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微観中国  (39)「共享単車」体験記 「自転車の洪水」復活か?
   
     

 

 中国で最近、スマホアプリを使った自転車シェアリングにより、再び自転車ブームが起きている。かつて中国で自転車といえば、30年ほど前、中国の映像にはしばしば「自転車の洪水」として紹介されたような、人々の通勤、通学、買い物の移動手段だった。「潮の流れのような自転車の群れは、かつて中国のある時代の象徴だった。60~70年代、中国を訪れる外国人は通勤や帰宅時間の自転車の群れに、しばしば圧倒されたものだ」―「亜州週刊」のコラムはこのように書いている。
 筆者は今から30年前の1987年、初めて北京に留学したが、その時は1カ月の短期留学だったので自転車は買わなかった。だが97年に北京に長期留学した際、北京の友人から中古の自転車を100元で譲ってもらった。日本ではそば屋の出前に使われたような実用車、いわゆる「人民チャリ」だったが、今ではまったく変貌してしまった中関村の友人宅から3環路を2時間位かけて留学していた大学まで走った。現在と違って地下鉄の路線が少なかったこともあり、この自転車は買い物などで随分活用した。
 坂の多い東京とは異なり、北京は道が平坦、ゆっくりと走ればたいてい市内のあちこちへ行くことができた。自転車の質は良いとはいえず、時々ネジを締めておかないとペダルなどの部品が走行中に脱落することもあった。

     
     
     


おもな「共亨単車」のシステム(クリックで拡大)

 

 

 だがその後、中国では自動車が急激に普及し、自転車は減少する。「電瓶車」と呼ばれる電動バイクが急増したが、従来の自分の足でこぐ自転車は少なくなった。電動バイクは確かに便利だが、エンジン音もなく、特に夜などはライトも付けないため、無音で近づいてくるのに気付かず、危険を感じることもあった。
 だがこのほど、北京を訪れた際、新たな自転車ブームが起きているのを実感できた。ホテル近くの地下鉄建国門駅前の路上には自転車が何台も並び、人々はさっそうと自転車レーンを走っていく。中にはロードバイクやマウンテンバイクなど本格的なスポーツ自転車もあったが、多くは青や黄色に塗られた「共享単車」(自転車シェアリング)だった。
 自転車シェアリングは東京では電動アシスト自転車のサービスが始まっており、街でも赤い自転車を見かけることが増えた。また台湾の台北市でもYouBike(微笑単車)が普及している。これらのサービスと中国との最大の違いは、「サイクルポート」などと呼ばれる決められた乗車、返却場所がないことだ。つまりサービスエリアならば、私有地などを除けばどこに乗り捨ててもよく、またどこに置いてある自転車もそこから利用できることだ。さらに東京のような電動アシストではなく、変速機もライトも付いていない簡便な自転車であることだ。
 北京に行く前から気になっていたこの自転車に、北京の友人が登録していたため、試乗することができた。
 自転車シェアリングは北京、上海、成都、深センなど大都市で普及しているが、北京では現在、ofo、摩拜(Mobike)、小藍(bluegogo)などが主力ブランドのようだ。街には黄色いofo、オレンジと銀色のMobike、青いbluegogoが氾濫している。報道によれば、北京市では昨年8月のスタート以降、自転車シェアリングは約70万台に達した。システムは会社によりやや異なるが、置いてある自転車のQRコードをスキャンするか、番号を入力すると、解錠できる。黄色い「ofo」は鍵の解錠番号がアプリに表示され、返却時もアプリで連絡する必要があるが、「Mobike」など他社はGPSや電磁ロックを備えており、アプリにより自動的にロックが解除される仕組みという。決済もスマホのアプリを通じて行われるが、料金は1時間あたり0.5元から1元程度だが、登録時に300元程度のデポジットが必要という。

     
   

 さて、実際に乗った感想だが、まさに北京の狭い胡同(路地)を走り回るのにちょうどよい。変速機などはないが、東京と違い坂の少ない北京では不要。広い道では、自転車レーンがあるので、自動車を気にせず走ることができる。混んでいない道では時速20キロくらいは出すことができた。使い終わったらそのまま道路脇に乗り捨てるだけ。ただし台数の少ない場所では、次に使いたい人が乗って行ってしまう可能性がある。
 自転車シェアリング普及の背景は、北京の急速な都市化だ。ここ10年くらいの間に、道路や地下鉄の整備が急速に進んだが、人口や車はそれを上回るペースで増加し、朝夕の渋滞は相当深刻だ。地下鉄も改札での煩わしい安全検査や、乗り換えに時間がかかることもあり、数キロ程度の移動ならば、天気さえ良ければ自転車のほうがはるかに快適だ。今回も市内の移動で自転車シェアリングを利用したが、地下鉄だとホームまでの上り下りや、混んだ電車に乗ることを考えたら、自転車を選ぶメリットは大きい。

