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2009年4月   繁体字復活論が過熱、新「規範漢字」を発表へ
   
   
 

中国本土で約半世紀にわたって使われている簡体字(簡略字)を、元の繁体字(正字)に戻そうという「繁体字復活論」がここへきて過熱している。
台湾で昨年5月に国民党の馬英九政権が発足してから中台間の交流が急速に進んでおり、こうした機会に「それぞれが採用している、異なる字体を統一しよう」というのが、理由の1つ。
一方、「普遍化した簡体字を繁体字に戻すのは、ムダな労力と混乱を招くばかりだ」といった有識者の反論もあり、賛否両論が渦巻いていた。
議論のゆくえが注目されていたが、中国政府のシンクタンク・中国社会科学院はこのほど「漢字の規範を調整した上で、近いうちに新しい『規範漢字』を発表する」として、半世紀ぶりに"漢字改革"を行う見通しであることを明らかにした。
今年は、中国悠久の漢字の歴史に新たな1ページが書き加えられることになるか?
中国メディアに「繁簡之争」(繁体字と簡体字の争い)と称された、漢字をめぐる大論争を追ってみると――。

   
 

■中台交流加速が後押し

議論の発端となったのは、今年3月に北京で行われた全国政治協商会議(全国政協)の席上で、政協委員の潘慶林氏が提案した「繁体字復活論」。
「中国(本土)は今後10年間をかけて簡体字を徐々に廃止し、繁体字を回復させよう」とするもので、香港・台湾などの中華圏で使われている繁体字を中国本土で復活させれば、地域間の統一、とりわけ"中台統一"に有利であるというのが理由の1つ。
昨年末には中台間の「三通」(中台間の直接の通信、通商、通航)が解禁となり、双方の経済・文化・人的交流がいっそう加速していることも「繁体字復活論」を後押ししている。
理由の2つ目には昨年末、台湾当局が繁体字の世界遺産登録をめざすプロジェクトを発表したことにもかかわっている。繁体字復活論は、漢字の発祥地である中国本土が"メンツ"にかけても台湾側に示してみせた反発だったと見られている。

ところで簡体字とは、中国本土で識字率を上げるために、画数の多い複雑な正字(繁体字)を簡略化した字体のこと。国務院(政府)は1956年に最初の規範である「漢字簡化方案」を、64年には完成版となる「簡化字総表」をそれぞれ公布している。
中国メディアによると、漢字の「繁簡之争」は以来、度々起こっていた(『人民日報海外版』、人民ネット4月2日付)。そうした中でも今回の「復活論」がヒートアップしたのは、前述した中台関係の現状にかかわるところが大きいようだ。

■渦巻く賛否両論

「繁体字復活論」が報じられてから、中国本土では賛否両論が巻き起こった。賛成派の多くは、伝統文化継承の重要性から、繁体字の復活を支持したという(同紙)。
――「繁体字は中国伝統文化の重要な一部。京劇や漢服を見直そうといっているが、今や(同じ)伝統文化である繁体字すらわからなくなっている」(郁鈞剣・全国政協委員)。
「香港、台湾、世界の華人に比べれば、我々は非主流だ。若者たちは繁体字を知らず、古典を読む力や理解力を失った」(作家・二月河氏)
「繁体字は難しいし、筆記がめんどうだと思っていたが、周りの台湾人や香港人は繁体字を書くのも速い。結局、慣れの問題でしかないようだ」(海外の中国系ネットユーザー)
また、パソコンやインターネットの普及で「複雑な繁体字が簡単に打ち込める。かえって身近な文字になった」という肯定論も。人気のカラオケボックスに行けば、香港・台湾系ポップスの字幕の多くが繁体字である。

一方の反対派は、文化交流や普及宣伝、コストの重要性から、復活論を否定している。
――「簡体字は確かに文化継承のさまたげになるが、学習・普及の効率には非常に有利だ。しかも今さら(常用漢字を)繁体字に戻せば、混乱を招くばかり。やはり簡体字をマスターすることが一番だ」(馮驥才・中国文学芸術界連合会副主席)
ここ数十年来、文化の普及、識字率アップ、子どもや外国人の中国語学習のために貢献してきた簡体字。普及宣伝には莫大なコストと労力がかかっている。
そのため「私からすれば、こうした議論自体がムダなことだ」(姚大力・復旦大学中国歴史地理研究センター教授)として、復活論をハナから否定する向きもある。

bj200904-02■年内に登場か、新「規範漢字」

こうして賛否両論が渦巻いていたのだが、中国社会科学院はこのほど行われた国学研究フォーラムで「漢字の規範を調整した上で、新しい『規範漢字』を近く発表する」と表明。半世紀ぶりに中国本土で"漢字改革"を行う見通しであることを明らかにした(『新京報』4月9日付)

