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2013年01月

 作家富豪ランキング、ノーベル賞受賞の莫言が躍進

   
   

2012年中国作家ランキングの上位入賞者たち年末恒例の2012年第7回「中国作家富豪ランキング」(作家長者番付)がこのほど中国で発表され、読書ファンらの大きな話題となっている。
主に印税収入を予測計算してランク付けしたものだが、今回は中国籍作家としては初めてノーベル文学賞を受賞した莫言が第2位に躍進。“ノーベル賞効果”で作品の増刷や再版が相次ぎ、このランキングが06年に開始されてから初のランクインという快挙となった。
一方、中国の「80後」(バーリンホウ、1980年代生まれ)を代表する作家でマルチプロデューサーの郭敬明は、昨年の首位から4位に転落するという意外な展開もあった。

さらに今回は、従来の「作家」「漫画家」「外国作家」の各ランキングに加えて「ネット作家」部門が新設された。長編ファンタジー小説『闘羅大陸』とそれを原作とした同名オンラインゲームが大ヒットした唐家三少が、初の王座に輝いた。
外国作家ランキングでは、日本の村上春樹、東野圭吾、黒柳徹子といった常連作家に加えて、実業家の稲盛和夫がトップ10にランクイン。中国語訳された日本製コンテンツの根強い人気を見せつけた――(一部敬称略)。

   
 

■ランク外から2位に躍り出た莫言

「中国作家富豪ランキング」は06年から毎年1回、ジャーナリストで同ランキングの独立系制作者、呉懐堯氏が調査し発表しているもの。四川省成都市の大手大衆紙「華西都市報」の編集協力のもと、今回は12年11月26~29日に同紙に独占報道された(のちにメディア多数に転載)。
中国系作家たち(香港、マカオ、台湾を含む)の大陸での所得変化を追うとともに、中国人の読書傾向を知ることが狙い。
従来と同じように、北京、上海、武漢、成都、天津など都市部の出版社、出版取次、印刷会社、ネット書店、実店舗、さらには一部作家を取材して、印税収入の上位30人をランク付けした。

2012年中国富豪作家ランキング(1~30位)【2012年第7回中国作家富豪ランキング】(トップ10)
順位/作家 印税(人民元) ベストセラー代表作
1 鄭淵潔 2600万元 『皮皮鲁総動員』(ピピル総動員)シリーズ
2 莫言 2150万元 『豊乳肥臀』ほか
3 楊紅桜 2000万元 『笑猫日記』(笑う猫の日記)シリーズ
4 郭敬明 1400万元 『小時代』ほか
5 江南 1005万元 『龍族』シリーズ
6 于丹 1000万元 『于丹:重温最美古詩詞』(最も美しい古詩を再び味わう)
7 韓寒 980万元 『韓寒文集』ほか
8 安東尼 900万元 『這些都是你給我的愛』(みんな君がくれた愛)シリーズ
9 南派三叔 850万元 『藏海花』
10 当年明月 700万元 『明朝那些事儿』(明朝それらのこと)シリーズ
 
※ 印税の統計期間は2011年11月~2012年11月。
※ このランキングでは中国作家(香港、マカオ、台湾を含む)の大陸での主要作品の印税収入に限られる。ドラマや映画の原作料など派生的収入は含まれない。
※ 印税の計算方法は、発行部数×定価×印税率。予測を含む(以下同)。1元は約13円。


今回1位の栄冠に輝いたのは、前年3位の鄭淵潔。「児童文学の大王」といわれ、代表作に、勇敢な少年ピピルとその仲間たちが大活躍する冒険物語『皮皮鲁総動員』(ピピル総動員)シリーズ(全70巻構成)がある。
前年4位から1ランクアップした楊紅桜とともに児童文学作家が例年上位を占めているが、これについてランキング制作者の呉懐堯氏は「読者の多くが忠実な子どもファンであるため」安定して売り上げを伸ばしていると見る。一人っ子政策をとる中国では教育熱が年々ヒートアップしているが、それも児童文学が広く支持されるゆえんだろう。

