中國出土資料學會 2023年度第1回大会

投稿者: | 2023年6月1日

中國出土資料學會2023ポスター▼日時
2023年7月1日(土) 研究報告 13:00~17:00
本大会はハイブリット型(現地開催をするとともに、zoomによるオンライン参加も可能)の学会です。
※参加費無料、非会員の来聴を歓迎します。

▼現地会場
〒980-8511
宮城県 仙台市 青葉区土樋 一丁目3番1号
東北学院大学 土樋キャンパス  8号館 第3会議室

▼申込
参加希望者は下のリンクから事前登録をお願いいたします。登録受付期間:6月23日(金)まで。
 https://forms.gle/6BwKxpZoSPcWbA3G7
※ 参加申込者には、大会当日までに招待リンクと発表資料閲覧用のパスワードを事務局から送付いたします。
※なお現地会場にお越しになる方は、事前に発表資料をダウンロードしてご持参ください。会場校の負担を減らすため、現地での印刷作業はいたしません。

▼プログラム

報告Ⅰ 鮫島玄樹(早稲田大学文学学術院 博士後期課程)
発表題目:漢代赦免制度の実施手続きと官吏
発表概要: 本報告は、簡牘史料・伝世文献を併用しつつ漢代の赦免の実施手続きを検討し、とくに官吏がどのように赦免に関与したのかを考察するものである。赦免は、皇帝の命令によって犯罪者の罪を許すもので、漢代では頻繁かつ全国的に行われていた。従来の研究において、赦免は皇帝の特権とされ、皇帝による新秩序形成など、儀礼的な意義が指摘されている。また赦免は皇帝の専決にかかわり、皇帝の恣意によって運用されるもので、それだけに法制度と矛盾したとされている。ではじっさいのところ、赦免とは皇帝の意のままに行うことができるようなものだったのだろうか。そこで本報告では、赦免制度の実施手続きについて、官吏がどのように関与していたのかという点に着目して検討する。従来の赦免制度研究では、主に『漢書』・『後漢書』といった伝世文献に依拠した研究が行われてきた。しかし近年では、簡牘資料のなかに赦免制度に関連するものが確認できるようになり、すでにそれらを用いた研究も行われている。本報告ではそのうち、居延新簡・懸泉漢簡にみられる赦免の伝達にかんする行政文書や詔書のほか、岳麓秦簡などにみえる赦免関連の記述を活用し、伝世文献の赦免にかんする記述とも照らし合わせながら検討を進める。そうすることで、赦免がどのような定式化された手続きを経て各行政機構に伝達され実施されていたのか、個別の赦令ではどのような指示が出されていたのか、また赦免の実施の可否や実施内容の決定にあたり、官吏や行政の意見が反映されていたのか否かといった点について考察する。

報告Ⅱ 佐藤信弥(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 客員研究員)
発表題目:春秋諸侯の西周史認識
発表概要: 春秋期における西周史に関連した記述としては、従来『左伝』など伝世文献の記述が史料として利用され、これらの史料に対して、伊藤道治のように「西周期のことが文献の中にかなりよく保存され、伝えられている可能性がある」「大綱はそれほど誤ってはいない」といった評価が与えられてきた。しかし後代に成立した文献の記述をそのように評価して問題はないのであろうか。『左伝』などに
見える記述を西周史の史料としてアプローチするという態度には、伝世文献に見える記述はあくまで後代の「歴史認識」であるという発想に乏しい。またその「歴史認識」にしても、『左伝』の場合は春秋期の西周史認識を反映しているのではなく、著述された戦国期の認識を反映したものであるという批判が可能である。春秋期の文献としては、近年湖北省随州市で出土した曾侯諸器銘など、同時代の西周史認識を示す金文がいくつか発見されている。これらは戦国期以降に成書された文献には見られない、春秋期の西周史に対する「生」の認識がうかがえる史料として評価できる。本稿ではこれらの金文を史料として、春秋期の西周史認識を探り、戦国期以降に成書された文献に見える記述を西周史の史料として用いることの問題について議論したい。具体的には、まず西周王朝の正規軍とされる「西六師」や、周王の冊命儀礼の場となるなど、西周後半期の主要な王宮であった「康宮」といった西周の制度面に対する認識を探る。ついで周の文王・武王の受命や、昭王の南征といった歴史的事件に関係する諸侯の祖先の伝承についての認識を探る。この二つの方面からの検討により、春秋期の諸侯国での歴史認識について考察したい。

報告Ⅲ 西山尚志(埼玉大学人文社会科学研究科 准教授)
発表題目:白鳥庫吉「支那古伝説の研究」に対する批判とその背景
発表概要: 1909年8月に発表された白鳥庫吉の「支那古伝説の研究」は、堯・舜・禹を儒家思想によって創られた架空の人物であるとし、その歴史的実在性を否定した。当該論文は発表してまもなく大きな反響を招き、各方面から強い批判を受けた。本発表では、当該論文に対する批判(あるいは誤解)の内容、強い反発を招いた社会背景、その後の展開などを検討するものである。

▼連絡先(大会委員長)
早稲田大学文学学術院 柿沼 陽平
E-mail:yohey@waseda.jp

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