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2012年09月

 北京の中古本フリーマーケットへ行ってみた

   
   

出品された中古本自宅に眠る中古本を持ち寄って、その場で物々交換する本のフリーマーケット「換書大会」が8月4~12日、北京市北西部の遺跡公園「円明園」で開かれました。
出版社や書店によるブックフェアは度々各地で開かれますが、市民らが自由に参加できる中古本の交換マーケットは珍しく、話題を集めました。
 
古本を大切にするエコロジーライフを提唱するとともに、7月21日の北京の記録的豪雨で甚大な被害を受けた地区の1つ「房山区」(市南西部)の小中学校に、副教材などの書籍2000冊を寄贈する活動の一環でもありました。
エコと慈善活動を兼ねたこのイベントには期間中、多くの市民が訪れました。
注目の「換書大会」をのぞいてみると――。
 

   
 

■円明園で初の古本フリマ

「換書大会」会場入口開催地となった円明園は、清代に築かれた離宮の遺跡の1つ。1860年に英仏連合軍の破壊や略奪に遭い、一時廃墟となりましたが、1984年から修復整備がスタート。88年に国の「全国重点文物保護単位」(重要保護文化財)に指定され、同年、遺跡公園として一般開放されました。
総面積3.5平方キロメートルの広大な敷地は「綺春園」「長春園」「円明園」という3つの各エリアからなり、それぞれに四季折々の風景が楽しめます。

換書大会は、円明園の南門に近い「綺春園」の一角で開かれました。
8月末まで開催中の「第17回荷花節(ハスの花祭り)」に合わせて開かれたブックフェア「状元書市」の一環で、円明園での古本交換マーケットとしては初の開催でした(主催:円明園管理所、協力:民間企業の北京同慶街旅遊開発有限公司、北京聚晟偉業科技文化発展有限公司)。

会場はバスケットコートほどの広さはある平屋の建物で、軒下には「状元書市 換書大会」などという赤い横断幕が掛けられています。屋内は長テーブルや本棚で囲まれていて、中古本がズラリ。週末午後のこの時も、夏休みの小学生から読書好きの中高年までざっと20~30人は集っていました。
 

■正規版持ち込みが原則

持ち込んだ図書は係の鑑定を受けてから出品されるただし、入り口に置かれたバナースタンドには、8項目からなる「換書規則」が明記されていました。
「読者(一般参加者)は7割以上新しい中国大陸の正規版図書を交換すること。交換範囲は社会科学、文学芸術、経営管理、哲学、生活類の図書」
「持ち込んだ図書は、専門スタッフの鑑定を受けなければならず(中略)、変色、汚損、ひどい落書きが残るもの、不健全な読み物、海賊版などは(主催者側が)受け取りを拒否する」……
などといった厳格なルールです。
正規版の持ち込みを強調するあたりは、“ニセモノ大国”と揶揄される中国ならではの事情でしょうか。

規則に従い、まずは入り口そばの「図書鑑定区」で持参した本の鑑定を受けました。
これまでに中国で購入した北京観光ガイドや上海万博ガイド、日本のベストセラーの翻訳書『佐賀的超級阿嬷』(『佐賀のがばいばあちゃん』)など計20冊(重さ約7キロ)です。自宅からバスと地下鉄でおよそ1時間半。持ち運びには苦労しましたが「中国の読書ファンにリユースしてもらえれば……」との思いで汗をかきました。
書籍はいずれも“合格”だったらしく、規定通り本の定価の5割の値がつきました。現金の代わりに、相当額のチケット「図書兌換券」(または「換書券」)をゲット。しめて285元(1元は約12.5円、約3500円)分でした。もちろん当日のみ有効です。

持ち込んだ本と引換に渡される「図書兌換券」続いて、屋内の「換書区」に歩を進め、好みの書籍を選びます。
ここには、主催者側が手配した一部新書のほか、市民らが持ち寄った中古本がズラリと陳列されていました。新書は定価の7割で、中古本は裏表紙に記された割引価格でそれぞれ取り扱われていました。
書籍は、ざっと目についたものだけでも……
『全国重点文物保護単位簡介匯編』『新英漢詞典』などの要覧や辞書、『自然科学未解之謎』『人類文化未解之謎』といった子ども向け読み物や『西遊記』などの古典文学、さらには思想理論の『馬克思列寧(マルクス・レーニン)主義原理』(上下巻)から、大ヒット中国映画のノベライズ『非誠勿擾』まで、まさに玉石混交、海底から針をすくうがごとし。

