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東京便り―中国図書情報 第46回 .

 アマゾン中国「2017年ベストセラーランキング」が発表
   東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が不動の第1位に!

   
   

中国Amazon 2017年ベストセラー書籍(紙版)その年に、中国で一番売れた本はなに? ベストセラー作家はだれ?
そんな書籍まわりのトレンドを知る手がかりの1つ「2017年ベストセラーランキング」がこのほど、中国の大手オンライン通販「亜馬遜中国」(アマゾン中国)より発表された。
https://www.amazon.cn/

それによると、ベストセラーランキングで紙書籍の第1位、電子書籍の第2位を獲得したのは、近年中国でも圧倒的な人気を誇る東野圭吾の『解憂雑貨店』(原題:ナミヤ雑貨店の奇蹟)。
ベストセラー作家ランキングでも、紙書籍と電子書籍でともに第1位の栄冠に輝いたのはここ数年、同ランキングで不動の1位を誇る東野圭吾であったことが明らかになった。
 
 

   
 

アマゾン中国は2004年から毎年、その年のベストセラーランキングを、また2013年からは電子書籍のベストセラーランキングを合わせて発表している。
なお、ここでいう電子書籍とは、アマゾンが運営する電子書籍サービス「Kindle」(キンドル)を通じて購読された電子書籍に限られる。また売上部数などの詳細データは非公表となっている。

それではまず、アマゾン中国「2017年ベストセラーランキング」における紙書籍と電子書籍のトップ10を見てみよう。

■2017アマゾン中国・紙書籍ベストセラーランキング(トップ10)

『解憂雑貨店』

『我們仨』

『皮特猫』

『白夜行』

『人類簡史』 

『自在独行』

『未来簡史』

『島上書店』
1、『解憂雑貨店』
(原題:ナミヤ雑貨店の奇蹟)
  (日)東野圭吾・著、李盈春・訳、南海出版公司(2014年5月)

2、『我們仨』 (私たち三人)
  楊絳・著、生活・読書・新知三聯書店(2016年6月)
  ――長編小説『洗澡』で知られる作家で外国文学研究者、翻訳家の楊絳(1911~2016)は、現代中国を代表する作家の故・銭鍾書の夫人。最愛の娘と夫をあいついで亡くし、知られざる家族3人の肖像とかけがえのない思い出を本書に綴る。再版を重ねる名著。
楊絳は2016年5月、北京市内で105歳の幕を閉じた。以来本書は改めて注目を集めている。

3、『皮特猫』 (「ねこのピート」6巻シリーズ)
  (米)エリック・リトウィン著、ジェームス・ディーン(イラスト)、彭懿ほか訳、北京聯合出版公司(2014年12月)
  ――ポジティブなネコの魅力満載な絵本。就学前児童向け。楽譜付きなので、読み聞かせをしながら歌える。中国語版タイトルには「子どもの良い性格を養成するための第一の書」とある。

4、『白夜行』
  (日)東野圭吾・著、劉姿君・訳、南海出版公司(2017年7月 第3版)
  ――東野圭吾のミステリー長編。雑誌連載を経て、単行本としては1999年に刊行。日本で舞台化、テレビドラマ化、映画化されたほか、韓国でも映画化され、原作本も売れ行きを伸ばして大ベストセラーになった。
中国では2008年、南海出版公司から中国語(簡体字)初版が刊行され、2017年7月に第3版と順調に版を重ねている。

5、『人類簡史』 (原題: Sapiens: a brief history of humankind)
  ユヴァル・ノア・ハラリ著、林俊宏・訳、中信出版社(2017年2月)
  ――イスラエル人の歴史学者による世界的ベストセラー。現生人類につながるホモ・サピエンスの歴史を俯瞰し、現代世界を鋭く抉る。日本では『サピエンス全史』(上下巻)として、河出書房新社から2016年9月に翻訳出版されている。
『未来簡史』(原題:Homo Deus)の前作。

