1.『明朝那些事儿(大結局)』(明朝それらのこと 完結編)
当年明月・著 中国海関出版社 2009年4月初版
2.『暮光之城:破暁』(トワイライト:Breaking Dawn)
ステファニー・メイヤー著(米) 張雅琳ほか訳 接力出版社 2009年5月初版版
アメリカのティーン向けベストセラー小説の完結編となる第4巻。
霧の町フォークスに引っ越してきた、おとなしい高校生ベラと、そこで彼女が出会う美青年のヴァンパイア・エドワードとのロマンスを描く。アメリカではこれを原作にした映画が2008年11月に公開され、記録的な大ヒットに。日本では今年4月に公開された。
小説の日本語版は『トワイライト』全13巻がヴィレッジブックスから刊行されている。
3.『孟子的智慧』(孟子の知恵)
傅佩栄・著 中華書局 2009年6月初版
大人気のレクチャー番組、中国中央テレビ(CCTV)「百家講壇」の講座をまとめた。著者は、米エール大学哲学博士で、台湾大学哲学科教授。
本書では、中国戦国時代の儒学者・孟子の生涯にはじまり、その教えとなすところの「孝順」(親孝行)、「仁政」(思いやりある政治)、「性善」(人の天性は善なり)の重要性について、わかりやすくレクチャーする。
なかでも孟子がとなえる人生最大の快楽とは、「万物皆備于我矣」(万物みな我に備われり)という心境であり、内面の充実をはかることだという。
中国では近年、「孔孟の教え」などの国学ブームが起きているが、拝金主義がはびこる現在、改めて自分の精神世界を見直そうとする人が増えているのかもしれない。
4.『小団円』
張愛玲・著 北京十月文芸出版社 2009年4月第2刷
5.『許我向你看(終結篇)』(君を見るのを許して)
辛夷塢・著 江蘇文芸出版社 2009年6月初版
「80後」(80年代生まれ)の若手女流作家が描く、甘く切ない青春物語。天涯孤独の少女・謝橘年は、幼なじみの韓述、巫雨との間で心がゆれ動いていた。なぜなら一人は殺人犯の息子であり、一人は検察官の息子であったから。やがて物語は、感情のもつれの末に韓述が巫雨を死に至らしめる……といった衝撃の展開となっている。
中国では、若い女性を中心に人気を集めた小説で、シリーズを原作にしたテレビドラマ化も進められている。
6.『不抱怨的世界』(A Complaint Free World)
ウィル・ボウエン・著(米) 陳敬旻・訳 陝西師範大学出版社 2009年4月初版
7.『老子的帮助』(老子の助け)
王蒙・著 華夏出版社 2009年1月初版
8.『好媽媽勝過好老師』(よい母はよい教師に勝る)
尹建莉・著 作家出版社 2009年5月第5刷
サブタイトルに「教育専門家、16年の子ども教育手記」とある。著者の尹建莉さんは教育学の専門家。
尹さんには優秀な一人娘がいる。彼女は高校卒業までに2回飛び級をしたばかりか、16歳で受験した中国の大学センター試験で、理工系トップの大学・清華大学の合格点をはるかに超えたという実力の持ち主だ。
現代版の家庭教育法を示した本書は、子どもの成績アップをいかに図るかだけでなく、子どもをいかに正しく育てるかについて、理論と実践の両側面から述べている。
「幸せな家庭は5ツ星ホテルと同じ」「話を聞く親になる」「構わないのが最良の管理」など、著者自身の子育ての経験をふまえた教育法はわかりやすく、しかもきわめて説得力を持っている。中国に数多ある教育書のなかでも、本書がとくに受け入れられた理由だろう。
9.『千山暮雪』
匪我思存・著 新世界出版社 2009年5月初版
孤独でひたむきな女性・童雪の前に現れる3人の男性たち。初恋の相手・蕭山と素性の知れない慕振飛、そして傍若無人の野獣のような莫紹謙。三者三様の愛がそれぞれにもつれあい、絡みあっていく。「究極のもつれあい恋愛小説」とは編集サイドのキャッチコピー。
作者の匪我思存は、この4年余りに『佳期如夢』『景年知幾時』など16冊の青春小説を上梓した、今をときめく若手女流作家。
10.『我執』(私が執る)
梁文道・著 広西師範大学出版社 2009年5月第2刷
1970年生まれの香港の文化・時事評論家であり、コラムニストの梁文道の作品集だ。そのほとんどが2006年から2007年にかけて書かれたコラム。
ふだんの著者は「泰山のように堂々とした、理性と叡智を持つ著名人」だが、本書には「重々しい、沈うつな弱さや焦り」といった著者の内面世界も描かれているという(評者まえがき)。
「禁欲」「真理」「暗恋(片思い)」「回帰」「私の病歴」など、珠玉のコラム約130本が収められている。
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