに参加した単学剛(Shan Xuegang)副秘書長によれば、輿情監測室はネット影響力の高まりを受け、08年に発足、30人ほどのスタッフが日ごろからネット世論の動向を専門にウォッチしているという。

 
   

単学剛単氏は報告の中で「新意見階層」について次のように述べている。

「(新意見階層とは)時事問題に関心を持ち、ネット上で自分の考えをはっきりと主張する人々のことであり、『共通認識を凝集し、情感を醸成し、行動を誘発し、社会に影響を与える』という特徴を有する」つまりは感情を含めた世論形成の核心となる人々だ。

新意見階層を代表するのが「網絡意見領袖(ネット・オピニオンリーダー)」と呼ばれる人々だ。学者や伝統メディアのジャーナリストのほか、ネット上のみに“棲息”する著名人、すなわち現実の生活ではメディアにも研究機関にも所属していないが、ネット上ではある方面の専門家としての身分を確立している人もいる。
報告は、近年このオピニオンリーダーが急速に台頭し、彼らの(ある事件についての)ネット上の評論が、しばしば多くのネットユーザーの見方や態度を変え、事件のプロセスにも影響を与えることがしばしばあると指摘する。

例えば昨年上海で発生した「釣魚執法」(おとり捜査)事件では、「80後」(1980年代生まれの一人っ子世代)を代表するオピニオンリーダーとして知られる作家、韓寒が自らのブログでこの問題を取り上げたことで、大きな関心を呼んだ。この事件は、違法営業のタクシーを取り締まる上海市の交通管理部門が、業績を上げるために、おとりを使って善良な市民ドライバーまで摘発していたことが、被害者の男性が9月に大手BBSの「天涯社区」に不正を告発し助けを求めた書き込みを発表したことで明るみに出たというものだ。

韓寒これに対し韓寒は自らのブログで、「この事件でもっとも悪劣なのは困っている人を車にのせてあげようとした善意を悪用して詐欺を働いたことだ」と強く批判。中国中央テレビ(CCTV)の番組「経済半小時」も上海にはプロの集団が走っている車を止めて車に乗り込み、その先に待ち構えた検問で取り締まっている事を暴露、人民日報なども次々と評論を発表、ネット市民の抗議の声との相乗効果により、上海市政府も誤りを認めた。

 

周瑞金改革派として知られる人民日報の元副編集長、周瑞金氏は09年「ネットにおける『新意見階層』の台頭」という一文を発表。新意見階層の活躍が、様々な社会の不正の告発につながったとして、07年に起きた山西省のレンガ工場での強制労働事件や、厦門市内のパラキシレン(PX)工場建設計画への反対運動などいくつもの事例を取り上げ、これを賞賛している。

周瑞金氏は「改革開放30年を経て、中国社会では多くの問題が累積し、解決が不可欠な段階に来ている。市場化改革が不徹底なため、既得権益集団が計画経済時代からの資源と利益を独占し、『国家経済の安全』を理由に改革の深化を拒んでいる」と指摘。

周氏はさらに「世界金融危機の中で、多くの中小企業が危機に直面、労使関係が緊張し、大学生の就職難、都市部の低所得層の困窮などが発生、相次ぐ群体性事件(集団抗議活動)などの社会矛盾が激化し、政府への信頼度が低下している。こうした中で、私はインターネットに民意を表現させ、その不満を緩和することを提起したい」と述べ、「新意見階層を重視し、彼らの健全な成長を支持しなければならない。公民の言論の自由やネットによる知る権利、参加する権利、表現する権利、監督する権利を保障し、乱暴に封鎖したり、捕まえたりしてはならない。新意見階層は政治改革を進めるための重大な推進力である。国や社会の発展のために、新意見階層の台頭を歓迎し、彼らにより大きな役割を果たすようにしなければならない」と新意見階層を通じた社会改革の必要性を強調している。

もはや無視することができなくなった彼ら民間オピニオンリーダーに対して、前述の「インターネット世論分析報告」も新意見階層という言葉が登場する以前から、「政府は適当なやり方で、彼ら(オピニオンリーダー)と意思疎通を図り、党や政府の方針を理解させ、党機関紙や国営テレビと同様、上意下達、下意上達の橋渡しになるようにすべきである」(07年報告書)と提言している。だが現実には彼らのブログがしばしば削除され、政府にとって“危険”とみなされた場合、国内外での講演やシンポジウム出席への妨害、さらには警察による日常的な呼び出しなど、様々な形で圧力を受けることもある。

「新意見階層」のようななぜ伝統メディアではなく、インターネットで登場したのか。これについて報告書は「中国では,伝統メディアが厳格な管理を受け、“世論誘導”という責任を担わされている。そのため、民意はしばしばネットを通じて表現される。真の民意を知るためには、ネットは伝統メディアよりもより賢明な選択である」(08年)と指摘している。

すなわち、新聞、テレビなどの伝統メディアに所属しない一般市民が時事問題などに関心を持っても、伝統メディアでは彼らの意見を取り上げてくれることはまずない。その結果民意を表出する唯一の手段であるネットに優れた意見が集まり、そこから影響力を持つオピニオンリーダーが輩出するのだ。ネットは社会の鏡であり、抑圧や封鎖ではなく真摯な対話が中国当局に求められている。

 

今月のことば

新意見階層(新意见阶层)

網絡意見領袖(网络意见领袖):ネット・オピニオンリーダー

釣魚執法(钓鱼执法):おとり捜査

 

人民网:http://www.people.com.cn/

天涯论坛:http://www.tianya.cn/bbs/index.shtml

韓寒blog:http://blog.sina.com.cn/twocold

 
 
 
古畑康雄・ジャーナリスト
   
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