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2011年11月

 中国最大の子ども向け体験型書店、
 北京にオープン

   
   

北京市内にオープンした「青少年閲読体験大世界」中国で最大規模というふれこみの子ども向け体験型書店「青少年閲読体験大世界」が9月末、北京市の中心部にオープンした。

中国でも国民の“読書離れ”が懸念されているが、同店は子どもたちに小さいころから読書に親しんでもらおうと、児童劇や読み聞かせなどさまざまな読書体験を提案。

一人っ子の教育に熱心な親と「小皇帝」「小公主(お姫様)」として大事に育てられる子どもたちの注目のスポットとなっている。

   
 

■国内で最大規模、一番の品揃え

「青少年閲読体験大世界」外観市内随一のビジネス街、北京CBD(ビジネスセンター)に位置する大型ビル「宝鋼大廈」の3、4階に、その書店はある。
「青少年閲読体験大世界」(以下、大世界と略)――。
中国の子ども向け出版社・中国少年児童新聞出版総社(共青団中央直属)が出資する国有文化教育企業「中少成長文化発展(北京)有限責任公司」が今年9月28日にオープンした。
その機構からすれば、中国共産党傘下の青年組織・共青団(中国共産主義青年団)のお墨付きをえた“国有書店”だ。共産党は10月の重要会議で、中国のイメージアップのための「文化強国」の建設を打ち出したばかり。首都北京にタイムリーにお目見えした子ども向け書店も、国家戦略の一環と見られなくもないだろう。

総面積約5000平方メートルは、日本の小学校のグラウンドにも匹敵する広大なスペース。ここに絵本や童話、文学、辞書、百科事典、外国語テキストといった主に少年少女向けの書籍、CD、DVD、電子書籍などが6万点余り、プラモデルや人形などの知育玩具が5000点余りそろっている。
子ども向けの書店としては「国内で最大規模、一番の品揃え、最強の専門性」というのが売りで、「大世界」の名に恥じないグレードを誇るようだ。
 

■児童劇の公演やイベントも開催

店内にある遊具施設「童楽園」平日のこの日、大世界を訪ねてみた。エレベーターの3階のドアが開くとそこは、赤、青、黄、緑といったポップカラーで彩られた“おとぎの世界”。ゆったりとしたスペースには、子どもの背丈に合わせた低めの本棚から、曲線型のユニークな飾り本棚までがズラリ、整然と並べられていた。本棚の書籍はもちろん求められるほか、手にとって見ることもできる。
絵本のコーナーには子どもたちに人気の「奥特曼」(ウルトラマン)やディズニーといった外国コンテンツの翻訳版や、中国の人気アニメ「喜羊羊与灰太狼」(シーヤンヤンと灰色おおかみ)のシリーズなどが色とりどりに並べられていた。

さらに滑り台やトンネルなどの遊具を備えた「童楽園」、児童劇の公演やイベントが開けるミニステージ、多目的ルーム、読み聞かせ・読書コーナー、展示スペース、CD・DVD、文具・玩具コーナー、カフェ・レストランも。バラエティーに富んだ造りで、親と子どもがさまざまな遊びや体験を通して、読書に親しむことができる。

店内ステージでおこなわれていたイベントステージではちょうど、幼稚園クラスの子どもたちの発表会が行われていた。司会者のお兄さん、お姉さんに導かれ、ピンクのドレスや民族衣装でおめかしした子どもたちが1人ずつ「小星星」(きらきら星)などの歌やダンスを披露。それをグルリと取り囲んだ客席の親たちが、携帯カメラやデジタルビデオカメラで熱心に撮影していた。
イベントの模様は、中国版ツイッター「微博」(ウェイボー)でも速報されていたようだ。

http://weibo.com/readingworld 

若い母親の1人は「大世界にはよく来ます。小さいうちから、子どもに読書は楽しいものだと教育できれば……」と話していた。

毎週末には「閲読助理」(読書アシスタント)と呼ばれるスタッフたちによる児童劇や読み聞かせ、図画工作教室などのイベントも計画されている。
かわいらしい黄色のオーバーオールがコスチュームの若い女性スタッフは「会員制ではありませんし、入場料もいりません。いつでも、どなたでも遊びにいらしてください」と笑顔をふりまいていた。
 

■読書離れ、書店離れを食い止める!?