     
     
     亜州週刊のコラムも、「自転車シェアリングは多くの人々の生活方式を改変した。その料金の安さと盗難を免れる自由(注:個人所有の自転車だと盗まれる心配がある)は、多くの人々の需要と一致した。外出時の『最後の1マイル』の需要を解決するだけでなく、「最初の1マイル」の交通手段でもあり、外出の必需品、通勤に欠かせない『神器』となった。過去の自転車シェアリングの局面を超越し、モバイル決済とGPSなどの『インターネットプラス(注:ネット技術を使った新たなビジネス)』の実践であり、これまでになかった価値を生み出した」―このように指摘している。
 北京にあふれる黄色い自転車、ofoの創業者は、北京大学を卒業したまだ20代の若者という。台湾の中時電子報によれば、創業者の戴威氏は2009年に北京大学に入学、卒業後青海省で教師を務め、その時に自転車の楽しさを覚えた。再び北京大学の修士課程に入り、友人ら4人と自転車ツアーを企画、その後ofoを創立、中国初の自転車シェアリングというネットビジネスを起業したという。同社の発展性に着目した投資家からの資金を得て急成長、同社の資産価値は20億ドルに達し、アップル社のティム・クックCEOも北京を訪れた際同社を訪れたという。
 「ofoは携帯電話とネットを利用、人々が素早く、便利に自転車を利用できるようにし、さらに乗り捨てができるシステムにより、交通渋滞や通勤ラッシュの苦痛を味わっていた中国の都市住民から愛好されるようになり、同社は爆発的に急成長した」―同紙はこのように書いている。戴威氏は、将来は中国の少なくとも50の都市に展開、さらにロンドンやシンガポールでもスタートしたほか、将来は日本、スペイン、フランス、ドイツなどでも事業展開を考えているという。
     
     

 

 

 いい事ずくめのようにみえる中国の自転車シェアリングだが、問題はブームに乗って急増したことだ。北京発ロイター電(12日)も、地下鉄の出入り口や歩道に青や黄色の自転車があふれ、自転車を回収する業者が「歩行者や車の交通に影響している。本当に危険だ」との声や、「商店の前に雑然と並んだ自転車により顧客の入りにも影響している」との店の経営者の声を紹介している。ロイターは2016年の自転車シェアリングユーザーが約2千万人、これが21年には1億9千800万人との業界予測を伝えている。
 香港のニュースサイト、東網のコラムによると、四川省成都市ではこのほどこれらの自転車を盗んでは分解し、鉄くずとして売っていた無職の男が逮捕された。さらに、自転車を利用する時に必要なQRコードを撮影後、これを破壊し、他人に利用できなくして自分専用にしたり、あるいはブレーキやベルを破壊し、サドルに針をさしたりなどの悪質な行為も起きているという。ネットでは破壊されうず高く積まれた自転車の山などの写真をしばしば目にする。ただ北京の街中ではそのような自転車は見なかった。
 これに対し政府も規制に乗り出し、北京市はこのほど駐輪場所の制限やGPS取り付けの義務化などを検討、特に多くの自転車にGPS 機能がないofoは対応を迫られるという。
 もう一つは外国人には使いづらい点だ。中国で使うスマホの番号や、微信の支払い機能などを持っていないと登録できない。東京の自転車シェアリングは1日パスなどがあり、台湾でも交通系カードと携帯電話番号(プリペイド式でも良い)、あるいはクレジットカードがあれば利用できるそうだが、中国は携帯が実名登録制となり、常駐ではない外国人が使うのにはハードルが高く、今回のように友人に頼むしかない。
 さらには深刻化する大気汚染なども心配だ。健康にも良くないし、スモッグで視界が悪化すれば事故も増えるだろう。ただこれは自転車利用者が増えることで、交通渋滞も減り、環境的にプラスかもしれない。
 「今後の都市の発展が、自動車だけに集中するのではなく、コペンハーゲンやアムステルダムのようになってほしい」―ロイターはofoの経営者の発言を紹介している。どこでも乗り捨て可能というやり方は確かに問題が多いが、適切な規制を導入しながら、中国で自転車シェアリングがますます広がることを期待したい。

     
   

 

 

 

習近平時代のネット社会 「壁」と「微」の中国
習近平時代のネット社会 「壁」と「微」の中国
古畑康雄 著 勉誠出版刊

 

   
 
古畑康雄・ジャーナリスト
   
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