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2011年09月

 スター作家が編集長、
 ムック系文芸誌が盛んに

   
   

刊行が相次ぐ著名作家の編集雑誌中国のベストセラー作家たちが編集長(主編=編集主幹)を務めるムック系の文芸誌がこのところ、盛んに生み出されている。
イケメンのスター作家・郭敬明の『最小説』を皮切りに、若手作家の代表格でオピニオンリーダーでもある韓寒の『独唱団』、人気女性作家・安妮宝貝(アニー・ベイビー)の『大方』、そしてミステリー作家・南派三叔がこのほど創刊した『超好看』など、枚挙にいとまがないほどだ。
 
いずれも大勢のファンを抱えることから、初版がそれぞれ数万~数十万部と売り上げを伸ばしている。だが一方では、毎号のマンネリ化による読者離れか?「安定維持は難しい」という出版人の嘆きも聞こえる。
中国の市場をにぎわす“作家編集長”の文芸誌をひもといてみると……。
(敬称略)

   
 

■60万部印刷の『超好看』創刊号

書店に平積みされる『超好看』創刊号オレンジ色の地に、青いタイトルのポップな表紙がよく目立つ。
8月1日に創刊された文芸月刊誌『超好看』9月号だ(Super Nice、青海人民出版社、北京磨鉄図書有限公司)。
冒険ミステリー小説『盗墓筆記』(墓盗掘ノート)シリーズのヒットで一躍有名になった作家・南派三叔が編集長を務める。
創刊号の目玉は、何といっても南派三叔の代表作である『盗墓筆記』の最終シリーズの連載がスタートしたことだろう。戦国古墓の秘密をめぐる長編アドベンチャーの結末が楽しめるとあって、売れ行きも上々。
雑誌コードを持つ月刊誌として、都市部の大通りにある新聞・雑誌スタンドに置かれたことも奏功し、初版50万部は発売から数日で売り切れ、急きょ10万部が増刷されたという。

大勢のファンの支えも大きい。例えば、中国版ツイッターの1つ「新浪微博(ウェイボー)」にある南派三叔のアカウントには2011年8月下旬現在、100万人超のファン(フォロワー)がついている。
『超好看』の創刊に合わせて作られた公式アカウントにも、すでに1万人余りのファンが登録されており、「一気に読んだ。タイトルの通り、超おもしろい!」「時間を忘れるほどで、今日は会社に遅刻しそうになったよ」といった興味深い読後感が次々と書き込まれている。
一部サクラがいる可能性は否定できないが、それを除いてもネットのインタラクティブ(双方向)な特徴を生かし、ファンたちによる“口コミ販促”が進められていることがうかがえる。

※ 新浪微博 @南派三叔: http://weibo.com/npss
※ 新浪微博 @超好看雑誌: http://weibo.com/chaohaokan
 

■作家編集長は出版界のブームに

『超好看』だけではない。ここ数年、人気作家を編集長とした文芸誌の創刊は相次いでおり、出版界のブームのような状態だ。
さきがけとなったのは、郭敬明が編集長とプロデューサーを兼ねる『最小説』。2006年10月に創刊され、一時は月2回刊となったが、現在は月刊誌として毎月50~70万部の圧倒的な売り上げをほこる。

今年3月にお目見えした安妮宝貝の『大方』は、100万部というケタ外れの初版部数が話題になった。創刊号のウリは、中国でも大人気の作家・村上春樹のロングインタビューだった。
韓寒が編集長の『独唱団』(PARTY)は、2010年7月創刊。
30万部が出版された創刊号は、村上春樹の翻訳で知られる林少華のエッセイや著名な現代アーティスト・艾未未のCTスキャン写真「我脳」など、知的好奇心がそそられる内容で人気を博した。第2号を待ち望む声が高まったが、現時点では出ていない。

ほかに、若手女性作家・張悦然の『鯉』や、笛安の『文芸風賞』などもある(ご参照:下記説明)。
中国の出版市場では今、各種文芸誌が50タイトルほど出ているといわれるが、こうして並べてみただけでも、スター作家が編集長の雑誌は多い。うがった見方をすれば、郭敬明の成功にあやかろうとした、または流行に遅れまいとした、安易な出版プランなのかもしれない。
 