6、『自在独行』
  賈平凹・著、長江文芸出版社(2016年7月)
  ――長編小説『秦腔』『古炉』『廃都』などで知られる、現代中国を代表する作家の一人、賈平凹(か・へいおう)。作家生活40年における作品群のうち、厳選された散文を収める。

7、『未来簡史』 (原題: Homo Deus:A Brief History of Tomorrow)
  ユヴァル・ノア・ハラリ著、林俊宏・訳、中信出版社(2017年2月)
  ――イスラエル人の歴史学者による世界的ベストセラー『人類簡史』(日本語題:サピエンス全史)の続編。進化した人類「ホモ・デウス」の未来を壮大かつ大胆な構想で予測した一冊。
日本では、河出書房新社から2018年9月に上下巻刊行が予定されている(日本語題未定)。

8、『島上書店』 (日本語題:書店主フィクリーのものがたり)
  (米)ガブリエル・ゼヴィン著、孫仲旭ほか訳、江蘇鳳凰文芸出版社(2015年5月)
  ――島に小さな書店が一つ。孤独な店主フィクリーは、店内に置き去りにされた幼女マヤに出逢う。フィクリーは愛情深くマヤを育て、本好きになったマヤはすくすくと成長し……。人は孤島ではない。本が人と人とをつなげる優しい物語。
日本でも2015年に翻訳版が刊行され、翌年の第13回本屋大賞で「翻訳小説部門」1位に輝いた。

9、『我的第一本専注力訓練書』 (私の初めての集中力トレーニング本)
(米)ウォルト・ディズニー・カンパニー著、童趣出版有限公司・編訳、人民郵電出版社(2012年5月)

10、『追風筝的人』 (カイト・ランナー)
  (米)カーレド・ホッセイニ著、李継宏訳、上海人民出版社(2006年5月)
  ――欧米各国で大ベストセラーとなった、アフガニスタン出身作家の渾身のデビュー作。少年時代に人を裏切り、心に深い傷をもつ「わたし」が、友人からの電話にカブールへと呼び戻される。そこで見たものは、激しい内戦と、想像を絶する飢えと貧困。「わたし」は、少年時代の凧あげのように、信じるものに向かって全力で突き進むことを選ぶのだった――。友情とは、人生とは、魂の救済とは何かを問いかける、重厚なテーマの物語。
日本では、アーティストハウスパブリッシャーズから2006年に『カイト・ランナー』として出版されている。
 
 

■2017年アマゾン中国・電子書籍ベストセラーランキング(トップ10)

『三体全集』

『福爾摩斯探案全集』

『人民的名義』

『巨人的隕落』

『人間失格』

『摆渡人』

『明朝那些事儿』

『白鹿原』
1、『三体全集』
  劉慈欣・著、重慶出版社(2012年1月)
  ――2015年第73回ヒューゴー賞(長編小説部門)を受賞した劉慈欣の人気SF小説『三体』の決定版!

2、『解憂雑貨店』 (原題:ナミヤ雑貨店の奇蹟)
  (日)東野圭吾・著、李盈春・訳、南海出版公司(2014年5月)

3、『福爾摩斯探案全集』 (シャーロック・ホームズ全集)
  (英)アーサー・コナン・ドイル著、俞歩凡・訳、上海社会科学院出版社有限公司(2016年3月)

4、『人民的名義』 (人民の名義)
  周梅森・著、北京十月文芸出版社(2017年3月)
  ――現代中国を舞台に、政府官僚の汚職事件に大胆に切り込んだ政治小説。本書を原作とした同名タイトルのテレビドラマが2017年春に中国で放送され、この10年で最高の視聴率を記録した。著者の周梅森が脚本を担当(監督・李路)。ドラマの大ヒットで、本書もベストセラーの仲間入りを果たした。

5、『巨人的隕落』 (日本語題:巨人たちの落日)
  (英)ケン・フォレット著、于大衛・訳、江蘇鳳凰文芸出版社(2016年5月)
  ――激動の20世紀、ヨーロッパを舞台に描く歴史大河ロマン!日本ではソフトバンク文庫から上下巻で翻訳出版されている。