こうして中国が子ども向け書店に力を入れ出したのは、中国人の“読書離れ”“書店離れ”を食い止めようとする動きの1つでもあるだろう。
中国の「国内成人の読書率」(年に1冊以上本を読む成人の割合。成人は18~70歳の人を対象)は2010年に52.3%。底を打った05年の48.7%に比べ3.6ポイント上昇したが、依然低調なままで推移している。
(第8次中国国民閲読調査、『人民日報』海外版5月30日付 http://bit.ly/oea4Mk

また同調査によれば、中国人の読書量は年平均4.25冊で、これは韓国(11冊)、フランス(20冊)、日本(40冊)に比べ、大幅に下回っているという(注: 日本の40冊には雑誌・漫画が含まれる。調査によっても日本は10~40冊と幅がある)
(中国新聞網4月25日付 http://bit.ly/rtfFny

一方、上述した紙媒体ではなく、電子媒体による読書接触率(年に1回以上、電子媒体で読書をする成人の割合)は2010年に32.8%で、09年比8.2ポイントの上昇。携帯電話、電子書籍リーダー、パソコンといった電子機器の中でも電子書籍リーダーへの接触率は倍増し、顕著な伸びを示している(『人民日報』海外版5月30日付)。

中国のネットユーザーは今年9月末時点で5億人の大台を突破、ネット普及率は4割近くと伸び続けている。世界的な流れとともに中国人の読書方法も紙から電子へと移行しつつあり、単純にいま“読書離れ”が起きているとは言い切れないかもしれない。

だが人々の“書店離れ”は、北京だけをとってみても確かに起きている。
オンライン書店や電子書籍の人気に押され、中国の出版業界では1年ほど前から「実体書店(実店舗)が大量死する」とささやかれてきた(「北京便り」2010年11月号)。
北京最大級の民営書店といわれた「第三極書店」は09年夏に多額の損失を出して撤退。今年6月初めには、北京大学に隣接したアカデミックな民営書店「風入松書店」が営業を停止(事実上倒産)したことが話題となった。
 

■中国最大の子ども向け書店グループ構築へ

こうした書店“氷河期”に生き残りをかけて、気を吐く個性派書店もある。
中国初の女性向け会員制書店「北京雨楓書館」は07年に北京にオープンして以来、25~45歳の知的女性を対象に会員を増やし、市内に3店舗を開いている。年代別の女性書を多く取りそろえ、美容や料理、母親教育の専門家を招いたサロンを開いて、コアファンをつかんでいる。 (公式HP:http://www.yufeng.cc/

外国語書籍の専門店「老書虫」(The Bookworm)は、北京のバー&ファッションスポット、三里屯に位置するカフェ・レストラン併設のブックストア。
旅行ガイド出版大手ロンリープラネットによる『2011年オススメ旅行先』の「世界の書店ベスト10」に、アジアでは唯一選出された。店内には1万6000冊を所蔵し、来年初めに開催する国際ブックフェスティバルには、アメリカのユーモア作家、デイヴィッド・セダリスや同若手作家のデイヴ・エガーズらを招く予定だという。北京のほか、江蘇省蘇州、四川省成都にも支店がある。 (公式HP:http://beijingbookworm.com/

書棚には国内外の人気キャラクターの絵本ももはや書店は、特徴がなければ生き残れないともいわれている。
そうした個性派書店の1つに挙げられるのが、前述の「青少年閲読体験大世界」だ。しかもこちらは、当局がテコ入れする“図書の旗艦店”である。

