1.『外交十記』(外交十話)
銭其茵 著 世界知識出版社 2003年10月初版
中国の外交部長(外相)をへて、今年3月まで副総理を務めた銭其茵氏(75歳)の話題の回想録だ。「中ソ関係正常化」、「ソウルへ向かう」、昭和天皇崩御のさいの「東京の"葬礼外交"」など、外交にまつわる10のエピソードを披露する。
関係者の間で関心を集めているのが、92年の天皇訪中にかかわる秘話である。日本側は「日中国交正常化20周年」に沸いていたが、中国側は89年に天安門事件が起こり、西側の厳しい制裁を受けていたころだった。そうした中での天皇訪中は「西側の制裁を打破するための戦略だった」というのである。歴史を刻んだ天皇訪中も、いわば中国外交の「利」をかなえるカードだった!!
いま、近年の外交戦略を公開することの意味は?それは是か、非か? 本書の出版は物議をかもしているが、外国人としては、中国外交の真実を知るためにも精読しておきたいところである。
2.『血酬定律:中国歴史中的生存游戯』(血の報酬法則:中国の歴史における生存遊戯)
呉思 著 中国工人出版社 2003年8月初版
作者によれば、「血酬定律」とは「血を流して得た報酬」のこと。清代末期から中華民国の時代において、匪賊には懸賞金がかけられ、暴力組織にはさまざまな内部構造があった――など、うずもれた中国史の断片を拾い集めている。
前作『潜規則―中国歴史中的真実游戯』(潜んだ規則―中国歴史上の真実の遊戯)では封建時代における役人の悪行をあばいたが、今作では官・民・賊などそれぞれの階級にあった、知られざる"血の定律"を白日のもとにさらしている。
3.『兄弟連』(原題『Band of Brothers』、バンド・オブ・ブラザース)
スティーヴン・アンブローズ著(米) 王喜六など訳 訳林出版社 2003年9月初版
第二次大戦における、ノルマンディ上陸作戦からドイツ降伏までの欧州戦線を戦いぬいたアメリカ陸軍・第101空挺師団第506歩兵連隊E中隊の体験を描く。生存者への取材や兵士の手記をもとに、生身の人間の視点から戦争の実像にせまったノンフィクションだ。
スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスが製作総指揮をつとめ、話題となったテレビドラマシリーズ(HBO製作)の原作でもある。日本では、2002年に並木書房から『バンド・オブ・ブラザース―男たちの深い絆』として翻訳出版されている。
4.『高效能人士的七个習慣』(能率の高い人の7つの習慣)
スティーヴン・R.コヴィー著(米) 中国青年出版社
世界で1億冊を売り上げたという超級ベストセラー。日本では『7つの習慣―成功には原則があった!』(キングベアー出版)というタイトルで翻訳出版されている。「積極的に」「相互依存」「ウィン・ウィンの発想」など、"真の成功"と"すばらしい人生"を手にするための7つの習慣を紹介する。
5.『大衛・貝克漢姆:我的立場』(デビッド・ベッカム:ボクの立場)
デビッド・ベッカム著(英) 王宝泉など訳 中国城市出版社 2003年11月初版
いま、世界でもっとも注目されるサッカー選手といえばこの人、デビッド・ベッカムだろう。中国でも人気は絶大で、この夏アジアツアーで北京を訪れたときには、いたるところで大勢のファンに取り囲まれていた。続いて訪れた日本でも4日で10億円を稼ぐ大歓迎を受けたそうだが、人気者というのは、国境を超えて人気者なんだなあ~~なんてことをぼんやりと考えたものである。
で、この本はそんな"ベッカム様"の自叙伝である。イングランド代表選手として、家族思いのよきパパとして、世界のファッション・リーダーとして、多彩な顔をもつベッカムが、その栄光と挫折のあゆみを赤裸々に語る。
日本でも『D・ベッカム自叙伝 ベッカム:マイ・サイド』(扶桑社)が10月末に刊行されている。
6.『夢里花落知多少』(NEVER-FLOWERS IN NEVER-DREAM)
郭敬明 著 春風文芸出版社 2003年11月初版
上海大学影視芸術技術学院に在籍する学生作家、郭敬明の最新作だ。第一作の冒険小説『幻城』は、今年10月末までに55万部を突破。その勢いは衰えを知らず、最新作もすでに30万部が売り出されているという(中国版人民ネットから)。大学卒業を間近にひかえた主人公の愛と友情のうつり変わり、成長する過程の快楽と悲しみを描き、若い世代の絶大な支持を受けている。
7.『哈利・波特与鳳凰社』(邦題予定『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』)
J.K.ローリング著(英) 馬愛農など訳 人民文学出版社 2003年9月初版
魔法つかいの少年、ハリー・ポッターの活躍を描くシリーズ第5弾。日本に先駆けての翻訳出版である。
15歳になった魔法つかいハリーは、悩み多き思春期をむかえている。信じていた大人たちのうらぎり、善悪だけでは測れない世の中のしくみ……。苦しみもがきながら、大人への階段をのぼっていく等身大のハリーが描かれる。
中国では、9月に初版本80万部がいっせいに売り出されたが、それも"ハリポタ人気"を裏付けるものだろう。
8.『3000美金,我周游了世界』(3000ドルで、ボクは世界を周遊した)
朱兆瑞 著 蒜頭大学出版社 2003年9月初版
1999年イギリスに留学後、2年でMBA(経営学修士)学位を取得、2002年には、わずか3000ドル(約30万円)で世界28カ国・地域を単身旅行した中国青年の体験記である。「旅行とは一種の生活方式であり、投資であり、苦行である」と筆者。貧乏旅行に明け暮れながら、知恵と勇気と大いなる自信を身につけていく。「人生において、克服できない困難はない」という筆者のメッセージは、体験にもとづいた言葉であるだけに、力強い。
9.『我是天才優等生』(ボクは天才優等生)
趙昇衍 著(韓) 韓永傑 訳 中国社会科学出版社 2003年9月初版
1981年ソウルに生まれ、中学2年で両親に連れられアメリカへ移住。現在、在籍しているニューヨーク大学商学院では「栄誉学生」の称号を授与され、英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語に精通しているというアジアがほこる天才、趙昇衍くんの「超学習法」だ。
「学習は態度の問題ではなく、効率の問題だ」「20分ごとに科目を換えて勉強する」「映画のように映像化して覚えよう」「参考書とノートは投げ捨てて」など、思わず「へぇ~」のユニークな学習法が満載。中国では、教育熱心な親世代を中心に、売り上げを伸ばしているようだ。
10.『水煮三国』(三国志の水煮)
成君憶 著 中信出版社 2003年7月初版
「水煮」とは、たっぷりのトウガラシと油を使った四川風煮込みのこと。ピリカラ風味の「白身魚の水煮」などは、北京でも近ごろ人気のメニューである。
そんな「水煮」と「三国志」の名を冠した本書は、「『三国演義』をベースにした麻辣(ピリカラ)風味の管理学」であるという。アジア太平洋人力資源研究協会(APHRA)の副秘書長で『三国演義』ファンの筆者が、劉備や曹操、諸葛亮などおなじみの登場人物をまじえて、経営管理をわかりやすく説く。
「劉備の野菜市場理論」「曹操の人材論」「袁紹の管理学手記」など、それぞれの異なる性格や手法から導きだされるユーモラスな管理学には、ビジネスマンでなくても引き込まれそうだ。
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