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2012年10月

 相次ぐ「釣魚島」関係の出版物 中国

   
   

中国で発行された「釣魚島」の地図日本政府の沖縄県・尖閣諸島(中国名:釣魚島)国有化をめぐり、日中の対立が深まる中、中国政府が「釣魚島」関係の出版物を相次いで刊行している。
中国側が尖閣諸島周辺で独自に定めた領海基線などを示した地図『中華人民共和国釣魚島及びその付属島嶼』(中国地図出版社)と、釣魚島の主権を強く主張する宣伝パンフレット『釣魚島――中国固有の領土』(海洋出版社)などだ。

日本政府は尖閣諸島に対し、「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり、日本はこれを有効に支配している」「尖閣諸島に領有権問題は存在しない」という立場を貫いている(下記サイト参照)。
しかし、中国側が主張する内容はもちろん、その根拠や論理などについては、とくに中国に関わる日本人なら、主張の相違はともかくも知っておいたほうがいいだろう。
そこで早速、関連出版物をひも解いてみた――(以下、尖閣諸島の中国側の名称を「釣魚島」とする)。

※ 外務省サイト「尖閣諸島に関するQ&A」
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/qa_1010.html 
 

   
 

■地図『釣魚島及びその付属島嶼』

1:25000の衛星・航空写真最新地図『中華人民共和国釣魚島及びその付属島嶼』は9月18日、中国の地図出版条例である「中国地図編制出版管理条例」に基づき、中国地図出版社が発行。中国メディアによれば、第1版は5万部で、20日から北京の大型国有書店・王府井書店をはじめ、天津、上海、広州、重慶、成都、西安、武漢、南京など各都市の大型書店で販売している。
中国共産党の機関紙『人民日報』のデジタル版である「人民網」は、「発売初日、王府井書店では開店20分で売り切れた」(21日付)とその反響の大きさを伝えている。プロパガンダ的な報道なのでは?と疑っていたが、数日後に同書店を訪ねると、確かに次々と買い求める市民らの姿があって驚いた。

地図の内容は以下の通りだ。
○ 釣魚島及びその付属島嶼の地図(100万分の1)
○ 領海基線の地図(25万分の1)
○ 釣魚島及び周辺島嶼の衛星・航空写真地図(2万5000分の1)
○ 黄尾嶼(日本名同じ)及び周辺島嶼の衛星・航空写真地図(1万3000分の1)
○ 赤尾嶼(日本名同じ)及び周辺島嶼の衛星・航空写真地図(6000分の1)
○ 釣魚島及びその付属島嶼の領海基線(数値データ)
○ 釣魚島及びその一部付属島嶼の標準名称(島嶼計71カ所)、地理座標(北緯、東経)

目新しいのは、中国側が釣魚島の周辺で独自に定めた領海基線を初めて示したことだろう。さらに釣魚島とその付属島嶼70余りの名称、地理座標を明記している。一般的な地図に加え、衛星・航空写真をもとに作成した俯瞰図も掲載されている。
中国メディアはこの地図について、「中国政府が釣魚島及びその付属島嶼への管轄を強化する、さらなる具体的措置である」(中国新聞社18日付)と伝えている。

さらにこれに先立つ13日には、中国政府が同領海基線を記した表と海図を国連側に提出。
21日には、中国国家海洋局と民政省が釣魚島の島々の山河など26カ所に独自の名称をつけて発表した。そこからは既成事実化を進め、外交攻勢をかけることで領有権を強くアピールしたい中国当局の方針がうかがえる。
 

■パンフレット『釣魚島――中国固有の領土』

パンフレットの刊行を伝える国家海洋局のサイト国家海洋局が組織し、国家海洋情報センターが編集した宣伝パンフレット『釣魚島――中国固有の領土』(海洋出版社)は9月20日に出版された、
その狙いは、「釣魚島及びその付属島嶼が古くから中国固有の領土であるという歴史的、法的事実を、改めて国内外に示すこと」(国家海洋局サイト)。
同サイトによれば、パンフレットは「中国語、英語、日本語の3カ国語で発行され」、国内外で宣伝されるとのこと。ただし、9月末時点で北京の大型書店では見当たらなかった。あいにく現物は入手できなかったが、その代わり内容は全て同サイトで公開されているため、そちらをご参照いただきたい。

※ 国家海洋局サイト「『釣魚島――中国的固有領土』宣伝冊出版発行」(中国語)
 http://www.soa.gov.cn/soa/news/importantnews/webinfo/2012/09/1347338540043352.htm

