1.『姥姥語録』(おばあさんの語録)
倪萍・著 中華書局 2011年1月初版
中国中央テレビ(CCTV)の人気キャスター・倪萍が、母方の祖母が生前に教えてくれたという「人生の知恵」をまとめた。
山東人の祖母は2008年、99歳で他界したが、その言葉は善良さにあふれたシンプルな処世訓だった。
「国と家庭は同じ。まず人に良くすれば、すべてがうまくいく」
「愛は銀行。お金を使うことは心配ないが、貯金がないのは心配だ」
「自分が倒れなければ何とかなるが、自分が倒れれば誰も助け起こせない」
など、その堅実な生き方と生涯の価値観が本書には凝縮されている。倪萍自身が描いたという素朴な挿絵も楽しめ、忙しい現代人がゆったりとした充足感にひたれる語録集だ。
2.『臨界・爵跡Ⅱ』
郭敬明・著 長江文芸出版社 2011年1月初版
「80後」(1980年代生まれ)の人気作家、郭敬明の長編ファンタジー・アドベンチャー『臨界・爵跡』の第2弾。
郭敬明の幻想小説はベストセラー『幻城』から10年ぶり、前作の『臨界・爵跡Ⅰ』の出版からは4カ月での出版となり、早くも注目を集めている。
伝説の「奥汀(オーティン)大陸」を分ける東西南北4国で、神秘的な妖術「魂術」を使って繰り広げられる激しい攻防。魂術を学んだ純朴な少年、麒零(チーリン)の活躍を軸に、「活字のムービー」といわれる気宇壮大なストーリーが展開される。
3.『蔡康永的説話之道』(蔡康永の話の道)
蔡康永・著 瀋陽出版社 2010年11月初版
4.『李可楽抗拆記』(李可楽の抗拆記)
李承鵬・著 甘粛人民美術出版社 2011年1月初版
中国初の「立ち退き問題」をテーマにした現代小説。
マイホームが買えないために、恋人との別れも秒読み段階の主人公・李可楽は、ある日偶然、丁香(ライラック)街の立ち退き計画を耳にする。
「釘子戸」(立ち退き拒否世帯)になって「漁夫の利」を得ようと考えた李可楽は、仲間たちと資金を出し合い、立ち退きをひかえた丁香街の「油条(中国風揚げパン)屋」を買い取るのだった。
しかしそこに、暴力的な業者との衝突や丁香街の人々の運命が複雑にからみあい……。
現実を知るうちに強い正義感を抱きはじめた李可楽は、丁香街の人々と“釘子精神”を持って、業者と対決していくのだった。
涙と笑いの社会派文学の登場だ。
5.『貨幣戦争3 金融高辺疆』
宋鴻兵・著 中華工商聯合出版社 2011年1月初版
2007年の『貨幣戦争』(中信出版社)、09年の『貨幣戦争2 金権天下』(中華工商連合出版社)に続く、シリーズの第3弾。
著者は、米ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)と、米フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)のハイレベル・コンサルタントなどを歴任し、現在は国際金融学者として知られている。
前2冊の『貨幣戦争』では、アメリカと欧州の金融発展史をそれぞれ解読したが、本書ではアヘン戦争を起点とする中国の金融発展史を探る。
「なぜアヘン戦争が中国で発生したのか?」「なぜ日本の明治維新は成功し、中国の洋務運動は失敗したか?」「なぜ国民党の法幣改革が日本を刺激し、日本の侵略戦争を加速させたか?」「なぜ国民党の法幣が最終的に破綻し、共産党の人民幣が生まれたのか?」など、「金融」という新しい角度から見た中国近現代史を解説する。
6.『1Q84 BOOK3』
村上春樹・著(日)、施小煒・訳 南海出版公司 2011年1月初版
7.『侯衛東官場筆記5』(侯衛東の官界メモ5)
小橋老樹・著 鳳凰出版社 2011年2月初版表記(1月発売)
村から鎮(町)、県、市、そして省の政府へ。主人公の公務員・侯衛東の10年にわたる栄転ドラマを描くとともに、ベールに覆われた官界の実情と秘密に迫る。
8.『幸福了嗎?』(幸せですか?)
白岩松・著 長江文芸出版社 2010年9月初版
9.『我的抗戦』(我が抗戦)
『我的抗戦』番組班・編 中国友誼出版公司 2010年11月初版
10.『開明国語課本』(蔵書版、全8冊)
葉聖陶・編 開明出版社 2011年1月初版
1932年に上海開明出版社が出版した、初等小学生用の国語テキスト(全8冊)の復刻版。
子どもたちの読解・表現能力を高めるために編まれたテキストで、内容は子どもたちの身の回りの出来事から社会生活までと幅広い。
多様な文体、自然な語句と語調で、子どもたちが楽しみながら学習をすることができる。さらに数々の童話や寓話、故事をもとに編集された本文は、子どもたちの道徳教育にもなると高い評価を受けてきた。
本書は32年の初版刊行後、これまでに40刷余りを重ねているという。
一人っ子のために教育熱心な親たちが、古典名作テキストに飛びついているようだ。
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