6、『人間失格』
  (日)太宰治、施小煒・訳、華東理工大学出版社(2017年5月)ほか
  ――太宰治の自伝であり、遺書でもある作品。代表作の一つ。中国では近年、華東理工大学出版社のほか、武漢出版社、湖南文芸出版社、浙江文芸出版社、現代出版社、新世界出版社など各社から書籍・電子書籍版が翻訳出版されている人気書となっている。

7、『摆渡人』 (原題:Ferryman、渡し守)
  (英)クレア・マクフォール、付強・訳、百花洲文芸出版社(2015年6月)
  ――イギリスの女性作家クレア・マクフォールのデビュー作。「生と死と愛」を描き、世界30カ国以上の人々が魂を震わせたという現代版・癒し系小説。

8、『明朝那些事儿』 (明朝それらのこと)
  当年明月・著、北京聯合出版公司(2017年5月)
  ――大手ポータルサイト・新浪ネットのブログで人気に火がつき、書籍化されたのが2006年9月。以来シリーズ化されて、驚異的ベストセラーとなった。「中国最後の漢人王朝(明朝)の栄枯盛衰」をテーマに、皇帝から王侯貴族、一般人まで命をふきこみ、小説仕立てで歴史をひもとく。2017年にはシリーズ全9巻・増補版のKindle電子書籍が発売された。

9、『情人』 (原題:メトレス愛人)
  (日)渡辺淳一・著、祝子平・訳、青島出版社(2015年11月)
  ――女性にとって結婚だけが愛の究極の姿なのか? 自立する女性の自由な愛とは何かを問う問題作。中国語版のコピーには「億万読者を持つベストセラー作家、渡辺淳一が、現代社会における不倫理な恋愛を描き、結婚が愛の終着点かどうか追求する」とある。

10、『白鹿原』
  陳忠実・著、作家出版社(2016年6月)
  ――中国の代表的な文学賞である「茅盾文学賞」の第4回(1997年、89~94年作品)受賞作の再版。清代末期から中華人民共和国建国の約半世紀にわたり、内陸の陝西省関中平原の“仁義村”と呼ばれる白鹿村を舞台に、白氏と鹿氏の両家三代をめぐる恩讐のもつれを描く。これまでに中国で映画化されたほか、何度も舞台化された話題作。
2017年には、初のテレビドラマ版が江蘇衛星テレビ、安徽衛星テレビでそれぞれ放送され、原作本も改めて人気を呼んだ。


以上の通り、紙書籍の堂々の第1位、そして電子書籍の第2位に輝いたのは日本の作家、東野圭吾の感動ミステリー『解憂雑貨店』(ナミヤ雑貨店の奇蹟)だった。この順位は、昨年も小欄で伝えた「アマゾン中国『2017年上半期ランキング』」の結果と変わらず、『解憂雑貨店』の根強い人気がうかがえた。
http://www.toho-shoten.co.jp/beijing/t201709.html

日本で角川書店より2012年に発売されて以来、全世界の発行部数が累計1000万部を突破したという大ベストセラー小説。中国大陸では2014年に簡体字版が登場して以来、毎年のようにアマゾン中国ベストセラーランキングで上位の座をキープしている。
また昨年は日本で山田涼介、西田敏行主演で映画化、10月に公開されたほか、中国でもジャッキー・チェンなど豪華キャストの出演でリメイク映画「解憂雑貨店」が製作され、12月末に大陸で公開された(2018年1月には台湾で公開予定)。こうした話題性も手伝って、中国語版の売れ行きもいっそう弾みをつけたようだ。

このほか、電子書籍ベストセラーランキングに上った『人民的名義』(人民の名義)、『白鹿原』はいずれもテレビドラマ化され、昨年ヒットを飛ばしたことで、原作本(電子版)の人気が再燃。テレビとインターネットという2大メディアの相乗効果が現れた形となった。

