中国・本の情報館~東方書店~
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2012年04月

 民営書店を救え!
  上海では24時間書店がオープン

   
   

かつての「光合作用書房」がファストフード店に…ひところ人気を集めていた中国の民営書店に、倒産の嵐が吹き荒れている。この10年間で、民営書店の実店舗のじつに5割近くが倒産したとの報告もある。インターネット書店の手軽さや便利さ、本の激安セールに押されて、さらには人件費などのコスト高が追い討ちをかけて、民営書店の多くが青息吐息の状態だ。

これを救済しようとする動きも出てきた。
中国当局は3月に開かれた「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の席上、「民営書店の発展支援のための減税、家賃引き下げ政策」について言及。今年中に実施するとの計画を明らかにした。
また上海市ではこれに先立つ2月末、民営など書店実店舗への財政支援策を発表した。民営書店の経営を、国や地方政府が後押しする政策を打ち出すのはきわめて異例だ。

生き残りをかけた書店サイドの模索も続いている。上海ではこのほど「24時間営業」をうたった市内唯一の民営書店がオープン。仕事に追われて書店に行く間のなかったビジネスパーソンらの人気を集めているという。
中国で揺れ動く、民営書店の現状とは――。
 

   
 

■北京の「光合作用書房」はファストフード店に

「光合作用書房」跡地にできた店の外観名門の北京大学や清華大学にほど近く、学生たちでにぎわう北京市北西部の地下鉄「五道口」駅。
駅前の雑踏をかき分けて西へ進むと、最初の交差点を越えた角のスポットに、台湾系ファストフード店がオープンしていた。昨年末ごろまで、カフェ併設のモダンな書店として知られた「光合作用書房」があったところだ。
店内では「仙草ゼリー」や「タピオカドリンク」などの台湾スイーツを求める若者たちが列をなし、テーブル席もほぼ満席となる人気ぶりだった。かつては大人の本好きたちの憩いの場所だったが、その形跡はみじんもない。経営悪化のため店をたたんだという同書房だが、栄枯盛衰の厳しさをまざまざと見せつけられた出来事だった……。
 (※ご参照 北京便り2005年3月「増える!カフェのある書店」)
  http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/bj200503.html 

中国に民営書店が登場したのが、改革・開放後の1980年代初頭とされる。以来およそ30年、急速な経済発展につれて拡大した書店もあったが、近年は「倒閉潮」(倒産ブーム)といわれるほどの打撃が業界を襲っている。
休業が伝えられた民営書店は2009年から数えられるだけでも、北京の「第三極書局」「北京風入松書店」、上海の「季風書園」(4店舗)、「大夏書店」、広州の「三聯書店天河店」……。
さらに最近では、昨年末に「光合作用」全国チェーンが閉店。今年に入ってからも、成都の「時間簡史書坊」、上海の「万象書店」、四川の「弘文書局(本店)」が倒産し、「上海書城淮海店」と福建の「暁楓書屋鼓浪嶼店」が閉店。
中国の民営書店は、まさに「ブーム」と皮肉られても仕方のないような倒産・休業の波に飲み込まれているのである。
 

■民営書店の5割が倒産、新ブランド店もない

看板と店舗が消えた「北京風入松書店」中華全国工商連合会・書業商会の最近の調査によると、「過去10年間に民営書店の5割近くが倒産し、この5年に書店の新しいブランドが1つも生まれていない。倒産の流れは依然続いている」(中国経済網-新華網2月29日付)という。民営書店の苦境が裏付けられた形である。

倒産・休業の原因としては、①人件費や家賃などのコストが上がったこと、②便利で、本の割安なネット書店の普及に押されたこと、などが挙げられる(中国経済網、同)。
とくに①のコスト高だが、民営書店への課税は、営業税(営業総額の8%)、増値税(付加価値税、営業総額の13%)、城建税(都市建設税、増値税の7%)、教育付加税(増値税の3%)、地方教育税(増値税の20%)、企業所得税(法人税、利益総額の25%)などがあり、不動産や税率などで優遇される国有書店(新華書店グループなど)と比べれば、きわめて重い。
さらに人件費や家賃の高騰が追い討ちをかけ、民営書店はその少ない収益をあちこちからもぎ取られている。純利益はほとんどなく、どれだけコストを抑えても立ち行かない状況にあるという。

