■ 「作家を時代のアイドルに」
こうして、1年間を代表する作家や作品がざっくりと見渡せる作家富豪ランキングだが、その是非については引き続き論争が巻き起こっている。
今年59位になった作家の蘇童は、2006年第1回のランキングで第4位と上位につけたが「実数より1ケタ多くて、印税90万元のところ900万元と計算されていたんだよ」とそのアバウトな順位付けに憤慨している。
その上で「ランキングは話題作りのためだけで、実際の意義は何もない。(少なくとも自分の場合と同様)作家本人の裏づけもないから、事実証明も難しいだろう。富豪ランキングは、賢明な読者の作品選びにも、作家の創作にも何ら影響しないと信じている」(江蘇省南京市の都市報「揚子晩報」)と声高に反論している。
また、評論家の白燁は「印税収入で順位付けしたこれは『ベストセラー作家ランキング』だといえる。しかもこのランキングはマーケットを基準にしていて、純文学(の優劣)とはあまり関係がない」(河北省石家荘市の都市報「燕趙晩報」)と異論を唱える。
こうした批判に対し、創始者の呉氏は「ランキングの初志は、全国民の読書時代の到来と、文化産業の発展を促進すること。作家たちを(貧しい文人のイメージから)時代のアイドルにしたかったんだ」(大河網)
「書籍の定価から計算すれば、ランクインした60人の作家だけで年間30億元余りの富を生み出していることになる。多くの読者の精神的ライフを豊かにするとともに、社会に対しても多大な就業チャンスを作り出しているんだ」(華西都市報)などと反駁している。
いずれにしても、今年第8回を迎えた作家富豪ランキングは「社会のコンセンサスを得つつある」(大河網)という恒例のイベントになっている。
一方、このランキングの影響を受けたのか? 中国では近年、図書ランキングが百花繚乱の様相だ。
年末になると通販サイト・中国アマゾンが「図書ランキング」(金羊網)を、また国営通信社・新華社の電子版「新華網」などが「中国で影響力のあった図書」のコンクールを、華人向けポータルサイトの鳳凰網が「鳳凰読書コンクール」をそれぞれ開催していて多種多様だ。
結果は来年の発表となるものもあるが、中国のホットな図書事情を知るのであれば「作家富豪ランキング」だけでなく、各種ランキングの結果を比べてみるのも良いだろう。
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