■定期刊行物の継続の難しさ

こうした文芸誌ブームの右にならえの風潮に、疑問を呈する声もある。
中国の一般書籍の初版部数は、通常で数千部から。「1、2万部でも勇気がいることだ」(出版関係者)とよくいわれるが、人気作家が出す雑誌なら初版が数十万部でも稀ではない。
しかし、上海の出版プロデュース会社・万榕書業の路金波総経理は、否定的だ。
「J・K・ローリング、村上春樹といった国外の著名作家は多数いるが、彼らが出した雑誌など見たこともない。多くのファンを抱える中国のベストセラー作家に、ブランド効果があることもわかる。だが(それを利用した雑誌出版は)、業界の作家に対する“過度の消費”だ。誰でもビジネスをやる権利はあるが、作家は創作に専念すべきではないか……」と手厳しい(『法制晩報』8月9日付)。

『最小説』を出版する長江文芸出版社の安波舜・図書センター総編集長は、さらにシビアな現実を語る。
「スター作家が名義の雑誌は、往々にして初版は売れるが、それを維持できるものは少ない。創刊号100万部の『大方』でさえ安定維持の問題があり、先行きは楽観視できないそうだ」(同)
一般書籍に比べ2~3割は安いムック系文芸誌の利益は、販売部数にさらに影響されやすい。韓寒の『独唱団』は創刊から1年余りが過ぎたが、第2号が出ていない。定期刊行物を続けることの難しさだろう。

一方、創刊されたばかりの『超好看』をプロデュースする北京磨鉄図書有限公司は鼻息が荒い。
『超好看』は、南派三叔ら数人のプロ作家の連載以外は、いずれも一般公募の作品を掲載しているが、採用作には1000字1000元(1元は約12円、約1万2000円)という中国の相場の数倍にあたる高い原稿料を確約。
短編、中篇を募集しており、短編が7000字からなので、採用されればそれだけで北京市民の平均月収(約3000元)の2倍を上回る高額な報酬となる。

「高い原稿料により、良質な原稿を集めることができる。しかも多数のファンを抱えるアマチュア作家もすでにいる。その上で、『以老帯新』(ベテランが新人を導く)という良性循環モデルでやっていけば、見込みはある」(同)。北京磨鉄図書有限公司の沈浩波総裁は、強気の見通しを語る。

雑誌の創刊はたやすいとしても、その明確なコンセプトや継続のプランニングはできているのか? 安易な創刊、休刊で打撃を受けるのは作家であり、愛読者である。
“作家編集長”の勢いは今後どうなる? やはり一時のブームで終わるのか? 見極めるにはまだ早いが、数年後にはいずれかの結果が出ることだろう。
   

【作家が編集長の主な雑誌】(創刊順)

人気ライトノベル誌『最小説』とその兄弟誌①『最小説』(ZUI NOVEL)、郭敬明・プロデューサー兼編集長、長江文芸出版社
公式サイト: http://www.zuibook.com/
――中国の新世代「80後」(バーリンホウ、1980年代生まれ)の人気作家、郭敬明がプロデューサー兼編集長のライトノベル月刊誌。
美しいカラー写真やイラストも多く、スタイリッシュなつくり。2006年10月に創刊された中国のムック型文芸誌の草分け的な存在だ。主にティーンエイジャーのファンをつかみ、毎月50~70万部という驚異的な売り上げをほこる。
創刊号から看板連載として注目された郭敬明の長編小説『悲傷逆流成河』は、翌07年に単行本化されて、長らくベストセラーに名を連ねた(日本では今年6月、講談社から『悲しみは逆流して河になる』として翻訳出版された)。
郭敬明は07年から2年連続で中国作家長者番付トップになったが、それもこの『最小説』の成功が大きいと見られている。
最新号の「2011年8月号」では、郭敬明の最新ファンタジー・アドベンチャー『爵跡・風津道』(別冊)をはじめ、人気女性作家・落落による「剩女」(未婚女性)の甘辛ラブストーリー『剩者為王』第2部の連載、先ごろ訪日した落落のフォトエッセイ(別冊)などが目を引く。