日本文学の不朽の名作『人間失格』が、電子書籍ランキングの6位につけたのは意外な感じがしたのだが、これは中国の漫画・アニメファンから広まったものらしい。
太宰治の問題作を原案として、完全コミック化された『人間失格』(古屋兎丸・作)やホラータッチの『人間失格』(伊藤潤二・作)などが台湾の繁体字版から中国に流入。また日本の同名タイトル映画やドラマもファンの間で広まっており、そこから原作・原案本への関心も高まっているようだ。
  

次に、アマゾン中国「2017年ベストセラー作家ランキング」における紙書籍と電子書籍のトップ10も挙げておきたい。

■2017アマゾン中国・紙書籍ベストセラー作家ランキング(トップ10)

1、東野圭吾 (『解憂雑貨店』『白夜行』ほか)
2、ユヴァル・ノア・ハラリ (『人類簡史』『未来簡史』)
3、楊絳 (『我們仨』)
4、ガブリエル・ガルシア=マルケス (『百年の孤独』ほか)
5、蒋勳 (『蒋勳説紅楼夢』『蒋勳説唐詩』など)
6、楊紅櫻 (児童文学『笑猫日記』シリーズ、『淘気包馬小跳』シリーズ)
7、老舎 (『茶館』『駱駝祥子』ほか)
8、賈平凹 (『自在独行:賈平凹的独行世界』ほか)
9、ウィリアム・サマセット・モーム (『月と六ペンス』ほか)
10、汪曽祺 (『受戒』『人間草木』『人間滋味』ほか)
中国Amazon 2017年ベストセラー作家
 

■2017年アマゾン中国・電子書籍ベストセラー作家ランキング(トップ10)

1、東野圭吾 (『解憂雑貨店』『白夜行』ほか)
2、劉慈欣 (『三体全集』ほか)
3、王小波 (『沈黙的大多数』『一只特立独行的猪』ほか)
4、ケン・フォレット (『巨人的隕落』)
5、渡辺淳一 (『情人』ほか)
6、朱斌 (コミック『爆笑校園』シリーズ)
7、ウィリアム・サマセット・モーム (『月と六ペンス』ほか)
8、周梅森 (『人民的名義』)
9、当年明月 (『明朝那些事儿』ほか)
10、ユヴァル・ノア・ハラリ (『人類簡史』『未来簡史』)

北京の王府井書店に並ぶ東野圭吾作品(筆者撮影)ベストセラーランキングと、ベストセラー作家ランキングの選出方法が公表されていないので両者の関連性はわからないが、上記のような結果だった。ここでも東野圭吾の人気ぶりが際立っていることがわかる。
そういえば、筆者(小林)は昨年末、2年ぶりに北京を訪れ、市内の大手書店「王府井書店」と「北京図書大廈」をのぞいてみた。すると王府井書店では、「東野圭吾」作品は以前と変わらず特設棚が設けられていたが、平積みのスペースをいっそう拡大。そのほかの日本文学の翻訳本も急増しており、「外国文学」の棚をいっぱいに埋めていた。北京図書大廈でも同様で、日本文学がより活況を呈していることがうかがえた。

これも「東野圭吾」効果なのか?
いずれにしても、アマゾン中国で日本の文学や作家が大健闘していることは、日本人の1人として素直に喜ばしく思う結果である。

2018年は、中国のベストセラーにどのような変化が起こるのだろう。これからも売れ筋本や話題書、新作などを通して、中国社会のトレンドを読み解いていきたい。


※ アマゾン中国「2017年ベストセラーランキング」(発表データ)
http://goo.gl/HYMTud
http://goo.gl/LjCvNe

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小林さゆり
東京在住のライター、翻訳者。北京に約13年間滞在し、2013年に帰国。
著書に『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)、
『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)などがある。

 

  Blog:「しゃおりんの何でもウオッチ」 http://pekin-media.jugem.jp/
   
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