中国語言学会副会長で北京師範大学の王寧教授によると、改革のポイントは3つ。
①「同音替代」の見直し―― 簡体字の「干部」(幹部)と「干净」(乾浄、清潔である意)の「干」は、正字が異なるのに、同音(または類似音)であるとして同じように簡化してしまった。
②「符号替代」の見直し―― 簡体字の「邓」のへんと「灯」「澄」のつくりは、正字では同じ「登」なのに、簡化のプロセスで3種の文字を生んでしまった。簡化により問題を複雑化した。
③「草書楷化」の見直し―― 一部の簡体字は、草書をもって楷書に代えたが、草書と楷書にも違いがあり、中には矛盾のあるものもある。

王寧教授は「こうした問題は徐々に改正していく必要があり、今回の新『規範漢字表』で一定の修正を加える」プランだという。
また中国メディアはこのほど、国家語言文字工作委員会の副主任の話として「新しい『規範漢字表』は、年内に世に出るだろう」と伝えている(『法制晩報』4月14日付)

bj200904-05中国政府は現在、これをどう見ているのか?
教育省の章新勝・副大臣は「中国では今、簡体字を通用字(常用漢字)に規定している」「行政をはじめ教育、新聞・出版、メディア、公共サービスなどの業種は、必ず簡体字を基本にすべきだ。しかし他の分野に関しては、関連法規が許すかぎり、繁体字の使用や学習には干渉しない」と語っている(『人民日報海外版』、人民ネット4月2日付)。
漢字についての柔軟な使用を認めたものだ。確かに、古書出版社の中華書局などは、今でも多くの正字版を出版している。

これと同様に、比較的進めやすい改革として「識繁写簡」(繁体字を理解し、簡体字を書く)という説を唱える研究者もいる(中国社会科学院語言研究所の董琨・研究員)。学校の教科書は簡体字で統一しつつも、巻末には繁体字との対照表を付けるなど工夫をしたいという説である。

「繁簡の争い」はなお盛んだが、年内には新たな漢字がお目見えするのか?
中国建国60周年の今年は、新「規範漢字」のゆくえも注目ポイントになりそうだ。

 
   
   
bestsellere
総合
 

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計)
2009年4月2日~4月8日

     










 

1.『中国不高興』(中国は不機嫌だ)
宋暁軍 王小東など共著 江蘇人民出版社 2009年4月第4刷


13年前に出版され、ベストセラーになった『中国可以説不』(ノーといえる中国)の続編といわれており、国内外で大きな話題を呼んでいる。3月12日の出版後10日余りで10万部を販売、1カ月後の4月にはすでに第4刷を重ねている。
その内容は「中国は世界的大国として、西側に対抗しなければならない」「剣を手にビジネスをする。それが大国勃興の勝利への道だ」などといった民族主義的主張に満ちたもの。中国の対米協調にも不満を向ける。
著者に名を連ねる宋強は『中国可以説不』の執筆メンバーの1人でもあり、「中国のような上昇勢力は、排除されるよりも覇権国になる選択をすべきだ」と強調している。
ネット上の大手ポータルサイトの多くに「不機嫌な中国フォーラム」があり、賛否両論が巻き起こっている。オリンピックを開催し、最大の対米債権国となった中国が世界に放つ、2009年の同国をシンボライズする書であることは間違いがない。


2.『明朝那些事儿(大結局)』(明朝それらのこと 完結編)
当年明月著 中国海関出版社 2009年4月初版


大手ポータルサイト・新浪ネットのブログが火を噴き、書籍化されたのが2006年9月。以来シリーズ化されて、合計約500万部のベストセラーに。本書はその完結編。
明代末期、後金(清)軍の侵攻を防いだ名将・袁崇煥は、策略を疑われて誅殺される。流賊出身の李自成の軍に包囲された崇禎帝は自殺、明は滅亡するのだった……。
末期的な動乱の時代を、小説仕立てで生き生きと現代によみがえらせた。足掛け4年、計7冊のシリーズになった大作は「ここ30年間で最もヒットした史学読本」と評価されている。


