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2011年02月

 北京方言を救え!
 『新北京方言辞典』が出版

   
   

『新編 北京方言詞典』北京っ子の暮らしに根づいた独特な方言をまとめた『新編 北京方言詞典(辞典)』(商務印書館)がこのほど北京で刊行され、ちょっとした話題となっている。
著者は、元北京語言大学教授の董樹人氏。
北京の方言を体系的にまとめた辞典としては約20年ぶりの出版となり、董氏は「北京方言の消失は思いのほか速い。これを今、救わなければと思った」と話している。

   
 

■20年ぶりの集大成

『新編 北京方言詞典』は、総文字数およそ46万字、全600ページ余り。
「ai」「ban」などの「単字」(1字、ここでは1音節)の親見出しが860語余り、複数の文字で用語を作る「多字」の小見出しが9340語余り。
北京の地元紙によれば、20年ほど前に出版された『北京土語詞典(方言辞典)』(徐世栄・著)に続く、北京方言の集大成になるという。

“新辞典”編纂の動機にについて、著者の董氏はこう語る。
「かつて出版された『北京土語詞典』は、主に北京市中心部(旧北京城内、現在の2環路以内)の高層社会で使われていた方言をまとめたものだった。だが現在は市街地が広がり、それは6環路までを指すこともある。そこで本書では方言の収集範囲を広げ、郊外で使われているものや下層社会の民衆の言葉、農業・民俗関係の方言を新たに加えた。先人の研究成果の上に、総合的な辞典を編纂したかったのです」
本書では『北京土語詞典』に比べ、約2000語余りが新たに追加されたという。

■歴史や地域文化の研究に

本書の編纂には、かなりの時間と労力がかかったようだ。
董氏によれば、中国の改革・開放の初期から方言を収集しはじめ、2001年7月から編纂。2010年末の正式出版まで、つごう数十年の大仕事になったという。
「私は河北省中部の涿州市の出身で、北京市からは(南西へ約60キロと)わりに近い。北京方言はよくわかるほうですが、それでも知らない語句がいくつかあった。意味はわかっても、アクセント(声調)がわからない。そこで史料や辞書を調べたり、自ら郊外に出かけて取材したり、方言のわかる人に確認したりと苦労しました。辞典は完成しましたが、さらに読者のご叱正をいただきたいところ……」

春節の準備で賑わう北京/「老北京」の語彙を多数収める収録された語句の選択基準は、現在70歳前後の“老北京人”(生粋の北京人)がまだ使用しているもの、またはすでに使われなくなったが理解できるもの――に主として限られた。
辞典をひもとくと、北京人が耳慣れているという方言では「趴活儿」「嗝儿屁」「份儿钱」などがある。
また「打尖儿」などの農業用語のほか、「老星儿」「书子」「蹲拍子」といった従来の辞典ではあまり取り上げられなかった用語。
さらに「倒爷」「练摊儿」といった改革・開放後に生まれた新しい方言も収録されている。ちなみにインターネット用語は除かれたという(下記参照)。

編纂だけで約10年がかりとなった大著。董氏が本書で気づいたことは、「北京方言の消失は、北京の胡同(フートン、横町)が(再開発のため)取り壊されるスピードと同じで、非常に速い。現時点で記録しておかなければ消滅してしまうかもしれず、北京方言を救わなければ!と危機感を抱いたのです」。
辞典出版の意義については「それは北京の歴史文化・地域文化の研究に、大きな役割を果たすものになる。文字にして記録することは、とても大切。後世の人々にとっても現在(21世紀初頭)の文化がわかるからです。さらには清代末期、中華民国時代の文献を調べる際にも、本書は読者の理解に役立つものとなるでしょう」

北京っ子たちのナマの言葉がギッシリ詰まった方言辞典。
中国語の研究者のみならず、北京の歴史や民俗文化に関心のある人にもおススメしたい1冊だ。

■『新編 北京方言詞典』より抜粋

1)【他披 (pei1) 片儿,抱砂锅】
「彼は乞食になった」という意味。「披片儿,抱砂锅」で「乞食の暮らしをする」。
旧時、乞食は冬になると麻袋をはおり、炭火入りの缶を手に暖を取っていた。「他当乞丐了」(彼は乞食になった)という直接的な言い方を避けた表現。