内容は5つの部分からなり、順に「釣魚島の概況」「釣魚島は古来中国の領土」「日本と国際社会はかつて明らかに釣魚島の中国所属を認めた」「日本が主張する釣魚島主権は歴史的・法的根拠がない」「中国は釣魚島の主権維持を積極的に公表し明らかにする」――となっている。
海洋局は同局のサイトで、こう説明する。
「パンフレットは文と写真で、一部の歴史的文献や地図を引用しつつ、中国が最も早く発見、命名、利用、長期的に管轄した釣魚島の歴史的事実を十分に説明。日本が『先占』の原則を根拠に主張する釣魚島主権の謬論に、強く反論している。と同時に、アメリカと日本が戦後『サンフランシスコ講和条約』で釣魚島を勝手に取り引きした行為は違法であり、無効であると指摘している」
 

■パンフレットのポイント

パンフレットの内容を見ると、中国が領有権を主張するポイントは以下の通りだ(原文は中国語、要訳)。

○ 現存する最古の釣魚島の史籍は、1403年(明の永楽元年)出版の『順風相送』で、そこに「釣魚嶼」(釣魚島)、「赤坎嶼」(赤尾嶼)などの島嶼名が記載されている。

○ 釣魚島は、明清時代に中国の領土であって「無主地」ではなく、日本は違法な『先占』の原則で、釣魚島主権を主張している。

○ 中米英3カ国による1943年12月の『カイロ宣言』は、「東北4省、台湾、澎湖列島など、日本が中国から奪った領土は中国へ返還する。日本は、武力的または貪欲に日本が略取した他のすべての地域から駆逐される」と明確に定めている。

○ 1945年7月、中米英3カ国が日本の降伏を勧告した『ポツダム宣言』(8月にソ連が加盟)は、「カイロ宣言の条項は履行されるべきで、また日本の主権は本州、北海道、九州、四国ならびにわれわれが定めるその他の小島に限られなければならない」としている。
同年8月15日、日本政府は『ポツダム宣言』の受諾を発表、無条件降伏した。
9月2日、日本政府は「日本降伏条項」の中で、「『ポツダム宣言』各条項の規定した義務を忠実に履行する」ことを示した。このため、釣魚島は台湾に付属する島嶼として台湾とともに中国に返還される。

○ 1951年(9月8日)、アメリカは中国を排除した上で、一部国家とともに日本と「サンフランシスコ講和条約」を締結した(条約は、尖閣諸島が、日本が放棄する領土に含まれないとした)。
同年9月18日、周恩来外交部長は中国政府を代表して、「講和条約には中華人民共和国が準備、起草、締結に参加しておらず、法的根拠がなく、無効であり、中国は決して受け入れられない」と言明した。……

中国が定めた釣魚島の地名について報じる新聞パンフレットはさらに付録として中国外交部の声明(2012年9月10日)などを掲載している。
「日本政府のいわゆる“購島”(島購入、尖閣諸島の国有化)は、完全に違法であり、無効である」
「日本が中国の領土を侵略したという史実はいささかも変えられない。中国の釣魚島および周辺諸島に対する領土主権はいささかも変えられない」
「中国側は、日本側が中国の領土主権を損なう一切の行為を直ちに停止し、双方が達した共通認識と了解に完全に立ち戻り、交渉による紛争解決のレールに戻るよう強く懇請する。日本があくまで耳を貸さずに独断専行するならば、それによって生じる一切の深刻な結果は日本側が負うほかない」……

日本政府の尖閣国有化により、中国側がこれまで以上に強く抗議していることがよくわかる。
この後、今年9月24日には、政府系出版社の新華出版社が『釣魚島是中国的』(釣魚島は中国のものだ)を出版。
同25日には、中国国務院(政府)新聞弁公室が『釣魚島是中国的固有領土』(釣魚島は中国固有の領土)と題する白書を発表した(全文:新華網)。
 http://news.xinhuanet.com/2012-09/25/c_113202698.htm

こうして中国は、日本への対抗措置を取り続けている。これに対して日本はどう応えるのか? 「尖閣問題は存在しない」として不動の立場を貫くのか?
かつて中国の鄧小平氏は、尖閣問題をめぐる日中間の摩擦を避けるために「棚上げ論」を提起した。当時の日本政府も容認したわけではなかったが、「知恵のある次の世代に任せたい」として鄧氏が棚上げにしてから、今年で34年になる。
今、その「知恵のある次世代」の時代がやって来たのか?
互いが主張を譲れない中にあって情勢はなお不透明だが、国民レベルでは双方の主張を理解しておく必要があるのではないか、と考えている。
  

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2012年9月14日~9月20日

     
第1位:『白鹿原』

第5位:『藏海花』

第6位:『王立群読《宋史》之宋太祖』

第9位:『請叫我女王』

第10位:『独自上場』
                                                                
 