「大世界は“体験式読書”を理念に、実体書店のビジネスモデルを進め、少年少女に全く新しい読書体験とシステム的なサービスを提供します。(中略)さらにチェーン展開を通して、中国最大の子ども向け書店グループを作り、子ども向け体験式読書(推進)のリーダーとなることを志します」(公式サイトより)

北京を皮切りに、中国一の子ども向け書店グループを構築する目標が、高らかに宣言されている。
新手の体験型書店が“読書離れ”“書店離れ”に歯止めをかけられるかどうか? 
「文化強国」の真価が問われているようだ。


◆青少年閲読体験大世界 
住所: 北京市朝陽区建国門外大街丙12号 宝鋼大廈3、4階
電話: (010)5752-6737
HP: http://www.51yuedu.com.cn/
営業時間: 月~日、午前10:00~午後8:00


※ 関連レポート(「北京便り」より)
・ 増える!カフェのある書店 (2005年3月号)
 http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/bj200503.html 
・ 個性派書店を訪ねよう! (2006年4月号)
 http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/bj200604.html 
・ 読書の推進、国がテコ入れ (2007年4月号)
 http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/bj200704.html 
・ [ミニ情報]“十二五”で公共電子閲覧室を建設へ、など (2010年11月号)
 http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/bj201011.html
   

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2011年10月14日~10月20日

     
第2位:『于丹趣品人生』

第3位:『歩歩惊心(新版)』

第4位:『杜拉拉大結局』
                                         第5位:『世界如此険悪,你要内心強大』

第8位:『二号首長2』

第9位:『卑鄙的聖人:曹操2』

第10位:『喬布斯伝:神一様的伝奇』
 

1.『朱鎔基講話実録』(全4巻)
『朱鎔基講話実録』編集チーム編 人民出版社 2011年9月初版


2.『于丹趣品人生』
于丹・著 中信出版社 2011年10月初版


著者は北京師範大学芸術・メディア学院副院長、文学博士、教授。2006年に中国中央テレビ(CCTV)で中国古典の『論語』をわかりやすく講義し、爆発的な人気を博した。
本書は、孔子や陸羽、李白、杜甫ら中国の古代名士たちが楽しんだ茶、酒、琴などの豊かな趣味を見つめ直す。それにより、忙しい現代にゆったりとした味わいのある生活を取り戻そうと、著者は呼びかける。
今年の国慶節(10月1日)の連休には、北京衛星テレビで本書の内容をベースにした「品味人生」(人生を味わう)をテーマに講義。本書も注目を集めている。 


3.『歩歩惊心(新版)』
桐華・著 湖南文芸出版社 2011年9月初版


人気を呼んだ2006年の初版から5年。そこに3万字の続編を加筆して、新版として世に送り出した。中国のタイムトラベル・ラブストーリーの元祖といわれる。
頑固でわがままな都会のビジネスウーマン、張暁がある日突然、清朝康熙年間にタイムスリップして馬爾泰・若曦(マルタイ・ルシー)という人物になる。宮廷の権力争いや恋愛問題に巻き込まれながらも、康熙帝から目をかけられる若曦。男尊女卑の時代だが、皇子たちと思いを寄せ合い「(恋愛は)ただ真心あるのみ」と悟っていく……。
この秋、同名タイトルのドラマが湖南衛星テレビで独占放送され、本書も快調な滑り出し。豪華ケース入りの上下巻全624ページ。美しいポストカードも付いている。 


