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日本ビジネス中国語学会
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東京便り―中国図書情報 第25回 .

 

中国漫画・アニメファン必見!『中国漫画史』ほか
 ――中国図書ニュース
     


 

古代から現代まで、中国の漫画・アニメの歴史を体系的にまとめた学術書『中国漫画史』がこのほど、北京の現代出版社から刊行された――。

今回の「東京便り」は、権威性と信頼性の高い集大成的な中国漫画総覧と評価される『中国漫画史』の刊行ニュースをはじめ、中国でも大ヒットを飛ばしているアメリカの人気SF映画「スター・ウォーズ」の同名コミック中国語版の刊行ニュースを紹介。

日本ではあまり知られていない中国の漫画・アニメの世界を知るために、押さえておきたい最新漫画ニュースを2本、お届けしよう。

 

 

     
     
     

■ 中国の国産漫画・アニメ総覧『中国漫画史』が刊行

古代から現代まで、中国の漫画・アニメの歴史を体系的にまとめた学術書『中国漫画史』がこのほど、北京の現代出版社から刊行された。
中国の有名な漫画理論家、陳維東氏(天津神界漫画公司代表取締役)が編集主幹を務め、政府系機関(動漫産業発展部際連席会議)の支持を得て、専門家チームが4年の歳月をかけて編み出した国産漫画・アニメ総覧。
権威性と信頼性が高く、論理的に編集された漫画史として、中国で評価されている。

本書によると、中国で1978年にスタートした「改革開放」が進展するにつれて、国産漫画にもこの20~30年間、天地を揺るがすほどの大変化が起こった。
漫画について「(それは)文化を伝えるメディアであるだけでなく、文化産業化における新しいパワーであり、人々の生活のいたるところに深く浸透する勢いがある」と位置づける本書は、「新しいジャンルを含めた中国漫画の発展史を系統的にまとめた著作は、これまでなかった」として、その出版経緯を明らかにする。

本書の特色の1つは、従来の漫画史では、漫画とはまったくの“別物”としてとらえられてきた中国伝統の子ども向け絵物語「連環画」についても「中国漫画のルーツの1つであり、その発展を支えてきたもの」として詳しく解説されていること。
その箇所を、一部要訳して紹介すると――。

――現代の意義における「漫画」とは、18世紀に西洋で新聞産業が発展するにつれて生まれた新しい絵画表現のこと。
中国には19世紀半ば以降、こうした「漫画」表現が流入し、たちまち新聞紙面に登場するようになった。とくに清朝末期の当時、帝国主義列強の侵略などにより弱体化した政権を批判する手立てとしても、新聞やグラフ誌に掲載される風刺漫画、ユーモア漫画が発展していった。
風刺漫画とほぼ時を同じくして発展したのが、中国伝統の絵物語「連環画」だ。それは風刺漫画よりもさらに叙事性、娯楽性に富み、人気があった。
1908年、上海文益書局が出版した『三国志』が、石版印刷(リトグラフ)による近代中国初の連環画といわれる。
劇画風の絵と文からなる小冊子の連環画は当時、上海で「図画書」、北方で「小人書」などと呼ばれて全国で流行。さらにこうした連環画の影響もあり、広州、上海、天津などでは「連続漫画」を掲載した新聞やグラフ誌も見られるようになっていった。
また、1930年代に出版された葉浅予の長編漫画で、当時の上海市民の喜怒哀楽をリアルに描いた『王先生』シリーズや、張楽平の名作で、孤児「三毛」の泣き笑いをコミカルに描写した『三毛』シリーズ、ずるがしこいが憎めないキャラクター・老夫子を主人公にした朋弟の『老夫子』シリーズなどが中国漫画の確立や発展に「不滅の多大な貢献を果たした」といわれる――。

本書では、こうした中国漫画史の詳しい解説から、近年注目される中国スタイルを強く打ち出したオリジナル漫画やアニメ、中国政府の手厚い産業支援策までを網羅している。

とくに絵本、挿絵・イラスト、アニメのセル画を利用したコミック、ネット漫画、萌え系漫画など、新しいタイプの漫画を紹介。伝統的メディアでは取り上げにくいが、ネットなどの他メディアでヒットした国産漫画についても紹介している。

