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2007年3月  日本書ブームがやってきた!

     
     
bj200703_03 日中国交正常化35周年を記念した「日中文化・スポーツ交流年」のことし、両国ではさまざまな交流事業が計画されている。温家宝首相の訪日も4月中旬に近づいており、中国国内のメディアでも、にわかに日本絡みの報道が増えてきたようだ。
こうした"友好ムード"の好機をつかもうと、出版界にも日本書ブームが押しよせている。

日本や海外でベストセラーとなった『佐賀のがばいばあちゃん』、人気俳優・高倉健さんの著書『南極のペンギン』、話題ドラマの原作本の『野ブタ。をプロデュース』など、翻訳のジャンルは広がり、作品数も急増している。
いくつかを紹介すると――。
 
     
■難しい平凡さ、シンプルに描く
『佐賀のがばいばあちゃん』(徳間書店、2004年)は、漫才師の島田洋七氏が、少年時代に預けられた佐賀の「がばい(すごい)ばあちゃん」とのエピソードをつづったもの。日本でもベストセラーとなり、06年には映画化された。
その後、同書は翻訳されて、香港・台湾の「06年度華語(中国語)図書ランキング」で堂々の1位を獲得。大陸ではことし3月に、南海出版公司(海口市)から、簡体字版の『佐賀的超級阿嬷』が出版された。
戦後の厳しい時代に、子ども7人を育てたばあちゃんは、貧しくとも底抜けに明るかった――。
「この世の中、拾うものはあっても、捨てる物はない」「今のうちに貧乏しておけ。金持ちになったら、おいしいものを食べたり、旅行に行ったりと、忙しい」。ばあちゃんの言葉には、貧しさをはねのけて生きる、力強さと明るさがあった。
中国メディアは「作者はもっともシンプルな文字でばあちゃんを描き、それでいて、もっとも表現するのが難しい平凡さを描いた」と評している。本書は、シリーズ第2弾となる『超級阿嬷:笑着活下去』(『がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい!』)との合訂版。
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■外見にかくされた、心の世界
これも人気のバロメーターだろうか。北京の書店で品薄状態がつづいているのが、高倉健さんの『南極のペンギン』(集英社、01年)だ。北京の新星出版社から『南極的企鵝』としてことし2月に出版されたが、3月現在、早くも手に入りにくくなっている。
健さんといえば、中国にも幅広い層のファンがいる。大ヒットした日本映画『君よ 憤怒の河を渉れ』や、張芸謀監督の映画『単騎、千里を走る。』などで知られるからだ。中国でイチバン有名な日本人俳優といっても、いいすぎではないだろう。
本書は、そんな健さんの「映画人生、始まって以来のモノローグ」(帯)。地元紙での書評の効果もあってか、注目を集めている。
「勇敢な男の外見にかくされた、豊かな心の世界が広がる」(『新京報』)――。唐仁原教久(とうじんばら・のりひさ)氏が描くほのぼのとしたイラストとも相まって、健さんにより親しみをおぼえる本として、話題を呼んでいるようだ。
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■ジャンルも作品も拡大
このほか、さいきん翻訳された日本書だけでも、話題ドラマの原作『野ブタ。をプロデュース』、川上弘美著の恋愛小説『センセイの鞄』、05年の「本屋大賞」を受賞した恩田陸著の『夜のピクニック』など、ジャンルも作品数も、翻訳を手がける出版社も拡大している。
各店に出まわっている、さいきんの翻訳本をまとめてみると――。

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『佐賀のがばいばあちゃん』
 島田洋七著
 徳間書店(04年)
    『佐賀的超級阿嬷』
 南海出版公司 07年3月
     
『南極のペンギン』
 高倉健著
 集英社(01年)
    『南極的企鵝』
 新星出版社 07年2月
     
『夜のピクニック』
 恩田陸著
 新潮社(04年)
    『夜晩的遠足』
 人民文学出版社 07年3月
     
『ドラえもんDoraemon
 Gadget cat from the future』
 藤子・F・不二雄著
 小学館(02年)……英語学習シリーズ
    『哆啦A夢―英漢双語精華本』
 二十一世紀出版社 07年3月第2刷
     
『もしも私が、そこにいるならば』
 片山恭一著
 小学館(03年)
    『倘如我在彼岸』
 青島出版社 07年1月
     
『哀しい予感』
 吉本ばなな著
 角川書店(88年)
    『哀愁的預感』
 上海訳文出版社 07年1月
     
『落下する夕方』
 江國香織著
 角川書店(96年)
    『沈落的黄昏』
 北京出版社出版集団など 06年12月
     
『命』
 柳美里著
 小学館(00年)
    『命』
 南海出版公司 06年12月
     
『センセイの鞄』
 川上弘美著
 文藝春秋(04年・文庫)
    『老師的提包』
 南海出版公司 06年11月
     
『野ブタ。をプロデュース』
 白岩玄著
 河出書房新社(04年)
    『野猪大改造』
 人民文学出版社 06年10月
     
『魔界転生』
 山田風太郎著
 講談社(99年・文庫)
    『魔界転生』
 北岳文芸出版社 06年10月
     
『項羽と劉邦』
 司馬遼太郎著 新潮社(80年)
    『項羽与劉邦』
 南海出版公司 06年9月
    ……など。
     
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これまで、日本の文学といえば、村上春樹氏、渡辺淳一氏などで占められたのだが、日本の人気ノベルズが次々と翻訳されている感をうける。翻訳を手がける出版社も大都市の北京、上海だけでなく、青島出版社(青島市)、南海出版公司(海口市)、北岳文芸出版社(太原市)などと広がっている。