今回2回目(単年としては初)の漫画家部門入賞者の顔ぶれ2位の莫言は、12年のノーベル賞受賞作家。「作家富豪ランキング」では今回が初めてのランクイン。しかも一気に上位躍進という快挙となった。
ランキングの説明によれば、印税2150万元にノーベル賞の賞金約750万元(約9750万円)は含まれていないもよう。同賞受賞後『豊乳肥臀』『蛙』『檀香刑』といった数多くの代表作が、複数の出版社によって再版、増刷されたことが印税アップにつながったと考えられる。
ランキングを発表した華西都市報は「(莫言の)作品は一時売り切れになり、ノーベル賞効果の“魔力”を改めて証明した」と評価した。

一方、ランキングが開始されてから07年、08年、11年と3回トップの座に輝いた人気作家の郭敬明は、今回4位に転落と意外な結果に。12年は代表作の青春小説『小時代』の映画化が決まり、初の監督業にチャレンジしたこと(13年公開予定)、またこの1年間は“重量級”の新作が出版されなかったことなどが原因と見られている。
それでも「印税ではランクを下げたが(マルチに活躍する郭敬明には)ほかの巨益があるから……(心配に及ばない)」と呉懐堯氏。初監督映画もしばらく話題になるだろうが、ファンには新たな著作が待ち遠しいことだろう。
 

■外国作家で日本3分の1を占め健闘

今回創設された「ネット作家」部門の入賞者たちこのほか恒例の作家、漫画家、外国作家の各ランキングに加えて、今回は「ネット作家」部門が新設され、トップ3は順に唐家三少、我喫西紅柿、天蚕土豆の各氏が並んだ(表参照)。
ランキング表を見てもわかる通り、トップ10に挙がるネット小説はことごとくSFアドベンチャーや武侠もの、冒険ファンタジーといったジャンル。ネットの場合は、小難しい歴史・ビジネス小説よりも、移動中にモバイルで気軽に読める“空想もの”が圧倒的な人気のようだ。
外国作家ランキングでは『1Q84』シリーズの村上春樹、『白夜行』の東野圭吾、『窓ぎわのトットちゃん』の黒柳徹子といった常連作家に加えて、『生き方-人間として一番大切なこと』の稲盛和夫が前年の12位からトップ10入り。中国のミニブログ「微博」で320万人超の“粉絲”(ファン、フォロワー)を抱える話題の人物であるだけに、同書がロングセラーとなったようだ。
日本の作家ではほかに、『はじめてだったころ』など癒し系コミックエッセイが中国でも評判のたかぎなおこが12位に初ランクイン。このため外国の作家では、全15位のうち日本人が5人(3分の1)と過去最多を占め、大健闘した。
12年は尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題をめぐって中国で反日デモが発生。日本への反発から大手書店で日本人作家の本が一時撤去されたが、ランキングを見る限り、日本文化への関心にさほどの影響はなかったようだ。
 

■批判あるも「作家のイメージアップのため」

外国作家部門の入賞者。村上春樹はじめ、日本人が多数入賞。ところで作家富豪ランキングに対しては、相変わらず厳しい批判の声もある。
「(予測が含まれるので)印税データには信憑性がない」「文学の低俗な娯楽化だ」、さらに“富豪作家”の中からも「(中国では)海賊版があるため、実際はそんなに金持ちではないよ」という嘆き節が聞こえてくる(「時代週報」) http://bit.ly/109jV13 

北京紙「北京晨報」は、若手作家で評論家の張一一氏の抗議文を掲載(11月27日付)。
「収入の多寡で作家をランク付けするのは、荒唐無稽で愚かな行為。作家の収入と価値が同じであると人々に誤解を与え、その職業イメージや社会的評価を低下させ、多くの作家にダメージを与える」「このようなナンセンスなランキングは即刻停止させるべきだ」と手厳しい。 http://bit.ly/12JSCcx 