 整理にあたっては、新聞、雑誌、年鑑、漫画史といった膨大な数の資料を参考にしたほか、雑誌やウェブサイトの編集長、オンライン動画配信会社の責任者、漫画協会、編集プロダクションなどに取材。
学術的・系統的に中国漫画史を知るのみならず、ふんだんに掲載された漫画作品や写真とともに楽しく読める一冊となっている。
付録の「中国漫画家名録」「中国動漫(漫画・アニメ)産業の年代記」も充実。
中国の漫画とアニメに興味のある向きにはおススメしたい、520ページを超える大作だ。

 

 


連環画

 


『三毛』シリーズ

 

目次
第一章: 歴史上の漫画(古代~1976年)
第二章: 競い合った新時期の漫画(1976~1994年)
第三章: “5155プロジェクト”期の漫画(1995~1999年)
第四章: 市場化期のオリジナル漫画(2000~2005年)
第五章: 糸口が見え始めた“中国式漫画”(2006~現在まで)
第六章: 情報化が発展したオリジナル漫画
第七章: 政府支援下の中国動漫産業
第八章: 独特の味わいのある香港・台湾の漫画
付録1: 中国漫画家名録
付録2: 中国動漫産業の年代記

※ 陳維東・主編『中国漫画史』
現代出版社(2015年11月刊)

 

     

■ 「スター・ウォーズ」同名コミックの中国語版がお目見え

アメリカの人気SF映画「スター・ウォーズ」シリーズの10年ぶりとなる新作「フォースの覚醒」が昨年12月18日に世界同時公開され、1月10日までの興行収入が全世界で17億ドル(約2000億円)を突破。早くも「アバター」「タイタニック」に続く興行収入歴代3位に浮上するという、大ヒット・ロングランを続けている。

中国本土では20日余り遅れて今年1月9日に全国公開され、国産人気アニメ「熊出没」シリーズの第3作(「熊出没之熊心帰来」)を抑えて、興行トップを独走中だ(1月中旬時点、中国語題:「星球大戦:原力覚醒」)。

もっとも1977年にアメリカで第1作(エピソード4)が公開されてから一世を風靡した「スター・ウォーズ」シリーズは、中国ではあまり知られていない。国内での興行収入も過去最高を更新するとは見られていないが、それでも「最大15億元(約270億円)を稼ぐ」と推計されており(野村ホールディングス)、ヒット作になることは間違いなしだ。

ちなみに中国の映画興行収入は2015年に前年比48%増の440億元(7900億円余り)を記録し、世界第2位。2017~18年にもアメリカを抜いて世界最大の映画市場となる見通しが伝えられている。

こうした中、「スター・ウォーズ」シリーズの同名コミックの中国語版がこのほど、北京の世界図書出版公司から刊行され、注目を集めている。映画配給元で著作権を有するウォルト・ディズニー社から、中国語版の版権を正規に取得したものだ。

コミックは、アメリカのコミック作家、ジョン・オストランダー(John Ostrander)とジャン・ダーシーマ(Jan Duursema)の作で、スター・ウォーズの『前伝三部曲』(ルーク3部作)、『正伝三部曲』(アナキン3部作)、『伝承』(Star Wars Legacy)からなる。
はるかかなたの銀河系を舞台に繰り広げられる善と悪の壮大な戦いを描いた映画を、オールカラー、迫力ある劇画タッチで忠実に再現している。読者の好みの違いはあるが、まさに勧善懲悪のヒーローもので知られるアメリカンコミックの醍醐味が味わえる。

また、コミック『前伝』の巻末にスター・ウォーズの年代表を、『正伝』にシリーズ各作品の概要をそれぞれ収録するなど、時代が前後して描かれる壮大なスケールの物語をわかりやすく解説する工夫も。

映画がより深く味わえるほか、映画とは異なる表現の楽しみ方としても、中国の漫画ファン、映画ファンらから「コレクションする価値がある」と話題を呼んでいるようだ。

 

 

 

※ 美国漫画『星球大戦』系列
John Ostrander/Jan Duursema作
世界図書出版公司(2016年刊)

     
     
 

 

小林さゆり
東京在住のライター、翻訳者。北京に約13年間滞在し、2013年に帰国。
著書に『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)、 『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)などがある。

Blog: http://pekin-media.jugem.jp/

     

 

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