②では、ネット書店で展開される“本の激安競争”から民営書店(実店舗)は閉め出され、形勢不利の状態にある。
中国では日本のような本の「再販制度」(再販売価格維持制度、全国一律の価格維持制度)が設けられていないため、定価はあってもなきがごとし。ネット書店では家賃などがかからない分、定価の5掛け、6掛けで仕入れた本を、6掛け、7掛けという安価で売ることが可能なのだ(実店舗では、安くても定価の8~9掛けであることが多い)。

本が安くて、バイク便で一部無料配達までするとなれば、ネット書店に人気が集まるのは無理もないだろう。
こうして中国では今、民営書店の“自然淘汰”が進んでいる。
 

■上海は実店舗支援に年間500万元を交付へ

「文化のともし火を消してはならない」と、民営書店を救済する動きも出てきた。
中国の新聞・出版事業を主管する新聞出版総署の柳斌傑署長は、3月に開かれた「両会」の席上、「民営書店の発展支援のための減税、家賃引き下げ政策」について言及。「国有書店に比べ、民営生存のプレッシャーは非常に大きい。政策的支援が求められている」などとして、年内に救済政策を実施すると明らかにした(羊城晩報-新華網3月9日付)。

また上海市新聞出版局はこれに先立つ2月末、年間計1500万元(1元は約13円、約2億円)の特別支出金を「出版物発行網点(ネットワーク、ポイント)の建設」にあてると発表。
うち3分の1にあたる500万元(約6500万円)を、影響力のある民営書店など各種の実店舗支援にあてるという財政支援策を明らかにした。書店の自主申請を経て、4月23日の「世界読書デー」(世界図書・著作権デー)には第1回の支援書店リストが公表される予定だという。
同局の闞寧輝副局長は「大型書店であれ、横町の本屋であれ、“文化の存在感”を示すものだ。上海は国際都市として特色あるランドマーク書店がさらにあってしかるべき。(支援策により)実店舗も、ネット書店構築などさまざまな経営モデルで読者を引きつけることができるだろう」と檄を飛ばしたという(中国新聞網-新華網2月29日付)。

民営書店の経営を、国や地方政府が後押しする政策を打ち出すのはきわめて異例だ。裏を返せば、民営書店の情勢がそれだけ逼迫しているということだろう。
 

■上海で唯一の24時間書店がオープン

昨今の経営不振に、民営書店も手をこまぬいているわけではない。
上海では、書店の激戦区である“文化街”の福州路に3月15日、市内唯一の「24時間営業」書店がオープンした(中国新聞網-新華網3月16日付など)。

「大衆書局上海福州路店」が新装開店したもので、面積は7、8百平方メートルというから、テニスコートを2回りほど大きくした広さ。上海の長屋式住居「石庫門」建築をモチーフに、オールド上海の風情を取り入れた落ち着いた造りだという。
ここに書籍や雑誌など合わせて2万タイトルが置かれているが、改装前と比べると半数近くをカット。代わりにレトロなソファーや長いすを置いて、コーヒーともに読書が楽しめる憩いのカフェを併設した。
さらに客の本を探すだけでなく、好みに合った本を薦めるアドバイザーの「選書師」を置き、夜間には専門家による文化イベントを開催。あの手この手のサービスで、24時間営業を盛り立てている。
話題性も手伝って、書店の売り上げはオープン初日に夜間9時間営業で2000元余り、2日目は24時間で1万5000元余りと快調な滑り出しだ。これまで書店に行く間のなかった忙しいビジネスパーソンらにも、評判は上々だという。

駐車場や「Wi-Fi(ワイファイ)」対応の不備、さらには健康面で24時間営業を非難する声もあるというが、書店側は「より多くの人に、休息と読書の場を提供できれば……」と話している(『文滙報』3月15日付)。

上海では、03年にも24時間の「思考楽書局」が登場したことがあったが、経営悪化のため1年余りで閉店した。
新たにチャレンジする大衆書局は生き残れるか?
当局の手厚い支援策と相まって、中国の民営書店が大きなターニングポイントを迎えていることは確かだろう。