一体どんな本が並ぶのか、掘り出し物や好みの本は探せるか、予測も保証もできませんが、暇があれば“宝探し”とばかりに立ち寄るのも楽しいかも。個人的には北京っ子たちの読書傾向を知る意味で、興味深いものがありました。
 

■「栄誉証書」を贈呈される

「換書区」の風景結局、私が交換した古本は『中国薬膳良方』(中国中医薬出版社)、『伝統節日大観』(西苑出版社)、『唐詩三百首』(長城出版社)などの中国文化や古典の本で、しめて55.5元。
兌換券はあと229.5元分と、ほとんど残ったままでした。規定によれば「選んだ図書の総額が兌換券の金額を超えた場合、現金で差額を払う。残額は現金に換えない」とのこと。

若い男女のスタッフに「チケットが余りすぎている。もっと交換してください」とせがまれましたが、それ以上欲しい本もありません。「被災地の学校に寄付してください」というと思いのほか感謝され、なんと「栄誉証書」が贈呈されることに。「本来は50冊以上持ち込んだ人に贈呈するものですが、特別に……」とのことでした。

「栄誉証書 
尊敬的○○○○○愛書人:
感謝您2012年積極的参与円明園第十七届荷花節《状元書市》捐贈図書行動。用您実際的行動発揮読書的人愛心,用智服務社会。您所捐贈的図書,将成為偏遠学校中最美的風景,伴随貧困学生智慧成長。
特発此証,感謝参与 
北京市海淀区円明園管理所 
二零一二年八月」

筆者に贈呈された「栄誉証書」赤いフェルト張りの立派な証書には、同園管理所から図書寄贈への感謝の意と、図書が貧困学生の成長に役立つであろうとの言葉が示されていました。これだけをもって一般化はできませんが、今回のイベントには民間企業が絡んでいたこともあり、「市民サービスがずいぶん向上したものだな」との印象を抱きました。
会場には「最終的に残額が換金できないのなら、もったいない」と不満を述べる中年男性もいましたが、おおむね好評だった様子。「中古本の整理もできるし、とてもいい企画。また開いてほしい」と1人で20冊ほど交換した女性(30代)もいました。

主催者によれば、今回の換書大会には約1万冊の本が集められ、開催4日間で1300冊余りの中古本が交換されたとのこと。イベント終了後には主催者側が、余剰図書の中から一部副教材や文学書などを厳選し、合わせて2000冊を被災地・房山区の小中学校に寄贈する予定となっています。
円明園管理所の曹宇明主任は「ここ海淀区は、有名な大学や学校が集中する北京の教育エリア。円明園も伝統文化のランドマークだ。文化の普及と学生(読者)へのサービスを担うこと、それがこのイベントの初志だった」(中国網)と述べています。

円明園の風景今後のプランとしては、「市内の別の場所で、独立して開催することも考えている」(女性スタッフ)とのこと。
中国で古本をリユースするなら、日本の中古本販売チェーン「BOOKOFF(ブックオフ)」に似たオンライン古書ショップ「孔夫子旧書網」や、中古本の交換サイト「換書網」「就換網」などを使う手もありますが……。
http://www.kongfz.com
http://www.huanshuwang.com
http://www.jiumai.net  
PRの通り、確かに慈善活動を兼ねて実施されるなら、こうした古本交換マーケットに参加する意味はあるかもしれません。
 

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2012年8月10日~8月16日

     
第1位:『林丹自伝:直到世界尽頭』

第4位:『這些都是你給我的愛2 雲治』

第6位:『我不是潘金蓮』

第8位:『正能量』
                                                                
 