4.『杜拉拉大結局』(杜拉拉の最終章)
李可・著 湖南文芸出版社 2011年10月初版


2007年の出版後、大ベストセラーとなり、2010年の第3弾までシリーズ全体で500万部を突破。同名タイトルでドラマ化、映画化もされた『杜拉拉昇職記』(杜拉拉のプロモーション、映画の英語タイトルは「Go LA LA Go!」)。
中国のビジネスウーマン必読のオフィス小説といわれている。
本書はその最終章。
大手企業SHにトラバーユし、C&Bマネージャーとなったヒロイン、拉拉(ララ)。慣れない仕事やライバルからのプレッシャーと格闘する中、元の同僚・童家明から新会社を一緒に創業しようともちかけられる。しかしSHでの仕事は軌道に乗り出し、昇進できる希望もあった。そんな折に恋人・王偉との関係は見込みがつかず、心を痛める2人。悲喜こもごもの毎日だったが、それでも拉拉は理想に向かって歩むのだった……。
バリバリと仕事をさばき、恋に悩み、ステップアップのために努力する拉拉の姿が、中国ビジネスウーマンの熱い支持を受けているようだ。 


5.『世界如此険悪,你要内心強大』(世界はこんなに険悪だから、内心を力強く)
石勇・著 印刷工業出版社 2011年7月初版


著者は本名・石求陽。『心理危機』など心理、社会、政治分析の著書がある若手の学者。
恥ずかしがりや、気が小さい、意志薄弱、人との衝突を怖がるなど、内心が弱いと他人のいいようにされてしまうという。
本書では「なにが私たちの心を弱くするか」「いかに自分の内心を強くするか」という内心の分析にはじまり、「コンプレックス型」「占有型」「攻撃型」「うぬぼれ型」「パフォーマンス型」にそれぞれ分類した独自の性格分析法を伝授。
自分の弱さをよく知った上で、心理をコントロールし、なりたい自分になるための自己改革をしようと述べる。 


6.『百年孤独』(百年の孤独)
G.ガルシア=マルケス著(コロンビア) 范曄・訳 南海出版公司 2011年6月初版


7.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社


8.『二号首長2』
黄暁陽・著 重慶出版社 2011年9月初版


2011年5月に発売され、1カ月で10万部を突破したベストセラーの続編。サブタイトルに「役人になるのは、1つの技術的仕事」とある。
中国の江南地方で某メディアに勤めていた唐小舟は、ある日届いた異動命令で、新任の中国共産党省委員会書記・趙徳良の秘書になった。第2部では、省委員会の指導部が変わる大会の年からスタート。末期癌を患った省委副書記の後継者などをめぐり、裏切り、報復、見せしめなど、水面下でさまざまな政争が繰り広げられる……。
「官場(官界)小説」の愛好者、男性読者に向けて「官界のすべてがここに!」とうたっている。 


9.『卑鄙的聖人:曹操2』(卑劣な聖人:曹操2)
王暁磊・著 江蘇文芸出版社 2011年8月初版


中国の公務員向け偉人伝「公務員読史」シリーズの1冊。歴代帝王や将相たちの数奇な運命、伝奇的な生涯を、躍動感ある小説仕立てにして読ませる。偉人たちの深思熟慮と執政に学び、公務員の“修身治国”に役立てようとするもの。
『曹操』シリーズでは、中国後漢末の武将・曹操(魏の武帝)による呂伯奢の家族の殺害、呂布軍との攻防など数々のエピソードを挟みつつ、悪役として知られる曹操の詩人としての一面や、孤独でやさしく、デリケートな心の世界を描く。 


10.『喬布斯伝:神一様的伝奇』(ジョブズ伝:神のような伝奇)
王咏剛、周虹・著 上海財経大学出版社有限公司 2011年7月初版


10月5日死去した米アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏。56歳。
本書は世界的に話題となっている公認伝記本『スティーブ・ジョブズ』ではないが、中国IT産業の雄で、もと米アップルに勤めた李開復氏(現・創新工場の会長兼CEO)が推薦する中国語版の伝記でもあり、評判となっている。
今年6月までの資料をもとに、商用パーソナルコンピューターを発表した青年期から、同社の新サービス「iCloud」に取り組んだ晩年期まで、常に夢を形にしたジョブズ氏の軌跡と人物像に迫る。 


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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