「可能吧」が行った調査によれば、回答者5300人は次のように答えている。(質問項目の一部を抜粋)
(1)男女比:
男性が92%と圧倒的で、女性はわずか8%にすぎない。
(2)学歴:
最高学歴は大学(学部、高等専門学校)73%、修士11%、高校9%など、大多数が高等教育を受けていることが分かる。
(3)年齢:
19-28歳が77%を占めているが、15歳以下、40歳以上の年齢層も利用者が多い。
(4)職業:
学生が49.3%と半数を占め、ハード・ソフトが14.3%、ネット関係が5.6%とIT関係で約20%、金融関係も3.5%などと続く。
(5)地区:
広東省、北京市、上海市、江蘇省、山東省、浙江省、湖北省、四川省と、経済が発展しネット普及率も高い沿海部に集中。
(6)翻牆の方法:
複数回答によれば、5%が会社のVPN(後述)を、16%が自宅からもVPNを使っている。さらに24%がSSH、37%がプロキシサーバーを使用し、もっとも多いのが「自由門」、「無界」などの翻牆専用ソフトで71%が使っている。
VPNとはコンピューター関係の専門家はご存知とは思うが、インターネット回線上に暗号化された仮想の専用線を設置する仕組みであり、企業などで国内と海外のオフィスをつなぐのに使用されている。個人にも有料または無料で提供されており、中国のネットユーザーはVPNを用いることで、海外との情報のやり取りを暗号化し、ネット規制を回避できるのだ。SSH、プロキシサーバーについては説明を省略するが、同様に以前から用いられた方法だ。
自由門や無界は中国政府が布教を禁止した宗教団体、法輪功系の組織が開発したソフトで、幅広く使われている。
(7)翻牆の年数:
27%が1年未満、1-3年が52%、うち2年が大多数を占めている。可能吧は、中国政府により封鎖されたサイトがますます増えていることから、今後1年未満の比率が増えるだろうとしている。
(8)なぜ翻牆するのか:
80%(複数回答)の人がグーグルなどインターネットの基本的サービスを利用するためなどと答えている。また75%はツイッターなどの交流サイト、72%は海外メディアのニュースを見るため、60%はユーチューブなどの娯楽のためで「国内のインターネットサービスは遅れているが、優秀な海外のサイトは封鎖されている」と答えている。
(9)GFWへの態度:
48%が「インターネットの検閲は明確な法律があるべきで、ブラックボックス化は良くない」という意見だった。また「GFWを廃止すべき」と答えたのが38%、「検閲は必要だが、現在のGFWは厳しすぎる」が8%、「現在のGFWに満足している」は4%にすぎなかった。可能吧の運営者自身も「検閲は必要だが、大衆のための明確な基準があるべきで、指導者の喜怒哀楽に振り回されるべきではない」との意見を述べている。
(10)優れた意見:
回答者から以下のような意見が寄せられたという。
「常に国外の専門学術資料を検索する必要があり、長年翻牆をやってきた。最初は敏感な政治的サイトがブロックされたが、2003年頃からまったくひどい状況になり、多くの国外の学術サイトはみな見られなくなり、GFWを憎悪するようになった。最初はGFWに対する批判だったが、それが体制そのものに対する批判となり、ここ数年は政治的な傾向を持つようになった」
「GFWの存在は、政府がネットに対して完全なコントロールを失っており、つまり有効な方法で中国のネットを規制できなくなっていることを意味している。やみくもに国内外の情報を封鎖すれば、中国のハイエンドの人材が政府を嫌悪するようになり、中国の発展に不利だ」
「インターネットは他のメディアと同様、自由放任にはできない。各国ともそうである。だが中国のようであってはならない。ネットへの統制は極点に達しており、中国のネットの発展に影響を与えている」
「米国の大学をまもなく卒業するが、ここ2年ほど帰国した時の体験は非常に強烈だ。国内のネット使用の不自由さが、私が出来る限り米国に残って仕事を探そうと考えるようになった重要な原因だ」
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