1.『白鹿原』
陳忠実・著 北京十月文芸出版社 2011年9月初版


中国の代表的な文学賞である「茅盾文学賞」の第4回(1997年、89~94年作品)受賞作の再版。今年9月、これを原作とした王全安監督の同名タイトル映画が中国国内で公開され、再び脚光を集めている。
清代末期から中華人民共和国建国の約半世紀にわたり、内陸の陝西省関中平原の“仁義村”と呼ばれる白鹿村を舞台に、白氏と鹿氏の両家三代をめぐる恩讐のもつれを描く。
これまでにも多数、舞台化されている。 


2.『你若安好 便是晴天:林徽因伝』(あなたが無事なら晴天に:林徽因伝)
白落梅・著 中国華僑出版社 2011年9月初


3.『因為痛,所以叫青春』(痛いから青春という)
キム・ナンド著(韓)/金勇・訳 広西科学技術出版社 2012年2月初


4.『百年孤独』(百年の孤独)
G.ガルシア=マルケス著(コロンビア)/范曄・訳 南海出版公司 2011年6月初


5.『藏海花』
南派三叔・著 北京聯合出版公司 2012年8月初版


中国の大ヒット冒険ミステリー『盗墓筆記』の作者による同作の「前伝」。主人公・呉邪たちの仲間であり、謎の人物である、張起霊(ニックネーム・悶油瓶)の幼年時代の秘密を探る。悶油瓶のノートになぜかメモされた「世界の極限」というチベットの雪山に、呉邪と仲間の胖子(太っちょ)が謎解きのために分け入っていく。 


6.『王立群読《宋史》之宋太祖』(全2冊)
王立群・著 大象出版社 2012年9月初版


中国の有名な歴史学者・王立群氏による中国中央テレビ(CCTV)の人気レクチャー番組「百家講壇」の講座をまとめた。
知られざる宋の太祖・趙匡胤(ちょう・きょういん)と、北宋の開国前後の雄壮な歴史絵巻を解説する。趙匡胤が後周のまだ幼い恭帝を廃して即位した「陳橋の変」、国軍の上級将校たちの年金を保証するかわりに兵権を放棄するよう求めた「杯酒釈兵権」など、宋王朝300年の繁栄のもとになった数々のエピソードの真相を明かす。
王立群氏は、ベストセラーの『大風歌:王立群講高祖劉邦』など著書多数。 


7.『這些都是你給我的愛Ⅱ 雲治』(みんな君がくれた愛Ⅱ)
安東尼・著/echo・絵 長江文芸出版社 2012年8月初


8.『遇見未知的自己』(未知の自分に出会う)
張徳芬・著 華夏出版社 2008年1月初版


9.『請叫我女王』(どうぞ私を女王と呼んで)
葉藍・著 長江文芸出版社 2012年9月初版


重慶生まれ、香港在住の投資家でもある女性作家、葉藍の異色の金融恋愛小説だ。
幼いころに両親に先立たれ、異母妹からはいやがらせを受けるヒロイン・連翹。だが持ち前の英知と積極性で困難を乗り越えていき、やがて香港プライベートバンクのシニアアカウントマネージャーになる。
華やかなセレブリティの世界に身を置くが、海外留学から帰国したイケメン男性や成功したビジネスマンらが言い寄っても、彼女のハートを射ることはできなかった。それは彼女が、自分は金融界の“女王”であり、自分自身の“女王”であるという信念を持っていたから。「内面の強さがあってこそ真の女王。従いたいなら、どうぞ私を女王と呼んで」と彼女はいう。
自分の弱さも強さも知る新スタイルのヒロインの誕生。本書を原作とした同名テレビドラマも現在、プランニングされている。 


10.『独自上場』
李娜・著 中信出版社 2012年8月初版


中国を代表する女子プロテニス選手・李娜の初の自叙伝。
1982年中国湖北省武漢市生まれ。2011年全仏オープン女子シングルスで優勝し、世界4大大会での優勝はアジア人としては初の快挙となった。自己最高ランキングはシングルス4位。
サバサバした性格で「テニスは国のためにではなく、自分のためにしている」という率直な発言が物議を醸したこともある。夫の姜山氏はテニスの元中国代表で、現在は李娜のコーチを務めている。
自伝では、そんな彼女が30年の歴程を語る。全仏の優勝者として、また1人の女性として、彼女はつねに100%の努力をしてきた。
「私には天性があり、個性があり、(そして)本当の自分になる」「コートは私の殿堂。それは自分との戦い。私は必ず勝たなければならない」と李娜。姜山氏が「彼女のまじめで勤勉な一面も知ってほしい」などと序文を寄せる。テニスファン待望の1冊だ。 


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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