3.『自立』(SELF-RELIANCE)
ラルフ・ウォルド・エマソン著(米) 蒲隆訳 法律出版社 2009年4月初版


「オバマ米大統領の一番の愛読書」というキャッチコピーが帯にある。「自己啓発の祖」といわれる米国の思想家ラルフ・ウォルド・エマソン(1803-1882)の代表作にして古典的名著の中英2カ国語版。
「真理は自分の内にある」「人が強くなり、栄えるのを見ることができるのは、その人が独り立ちしたときだけだ」……。
自立と自己信頼の大切さを説き、世紀を超えて世界の人々を勇気づけてきた人生哲学書。日本では『自己信頼[新訳]』として、海と月社から翻訳本が出版されている。


4.『声息』
夏茗悠著 新世界出版社 2009年3月初版


作者は1988年生まれの「80後」(80年代生まれ)世代で、北京大学のラジオ・テレビ演出専攻の女子学生。94年に処女作「小星星」を雑誌に発表して以来、「全国新概念作文コンテスト」で1位になるなど数々の文学賞を受賞している「北大才女」だ。
物語は、不慮の火事により家族や美貌を失った少女が、整形と改名を経て女性2人組の歌手ユニットとして成功を収めるが、ある日放火事件の容疑者と接触することになり……。
若さゆえの残酷さとロマン、愛と孤独、悲哀と幸せのコントラストを際立たせたという青春ヒューマンストーリーだ。


5.『両生花』
沈星著 長江文芸出版社 2009年3月初版


香港の衛星テレビ局・フェニックステレビ(鳳凰衛視)で「娯楽大風暴」「美女私房菜」などの人気番組を担当する女性司会者、沈星の初の自伝的エッセイ集。長江文芸出版社刊で、いずれもベストセラーになった陳魯豫の『心相約』、曽子墨の『墨跡』につづく、フェニックステレビ人気司会者シリーズの第3弾だ。
珠海テレビ、北京テレビ、中国中央テレビとさまざまなテレビ局でキャリアを積み、2004年末からフェニックステレビに席を移した沈星。テレビ局でのハードな仕事から温かな家族、友人、愛情などのプライベートに至るまで、真摯に向き合い、思いのままに綴っている。
作家の余秋雨氏が序文を寄せており、「私が着眼したポイントは、本書の中にある文学的元素だ」と評している。


6.『我的団長我的団』(下)
蘭暁龍著 新星出版社 2009年1月初版


7.『杜拉拉2 華年似水』(杜拉拉2 青年は水の如し)
李可著 陝西師範大学出版社 2009年1月初版


8.『西決』
笛安著 長江文芸出版社 2009年3月初版


中国の若手人気作家・郭敬明が取締役社長を務め、中国最先端のカルチャーシーンを生み出している「上海柯艾文化伝播有限公司」(上海柯艾)の創立3周年記念作品。
同社がプロデュースする月刊誌『最小説』で発掘されたのが「80後」作家・笛安の『西決』で、郭敬明は「創立3年来の最高水準(にある作品)だ」と賞賛を惜しまない。
ポップな青春文学とはかけ離れた、親の世代の家庭倫理観がテーマ。主人公の鄭西決から見つめた、鄭家2世代にわたる人間関係に複合的に迫った異色の小説だ。


9.『銭文忠解読《三字経》』(上)
銭文忠著 中国民主法制出版社 2009年2月初版


10.『老子的帮助』(老子の助け)
王蒙著 華夏出版社 2009年1月初版


 
 
     

bj200904-12■北京便り――おわりに

4月に入り、最高気温が20度を超える暖かな日がつづくと、北京は「柳絮」(りゅうじょ)と「楊絮」の季節を迎えます。白い綿毛に包まれたヤナギやポプラの種のことで、これがふわふわと風に吹かれる光景は、中国の春の風物詩ともいわれています。
多くの詩文にも登場することからロマンチックなイメージがあるのですが、時に大量に発生しようものなら耳や目に入って、やっかいなことこの上ありません。
自転車に乗る人たちが、サングラスやマスクをして「全副武装」(完全武装)するこの季節。柳絮がやっかいもの扱いされているとは、北京に住むようになってから知ったことです。

 

 

 

文・写真 小林さゆり
日本の各種メディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中。
著書に『物語北京』(五洲伝播出版社)

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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