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中国人が年間10万人は訪れるという人気のオーストラリアでは、中国人観光客1人あたりの消費額は2,200ドル。これまで同国でトップであった日本人観光客の平均額の実に3倍ものお金を落としている。
中国人観光客のお金を海外諸国も見逃す手はない。
中国では銀行カードの統一ブランド「銀聯」は9億枚発行されていて、預金の範囲で買物ができる。上海市内ではスーパーやデパート、書店やレストランなどあらゆる所に専用端末機があり、銀聯での決済は日常的な風景なのだ。その銀聯が海外へも普及し始めていて、現在20カ国近くで利用できる。日本でも今年の旧正月から、銀聯に対応するデパートや家電量販店が増えていて、中国人はキャッシュレスで買物ができるようになった。郵便局や三菱UFJ銀行では日本円の引き出しも可能だ。
20数社が旅行書へ参入
海外旅行が身近なものになってきた人々にとって、名所旧跡とショッピングという定番のツアーコースは物足りなさを感じるもの。となれば、個性的な旅をプランニングするために必要なのが渡航先の情報だ。上海サーチナが行なった消費者調査(複数回答)では、情報源のトップは旅行関係の専門サイトとなっていて66.6%。次いで、「ポータルサイト」「旅行専門誌」が30%台で、「テレビ番組」「ネット広告」「新聞・雑誌記事」と続く。残念ながら、ここに書籍は入っていない。
旅行書は実際のところ、どのくらい出版されているのだろうか。
上海最大の書店、上海書城の海外旅行の棚を見ると、かなりの数の出版社が旅行ガイドに参入していた。店頭に出ていた、2冊以上のシリーズ本を出している出版社は、長春出版社、中国地図出版社、湖南地図出版社など22社。
旅行書は現在の時点では、3つに大きく分けられる。
ひとつは、海外の出版社の翻訳もの。写真や図版が豊富で、単なる名所旧跡の紹介だけにとどまらず、気候や交通、食事、文化など詳細な情報が掲載されているのが特徴。
走りは、1998年にスタートした日本のダイヤモンド社『地球の歩き方』の中国語版『走遍全球』シリーズだ。中国旅游出版社が昨年までに31冊を出版し、今年新たに8冊が加わった。統一価格で1冊50元。
そのほか、シンガポールのApa出版の『INSIGHT GUIDE』を翻訳出版した中国水利水電出版社の『異域風情叢書』シリーズ(1冊68元)や、ドイツ・ベルテルスマン社と版権契約を結んだ遼寧教育出版社の『国家地理学会旅行家系列』(1冊50~75元)などがある。
さらに、今年になって世界的にも有名な旅行ガイドの中国進出のニュースが入ってきている。
オーストラリアのロンリープラネット社のガイドブックが三聯書店から『Lonely Planet 旅行指南』シリーズとして、オーストラリア、ドイツ、英国、欧州の4冊が第一弾として出版される。また、フランスのミシュラン社と広西師範大学も提携、『欧州経典游』を刊行する。上海紙『新聞晨報』は、「ダイヤモンド社、ロンリープラネット社、ミシュラン社の三つ巴の戦いになりそうだ」と報じている。
2つめのカテゴリーが、国内独自編集本で、22社のうち17社がこの路線だ。翻訳ものに比べると情報量が少なく、1都市や1国で1冊の編集ではなく、欧州あるいは東南アジアといったふうに大きく地域別にまとめたものが多い。価格は1冊につき、20~30元のものが大半で翻訳ものよりは安い。今後、海外渡航者が増えていけば情報量も蓄積されていくはずだが、中国人による中国人のための情報量の多いガイドブックの登場は、いましばらく待たねばならないだろう。
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