2)【趴活儿】
現在では「タクシーの運転手が、ある地点で客を待つこと」を指す。
 例えば「每到星期六、星期天,他都在北京外国语大学西门儿趴活儿」(毎週土日に、彼は北京外国語大学の西門で乗客を待つ)

3)【胯胯上的亲戚】
関係が遠い親戚のこと。遠戚。

4)【今天人来海 (hai1) 了】
「今日は人出が多い」という意味。「海」は形容詞で、数が非常に多いことを表す。

5)【碰瓷儿】
ゆすりや恐喝の一種。人ごみの中でわざと人にぶつかり、持っていた高価な物が落ちて壊れたといって騙し、相手に弁償させること。

6)【钱花得老鼻子了】
 支出が多い、非常にお金がかかったこと。「老鼻子」は形容詞で、非常に多いこと。

7)【喜歌儿】
[名詞] 結婚式や出産、合格、棟上げ式などの吉事があった家で、乞食が縁起のよい文句を大声で唱え、おめぐみをもらう。その際の縁起のよい文句のこと。

8)【书子】
 手紙のこと。

9)【老星儿】
 [形容詞] 仕事(肉体労働や手作業)の質(出来)がたいして良くないこと。
例:「他干活儿特别老星儿,别找他」(彼の仕事の出来はよくないから、頼まなくていい)

『新編 北京方言詞典』の内容10)【份儿钱】
[名詞] ① 人力車夫が毎日、親方に納める賃料のこと。
② 転じてタクシーの運転手が毎月、会社に納める賃料のこと。

11)【嗝儿屁】
 人が死ぬこと、死を指す(厳粛な意味はなく、下層の人々が使う用語)。

12)【打尖儿】
 綿花の先端のとがった部分をつみ取ること。

13)【蹲拍子】
 「趴拍子」とも。旧時、乞食が夜間に店の廊下などに身を寄せたこと。

14)【全须全尾 (yi3) 儿】
 ① 飼っているコオロギが無傷であることを表す。コオロギを闘わせる伝統的な遊びで、コオロギが無傷であれば、売りに出せることから。
 ② 転じて、人の体が無傷であることの比喩。

15)【倒儿爷】
 [名詞] 「倒爷」とも。違法売買をする自営の商売人のこと。

16)【练摊儿】
 露店を出して(地面に商品を並べて)、商売すること。

[参考文献]
『新編 北京方言詞典』 董樹人・著、商務印書館 (2010年11月初版)
・「新北京方言詞典 増両千余郊区詞条」 (『新京報』2010年12月11日付)
・「新北京方言詞典 増两千余詞条」 (『法制晩報』2010年12月10日付)
  ほか
http://epaper.bjnews.com.cn/html/2010-12/11/content_179795.htm?div=-1
http://www.fawan.com.cn/html/2010-12/10/content_279284.htm

 
   
   
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★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2011年1月14日~1月20日

     
第1位:『姥姥語録』

第2位:『臨界・爵跡2』

第4位:『李可楽抗拆記』
                                         第5位:『貨幣戦争3 金融高辺疆』

第6位:『1Q84 BOOK3』

第7位:『侯衛東官場筆記5』

第10位:『開明国語課本』
 

1.『姥姥語録』(おばあさんの語録)
倪萍・著 中華書局 2011年1月初


中国中央テレビ(CCTV)の人気キャスター・倪萍が、母方の祖母が生前に教えてくれたという「人生の知恵」をまとめた。
山東人の祖母は2008年、99歳で他界したが、その言葉は善良さにあふれたシンプルな処世訓だった。
「国と家庭は同じ。まず人に良くすれば、すべてがうまくいく」
「愛は銀行。お金を使うことは心配ないが、貯金がないのは心配だ」
「自分が倒れなければ何とかなるが、自分が倒れれば誰も助け起こせない」
など、その堅実な生き方と生涯の価値観が本書には凝縮されている。倪萍自身が描いたという素朴な挿絵も楽しめ、忙しい現代人がゆったりとした充足感にひたれる語録集だ。 