 ※ 「上海再現24小時書店」(動画ニュース)
 http://www.tudou.com/programs/view/EihzghtTMJI 
 

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2012年3月16日~3月22日

     
第1位:『大故宮』

第2位:『植物大戦僵尸:武器秘密故事系列』

第3位:『虫図騰2』
                                                                
第6位:『因為痛,所以叫青春』

第8位:『時尚辣媽養成記』

第9位:『愛你是最好的時光』
 

1.『大故宮』
閻崇年・著 長江文芸出版社 2012年2月初


有名な清史学者で中国紫禁城学会副会長の著者が、中国旧王朝の宮殿「故宮」の外延を解き明かす。北京の旧皇城のみならず、瀋陽故宮、台北の故宮博物院、承徳の避暑山荘と外八廟など関係する建築群をひもときながら、宮廷社会や文化、風俗、国宝級文物について解説。読み応えある「故宮百科」と評されている。
中国中央テレビ(CCTV)のレクチャー番組「百家講壇」で、同名タイトルの講座シリーズが今年2月24日からスタート。通年の大型番組として、注目を集めている。 


2.『植物大戦僵尸:武器秘密故事系列』(植物大戦ゾンビ:武器の秘密の物語シリーズ)、全16冊
葛冰など編著 中国少年児童新聞出版総社 2012年1月初


2~7歳の子ども向け童話シリーズ。
植物を植えてゾンビの侵入を防ぐ、世界的人気のコンピューターゲーム「ゾンビと植物」のプロットにヒントを得たもの。さまざまな武器や攻略法を持つ植物たちのゾンビとの戦いを、生き生きと描く。 


3.『虫図騰2』(虫のトーテム2)
闫志洋・著 新星出版社 2012年3月初


中国初の“虫駆除師”をテーマにしたミステリー。国内の娯楽系ポータルサイトでの発表1カ月で1000万の大量アクセスを数えた人気小説を書籍化した。 


4.『青春』
韓寒・著 湖南人民出版社 2011年9月初


5.『不一様的卡梅拉』(異なるカメラ)
Chrisian Jolibois作 Christian Heinrich絵、二十一世紀出版社 2006年10月初版


6.『因為痛,所以叫青春』(痛いから青春という)
キム・ナンド著(韓)、金勇・訳 広西科学技術出版社 2012年2月初


韓国・ソウル大学、キム・ナンド教授のミリオンセラーの翻訳版。サブタイトルに「一人ぼっちで人生の入り口に立ったあなたへ」とある。多くの学生の悩みに向き合ってきた著者が、青春期のつらさを理解し、若者たちに厳しくも温かなエールを送る。
日本では『つらいから青春だ』として、ディスカヴァー・トゥエンティワンから3月末に翻訳出版されている。 


7.『百年孤独』(百年の孤独)
G.ガルシア=マルケス著(コロンビア)/范曄・訳 南海出版公司 2011年6月初


8.『時尚辣媽養成記』(おしゃれママの養成記)
祈莫昕・著 中国友誼出版公司 2012年2月初版


「健康的な赤ちゃんが欲しいけど、妊娠するとスタイルは崩れるし、美とも無縁になる!?」。そんな悩めるママにおススメの健康ビューティー指南。
妊婦向けのフェイシャルパックやマッサージ法、ストレッチやヨガのポーズ、栄養のあるおいしい料理を教え、「痛んだ髪や目の下のくま、妊娠線やお腹のたるみにさようなら」「300日の“幸孕”(幸運と同音)な日を」とうたっている。 


9.『愛你是最好的時光』(あなたを愛するのは最高の時)
匪我思存・著 新世界出版社 2012年2月初版


か弱いけれど内心のしっかりした女性、談静と、善良で純粋な男性、聶宇晟。
ある誤解がキッカケで別れてから7年後、談静は息子が先天性の病気を患っており、夫はケンカや賭博が絶えず、困窮した暮らしぶりだった。
心臓外科の医者になった聶宇晟は、談静の息子の担当医になり、彼女に再会。2人はまた昔のように心を通わせるようになるが、そこには残酷な現実が横たわっているのだった……。
小説は完結編へと続く。「待ちきれない」「続き物にするなんてひどい」「鬱々する」など愛読者の反響が、ネット掲示板に書き込まれている。 


10.『世界如此険悪,你要内心強大』(世界はこんなに険悪だから、内心を力強く)
石勇・著 印刷工業出版社 2011年7月初


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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