※ 郭敬明、安妮宝貝、張悦然、落落、笛安、南派三叔らは、インターネット上での作品公開で人気を得たことから「網絡小説作家」(ネット小説作家)ともいわれる。

②『鯉』、張悦然・主編、上海文芸出版社
――2008年6月創刊の不定期刊行の文芸誌。「80後」の女性作家、張悦然が編集長。
2010年3月号まで江蘇文芸出版社刊、同年10月号から上海文芸出版社刊。主に「80後」の若い読者をターゲットに、「孤独」「嫉妬」「うそ」「曖昧」「偶像(アイドル)」など、毎回テーマを変えて、それにちなんだ書き下ろし小説や短編などを掲載。
これまでに日本のベストセラー作家、青山七恵、角田光代のエッセイや短編小説などが掲載されている。最新号は2011年7月号の『鯉・偶像』。

③『独唱団』(PARTY)、韓寒・主編、書海出版社
――奥付では、創刊が2010年6月となっているが、実際には同年7月に遅れた。
中国の「80後」作家の代表格にしてオピニオンリーダー、ラリーレーサーの韓寒が編集長を務める。
小説、エッセイ、時評、ニュース、インタビュー、詩、写真、漫画など幅広いジャンルの作品を一般公募し、最高クラスで原稿は1000字2000元、写真は1枚5000元という高額原稿料を提示したが、どういうわけかその後、第2号は出ていない。
2010年12月27日、執行編集長の馬一木氏が「微博」上で『独唱団』グループの正式解散を告げたというネット上の情報もある。
馬氏は、読者にお詫びと感謝の意を示した上で、「私たちがまた帰ることを信じている。well be back」と『独唱団』の“休刊”を示唆したという。

④『文芸風賞』、笛安・主編、長江文芸出版社
――郭敬明がエグゼクティブ・プロデューサー(栄誉出品人)を、「80後」の女性作家、笛安が編集長を務める、2010年12月創刊の隔月(偶数月)刊文芸誌。
別冊として、都会派のシックな写真集『閃光』(hansey・主編)がつく。

⑤『大方』、安妮宝貝・主編、北京十月文芸出版社
――人気の若手女性作家・安妮宝貝(アニー・ベイビー)が編集長を務め、大陸や香港、台湾の編集委員とともに創刊したムック型の文芸誌。
 タイトルの「大方」(ダーファン)には、英語名の「O-pen」から「オー!ペン!」(ペンへの賛嘆)、「オープン」(開く、歓迎する)、さらに中国語名の「大方」(博識である、視界が開けている)という3つの意味が込められているという。
2011年3月の創刊号「№1」は、100万部というケタ外れの初版部数が話題に。日本のベテラン編集者・松家仁之氏による村上春樹氏のロングインタビューを一挙掲載し、中国でも大ヒットした長編小説『1Q84』の秘密に迫った。
8月の最新号「№2」では、イギリスの作家、V.S.ナイポールのエッセイ「アフリカの仮面劇」、太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」、『活着』や『兄弟』で知られる中国の作家、余華の短編「サミュエル・フィッシャーに話す物語」、そして安妮宝貝のフォト・エッセイ「インドにて」、竹久夢二のイラストなどを掲載。プロの作家にこだわった国際色豊かな内容となっている。

⑥『超好看』(Super Nice)、南派三叔・主編、青海人民出版社/北京磨鉄図書有限公司
――ミステリー作家・南派三叔が編集長となり、2011年8月に創刊した月刊文芸誌(9月号)。
南派三叔は「『超好看』(超おもしろい)という3つの文字は、小説への最高級の評価だ。(中略)世界には2種類の小説があるだけで、1つはおもしろいもの、もう1つはおもしろくないもの。この雑誌にある小説は、超おもしろいものだ」(巻頭言)と編集長としての自信をみなぎらせる。
創刊号では、看板となる南派三叔の連載のほか、中学(高校)歴史教師で作家の銭莉芳による歴史SF小説「天命」、蕭鼎の長編武侠小説『誅仙』の第二部の連載、一般公募作など、ミステリー、サスペンス、歴史もの、ラブストーリーといった幅広いジャンルの作品を掲載する。
   