3月下旬から、ほぼ毎日放送されている中国中央テレビ(CCTV)の特番「岩松看日本」(イエンソンが見る日本)では、渡辺淳一氏、村上龍氏へのインタビューが紹介された。日本を知るさいには「文学、本、作家」といった切り口も、なくてはならないものなのだろう。
中国のオリジナル書のなかにも、織田信長、徳川家康、武田信玄の人物像にせまる『日本戦国名将風雲録』(古人・著、中国工人出版社、07年2月)というマニアックな日本史シリーズが出てきている。アニメやゲームの影響からだが、日本への関心は確実に広がっているようだ。
日中の相互理解をうながす「本」の交流。これからも、どんな翻訳本が登場するか、楽しみにしたい。

 
 
   
     
     
bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計) 2007年3月15日~3月22日

     
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1.『于丹《論語》心得』
 于丹著 中華書局 2006年11月第2刷


2.『于丹《荘子》心得』
 于丹著 中国民主法制出版社 2007年3月第2刷

地元紙によると、発売初日のサイン会で約1万5000冊、以来13日間で100万冊を売り上げたという"伝説"の書だ。
筆者は、中国古代文学が専門の北京師範大学教授。CCTVの歴史講座「百家講壇」の「《荘子》心得」をまとめたものだが、ここでもまた、中国メディアの影響力の大きさを見せつけた。
『荘子』は、荘子の著作とされる道家の思想書。本書では"神人"と呼ばれる荘子の人物像から、無為自然の思想まで、壮大なスケールの世界をコンパクトに紹介する。


3.『為什么幸運的人総幸運 倒霉的人老倒霉』
 スペンサー・ジョンソン著(米)/周晶訳 南海出版公司 2007年1月初版
世界的ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』で知られる著者の究極の"幸運選択法"。「誤った決定をやめる」「心の声に耳を傾ける」など、YESかNOかの決断を下すための6つの秘訣をときあかす。
日本語版は、『1分間意思決定―決断力がつく6つの秘訣』として、ダイヤモンド社から出版されている。


4.『別説不可能』(不可能と言うな)
 梁凱恩口述/呉錦珠著 二十一世紀出版社 2007年1月初版


5.『季羨林談人生』(季羨林が語る人生)
 季羨林著 当代中国出版社


6.『別笑! 我是英文単詞書』(笑うな!僕は英単語書だ)
 文徳著(韓) 中国档案出版社 2007年2月初版
10万人の学生に英語を教えたという、韓国のカリスマ教師・文徳先生が、外国人とのコミュニケーションに必要な英単語1000をまとめた。オールカラーで、かわいらしいイラストも満載。絵本をひもとくように、楽しく英語が学べそうだ。


7.『墨跡(曽子墨自述)』
 曽子墨著 長江文芸出版社 2007年2月初版


8.『中国新股民必読全書』(中国の新投資家の必読全書)
 陳火金主編 中国紡織出版社 2007年1月第3刷
初版は1997年、本書は改訂7版になるという。どうやって中国株を買うか、株式投資の分析、重大なリスクを避けるには――など、初心者にもわかりやすく投資戦略をレクチャーする。
巻末に、「中国証券法」「上海・深セン証券交易所交易規則」などの重要文献も付記されている。


9.『所以』(だから)
 池莉著 人民文学出版社 2007年2月初版


bj200703_0610.『食全食美』
 倪小康主編 華芸出版社 2007年3月初版
北京テレビ(BTV)のクッキング番組「食全食美」で紹介されたレシピをまとめたもの。ジャージャン麺、酢豚から、ホタテ貝の蒸しもの、スズキの甘酢あんかけまで、メニューもいろいろ。美しいカラー写真が、食欲をそそる。番組のDVDも付いているので、料理の腕も上がりそうだ!?
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北京五輪まで、3月27日であと500日となりました。天安門広場わきの電光掲示板にも「500」の文字が現れて、五輪ムードを盛り上げました。

競技場や地下鉄、空港鉄道の建設も急ピッチですすめられています。繁華街の王府井や前門あたりのお色直しもはじまっています。

あと1年と4カ月あまり。2008年8月8日の開会式に、北京がどんなステージを見せてくれるか、今から楽しみにしています。

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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