2.『臨界・爵跡Ⅱ』
郭敬明・著 長江文芸出版社 2011年1月初


「80後」(1980年代生まれ)の人気作家、郭敬明の長編ファンタジー・アドベンチャー『臨界・爵跡』の第2弾。
郭敬明の幻想小説はベストセラー『幻城』から10年ぶり、前作の『臨界・爵跡Ⅰ』の出版からは4カ月での出版となり、早くも注目を集めている。
伝説の「奥汀(オーティン)大陸」を分ける東西南北4国で、神秘的な妖術「魂術」を使って繰り広げられる激しい攻防。魂術を学んだ純朴な少年、麒零(チーリン)の活躍を軸に、「活字のムービー」といわれる気宇壮大なストーリーが展開される。 


3.『蔡康永的説話之道』(蔡康永の話の道)
蔡康永・著 瀋陽出版社 2010年11月初


4.『李可楽抗拆記』(李可楽の抗拆記)
李承鵬・著 甘粛人民美術出版社 2011年1月初版


中国初の「立ち退き問題」をテーマにした現代小説。
マイホームが買えないために、恋人との別れも秒読み段階の主人公・李可楽は、ある日偶然、丁香(ライラック)街の立ち退き計画を耳にする。
「釘子戸」(立ち退き拒否世帯)になって「漁夫の利」を得ようと考えた李可楽は、仲間たちと資金を出し合い、立ち退きをひかえた丁香街の「油条(中国風揚げパン)屋」を買い取るのだった。
しかしそこに、暴力的な業者との衝突や丁香街の人々の運命が複雑にからみあい……。
現実を知るうちに強い正義感を抱きはじめた李可楽は、丁香街の人々と“釘子精神”を持って、業者と対決していくのだった。
涙と笑いの社会派文学の登場だ。 


5.『貨幣戦争3 金融高辺疆』
宋鴻兵・著 中華工商聯合出版社 2011年1月初


2007年の『貨幣戦争』(中信出版社)、09年の『貨幣戦争2 金権天下』(中華工商連合出版社)に続く、シリーズの第3弾。
著者は、米ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)と、米フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)のハイレベル・コンサルタントなどを歴任し、現在は国際金融学者として知られている。
前2冊の『貨幣戦争』では、アメリカと欧州の金融発展史をそれぞれ解読したが、本書ではアヘン戦争を起点とする中国の金融発展史を探る。
「なぜアヘン戦争が中国で発生したのか?」「なぜ日本の明治維新は成功し、中国の洋務運動は失敗したか?」「なぜ国民党の法幣改革が日本を刺激し、日本の侵略戦争を加速させたか?」「なぜ国民党の法幣が最終的に破綻し、共産党の人民幣が生まれたのか?」など、「金融」という新しい角度から見た中国近現代史を解説する。 


6.『1Q84 BOOK3』
村上春樹・著(日)、施小煒・訳 南海出版公司 2011年1月初版


7.『侯衛東官場筆記5』(侯衛東の官界メモ5)
小橋老樹・著 鳳凰出版社 2011年2月初版表記(1月発売)


村から鎮(町)、県、市、そして省の政府へ。主人公の公務員・侯衛東の10年にわたる栄転ドラマを描くとともに、ベールに覆われた官界の実情と秘密に迫る。 


8.『幸福了嗎?』(幸せですか?)
白岩松・著 長江文芸出版社 2010年9月初


9.『我的抗戦』(我が抗戦)
『我的抗戦』番組班・編 中国友誼出版公司 2010年11月初


10.『開明国語課本』(蔵書版、全8冊)
葉聖陶・編 開明出版社 2011年1月初


1932年に上海開明出版社が出版した、初等小学生用の国語テキスト(全8冊)の復刻版。
子どもたちの読解・表現能力を高めるために編まれたテキストで、内容は子どもたちの身の回りの出来事から社会生活までと幅広い。
多様な文体、自然な語句と語調で、子どもたちが楽しみながら学習をすることができる。さらに数々の童話や寓話、故事をもとに編集された本文は、子どもたちの道徳教育にもなると高い評価を受けてきた。
本書は32年の初版刊行後、これまでに40刷余りを重ねているという。
一人っ子のために教育熱心な親たちが、古典名作テキストに飛びついているようだ。 


 
     

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)
訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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