1.『朱鎔基答記者問』(朱鎔基が記者の質問に答える)
《朱鎔基答記者問》編集組・編 人民出版社 2009年8月初版
「中国のゴルバチョフ」と称され、その決断力と指導力が高く評価された経済開放推進派の朱鎔基前首相。
引退して7年近くになるが、その在任中の記者会見での発言や海外講演の内容をまとめたのが本書。第9期全国人民代表大会(全人代)第1回会議の記者会見での発言(1998年3月)から、カンボジアで中国の国家建設について講演したときの内容(2002年11月)まで60本が収められる。
経済のマクロコントロールの強化や世界貿易機関(WTO)への加盟など、当時の中国政府が定めていた政治・経済政策とその課題が浮き彫りにされる。内容の大半が「国内初公開」だといわれている。
2.『手到病自除』
楊奕・著 江蘇人民出版社 2009年8月初版・10月第3刷
タイトルは、もともと「手到病除」(ひとたび手を下すと病気がたちどころに治る)という「名医」をあらわす成語からきている。本書では、それをさらにひねった「自除」(自ずと治る)という言葉がポイントだろう。
著者は「中国名医フォーラム」の専門家であり、自然療法の大家。16歳のころから、針灸やマッサージの技術を習得。人体にある“反射区”(反応ポイント)を刺激して、人体の治癒力を活性化させる――という理念を実践している。
本書では、押す、揉む、こするなどの基礎マッサージ法などに“反射区”を組み合わせた健康法と病気の治療法を伝授。心臓病、糖尿病、不眠、扁桃炎などに効くという、手のひらや足の裏のマッサージ法を詳述している。
3.『歴史是個什麼玩意兒1』(歴史って何だろう1)
袁騰飛・著 上海錦綉文章出版社 2009年8月初版
高校の歴史教師で、中国中央テレビ(CCTV)の人気レクチャー番組「百家講壇」(「両宋風雲」)にも出演中の著者が、高校生のインターネット授業用の映像を読み物としてまとめたもの。
本書はその「袁騰飛が中国史を説く」シリーズの上巻。第一章「青銅時代の中国人」(先秦)から第七章「異族の終結者」(清)までを収め、カラー図表を用いながらわかりやすく解説する。
「(このレクチャーで)生徒たちの歴史への興味をやしない、人々の教養を高めたい」と著者は語る。
4.『貨幣戦争2 金権天下』
宋鴻兵・編著 中華工商連合出版社 2009年8月初版
5.『我兎斯基你』(I,TUZKI,U?)
王卯卯・著 陽光出版社 2009年7月初版
兎斯基(Tuzki)という名前のウサギが繰り広げるシュールな日常を、オールカラーのイラストで描く。
「縁には、辛抱強さと運が必要」「悩みはラビリンス(迷宮)、覚醒は唯一の出口」「距離は別に恐れない。恐れるのは心がだんだん遠くなること」といった警句とともに描かれる“脱力系”のウサギのイラストがおもしろい。
作者が2006年にブログでTuzkiのイラストを発表したところ、人気に火がつき、09年3月に第1作品集である本書(繁体字版)を香港と台湾で出版。本書は大陸での簡体字版の第1作目になるという。
6.『中国大趨勢』(CHINA'S MEGATRENDS)
ジョン・ネスビッツ(米)など著 魏平・訳 中華工商聯合出版社 2009年9月初版
『メガトレンド』『メガトレンド・アジア―アジアの8大潮流が世界を変える』などの著作で知られる米国No.1の未来学者が、21世紀のいま、中国に押し寄せてきたメガトレンド(巨大潮流)を分析し、それが世界に与える影響を徹底予測する。
サブタイトルは「中国新社会の8大支柱」で、8大支柱とは現代中国のトレンドである「解放思想」「自由と公平」「芸術と学術の芽吹き」「グローバリゼーション」などを指している。
「中国の新しいビジネスモデルは、中国を世界経済のトップクラスへと押し上げた。さらにその政治モデルも、資本主義が人類史における1つの段階でしかなかったことを証明した」と著者。台頭する中国という「新社会」を、世界的な角度から分析したタイムリーな1冊。
7.『宿主』(The Host)
ステファニー・メイヤー著(米) 李令慧など訳 接力出版社 2009年8月初版
アメリカのティーン向けベストセラー小説「トワイライト・シリーズ」で知られる作者のステファニー・メイヤーが、初めて大人向けに書いたSFロマンス。
エイリアンに侵略された未来の地球を舞台に、エイリアンに寄生されてしまった主人公メラニー・ストライダーと、その肉体と魂をむしばもうとするエイリアンとの心の戦いが繰り広げられる。
アメリカでは出版早々ベストセラーになったそうだが、中国でも翻訳版の『暮光之城』(トワイライト)シリーズ同様、早くも注目を集めている。
8.『蒼黄』
王躍文・著 江蘇人民出版社 2009年8月初版
9.『明朝那些事儿(大結局)』(明朝それらのこと 完結編)
当年明月・著 中国海関出版社 2009年4月初版
10.『立志要趁早』(立志は早めに)
兪敏洪など編著 陝西師範大学出版社 2009年9月初版
サブタイトルに「青少年の運命を変える激励の書」などとある。
中国で最も優秀な学生10人の成長と成功のプロセスを紹介しながら、中国で最も実績のある教育専門家10人の評価を加えている。
アメリカのエール大学、スタンフォード大学などに進学し、自分の進むべき道に向かって努力する優等生たちが、同世代の子どもに送るエールが「優秀(な人材)になりたかったら、まず志を立てること、早ければ早いほどいい」。
子どもたちには、早めに自分の正しい方向性をみきわめること、教師にはより多くの教育法を身につけ、子どもたちの成長過程に多くのヒントを与えることが重要だと説いている。
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