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2011年8月12日~8月18日

     
第1位:『春宴』

第3位:『我的不完美』

第4位:『草様年華4 盛開的青春』
                                         第6位:『子不語3』

第8位:『抉択時刻』

第9位:『人間正道』
 

1.『春宴』
安妮宝貝・著 湖南文芸出版社 2011年8月初版


若手の人気女性作家、安妮宝貝の最新長編小説。約30万字という、作家にとっては初の大作。2人のヒロイン、周慶長、沈信得の異なる“愛”の選択を、幻想的、暗示的に描き出す。もともと3月の出版を予定していたが、宗教的色彩の強い内容が問題となり、8月までずれ込んだという。 


2.『百年孤独』(百年の孤独)
G.ガルシア=マルケス著(コロンビア) 范曄・訳 南海出版公司 2011年6月初版


3.『我的不完美』
劉若英・著 上海文芸出版社 2011年8月初版


台湾の人気歌手で女優の劉若英(レネ・リウ)、5年ぶりの著作。
さまざまな“愛”のかたちや日々の思いを、14本のエッセイ、3本の小説、52編の詩にして、のびやかに綴る。
「自分に誠実に向き合うのは、時として難しい」「(過去のロマンスやプライバシーの公開はないけれど)この本を開けば、私の躍動するハートを知ることができるでしょう」(まえがき)とレネ・リウは、屈託なく打ち明ける。 


4.『草様年華4 盛開的青春』
孫睿・著 長江文芸出版社 2011年8月初版


『草様年華』はもともとネット配信で人気を博し、2008年から09年にかけて「草様青春三部曲」として単行本化。その3巻本で合わせて100万部のベストセラーとなり、「青春文学の代表作」といわれている。
第4巻となる本書は、『草様年華』の番外終結編。大学1年生になった主人公・鄒飛の青春の迷いや焦り、初恋のときめきが、ルームメートやクラスメートなど魅力的な登場人物たちとともに描かれる。
サボタージュやゲーム狂、サッカーマニアなど、小説で表された自由奔放なキャンパスライフは、現代っ子たちのリアルな生活の一部を映し出している、といわれる。 


5.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社


6.『子不語3』
夏達・編絵 新世紀出版社 2010年7月初版


2009~2010年、『ウルトラジャンプ』(集英社)誌上で好評連載されたファンタジー漫画『誰も知らない ~子不語~』のオリジナル版第3巻。
都会から田舎町へと越した少女・莫語(モウ・ユウ)は、精霊や仙人たちと交流できる不思議な能力を持っていた……。幻想的なペンタッチが、その独特な中国ファンタジーを楽しませてくれる。 


7.『卑鄙的聖人:曹操』(卑劣な聖人:曹操)
王暁磊・著 江蘇文芸出版社 2011年6月初


8.『抉択時刻』(原題『Decision Points』、決断のとき)
ジョージ・W・ブッシュ著(米) 東西網・訳 中信出版社 2011年8月初版


「9.11」世界同時多発テロ、イラク戦争、金融危機といったアメリカ激動の時代に、時の大統領はどのように重大な決断を下したのか……。率直な内面の吐露がここに初めて明かされる。
日本では『決断のとき』(上下巻)として今年4月、日本経済新聞出版社から翻訳出版されている。 


9.『人間正道』
韓毓海ほか著 中国人民大学出版社 2011年7月初版


北京、香港、上海の学者による中国共産党論。
その歴史や伝統の解説とともに、現在8000万人という巨大党員をほこる中国共産党の教育・動員・組織能力や、政策・戦略の決定能力などについて解き明かす。
「世界的視野で中国の道をよく見つめ、中国共産党の勝利の道を研究し、中国の体制・文化の自覚と自信を再建する」と本書にある。 


10.『笑猫日記:小白的選択』(笑う猫の日記:シャオバイの選択)
楊紅桜・著 明天出版社 2011年6月初


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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