1.『林丹自伝:直到世界尽頭』(林丹自伝:世界の果てまで)
林丹・著 鳳凰出版社 2012年8月初


バドミントン男子シングルスの世界チャンピオンにして、北京五輪、ロンドン五輪の金メダリスト、林丹選手の初の自伝。この夏の五輪効果で売り上げを伸ばしたようだ。
1983年福建省龍岩市上杭県に生まれ、バドミントン歴は二十数年に上る。
日本アニメの「ドラえもん」や「SLAM DUNK(スラムダンク)」を見て育ったごく“普通”の80後(1980年代生まれ)。コーチに好かれる真面目な生徒ではなかったが、「アメリカには(マイケル)ジョーダンが、中国には林丹(リン・ダン)がいる」と母親に話すほどの自信家でもあった。
やがて北京からロンドンへ。1つひとつの戦いの裏には、さまざまな物語や思いがある。獲得したのはチャンピオンという実績だけでなく、自分自身に深く刻まれた出来事や出会った人たちだった、と林丹はいう。 


2.『你若安好 便是晴天:林徽因伝』(あなたが無事なら晴天に:林徽因伝)
白落梅・著 中国華僑出版社 2011年9月初


3.『因為痛,所以叫青春』(痛いから青春という)
キム・ナンド著(韓)/金勇・訳 広西科学技術出版社 2012年2月初


4.『這些都是你給我的愛Ⅱ 雲治』(みんな君がくれた愛Ⅱ)
安東尼・著/echo・絵 長江文芸出版社 2012年8月初


中国の若者に人気の月刊誌『最小説』での連載をまとめた。ほのぼのとした童話のような絵本作品で、80万部のベストセラーになったシリーズの第2弾。
ヨーロッパのある小さな町に住むウサギの安東尼(アンソニー)が、自分で作ったホウロウ製のハートを片手に「愛とは何か?」を見つけるための旅に出る。旅先で多くの人と知り合い、多くの思いやりに触れ、真の愛の意味を理解していく。 


5.『遇見未知的自己』(未知の自分に出会う)
張徳芬・著 華夏出版社 2008年1月初版


6.『我不是潘金蓮』(私は潘金蓮ではない)
劉震雲・著 長江文芸出版社 2012年8月初


『一句頂一万句』で第8回茅盾文学賞(2011年)を受賞した作家の最新作であり、同書の姉妹編とされる。
一人っ子政策をとる中国で、子どもを1人多くもうけるために、夫とニセの離婚を画策した地方の女性、李雪蓮。ところが夫の抜け駆けで、それが本当の離婚になってしまう。
「潘金蓮」という偽名になった彼女が、離婚は全くのウソであり、自分は潘金蓮ではないと証明するために訴える。町から県へ、市から北京の全国人民代表大会(全人代)へ。だが、地元の省、市、県では訴えを阻止したために、彼女の闘争は20年に及び……。
一見すると不条理なストーリーだが、その中に現実味ある社会通念を描いた、といわれる現代のリアリズム小説。 


7.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社


8.『正能量』(原題『Rip It Up: The Radically New Approach to Changing Your Life』)
リチャード・ワイズマン著(英)/李磊・訳 湖南文芸出版社 2012年7月初版


『運のいい人の法則』『超常現象の科学』などで知られるイギリスの心理学者、リチャード・ワイズマン博士。
本書では(精神的に)健康で、積極的で、楽観的な人こそが「正能量」(プラスエネルギー)を持つことができる。不必要な欲望を減らし、精神の平穏を保ち、生活を楽しむことで、人生のプラスエネルギーを高めようと呼びかける。
さらに、積極性を高め、物事を楽しむプラスエネルギーを増やし、人を疑ったり、落ち込んだりするマイナスエネルギーを避けるための具体的なトレーニング法を紹介。
仕事や生活への向き合い方、行動モデルを一変できるという心理学の話題書だ。 


9.『植物大戦僵尸:武器秘密故事系列』(植物大戦ゾンビ:武器の秘密の物語シリーズ)
葛冰など編著 中国少年児童新聞出版総社 2012年1月初


10.『百年孤独』(百年の孤独)
G.ガルシア=マルケス著(コロンビア)/范曄・訳 南海出版公司 2011年6月初


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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