こうした批判に対し、前述の呉懐堯氏は「ランキングのデータは100%正確とはいえないが、できるだけ的確な状況把握に努めている」と反論する。
「ランキング制作を始めたのは(ジャーナリストという)仕事柄多くの作家と知り合い、彼らのことをもっと人々に知ってほしかったから。作家への関心は薄く、新聞の文化面も華やかな芸能記事に呑み込まれている。しかも作家は、困窮し落ちぶれた文人というイメージが強い。そこで作家のブランディングをしようと思った」。ランキングが作家のイメージアップにもつながると考えたという。

今回はランキングの発表とともに、華西都市報が「読書文化ウィーク」を地元で開催。イベントの一環となる「中国作家富豪ランキング授賞式典」が初めて開かれ、鄭淵潔、郭敬明、唐家三少、南派三叔、笛安、落落、安東尼ら“受賞作家”たちが豪華なレッドカーペットに姿を見せた。ファンから大歓声が上がり、作家の本の売り上げにも貢献したと同紙は伝える。
呉懐堯氏は「著名作家や出版関係者が成都に集まり、(専門的な)フォーラムも開かれた。それはつまり、このランキングが認められたということだ」「ランキングは中国に到来した“読書時代”をいっそう推進できるだろう」と自信を強める。

議論紛々の作家富豪ランキングだが、さて来年は、どんな作家が登場するだろう――。
ネット作家ランキング(1~20位)

【2012年ネット作家富豪ランキング】(トップ10)
順位/作家 印税(人民元) ベストセラー代表作
1 唐家三少 3300万元  『闘羅大陸』 
2 我喫西紅柿  2100万元  『呑噬星空』(星空を併呑する) 
3 天蚕土豆  1800万元  『闘破蒼穹』(蒼穹を闘破する) 
4 骷髏精霊  1700万元  『聖堂』 
5 血紅  1400万元  『光明紀元』 
6 夢入神機  1000万元  『聖王』 
7 辰東  800万元  『神墓』 
8 耳根  700万元  『仙逆』 
9 柳下揮  650万元  『火爆天王』 
10 風凌天下 620万元 『凌天伝説』

※ 印税の統計期間は2007~2012年の5年間。中国ネット作家のネット作品をはじめ、そこから派生した本の出版、映像作品、ゲームの原作など関連版権収入の合計。


漫画家ランキング(1~15位)【2012年漫画家富豪ランキング】(トップ10)
順位/作家 印税(人民元) ベストセラー代表作
1 周洪浜  1815万元  『偸星九月天』(Star-Stealing Girl) 
2 朱斌  1300万元  『爆笑校園』(爆笑キャンパス) 
3 朱徳庸(台湾)  710万元  『大家都有病』(みな病あり) 
4 敖幼祥(台湾)  700万元  『烏龍院』 
5 穆逢春  680万元  『闘羅大陸』 
6 猫小楽  480万元  『阿衰 on line』 
7 魔王S  315万元  『暗夜協奏曲』 
8 阿桂  300万元  『瘋了!桂宝』(クレイジー!桂宝) 
9 幾米(台湾)  280万元  『時光電影院』(時間映画館) 
10 夏達 180万元  『長歌行』

※ 昨年に続き2回目の漫画家富豪ランキング。統計期間は2011年11月~2012年11月。
※ 日本デビューを果たして現在、月刊「ウルトラジャンプ」で連載する美人漫画家の夏達が前年の15位から10位にランクアップした。

外国作家ランキング(1~15位)【2012年外国作家富豪ランキング】(トップ10)
順位/作家 印税(人民元) ベストセラー代表作
1 J.K.ローリング(英)  1500万元  『カジュアル・ベイカンシー』 
2 G.ガルシア=マルケス(コロンビア)  600万元  『百年の孤独』 
3 ウォルター・アイザックソン(米)  500万元  『スティーブ・ジョブズ』 
4 Chrisian Jolibois(仏)  330万元  『異なるカメラ』 
5 村上春樹(日)  300万元  『1Q84』シリーズ 
6 東野圭吾(日)  280万元   『白夜行』 
7 トーマス・ブレツィナ(オーストリア)  260万元  『タイガーチーム事件簿』シリーズ 
8 黒柳徹子(日)  200万元  『窓ぎわのトットちゃん』 
9 ダン・ブラウン(米)  160万元  『ダ・ヴィンチ・コード』 
10 稲盛和夫(日) 150万元 『生き方-人間として一番大切なこと』

※ 統計期間は2011年11月~2012年11月。中国大陸での主要作品の印税収入を算出。
  

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2012年12月14日~12月20日

     
第1位:『看見』

第7位:『旧制度与大革命』

第9位:『爸媽太過分』


                                                                
 

1.『看見』(見る)
柴静・著 広西師範大学出版社 2012年12月初版


中国中央テレビ(CCTV)の女性記者で人気キャスターの柴静さんが、CCTVでの報道生活10年の軌跡をつづる。
それはまた中国社会変遷の備忘録でもあるという。自らが司会を務めるドキュメンタリー番組「看見」を通して直面した新型肺炎SARS、四川大地震、北京五輪、華南トラ写真偽造……といった重大事件や、強制立ち退き、家庭内暴力、動物虐待などのシリアスな社会問題が記録される。
「いかに国家を報道するかは、いかに自分を伝えるか」。著者はそう、報道責任の重さを語る。 


2.『正能量』(原題『Rip It Up: The Radically New Approach to Changing Your Life』)
リチャード・ワイズマン著(英)/李磊・訳 湖南文芸出版社 2012年7月初


3.『蛙』
莫言・著 作家出版社 2012年10月


4.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社


5.『豊乳肥臀』
莫言・著 作家出版社 2012年10月


6.『你若安好 便是晴天:林徽因伝』(あなたが無事なら晴天に:林徽因伝)
白落梅・著 中国華僑出版社 2011年9月初


7.『旧制度与大革命』
アレクシ・ド・トクヴィル著(仏)/馮棠・訳 商務印書館 2012年8月初


著者のアレクシ・ド・トクヴィル(1805-1859)はフランスの政治思想家。原著は1856年に出版されたフランス革命(18世紀にフランスで起きた市民革命)の研究書で、中国語訳書には、「フランス革命を理解する必読書」だとある。
著者は「なぜフランス人は先に革命を、後に自由を求めるのか?」「なぜ繁栄がかえって大革命の到来を加速させるのか?」といった疑問を呈する。
中国では習近平指導部の重鎮“チャイナセブン”(中国共産党中央政治局常務委員7人)の李克強氏と王岐山氏が愛読し、周囲に薦めているといわれる。革命前夜のフランスの“破滅的”な状況が「今の中国によく似ている」と指導部がこれをテキスト代わりにしているらしい。
日本では『旧体制と大革命』(ちくま学芸文庫)として、1998年に翻訳出版されている。 


8.『蛙』
莫言・著 上海文芸出版社 2012年10月


9.『誰的青春不迷茫』(迷わない青春はない)
劉同・著 中信出版社 2012年12月初版


著者は湖南師範大学を卒業し、メディア業に従事して10年の青年だが、もとはといえば「北漂」(ベイピィアオ)だった。北漂とは、夢をかなえるため首都北京に上京し、奮闘する若者たちのこと。著者の場合は文章で身を立てたかったが「北京は大きすぎ(自分の)学識には限りがあった」。「生まれつき貧しくて性格は卑しいが、自らの境遇を恨んだことは一度もない」とキッパリ。
「以前は仕事のために奔走する都市の旅人だった。のちに生活のために奔走する職場の達人といわれるようになった。現在は君と同じように、まだ道の途上にいる」
率直にありのままをつづった「北漂記録」が、悩める青年たち、とくに地方から都会に出て頑張る若者たちの“青春指南”となっている。 


10.『自控力』(自制力)
ケリー・マクゴニガル著(米)/王岑卉・訳 印刷工業出版社 2012年8月初


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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